飲食店を経営するにあたり、必要になるのが各種設備です。調理を行う厨房内やお客様をもてなすホールなど、場所に応じた設備を配置することが求められます。飲食店開業を検討している方の中には、どのような設備が必要か知りたいという方も多いのではないでしょうか。今回は、飲食店開業前に準備しておきたい基本的な設備や、導入の際にチェックしておきたいポイントなどをご紹介します。
飲食店開業のために必要な設備
まずは、飲食店における基本的な設備をご紹介します。厨房やホールなどに配置したい設備をリストアップしていきましょう。
飲食店に必要となる基本設備
飲食店に必要な設備は、カフェや居酒屋、レストランなど、開業する店のジャンルによって変わります。自店舗に導入すべき設備は何かを確かめておきましょう。こちらでは、幅広い飲食店で使われる基本的な厨房設備をご紹介します。
基本的な厨房設備
ガステーブル・ガスレンジ
加熱が必要なメニューを提供する場合、ガステーブルやガスレンジが必要になります。ガステーブルはいわゆるガスコンロのことで、二口以上のコンロが付いていることが特徴です。ガステーブルの下にオーブンが一体化されたものはガスレンジと呼ばれます。
シンク
シンクは槽の数に応じて、一槽シンク・二槽シンク・三槽シンクなどの種類に分けられます。飲食店によっては魚介類を調理しやすい舟型シンクやそばシンクなどを導入すると良いでしょう。また、シンクは保健所の規定に沿うものを選ぶ必要があることに注意が必要です。
縦型冷蔵・冷凍庫
食品の鮮度をなるべく保ちながら保管しておくために必要です。製品によって容量は異なるため、適切なサイズを計算して選びましょう。大きすぎると電気代が余分にかかり、小さすぎると必要な食材を入れることができなくなってしまいます。
コールドテーブル
コールドテーブルとは作業台を兼ねた冷蔵庫・冷凍庫のことです。作業台の下に冷蔵・冷凍スペースがあるため、調理工程をさらにスムーズにできます。空間の有効活用にもつなげられるでしょう。
調理台
調理をするための台のことで、作業スペースとして必要になります。引き出し付き・引き戸付き・スノコ板付きなどがあるため、必要な収納量に合わせて適したタイプを選びましょう。
食器棚
お客様に提供するお皿やグラスなどを保管しておく棚は、保健所の規定に沿ったものを準備することが求められます。規定は管轄の保健所に確認しましょう。基本的には、扉が付いているか、全ての食器が入るか、ホコリが溜まりにくいか、掃除がしやすいかなどをポイントに選ぶことが大切です。
ご紹介したように、厨房設備は開業する飲食店のジャンルによって変わります。また、機器によっては保健所が定めた規定に合ったものを用意する必要がある点にも注意が必要です。自店舗が守るべき規定については、管轄の保健所に相談して確かめておきましょう。
店舗の内装・ホールに関わる設備
店舗内で必要になる設備機器は冷暖房機器、トイレ、照明設備、レジ・金庫などです。イスやテーブル、看板なども必要になります。それぞれお店の規模やコンセプト、テーマに合うものを揃えましょう。
また、接客スタイルに応じて便利なツールを導入することもおすすめです。例えば、レジのほかにハンディシステムを取り入れる方法があります。注文を取る際にハンディに打ち込み、キッチンプリンタに飛ばして注文内容を印刷することができます。注文情報はPOSレジに自動連携されるため、会計も簡単です。
ほかにも、客席でお客様に自ら注文してもらうモバイルオーダーを導入すれば、人件費の削減につなげられます。注文の手間を省くことで、他のサービスに力を入れて品質向上を叶えることもできるでしょう。必要に応じて検討してみることがおすすめです。
飲食店で設備を導入するときの注意点
飲食店経営を成功させるためには、設備選びも重要な要素となってきます。設備の選び方や導入時の注意点などについて確かめておきましょう。
店舗面積を考えてサイズを選ぶ
契約した店舗物件の面積に応じたサイズの設備を探すことは大切です。設備が大きいと作業効率を高めやすくなりますが、店舗面積に見合っていないと動線が制限され、かえって効率を落としてしまうことがあります。小さなサイズの設備は低価格で購入しやすい点が魅力ですが、小さすぎると作業効率が低下しやすい点はデメリットとなります。
