飲食店経営にかかる税金とは?知っておきたい消費税の軽減税率

開業・経営

飲食店の経営には、さまざまな種類の税金が関わってきます。経営を軌道に乗せるには、「素敵な店づくり」だけでなく、当然ながら利益を残すことが必要です。税金についても、基本的な内容や節税対策を知っておかなければなりません。

とはいえ、飲食店の場合は、消費税の税率はサービスの方法によって異なるなど税務上の取り扱いが煩雑であるため、悩まれる方も少なくありません。今回は飲食店事業にかかわる税金の基本について詳しく解説をしますので、ぜひ参考にしてください。

飲食店の経営にかかる税金【個人事業主・法人共通】

飲食店を経営する際には、個人事業主・法人を問わず、税金対策が必要です。本項目では、飲食店経営に関わる税金の中でもとくに重要な3種の税金について解説をします。なお、これから挙げる税金は、「飲食店に限って」課税されるものではなく、事業者のうち「飲食店経営でも納税義務があるもの」となります。

消費税

消費税は商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税金です。消費者が負担した税金を事業者が預かり、代わって納付する形になります。

消費税率は以下の通りです。

・標準税率10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)

・軽減税率8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)

飲食店での外食、カラオケボックスでの飲食には標準税率10%が課せられますが、飲食店でのテイクアウトなどでの購入に対しては軽減税率8%が適用されます。飲食店が消費税を納付するのは、下図のように2年前に記録した課税売上高が1,000万円を超えたときです。 

出典)国税庁「消費税のしくみ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

消費税の金額は以下のように、受け取った消費税から仕入れで支払った消費税を差し引いた金額を納税します(飲食業では、「お客様から預かる納税義務のある消費税」と「仕入れその他で他業種に支払う必要のある消費税」の2点で消費税と関わることになります)。

(例)10万円(預かり分)-3万円(支払い分)=7万円(納税額)


印紙税

印紙税は日常の経済取引に伴って作成する契約書や、金銭の受取書(領収書)など特定の文書に課税される国税です。飲食店の場合はお客様に渡す領収書に貼付をします。なお、飲食店経営に関わる印紙税の項目で重要なのは、以下の点です。

■印紙税は収入印紙を貼り付けることで納付する

印紙税を購入し、領収書などに貼り付けることで納付義務を果たします。

■飲食店では領収書に貼る(金額規定あり)

5万円以上の代金の領収書に印紙を貼る必要があり、記載された受取金額により印紙税額に違いがあります。

税額5万円以上100万円以下は200円、100万円以上200万円以下は400円です。なお、5万円以上の領収書で収入印紙が貼付されていないものは正式な領収書として認められません。お客様が接待交際費などの経費として落とせなくなるので、常にお店には収入印紙を用意しておきましょう。

■領収書に貼り付けた時は消印が必要

貼り付けた印紙には必ず消印を押さなければいけません。押印をする人は、領収書に名前が記載されている飲食店に関わる人や代理人である必要があります。また、彩文(収入印紙の縁の部分)と課税に関する文書にまたがるように押印しなければならないので覚えておきましょう。

■印紙税には過怠税がある

5万円以上の領収書へ印紙の貼付や消印を忘れてしまうと、「脱税」したとみなされ、過怠税が発生することがあります。過怠税は、最大で納付しなかった印紙税の額に加えて、その2倍に当たる金額と定められています。つまり、本来納税すべき金額の3倍相当の金額が徴収されてしまうのです。

なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されませんのでご注意ください。

■領収書の金額は本体と消費税額を分けて記載する

印紙税の関わる金額もこれによって決まります。収入印紙は「本体価格」によって貼るべき金額が決まるので、税込5万以上の飲食料金でも本体が5万以下なら収入印紙は不要です。そのためにも本体価格と税額は分けて書かないとなりません。

固定資産税

固定資産税は、不動産や償却資産などの固定資産の所有者に対して課税される地方税です。

償却資産とは家屋以外の事業用資産を指しており、飲食店の場合はお店に設置したテーブル、椅子、厨房用具、冷凍冷蔵庫、カラオケ機器等が該当します。他には他業種と同様、パソコン、コピー機、ルームエアコン、応接セット、内装・内部造作等(賃借人(テナント)が取り付けた場合)、看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)、LAN設備等も飲食店の償却資産となります。

毎年1月1日時点における固定資産の所有者に対し、その価格をもとに税額が算定されます。税率は市町区村によっては異なるケースもありますが原則1.4%です。法人の場合は、会社名義で所有している資産が対象となります。

飲食店の経営にかかわる税金【法人のみ】

ここでは法人として飲食店を経営する場合に課せられる税金について解説をします。

法人税

法人税とは、法人の企業活動で得られた所得金額に対して課税される税金です。所得の種類に関係なく課税されるので、会計処理は煩雑になります。

法人の所得金額は「益金-損金」で算出されます。益金の額とは売上による収入などで、損金の額とは、売上原価や販売費、災害等による損失などの費用や損失に当たるものです。

「益金と損金」は「収益と費用」と同義ではないので注意が必要です。会社法と税法ではそれぞれ目的が違うため、以下のように算出方法が異なります。

  • 会社の利益=収益-費用
  • 会社の所得=益金-損金

法人税は会社の「利益」ではなく、「所得」に対して課税されます。ちなみに、事業年度の終了日の翌日から2カ月以内に納付しなければなりません。提出が遅れると65万円の青色申告特別控除が受けられなくなるなど、不利益が発生するので注意しましょう。

