政府が出している有効求人倍率という「どれだけ採用されやすいか・どれだけ採用しにくいか」ということを示す正社員の就職・転職市場の指標があります。それによれば、現在はバブル期に肩を並べる1.5倍という高倍率です。これは1人の求職者に対し、1.5社が募集をかけているということです。
しかしこれは「全業種」の統計で、大企業などの人気企業も含めての数字となり、実際はもっと「人手不足」の業界があるはずです。それが介護職、携帯ショップなどの販売職、そして飲食業です。
そういう状況の中でも、成長性を確保するためには正社員の雇用は必要です。優秀な正社員を何とか獲得していかなければなりません。
そこでここでは、その正社員採用の要素の1つである求人媒体の中で、正社員獲得がしやすいものはどれかという点についてご紹介します。
飲食店で正社員が必要な理由
「なぜ正社員を採用していなければならないのか」ということについて説明します。飲食店の経営者の中には「バイトでいいじゃないか」という考えの人もいるでしょうか、以下の理由で正社員は必要なのです。
- 成長していくためには店長候補が必要
- まず1点目は、店長候補としての正社員を採っておく必要があることです。企業の成長のためには新店が欠かせません。あるいは急な理由で既存店の店長が辞めるかもしれません。その時に必要となる店長を任せられる人材は、短期間では育成できません。また、求人市場からいきなり店長を任せられる人材を採用することも非常にハードルが高いです。ですので、成長性の確保のために、あるいは組織の新陳代謝のために、店長候補として正社員を採用しておくことが必要なのです。
- カネの管理が任せられ、店長は生産的な仕事ができる
- また店舗運営には在庫管理、金銭管理などの管理業務と、人材育成や店舗オペレーションなどの営業業務があります。店長しかいない店はそれを店長がすべてやらなければなりませんが、その中で管理業務は運営上絶対不可欠です。したがって、店長1人の店舗は、店長は管理業務だけで営業業務まで手が回らず、本当に店が業績を伸ばすために必要な営業業務ができなくなり、店舗の成長は止まってしまうのです。その時に正社員がいれば、管理業務を任せて店長は生産的な営業業務に専念でき、店舗の業績を伸ばすことができます。
- 店長の休日時の代行、他店への応援
- また店長にも労働基準法に則った休日を与えなければなりません。昨今の「店長は管理職ではない」という裁判所の判断の中では残業もあまりさせられません。その時に、正社員がいれば、店長不在の時に店舗を任せることができます。そしてそれは正社員の育成にもなります。
- スタッフ指導のフォロー
- 多くの店で、スタッフ育成は店長の仕事ですが、1人でしていると「抜け」が出てきます。実際のオペレーションで教えられてことを実行しているかという確認は店長だけではできません。あるいは店長からスタッフが叱られたときに、店長の真意などを後から伝えるフォローも場合によっては必要です。そのようなスタッフ育成のフォローにも正社員の力は必要なのです。
以上のような理由で、できるだけ1店舗につき最低1人の店長以外の正社員が必要なのです。
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飲食店正社員の求人方法と現在最適なものは
正社員を求人、採用するには募集をかけなければなりませんが、今可能な方法には主に以下のようなものがあります。
- 求人雑誌
- 求人チラシ
- 求人サイト
- 転職エージェント
- 紹介
- ハロ―ワーク
- 店頭ポスター
飲食業は、募集数よりも応募者のほうが圧倒的に少ない状況です。その中で応募数を集めてよい人材をとるためには、あらゆる所への露出が必要となります。
上にあげたうち費用の掛からない、紹介、ハローワーク、店頭ポスターは必ず実施すべきです。一方で、ほかの4つの求人方法は有料です。予算が潤沢にあればすべてを実施したほうがよいのですが、少ない予算で最も効果を上げるとしたらどれが今最善なのでしょうか。
現時点では結論的に言うとそれは「求人サイト」です。その理由は以下の通りです。
- 正社員採用の主なターゲットである若年層が情報収集に使うのは、紙媒体ではなく圧倒的にインターネット
- 求人雑誌は駅頭、コンビニなどでの配布、求人チラシは新聞折込でしか情報発信できず、受け手の数が限定的だが、求人サイトはいつでもどこでも受信可能なので、受け手の数が極めて多い
- 求人サイトによっては、掲載期間中に応募状況を見ながら内容の変更が可能。したがって、効果が少なければ即対応できる。紙媒体にはそれは不可能。
- 求人サイトは閲覧数が分かるので、仮に応募がなくても自社の求人にどの程度の関心があるかがつかめるため、次回の募集にその知見を活かせる
- 転職エージェントは確実に自社にマッチする人材を探してくれるが、成功報酬とは言え、最低年収の30%の費用がかかり高額
以上のことから、飲食店が最優先で使うべき求人媒体は、現時点では求人サイトだということが言えます。
求人サイトの選び方6つのポイント
