飲食店が食材を仕入れる方法は?仕入れ先を選ぶ際のポイント

最終更新日: 2024/01/04
開業・経営

仕入れた食材のイメージ

飲食店が食材の仕入れ先を選ぶ作業は、料理の味やお店の命運を左右するほど大切なことです。仕入れ先を間違うと、コストの無駄が発生するだけでなく、経営が傾くリスクもあります。

本記事では、飲食店が食材の仕入れ先を選ぶコツ、主な仕入れ先の種類、選ぶ際の注意点を解説します。食材の品質と仕入れコストの削減を両立するヒントになるので、飲食店の経営に関する疑問やお悩みがある方は、ぜひご確認ください。

飲食店が仕入れ先を選ぶ方法とポイント

飲食店が食材の仕入れ先を選ぶことは、重要な作業の1つです。まずは自店舗に合った仕入れ先を選ぶ方法とポイントを解説します。

仕入れ先を探す方法

飲食店の開業・経営・独立のための15の準備」で仕入れ先の選定について少し触れました。この記事では仕入れ業者選びについて、より詳しく説明します。

開業時には「店舗をどのようにレイアウトするか?」「人材はどうするのか?」「この資金で本当にやっていけるのか?」など、いろいろな問題に直面します。悩みは多いですが、何から何まで自分の思い通りにできることは、独立開業の醍醐味といっても良いでしょう。

その中でも、仕入れ業者の選定は一番注意を払うべきポイントといっても過言ではありません。なぜならば、仕入れ業者の選定はお店の命ともいうべき「食材そのものの選定」となるからです。

仕入れ先を選ぶポイント

メニューのコンセプトに合う仕入れ先を選ぶ

メニューに明確なコンセプトがある場合には、自ずと候補が浮かんでくるのではないでしょうか。例えば「マスターの出身地の山梨県の郷土料理を中心とした、お客様全員が和らげる店」がコンセプトの場合、やはり山梨県の食材が使いたくなるものです。山梨県の食材を取り扱っている業者を探すことになるでしょう。

「産地のこだわり食材を使いたい」という場合もここにあてはまります。こだわりの食材を使えば、苦労して考えたオリジナルメニューがより引き立つ……飲食店として理想的な状況ですね。お店の売り上げにも好影響を及ぼすことでしょう。

とはいえ、そういったこだわりの食材は仕入れ価格も高くなりがちです。ただでさえ開業当初は出費を抑えたいものです。無理をして仕入れを続けて、資金繰りを悪くしては元も子もありません。こだわりの食材を使うのは、お店が軌道にのって資金繰りに余裕が出てきてからでも良いかもしれません。

メイン食材に関連の深い仕入れ先を選ぶ

ラーメン屋さんの場合には、メインの食材は麺です。麵の仕入れ先を決めてから、その他の具材の仕入れ先を探すという方法もあります。「うちの麺にあうのは○○だよ」というように、仕入れ先を紹介してもらえることがあります。こちらも、仕入れ価格が高くなりがちなところがデメリットでしょう。

価格帯の見合う仕入れ先を選ぶ

価格帯の見合う仕入れ先を選ぶ際には、まず販売メニューの原価率を計算し、食材に充てる予算を明確にします。商品の価格帯と予算を考慮して、それらに見合う仕入れ先を選ぶことが重要です。

なお、同じ食材であっても仕入れ先によって価格は異なります。そのため、複数の仕入れ先の価格や品質を比較検討することで、最適な仕入れ先を見つけることをおすすめします。

飲食店の主な仕入れ先

続いて、飲食店の主な仕入れ先を5つご紹介します。それぞれにメリット・デメリットがあるので、業者を選定する際の参考にしてみてください。

近隣の商店

小規模の飲食店を経営する場合、店舗の近くにある八百屋や魚屋、肉屋などの商店(小売店)を活用する方は多いです。食材の仕入れ先を商店にするメリットは、以下の通りです。

  • 近隣なので急な欠品があっても気軽に訪れることができる
  • 商品を手にとって選ぶことができる
  • 「地元の商店と取引している飲食店」として、顧客の信頼感が生まれる
  • 経営者同士の繋がりが強く、人間関係を広げやすい
  • 商店との関係が深くなれば、価格交渉などの融通が利く

商店は使い勝手に優れており、好きなタイミングで買い出しに行ける点は便利です。ただし、一般的に配送サービスはなく、価格も安くはありません。もしも商店をメインの仕入れ先として考えている場合は、他の仕入れ先と比較検討したほうが良いでしょう。

スーパー

スーパーには、一般のスーパーと業務用スーパーの2種類があります。

まず一般のスーパーは商店と同じく小売店の1つであり、使い勝手が良いのが特徴です。ただし、他の仕入れ先と比べて価格や品揃えなど下回る部分があるので、メインの仕入れ先として優れているとは言えません。一般のスーパーを上手に利用するためには、営業中に食材を切らした場合など、緊急時に使うのが得策です。

次に業務スーパーは、主に飲食店などに向けて業務用食材を販売しているのが特徴です。品揃えが豊富なだけでなく、低価格かつ大容量の商品が多いことがメリットです。一方で、店舗数が限られているので、付近にない場合は遠方まで足を運ぶ必要があります。また、掛け払いに対応していないケースも多く、アクセスや支払いに関する利便性は低いです。

