飲食店で予約管理が重要な理由とは?情報の管理を効率化する方法

最終更新日: 2024/04/01
飲食店

予約テーブル

飲食店経営において重視したいものの一つが予約管理です。予約受付時の対応を決めずになんとなく処理している場合、機会損失やトラブルの原因になってしまうこともあります。適正な管理を行うことで、予約ミスを防げることはもちろん、集客率や利益の向上などにもつなげることができるでしょう。今回は、飲食店における予約管理の重要性や、予約管理を行う場合のポイント、予約管理を効率化する方法、予約管理システムの選び方などをご紹介します。

飲食店で予約管理が重要な理由

カフェにいる女性

ここで扱う「予約管理」とは、単純に「予約内容を間違いなく記録する」ということだけではなく、予約の取り方から始まって、記録、当日の活用、そして後日の活用まで含めた一連の流れ、という広い意味でとらえていきます。予約管理はなぜ重要といわれているのでしょうか。主な理由を6点ご紹介します。

1:仕込み、仕入れ計画のため

予約状況を管理することで、その日の来店数がおおむね把握できます。また、予約時にコース内容や注文メニューなどが確認できれば、食材の必要量もわかります。それによって適切な仕込みと適量の仕入れができるため、欠品もロスもしなくて済むことがメリットです。お客様にも品切れの不満を与えずに済み、チャンスロスや無駄な出費も防げます。

2:シフト管理のため

予約管理は食材の問題だけではなく、当日のスタッフのシフト管理にも役立ちます。来店客数がわかると、ホールとキッチンの必要人員数が判断でき、適切なシフトを組みやすくなります。提供遅れやサービスの不足などによる顧客不満足を避けられるでしょう。反対に、スタッフが余ってしまい、人件費が無駄になることも回避できます。

3:お客様を歓迎するため

きちんと予約管理をして何時に誰が来店するということが把握できていれば、丁寧なおもてなしも実現できます。お客様が入店した際、そのお客様の名前で呼びかけることができ、「お待ちしておりました」と声をかけられます。店として歓迎しているというメッセージを伝えやすくなるため、お客様の満足度向上にもつなげられるでしょう。

4:付加価値サービスを提供するため

予約時にお客様の目的を聞くことができれば、それに沿った付加価値のサービスを考えて提供できます。例えば誕生日の記念の外食だとわかっていれば、お店からのサービスとしてデザートを出せるかもしれません。そのようにコストをかけなくても、テーブルにバースデーカードを置いたり、入店時に「誕生日おめでとうございます」と声をかけたりするだけでも、お店に対する好感度はアップするでしょう。こういった取り組みを重ねることでリピーター獲得にもつなげられます。

5:販売促進、集客に活用するため

予約内容を管理しておくことで、お客様の来店時だけではなく、今後の販売促進や集客に役立てることができます。例えば、予約時に住所やメールアドレスなどを聞いている場合は、販売促進のダイレクトメールを送って集客につなげることが可能です。

だいたいの商圏範囲が印象ではなくデータでわかる点もメリットの一つです。新聞の折り込みチラシやポスティングなどを入れる際に、より効果のある地域を選ぶことが可能になります。

6:より正確な売上予測ができるようになる

毎日の予約数と実際の総来店数を記録しておけば、その相関が統計的にわかってきます。例えば予約数が10件あれば、総来店数は30件になる、というような予測を立てやすくなるでしょう。これまでよりも精度の高い売上予測が可能となり、食材の仕入れや従業員のシフトなども、より適切に準備できます。売上が少ないと予測できれば、急遽FacebookやLINEなどの集客ツールを使ってキャンペーンを打ち、集客を強化するということも可能になります。

以上のように、予約管理をしっかり行うことで、適切なヒトとモノの手配ができ、かつお客様の満足度を上げ、最終的には来店数や売上アップにつなげることができるでしょう。

飲食店での予約管理の仕方のポイント

カレンダー

上記のように飲食店で予約管理を行うことで、幅広い効果を得られると期待できます。そのためには、どのような方法で予約管理を実施すれば良いのでしょうか。ここでは、飲食店における予約管理のポイントをご紹介します。

