店舗で導入するなら店舗独自のポイントカードと共通ポイントカードどっち? ポイントカード導入のメリットとデメリット解説

最終更新日: 2019/01/02
開業・経営

共通ポイントとは、コンビニ、書店、飲食店、ホテルなど、業種と地域が異なるサービスでもポイントカードに加盟していれば貯めたり使用することができます。代表的なものに楽天ポイントやTポイントがあり、100円で1ポイント付与されほかの提携先のお店でも1ポイント=1円から使えるような仕組みが一般的です。

一方自社ポイントカード(スタンプカード)を使用しているお店では、「◯回目の来店で△△の商品贈呈」、飲食店では「◯回目の来店で1杯無料」といったサービスを提供しています。

あなたのお店では共通ポイントまたは自社ポイントを利用しているでしょうか。これらは、リピーターを獲得するための施策として幅広く採用されています。

しかし、「ポイントカードを使っているのにお客様の反応が悪い」「自社ポイントではなく共通ポイントの方がいいのか」といった悩みが聞かれます。そこで今回は、それぞれのポイントカードのメリット・デメリットから、自社ポイントカードの作成時に気を付けておきたいこと、そしてなぜそれらを踏まえるとお店にとって共通ポイントの導入がおすすめなのかについて解説します。

共通ポイントのメリット、デメリット

メリット

楽天ポイントやTポイントを代表とする共通ポイントを採用するメリットには以下の点があります。

  • お客様が普段利用する他店でもポイント使用可能なので、継続してカードを使用してもらえる
  • お客様は可能な限り財布に入れるカード数を減らしたいと思っており、カードを集約できる(アプリバーコードをかざすだけでいいものもある)
  • お客様にとってみると、会計ごとにポイントが付与されるのでお得感が出る
  • 有名な共通ポイントであれば、イメージアップ・信用度アップにつながる
  • 共通キャンペーンなどに参加可能(会社による)

ポイント提供会社の大きなネットワークを用いてアピールすることが成功のカギといえるでしょう。

デメリット

一方で、デメリットとしては下記のとおりです

  • 費用が継続的に掛かる
  • 加入したわりには効果が薄い場合がある

費用は初期費用+月額費用+ポイント関連費用がかかります。そのため、加入してもなにも販売促進をしなければ、おそらくメリットを感じられません。

よくいわれるのが、「共通ポイントのメリットを実感していない」ことです。この場合、しっかりと店頭やレジの近くでアピールしているでしょうか。ポイントカードによってはレシートに宣伝やクーポンを印刷することもできます。また、独自キャンペーンを打ち出すことで、提携サイトに掲載やメールマガジンで紹介してもらうこともできます。ポイント導入時には、「どのようなマーケティング戦略を打てるのか」を担当者と確認してそれをどう活用できるかを考えましょう。

代表的な共通ポイントカード

共通ポイントは次の4つが幅広く利用されています。

楽天ポイント(旧 Rポイント)

クレジットカード決済システムの楽天ペイ(カード決済)の導入と同時に、お客様が店舗でポイントを利用できるようになります。また、楽天市場や楽天トラベルなどの幅広いグループ会社ポイントが使えるので、ユーザーにとっては貯める意欲が強いといえそうです。

Tポイント

TSUTAYAを始めとして、全国で幅広く使われておりユーザー数も多いです。購買データから顧客別にクーポンを発行できます(たくさん使うユーザーには豪華なクーポンなど)。

Pontaポイント

ローソン、ケンタッキー、 ホットペッパー グルメなどで使用可能です。マスコットキャラを採用しており、ポイントが貯まるとマスコットのポンタグッズと交換ができるため、子もちの女性に人気です。

自店向けのポイントカードとは?

Tポイントカードなど、他店舗と共通で使えるポイントカードが有効なことはお分かり頂けたでしょう。ただ、自店舗オリジナルのポイントカードを導入するとどうなるのでしょうか。

その失敗例や成功例についてみていこうと思います。

自店舗専用のポイントカードというのは、その名の通り、ひとつの店舗でしか使用することができません。その為、そのカードがあるからといって、溜まったポイントを他の店で使えるはずもなく、今の時代で考えれば「実用性に乏しい」という判断が妥当ではないでしょうか。

ただ「自分の店舗だけのオリジナル」という響きは飲食店経営者にとって良い響きなようで、多くの方が導入しているのですが…残念なことにその多くは失敗に終わっています。ただ、この失敗には共通点があるので、その部分をみていきましょう。

クレジットカード機能をつけて大失敗!