飲食店運営の効率を高めてスムーズな運用を実現するには、適切なサイズの設備を選ぶことも重要です。高さや幅、奥行きなどもしっかりと計測して、スペースに見合ったサイズの設備を導入しましょう。
設備と提供メニューとの整合性を考える
飲食店で提供する料理や飲み物などの特徴に合わせて設備を選ぶことが求められます。例えば、ドリンクの提供が多くなる場合は製氷機が必要になるでしょう。焼き肉屋であれば客席にもダクトを設置して排煙・排気などを行うことがあります。
コーヒーの提供が多いときには業務用のコーヒーマシン、揚げ物が多いならフライヤーなど、専用の調理機器をそろえることもおすすめです。また、ガステーブルのような基本設備も、製品によってスペックが異なります。例えば、中華料理屋のように強火での調理が必要な場合は、ガステーブルの火力についても重視したほうが良いでしょう。このように必要なスペックや機能を備えているかもチェックすることがポイントです。
十分な予算を確保する
一般的に、開業するために必要な資金は700万円~1500万円程度が目安といわれています。開店時には設備以外にも食器や調理器具、ユニフォーム、客席用の調味料入れなど、さまざまな備品や消耗品も必要になります。十分に予算を確保しておくことが重要です。
しかし、開業資金の資金調達が思うようにいかず、価格の高い新品設備は購入が難しいケースもあります。コストを抑えたいときは、新品購入ではなく中古品も検討しましょう。ほかにも、レンタルやリースなどで金額を抑える方法もあります。飲食店向けの設備販売・レンタルなどは多彩なサービスがあるため、複数の業者を比較検討して選びましょう。保証やアフターサービスがしっかりしているところだと安心です。自己資金で全額まかなえない場合は、融資や補助金制度などの活用も視野に入れると良いでしょう。
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動線を考えて配置する
設備の配置が悪いと、注文や調理を行う従業員の動きに支障が出てしまうことがあります。場合によっては、お客様の動きを妨げてしまうこともあるため、動線を意識した配置を徹底することが大切です。料理提供や片付け、清掃などのオペレーションに差し支えないか、汚れがたまりやすくなっていないかなど、さまざまなシーンを想定して調理場やホールの設備配置を考えていきましょう。
また、飲食店の営業許可を得るためには営業設備の配置図を作成し、保健所へ提出する必要があります。動線のスムーズさを意識することはもちろんですが、設備基準にのっとった配置を行うことも重要です。配置図の作成についても保健所へ確認しておきましょう。
コンセントの位置や数を整備する
円滑な店舗運営を実現する上で、コンセントの位置や数はとても大切です。適切な位置に十分な数のコンセントがあれば、必要な設備をスムーズに導入できます。
コンセントが不足している場合、無理にたこ足配線で対応しようとすると、火事の原因にもなってしまうことがあるため注意が必要です。既存のコンセントの位置が悪い場合や、数が足りない場合は工事も視野に入れたほうが良いでしょう。事前にどの程度のコンセントが必要かを確認しておき、開業前の内装工事で増設や移設を依頼します。
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飲食店に必要な設備は業種や業態によって異なります。導入した設備によって作業効率も変わってしまうことがあるため、適切なものを選ぶことが大切です。自分の店舗に必須となる設備は何かを確かめておきましょう。保健所の設備要件についてもしっかりと確認しておくことが重要です。
また、飲食店の運営をより円滑に行うために、POSレジやハンディレジ、モバイルオーダーなど、便利なツールを導入することもおすすめです。可能な限り効率化を図れるよう意識しながら必要な設備を見極め、開業準備を進めていきましょう。