電話での応対をマニュアル化

予約電話などの応対をマニュアル化し、サービスの均一化やレベルアップを図ることはおすすめです。電話対応の際にお客様に聞くべき内容を決めてリストにしておきましょう。例えば、名前や連絡先などのほか、来店の目的なども聞くことで付加価値のあるサービスを提供しやすくなります。

予約応対の話法を決めることも必要です。例えば「お気をつけてお越しください」「当店への道順はおわかりになりますか」などの言葉を付け加えることで、お客様の満足度と期待度向上につなげられるでしょう。競合店との差別化ポイントにもなり得ます。

上記のようなフレーズは、スタッフまかせにしていてもとっさに出てこない可能性があります。必要な内容を盛り込んだ予約電話の応対話法マニュアルを作り、POPなどにして電話の近くに貼っておくことが重要です。

さらには、予約電話を取る可能性のあるスタッフには、応対の簡単なロールプレイングも行っておきましょう。スムーズに応対できるか、話すスピードは適切か、声は電話口で聞いて気持ちの良い高さか、などを確認し、指導していきます。予約電話はお客様との「ファーストコンタクト」であり、お店の「第一印象」となるため重要です。お客様に良い印象を与えられるよう、電話応対の品質を高めましょう。

ノートに管理し記録として残す

予約情報は必ず記録として残すことが大切です。記録が残っていないと、予約の受付漏れやダブルブッキングなどのミスを招いてしまうことがあります。

メモ帳やカレンダーなど廃棄してしまうもの、まとめて管理できないものは避け、ノートに記すことがおすすめです。日時順に書くことにはなりますが、できればお客様の名前の索引もつけましょう。

予約時に住所が聞けていればダイレクトメールを送付したいときにも活用できます。また、同じお客様からリピートで予約電話をいただいたときに、前回の予約内容を確認して「いつもありがとうございます」「苦手な食材は前回と同じでよろしいでしょうか」という応対ができれば、満足度向上につながるでしょう。

直前には確認の連絡

予約をいただいた後は、予約日の直前に確認の連絡を行いましょう。お客様の無断キャンセルやうっかり忘れを回避しやすくなります。当日キャンセルになると食材ロスや人件費ロスになり、損失を招いてしまいます。ほかのお客様の来店チャンスも潰してしまうでしょう。確実に来店してもらうことで、こういったロスをなくすことができます。

予約時に取得する顧客情報とは

顧客情報イメージ

予約を受け付ける際、必須となる情報のほか、飲食店側にとって有益な顧客情報も取得できると効率的です。こちらでは、予約の際に取得する顧客情報の種類や、それぞれの特徴を解説します。

          取得する情報           情報の種類
必ず取る情報予約日時、お客様の名前、人数、連絡先など
できれば取った方が良い情報注文料理や苦手食材、席の希望など
付加価値サービスが提供できる情報宴会や記念日などの予約した外食の意味
販売促進に使える情報住所、メールアドレス、SNSアカウントなど

予約時に必須といえる日時・お客様の名前・人数・連絡先などはしっかりと聞いておきましょう。加えて、当日のコース内容や苦手な食材、席の希望なども確認しておくとスムーズです。また、予約の目的も聞いておくことで、付加価値のあるサービスを提供できます。宴会の場合はどのような宴会か(例:送別会や懇親会など)、記念日であればどのような記念日なのか(例:結婚記念日や誕生日など)を聞くと良いでしょう。

さらに、住所やメールアドレスなどの情報を聞くことができれば販売促進に使えることがあります。ただ、スピーディーな対応が求められる電話口では難しい場合もあるため注意が必要です。お客様に不快な思いをさせることなく情報を聞き取るためには、適切なマニュアル作りやスタッフの教育が重要といえます。