クレジットカードとポイントカードの組み合わせはよく見ます。ただ、これが1店舗になってくると、顧客にとってどれだけ有効的なものなのでしょうか。そのカードで溜まったポイントは利用が限られているだけでなく、クレジットカードの申し込み手続きもしなければならないとなれば、面倒の一言。

それでいて実用性に乏しいのですから、店舗で導入したとしても、お客様はメリットを感じることは少ないと思われます。

お得感がなく大失敗!

そもそも、どうして人はポイントカードを作るのでしょうか。それは、そのカードを持つことによって自身にメリットがあるからです。そのメリットが大きければ大きい程に会員数は伸びるのは間違いありません。

しかし、自店舗のポイントカードを導入して失敗している飲食店は、ここで顧客還元に踏み切ることができず「3%オフ」など微妙な特典を付けている傾向にあります。たったの3%は消費税が8%の今の時代、顧客の目にどううつるのでしょうか。

正直、あってもなくても変わらないというのが本音でしょう。

このように、カードを作る手間に比べて得られるメリットが少ない場合は失敗に終わるケースが多いです。

特典へのハードルが高すぎる!

ポイントカードだと「500円ごとのお買いものでスタンプ一つ、10000円分貯まると500円分の商品券」といった特典がスタンダートとなります。ただ、このバランスを間違えてしまうと「とにかく買い物してね」といったメッセージになってしまいます。

例えば…

A 500円でスタンプ一つ、10000円分貯まると1000円分の商品券

B 100円でスタンプ一つ、10000円分貯まると1000円分の商品券

この2つだと、どちらがお得に感じるでしょうか。

当然前者だと思います。500円の買い物をしてスタンプ一つだと、良く利用する店であれば案外早くポイントが貯まることでしょう。

ただ、100円でスタンプ一つだとなかなか貯まらなかったりもします。

つまり、お客様にとってみて「特典への距離が長い」というわけで、ここにメリットを感じる人は少ないと言えるでしょう。

大判振る舞いで顧客の心をゲットしよう!

では、どのようなパターンだと、自店舗向けのポイントカードで成功するのでしょうか。ここで覚えて欲しいのがポイントはあくまでおまけで「購買の理由」として機能するかどうかということです。

  • ポイント3倍DAY
  • 土日ポイント倍増

など、「その日に、その店舗で買い物する理由」を明確にすることが大事です。飲食店の場合だと「本日ランチを頼まれたらポイントプラス1つ」なども面白いと思います。

そうすることによって、お客様は「その店じゃダメな理由」が出てくるわけです。こういった特典をつければ、自然と自店舗のポイントカードの価値はあがり、申込者も増えてくることでしょう。

そして、人は「今日、この店を使うと得だから」といった理由でまとめ買いをしてくれたりして、結果としてお客様も得ですし、お店にとっても売上が伸びるのでお互いにとってメリットが発生するというわけです。

このように、ポイントカードは特典の見せ方によってお店の売上に大きな影響を与えるツールとなってきます。来店してくれるお客様の客層から、どういったサービスが受け入れられるのかをしっかりと分析して、ポイントカード戦略をとることをお勧めします。

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自店向けのポイントカードのメリット・デメリット

メリット

・他店舗との競争から頭一つ抜けられる

魅力的な特典を付けたポイントカードを作ることが出来れば、近隣のライバル店よりも魅力的なお店としてお客様に認識してもらうことが出来ます。

・特定日に大きな売上が計算できる

ポイント3倍日などを作ることによって、特定の日に大きな売上を計算することが出来ます。また、ポイントUPの日を決まった曜日にしていれば、1ヶ月の売上を安定させることも出来るでしょう。

・トッピング無料、1商品無料など、お客様が来店されるニーズそのものを特典として提供できる

・VIP感をお客様に提供できる

ポイントカードの種類にVIP会員などを追加して、一定ポイント溜まった方に提供することによって、特別感を感じてもらえて、さらに根強いファン顧客になってもらうことが出来ます。