市場

全国各地から新鮮な食材が集まる市場は、飲食店の仕入れ先として有力な選択肢の1つです。市場を仕入れ先にすることで、以下のメリットが期待できます。

  • 地元の名産などを入手しやすい
  • コネ次第では産地の状況やトレンド情報を入手できる
  • 売価格より低価格の場合がある
  • 目利きのプロ(仲卸さん)が選んだ食材を購入できる
  • 飲食店のブランド力強化につながる
  • 配送や掛け払いに対応してくれる業者もある

デメリットは、市場独特のルールに合わせる必要があることです。仲卸さんとの関係性や実績がない場合、配送や掛け払いを依頼するのは難しいでしょう。

また、定期的に休みがあり仕入れができない日があるので、在庫管理の手間が発生します。食材の鮮度や品質は高いですが、市場は初心者にとって利用のハードルが高い仕入れ先かもしれません。

卸売業者

​​卸売業者は、食材の仕入れ先として一般的なものです。店舗ごとに担当営業がつき、食材の仕入れをサポートしてくれます。担当営業に欲しい商品を伝えるだけで、見積もりの発行や価格交渉などを代行してもらえる仕組みです。主なメリットは以下の通りです。

  • 品質が安定している
  • 品揃えが豊富
  • 価格交渉次第だが、価格が安くなる
  • 大量の発注に対応してもらえる
  • 配送や掛け払いに対応可能

ただし、担当営業が常に仲介に入ることがデメリットにもなり得ます。例えば、担当営業との関係が悪化した場合は、取引の融通が利きづらくなります。また、担当営業のスキルによっては、取引に悪い影響が及ぶ可能性もあるのです。

生産者

飲食店がネット通販サイトなどを通じて、生産者から食肉、野菜、鮮魚などの食材を直接仕入れる方法です。この取引形態では中間業者を介さないため、新鮮な食材を手頃な価格で入手できます。

また、飲食店で産地直送の食材を使うことは、顧客に「こだわり」「新鮮」「安全」といったイメージを与えることができるため、お店のブランディングにも役立ちます。

ただし、食材の品質は自分で判断しなければならず、さらにお店のメニューに合った生産地、食材の発見には多大な手間と労力がかかります。また、天候不順の影響を受けやすいため、生産がストップしたり、品質が低下したりするリスクも考慮する必要があります。

飲食店が仕入れ先を決める際の注意点

飲食店の仕入れ先を決める際に、1つの業者に絞ろうとする方がいますが、この方法はおすすめできません。以下では、仕入れに失敗するリスクを減らすポイントを解説します。

仕入れ先は組み合わせる

先ほどは主要な仕入れ先をご紹介しましたが、基本的には複数の仕入れ先を併用することが望ましいです。各仕入れ先ごとに商品の強みや価格帯が異なり、より良い品質の食材を予算に見合う価格で手に入れるためには、1つの業者に絞らないほうが良いからです。

また、複数の仕入れ先を持つことはリスクの分散にもつながります。例えば、一般のスーパーを唯一の仕入れ先に決めたとします。スーパーの使い勝手は魅力的ですが、品揃えは他の仕入れ先と比べて下回り、料理に使う食材がない日もあるでしょう。

食材の仕入れに失敗しないためには、各仕入れ先の得意分野を把握した上で、メインとサブの仕入れ先を使い分ける方法が効果的です。上述した「仕入れ先を選ぶポイント」の条件に最も合致する仕入れ先をメインとして、欠品時の補助で利用できる仕入れ先をサブとするのが良いでしょう。

仕入れ先は定期的に見直す

飲食店の仕入れ先は、一度決めたら終わりではありません。以下のようなタイミングで、仕入れ先の見直しを考えると良いでしょう。

  • 食材の仕入れ価格が高騰してきた
  • 新たに安くて美味しい食材が見つかった
  • メニューの改編に伴い、仕入れる食材を変えたい

高品質の食材をリーズナブルな価格で手に入れるためには、新しい仕入れ先を見つけることも大切です。「仕入れ値が上がった」という理由だけで取引を止めるのは仕入れ先との信頼関係に関わりますが、各社と無理なくお付き合いすることも大切です。

ただし、「見直し」とは現在の仕入れ先を変更することに限りません。仕入れ先との関係は維持しながら、価格交渉を行う方法もあります。市場価格を確認して食材の適正価格について話し合うことで、コスト削減につながるケースもあるのです。

仕入れ業者とは無理なく長いつきあいに

今回は飲食店が食材の仕入れ先を選ぶ方法や仕入れ先の種類、注意点などを解説しました。自店舗に合った仕入れ先を見つけるためには、食材の品質や価格帯、メイン食材との関連の深さなどに注目すると良いでしょう。

また、仕入れ業者の探し方としては、「同業者の知り合いの伝手をたどって探す」「ネットで仕入れ業者のマッチングサイトを利用する」などがあります。

いずれにしても、仕入れ業者とは長い付き合いになることが見込まれます。無理のない条件でお互いが気持ち良く取り引きできるように、良い仕入れ業者を選ぶことが大切です。

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