飲食店のネット予約への対応

以上でご説明してきた予約方法は基本的に電話で受けるというものでした。最近、電話予約以上に流入経路として増えているのが「ネット予約」です。飲食業界全体ではネット予約が主流になりつつあります。ここでは、ネット予約の概要や注意点、予約管理システムなどについて触れていきます。

ネット予約とは

インターネットを使った予約という意味では、店舗のホームページやFaebookページを見た人が、そこから専用フォームやメールで連絡してくる、というものもあります。ここでいう「主流となりつつあるネット予約」とは、グルメサイトを閲覧したユーザーが、そのサイトから予約を直接入れて来るという方法です。

スマホやパソコンでグルメサイトの店舗ページを開くと、メニューや口コミのほかに、画面の目立つ場所に空席状況のカレンダーが表示されているのを見たことがないでしょうか。その空いている日付をクリックまたはタップすると、予約内容が入力でき、そのままその情報が店舗に送られてくる、というのがこの方式です。

この方法のメリットは、24時間いつでも予約が可能である点です。お客様にとって利便性が高いのはもちろん、店舗側にとっては無人で24時間対応可能になるため便利です。

また、お客様が店舗情報を見て気に入ったら即予約に移れるため、機会損失を防ぎやすくなることも大きな魅力です。一般的にユーザーが店舗情報を見て、そのあと別の店舗のページを見て、さらに電話画面を開いて、というステップを予約までに踏むと、そのステップごとに目移りしたり面倒くさくなったりして、徐々に「脱落」していきます。しかしこの方法であれば、店舗情報ページからすぐに予約に移れるため、脱落が最小限に食い止められます。見込み客を確実に予約に引き込める点が、ネット予約最大のメリットといえるでしょう。

ネット予約サービスを行っている主なグルメサイト

上記のような予約システムはいわゆる3大グルメサイトの楽天ぐるなび、食べログ、ホットペッパーの全てで導入されています。利用者数については各サイトで異なります。

2023年5月時点でのデータによると、株式会社リクルートの「ホットペッパーグルメ」において年間約8,882万人以上がネット予約を利用しています。株式会社ぐるなびの運営する「楽天ぐるなび」は、2020年12月時点で月間ユニークユーザーの数が約4,400万人となっています。株式会社カカクコムの経営する「食べログ」は、2023年12月時点で月間利用者数が約9,500万人です。

上記のようにグルメサイトによって利用者数は違いますが、契約時にはほかの要素も比較して検討することが大切です。ユーザー数や利用する顧客の属性、競合店の掲載数など、さまざまな部分を考慮して自店舗に合うサービスを選びましょう。

ネット予約の問題点

飲食店の予約管理には複雑な判断が必要になることがあります。ただ、ネット予約のシステムでは対応できないケースも見られます。

例えば、以下のようなパターンが考えられます。

  • 滞在時間は宴会であれば2時間と決まっていても個人客の場合は明確に決められない
  • 予約人数が電話なら「約10人」といわれて当日15人となっても、人間が受けた場合はそれを想定して余裕を持って席取りを行うが、システムにはできない
  • あと15分開始時間を遅らせてくれれば予約を入れられる場合、人間が受ければ逆提案できてもシステムにはできない
  • 来店客の1組当たりの人数がバラバラなのを、固定している座席にパズルのように当てはめていくのが難しい など

このような複雑な判断を予約システムに任せるのは難しいでしょう。そのため、ネット予約では、個人客の平均滞在時間が2時間でもシステム上は2時間半にするなど、全体に余裕を持たせた仕組みにならざるを得ないことがあります。システム上は満席なので予約をあきらめても実は席は用意できた、というような見えないチャンスロスが発生してしまうのです。

また、予約データはパソコン上で管理しなければなりません。個人店の場合、そもそもパソコンを設置するスペースがない、店長や経営者がパソコンが苦手、といったケースもあるでしょう。

