商品仕入れ時の仕訳について|計上基準や記帳方法を把握しよう

小売店

店舗運営において、商品の仕入れは営業の根幹を成す重要な業務です。しかし、その会計処理は複雑な部分もあり、開業後も適切な方法を把握していない方も少なくありません。
本記事では、仕入れに関する会計処理について説明します。その会計基準や実際の仕訳方法まで、ポイントを絞って分かりやすく説明します。全貌を把握し、店舗運営に役立ててください。

仕入れとは?

仕入れとは、商品の販売や製造する目的で、メーカーや卸売業者、問屋、仕入の専門サイトから商材や原材料を購入することを指します。仕入の対象となるのは商品価格だけでなく、送料など他にかかる費用も含みます。また、サービス業においても、サービスを提供する上で必要となる物を購入した場合には、仕入として費用計上します。

仕入れを行うと、会社の一定期間の損益を表す帳簿である損益計算書に「仕入高」という費用の勘定科目(※)で計上します。

※勘定科目とは、お金や物の出入りを性質ごとに記録するための分類項目のこと。

仕入れの計上基準について

仕入や売上などを帳簿に記録することを、計上といいます。計上は所得、納税額などにも影響をするため基準に沿って正確に行う必要があります。そこで、会計帳簿へ反映する際の計上のタイミングとして、計上基準が存在します。
仕入における計上基準は大きく分けて4つです。経営者は任意に計上基準を選択できますが、一度採用した基準は毎年継続して使わなければなりません。

出荷基準

仕入先が商品を発送した日に計上を行うのが、出荷基準です。実際に商品が届く前に計上することとなるため、納期の間には現物と帳簿上のデータが合わないこと、商品が届かない場合に、帳簿を修正する必要があることなどのデメリットがあります。一方、商品数の多い物販店舗などではよく採用されます。

入荷基準

入荷基準では、商品の入荷日に計上を行います。実際の商品が届けられたタイミングで計上するため、現物と帳簿上のデータを連係させやすいメリットがあり、最も広く利用されています。

検収基準

検収基準では、納品された商品の検品が完了してから計上を行います。検収とは、入荷した商品が注文と合っているかや、破損していないかをチェックすることを指します。商品の品質を確かめてから計上したい場合に採用されます。

回収基準

回収基準では、仕入れた商品の代金を支払った(商品の決済が完了した)日付を基準に仕入れを計上します。例えば仕入れ先がネットショップの場合、クレジットカードで商品代金を支払い、後日商品が出荷されます。回収基準ではクレジットカードなどの買掛金 で商品代金を支払うタイミングで仕入の計上を行います。

仕入れの記帳のやり方

仕入を行う4つのタイミングである会計基準が分かったところで、次は実際に仕入をした場合の仕訳を紹介します。

三分法

三分法は、商品売買を仕入(費用)、売上(収益)、繰越商品(資産)の3つの勘定科目に分け、仕訳を行う方法です。実務上の処理が用意であることから、最も広く利用されています。

それでは、三分法で商品を仕入れたとき、売ったとき、年度末に余った在庫を繰越すときの仕訳をそれぞれ見ていきましょう。

商品を仕入れたときの仕訳

商品を仕入れたときは、損益計算書に費用として計上します。例えば15万円の商品を現金で支払い仕入れた場合、仕訳は以下の通りになります。

商品が売れたときの仕分け

商品が売れたときは、販売した価格で損益計算書に収益として計上します。例えば、先ほど15万円で仕入れた商品のうち、10万円分を売価20万円で販売した場合、仕訳は以下の通りになります。

この時点で決算書を作成した場合、損益計算書に仕入(費用)15万円、売上(収益)20万円、利益として5万円が計上され、貸借対照表に現金(資産)5万円が計上されていることとなります。

決算時、売れ残りの在庫を棚卸する仕訳

売れ残った在庫は、期末時点で損益通算書の仕入(費用)から、貸借対照表の繰越商品(資産)に変更します。これにより、損益計算書にはその期中に売れたものだけ仕入(費用)が残ることとなり、その期中の売上に対する原価を正確に把握できます。