法人税は累進課税ではありませんが、会社の規模や所得の区分によって税率が異なり少し複雑です。たとえば一般的な普通法人の場合、(資本金1億円以下)年800万円以下の部分は15%の税率ですが、それ以外の普通法人は23.20%です。ただし、資本金1億円以下の法人でも、 年800万円を超えた部分は23.20%の税率で算出することになります。

地方法人税

地方法人税は、会社が事業を行うことで得た所得に対して課税される税金です。2014年に新設された国税で、自治体間の税収のばらつきを縮小する目的で導入されました。税額は法人税額に対して10.3%の税率をかけて算出します。

地方法人税の納付期間は法人税と同様に、事業年度の終了日の翌日から2カ月以内です。所轄の税務署に確定申告書を提出して納付します。 

法人住民税

法人住民税は、飲食店がある自治体に納付する地方税です。その事務所等が所在する都道府県及び市町村からそれぞれ課税されます。

法人住民税は地域社会の費用について個人と同様に負担することを目的としており、道府県民税と市町村民税をそれぞれ納付しなければなりません

法人税割と均等割を合算した税額を納付します。なお、均等割は資本金の額や従業員数に応じて定額の負担を求められるものですが、法人税割は法人の所得に税率をかけて算出するため、所得が多いほど税額が高くなります。

引用)総務省「法人住民税・法人事業税」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_04.html

法人事業税

法人事業税は、法人が行う事業そのものに対して課される地方税です。事務所等を有する法人に、その事務所等が所在する都道府県が課税します。

資本金1億円を超える普通法人に対しては、付加価値額に応じた付加価値割、資本金等の額に応じた資本割、所得に応じた所得割が課され、資本金1億円以下の普通法人等に対しては、所得割のみが課されるのが特徴です。

事業の種類によって所得割や収入割、付加価値割などで税率が異なります。中小規模の飲食店の場合は所得割のみとなり、税額の計算式は以下の通りです。

【法人事業税額=所得×法人事業税率】

資本金1億円以下の飲食店の場合は、下記の税率を使って税額を算出します。

【資本金1億円以下の普通法人】※所得割のみ

参考)総務省「地方税制度」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_09.html

飲食店経営で知っておきたい税金のポイント

経営においては、税に対するさまざまな知識が必要です。ここでは、飲食店を経営するにあたって知っておきたい税金のポイントについて解説をします。

消費税のポイント

消費税は法人・個人ともに支払い不要な期間があり、資本金が1,000万円未満の場合は、開業後2年間は納める必要がありません。

このように中小事業者が新規に開業した場合には納税事務負担などが配慮されています。しかし、資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人に該当する法人の場合は、納税義務は免除されません。

2年前の売上が1,000万円を超えない限り、免税期間は延長されます。

なお、条件を満たした場合は消費税の還付を受けることもできます。仕入れなどで支払った消費税額より納めた消費税額が大きいときが対象です。たとえば、高額な設備を購入したときや赤字のときには消費税の還付受けられることが多いといえます。

還付を受けるには消費税の確定申告(還付申告)をする必要があります。消費税の申告書に消費税の還付申告に関する明細書を添付して送付しましょう。

ただ、還付を受けることができる事業者は、課税事業者または課税事業者となることを選択した事業者に限られています。納付税額を原則課税方式で算出していることが必要だからです。したがって、免税事業者は仕入代金に含まれている消費税の還付を受けることはできません。 

軽減税率のポイント

飲食店では消費税の軽減税率(8%)の対象になるサービスがあります。たとえば、弁当の持ち帰りや宅配、仕出しなど最初から持ち帰りとして販売する商品は軽減税率の対象です。しかし、ケータリングや出張料理は軽減税率の対象にならず、10%の消費税が適用されます。

軽減税率を適用するには手続きが必要です。現在免税事業者となっている場合は、課税事業者に変更しなければなりません。

また、請求書の書き方を以下のような「区分記載請求書等保存方式」に切り替える必要があります。今までの請求書に記載されていた1~5までの項目に、6~7の「軽減税率対象品目である旨」と「税率ごとの合計額」を追加で記載します。

1.発行者の氏名

2.取引年月日

3.取引内容

4.金額

5.相手の氏名

6.軽減税率対象品目である旨(追加する)

7.税率ごとの合計額(追加する)

このように飲食店にかかわる税金は複雑なので、複数税率対応などの機能が充実したPOSレジを導入することをおすすめします。

飲食店の経営をする際には税金の仕組みを知っておこう!

飲食店の経営を順調に続けて行くには、無駄な経費を削減するだけでなく節税にも取り組まなくてはなりません。そのためには、飲食店経営にかかわる税金について理解しておくことが必要です。

しかし、日々の業務に追われる中で税金に関する事務処理を的確に行っていくことは負担が大きいのも事実です。その時間や手間を軽減するためには、複数税率に対応する「POSレジ」などを導入して、売上の管理を行うことはとても有効です。ぜひ飲食店経営に便利なシステムを導入して業務の効率化を目指しましょう。

【関連記事】