デメリット

・ポイントカードの価値観を出しづらい

ポイントカードを作るだけでは、効果が出にくいのがデメリットとなっています。ポイントカードを作ることの意味やお得感をお客様に感じてもらわないと、単なる紙切れとなってしまいます。

・他カードに比べてメリットが少ない

自店舗のポイントカードはTポイントなどの他ポイントがついていないので、他カードに比べて魅力が劣ってしまいます。でも、だからといってクレジット機能を付けたりしても、発行手続きが面倒となります。このように、工夫をしないとカード自体のメリットが皆無になる可能性があります。

・お客様の財布に入れるカードが増える

・行く頻度が少ないならば結局つかってくれない

・カードの作成や経理の仕訳に時間がかかる

とくに「カードの作成や経理の仕訳に時間がかかる」ことは個人経営のお店にとっては大きなデメリットです。商品をお金ではなくポイントと交換するため、借方に現金と記載する通常の仕訳は適切ではなくなります。具体的には、ポイントの残高を負債と考え、「引当金」という勘定科目を用います。さらに、「引当金額の計算」や「ポイント付与時」と「使用時」で会計が異なるなど、かなり複雑になってしまいます。このため、手間を考えると自社カードの作成と使用は、経理の人材が確保でき店舗が多く使ってもらいやすい多店舗展開の店に限られているといえます。

なお、引当金について詳細を知りたい方は「引当金 ポイント」と検索すればわかりやすい説明をいくつも見つけることができます。

ポイントカードを導入した事例

ポイントカードをどのように使えばお店の利益に繋がり、お客様も喜んでくれるのでしょうか。その事例を紹介していきます。

土日倍増セールで売り上げアップ!

毎週土日のポイントを2倍にすることで、ただでさえ来客の多い土日の売上を更に伸ばしたと言った事例があります。土日に限らず、決まった曜日のポイントを増やせば、月の売上を伸ばすことが可能となります。

タイムセールならぬポイントボーナスタイムを実施!

夕方頃は、買い物をする主婦でスーパーなどは賑わいます。そこで、スーパーであれば「17~19時はポイントアップ」といったボーナスタイムを設定するのも良いでしょう。そうすることによって、毎日この時間に一定数の来客を見込むことが出来ます。

ポイントカード作成時に気を付けておきたいこと

それでは、もし自社のポイントカードを作成するときにチェックするポイントを見ていきましょう。

ポイントによる特典は魅力的か?

例えば、1回の来店で1ポイントを付与するとします。飲食店は来店頻度が高いので、10ポイント以上向けの特典があってもかまいません。しかし1週間に1度来店してもらえたとしても、貯めるために2か月ほどかかりますので10ポイントで「トッピング無料」などでは寂しいものです。できるだけリピートしてもらうように、特典は小刻みにつけましょう。

デザインと紙の品質は良いか?

財布の中で擦り切れ、色褪せてしまったり折れてしまうような材質ではないですか?財布のどこにあるかすぐわかるような魅力的かつ目立つデザインでしょうか?財布の中の数あるカードから目立つという事は、お客様の心に常にお店がインプットされ、カードが勝手に宣伝してくれています。

サービスをしすぎると、売上高は増えても利益は増えないことがあります。しかしその逆ではカードを活用してもらえないことも……。試行錯誤して、費用対効果を考えながらより魅力的なカードをつくっていきましょう。

お店の経営なら共通ポイントを!

共通ポイントカードと自社ポイントカードのメリット・デメリットを紹介してきましたが、飲食店には共通ポイントの導入をおすすめします。その理由は以下の3つがあります。

  1. 自社カードは作成、ポイント管理、会計業務に手間がかかり本業の時間を取られてしまうが、共通ポイントはそれらの手間がない
  2. カードの利用者数が多いので、しっかりとアピールすれば集客につながる
  3. お客様にとってカードが共通しているので財布のスペースを取らず、継続的に使用してもらえる

ポイントの活用はあくまで販売促進の一環であり、大きなリソースをかける必要はありません。導入と運用に手間がかからないけれどもお店の独自キャンペーンができたり、ポイント会社のメールマガジンとサイトで紹介してもらえる共通ポイントへの導入を考えてみてはどうでしょうか。

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