以上のような理由で正社員募集の媒体としては求人サイトが最適だということがお分かりいただけたと思いますが、しかし世の中に求人サイトは膨大にあります。また、求人サイトには飲食店専用のものと、オールマイティなものとがありますが、それはどちらが良いとも言い切れません。
その中で飲食店として1社選ぶとした場合、どのような基準を当てはめればよいのでしょうか。それには以下の6つのポイントがあります。
1. 求人サイトの得意な業種と自社の募集業種が合致している
求人サイトによって、レストラン系が強い、居酒屋系が強い、カフェ系が強い、など得意な業種があります。また特に飲食店専門の求人サイトの場合は、キッチン、ホール、SVなどの職種にも得意不得意があります。
この中で、自社の募集内容に強いサイトを選びましょう。選ぶ基準は、その業種、その職種の掲載数が多いことです。それは他社が過去募集した結果、その職種、業種に強いのがわかって継続掲載しているので、掲載数が多くなっているからです。
2. 中途系、新卒系を選ぶ
同じような観点で、新卒・第2新卒、中途採用それぞれに強いサイトがあります。これも1と同様に掲載数で判断し、自社の募集内容に合致したサイトを選びましょう。
3. あまり給与が出せないならエリア限定版、優秀人材は全国版
求人サイトには全国版と、エリア限定版があります。傾向として前者には優秀な人材がアクセスしていますが、その分競争も激しいので必然的に各社の出す給与水準も高くなっています。
ですので、ある程度の人材をコストパフォーマンスよく採用することを目指すならエリア限定版がよいでしょう。
4. 求人サイトの実績×掲載期間×枠の大きさで、候補を比較
その求人サイトへの掲載費用が安いか高いかは、単純に金額だけでは判断できません。サイトは以下の3つの観点で見る必要があります。
- アクセス数、採用数、掲載企業数
- 費用
- 枠の大きさと掲載期間
複数の候補が出てきた場合は、この要素を表にして横並びに比較して判断することが必要です。
5. メディアミックス·デバイスミックス型のものを選ぶ
求人サイトと言っても、パソコンのサイトだけで運用している場合と、以下のほかの媒体、あるはスマホなどと自動連係しているものがあります。費用にもよりますが、一般的にはそれらがなるべく幅広くミックスしているものほうが、仕事を探している人に届きやすいので、そちらを選択しましょう。
- スマホサイトも同時に作成するものが必須。中にはパソコンサイトのほかにスマホ用を作ると、追加料金が発生する場合もあるので要注意。
- 条件に合致した候補者にこちらからアプローチするスカウトサービスがセットのもの。ただしこれも別料金の可能性がある。
- 中高年を候補に入れるのであれば、求人雑誌や求人チラシなどの紙媒体とセット料金で掲載できるものを選ぶ。
6. 採用実績を記録すること
求人サイトを選択するうえでの直接的な基準ではありませんが、自社、自店舗にとって最適な求人サイトを選んでいく基本には「採用実績を毎回記録すること」にあります。
これは、掲載内容(キャッチフレーズ、コピー、給与、写真有無、枠の大きさ、掲載期間)とその結果(アクセス数、応募数、採用数)、費用を記録することです。そして、次回の掲載時には、最も採用数が多く、かつ安価にできたものを、更新した記録の中で選択していくのです。これが自社、自店舗にとって最大の求人サイトのノウハウになります。
飲食店求人サイトへ掲載する方法
求人サイトへどのような流れで掲載することになるのでしょうか。簡単にご紹介します。
1. サイトの問い合わせフォームから連絡
いくつか求人サイトの候補を見つけたら、そのサイトには必ず企業向けの問い合わせフォームがありますので、そこから連絡します。
2. 営業打ち合わせ·見積もり
すると、だいたいの場合は営業マンが訪問してきて、そのサイトの特徴や掲載プランを説明し、こちらで希望を言うと見積もりを出してきます。
3. 社内検討
いくつか候補が出たら、先に述べたような基準でどこに載せるか検討します。
4. 申し込み
掲載サイトが決まったら正式に連絡します。
5. 撮影·取材
求人サイト会社によっては、サイトに載せる店舗写真の撮影や、こちらの担当者、経営者に取材をかける場合もあります。
6. ID、パスワード
先方が作った原稿をネット上の専用サイトで確認するためのIDとパスワードを渡されます。
7. 原稿確認
そのサイト上で原稿を確認し、問題があれば何回かやり取りをし、修正させます。
8. 掲載
掲載されます。
9. 実績把握
実績は必ず把握しましょう。掲載期間が長い場合は、中途での実績報告をさせてください。またそれによって内容の変更が可能かどうかも事前に確認しておき、可能な場合はより応募が来るように手直ししましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
飲食店、飲食業界にとっては、正社員の採用環境は非常に厳しくなっています。しかし、その中でも、同じように求人活動をしている他社との競争に勝って、しっかり採用していかなければ、将来性が確保できません。
その方法の1つで、現在最も効果があるものが求人サイトですので、ぜひ以上を参考に、効果のある求人広告を打ちましょう。
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