ネット予約と連動する予約管理システムの導入

こうした状況をどのグルメサイトも問題視しており、その対策として取り組み始めているのが、紙の予約管理台帳の電子化です。

予約管理台帳システムは、電話で受けた予約を人間がパソコンに入力し、その中で管理するというものが本来の使い方です。かなり複雑な判断をコンピューターが行えるようになっています。そこで、このシステムとネット予約をつなげ、正確で効率的な空席状況(予約可能時間)の表示と、人数情報や座席状況なども考慮した自動予約を行えるようにする、ということが考えられているのです。

具体的には、リクルートは台帳アプリ「レストランボード」を投入しています。食べログを運営するカカクコムは「ヨヤクノート」、ぐるなびは「ぐるなび台帳」など、同様のサービスを展開しています。

今後ネット予約の導入を考えている飲食店経営者の方は、この予約管理台帳システムも併せて導入するかどうか、という判断もしていくことが必要になります。基本的に有料システムのため費用はかかりますが、その分チャンスロスが減ることは確実といえます。プラス・マイナスの要素をよく考えた上で導入を判断しましょう。

飲食店の機会損失を防ぐ予約管理システムの機能と選び方

これまでご紹介してきた通り、予約管理システムを活用することで、飲食店の予約業務を効率化できます。業務負担の軽減にもつながるため、ぜひ導入を検討してみることがおすすめです。こちらでは、予約管理システムの主な機能や選ぶときのポイントを解説します。

予約管理システムの機能

            機能           説明
予約管理Webサイトやアプリから予約を受け付ける
顧客管理顧客や会員情報を管理する
決済決済端末と連携する

予約管理システムには予約管理・顧客管理・決済機能などが備わっていることがあります。予約管理機能では、新規予約や予約変更の受付を行えます。サービスによっては手続き完了時メッセージの自動送信機能や、予約のリマインドメール機能などが搭載されていることもあるため便利です。

顧客管理機能では、顧客情報の一元管理が可能になります。お客様の年齢や性別、居住エリアといった属性情報や、予約の頻度や支払い金額などの予約に関するデータも一括で管理できるようになります。会員登録してもらったお客様に、メルマガやクーポンなどを配信できる機能が備わっているサービスもあるようです。

また、決済端末と連携し、支払いに対応できるシステムもあります。店舗側の会計時の業務を削減しやすくなるでしょう。事前決済機能のあるサービスなら、急なキャンセルがあった場合も規定の料金を支払ってもらえるため安心です。

ほかにも、オプションで豊富な追加機能を選べることがあります。業務効率や売上向上のため、必要に応じて追加も検討しましょう。

予約管理システムを選ぶポイント

予約管理システムを新たに取り入れる場合、導入済みの既存システムと連携できるかを確認しましょう。例えば、利用中のPOSシステムと連携できるものなら、導入にかかる手間やコストも少なく済みます。

自店舗に必要な機能が備わっているかどうかも確認しましょう。最低限欲しい機能が搭載されているか、無駄な機能がないかもチェックします。飲食店に特化した予約管理システムを選ぶこともおすすめです。

また、顧客の使いやすさも考慮しましょう。例えば、スマートフォンからの予約に対応しているものであれば、手軽に利用してもらいやすくなります。予約ページのデザインや操作性も確認しておきましょう。

初期費用やランニングコストなども着目したいポイントです。無料で使えるフリープランのあるサービスも見られますが、有料プランを契約することでより多くの機能を使えるようになります。月額費用のほかに手数料が必要になるところもあるため、どの程度の料金で利用できるかシミュレーションしておきましょう。

飲食店の予約管理は専用ツールの活用で効率化しましょう!

飲食店の店舗運営を成功させるためには、適切な予約管理を行うことも重要とされています。サービス品質向上や集客力アップなどにつなげられることもあるため、しっかりと予約情報を管理・活用することが大切です。

電話で予約受付を行う場合は、従業員教育やマニュアル作りなどを実施すると良いでしょう。予約に関連する業務を効率的にこなすためには、予約管理システムの導入がおすすめです。自店舗に合うシステムを導入して、予約管理業務のさらなる効率化を目指しましょう。

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