例えば、先ほどの商品の売れ残りとして仕入(費用)5万円が残っています。この際、期首時点の商品棚卸高が100,000円、期末時点の商品棚卸高が150,000円の場合は、以下の通りの仕訳を行います。

一行目の仕訳では、前期に仕入れたけれども売れ残ってしまった商品10万円を仕入という費用に戻しています。この10万円に加え、今期仕入れた15万円の合計25万円の商品で営業活動を行いました。しかし「・商品が売れたときの仕訳」で売れたのは10万円分の在庫だけであったため、期末には15万円の在庫が残ってしまいました。2行目の仕訳で、15万円を費用から資産に振り替えています。これにより、今期の損益計算書には仕入費用として10万円が残ることとなります。

分記法

分記法は三分法と同じく、商品売買の仕分け方法です。商品(資産)と商品売買益(収益)の2つの勘定科目を用い、商品を販売した場合には商品の原価を貸借対照表の資産から差し引き、売価と原価との差額である商品売買益を損益計算書に計上します。分記法には、商品を販売する度に原価と商品販売益を計上するため、期中でも売上原価が把握しやすいというメリットがあります。また、三分法のように期末の仕訳が必要ではありません。一方、三分法に比べ日常の仕訳が負担になりやすい特徴があることから企業においてはあまり一般的ではありません。個人で雑貨ショップなどの小売業を運営する方など、仕入の頻度が少ない方におすすめです。

商品を仕入れたときの仕訳

商品を仕入れたときは、貸借対照表上で現金(資産)が減り、商品(資産)が増えたというように仕訳します。例えば15万円の商品を現金で支払い仕入れた場合、仕訳は以下の通りになります。

商品が売れたときの仕訳

商品が売れたときは、売れた分の商品(資産)を減らし、売価との差額を商品売買益(収益)として損益計算書に計上します。例えば、先ほど15万円で仕入れた商品のうち、10万円分を売価20万円で販売した場合、仕訳は以下の通りになります。

この時点で決算書を作成した場合、損益計算書に商品売買益(収益)10万円、利益として10万円が計上され、貸借対照表に現金(資産)5万円と売れ残りの商品(資産)5万円が計上されていることとなります。

仕入れに関する軽減税率とは?

店舗は国に税金を納付する際、売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引くことができます(これを、「仕入税額控除」といいます。)。仕入税額控除を利用するためには、仕入においても軽減税率(8%)と標準税率(10%)を分けて計上しなければなりません。仕入れに関する軽減税率の取り扱いについて説明します。

軽減税率とは

軽減税率とは、消費者の負担を減らすことを目的に、食品など特定の商品の税率を低くする制度のことです。日本では2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた際に導入されました。消費税8%の商品例としては、酒類を除く飲料食品、週2回以上発行されている新聞の定期購読などが挙げられます。

仕入れ時と軽減税率の関係性

店舗は国に税金を納付する際、売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引いて納付できます。この仕入税額控除を受ける為には、仕入が消費税が課税される取引であることを証明する必要があり、店舗はその事実を記した書類として請求書と帳簿の両方を保存しなければなりません。

店舗が品物を仕入れる際にも、食品などに関しては消費税の軽減税率が適用されます。仕入れ税額の計算の際には、軽減税率が適応される商品とされない商品を分けて帳簿に記載するようにしましょう。

POSレジを用いた在庫管理で店舗業務を効率化しよう

今回は、仕入の会計処理について説明しました。

仕入は毎日のように発生することから、会計処理をどれだけ楽にできるかが店舗運営のコツとなります。POSレジを導入し、仕入と販売における管理を効率化することをおすすめします。

例えば、ユビレジはiPadを端末として使用することで様々な売上分析が可能です。見やすいグラフで直観的にデータ分析を確認でき、手間なく店舗の改善を行うことができます。

また、ユビレジはファッション&雑貨の卸・仕入れサイトであるスーパーデリバリーと連携することができます。スーパーデリバリーから仕入れた商品の情報を自動的にユビレジに取り込むことが可能です。

【参考URL】 https://www.superdelivery.com/p/contents/member/ubiregi.jsp

さらに、ユビレジ在庫管理を連携させるとことで、商品の在庫状況の確認や棚卸業務などを効率的に行えます。

興味のある方はぜひチェックしてみてください。