売上総利益(粗利)とは?計算方法と数字から明らかにできること

開業・経営

会社や店舗を経営するにあたって関わってくるのが、財務諸表の一つである損益計算書です。損益計算書は、店舗や会社の一定の期間における収益が記載された帳簿で、一定期間の「儲け」を把握できます。

損益計算書に記載されている勘定科目の中には、売上総利益(粗利)や経常利益など複数の利益が記載されており、会計ソフトを用いれば自動で作成できます。また、これら利益の意味や計算方法を自分で理解することで、会社や店舗が抱える課題や設定すべき目標数値が見えてきます。

売上総利益(粗利)とは

会社や店舗は、経営状況を把握するために損益計算書を作成します。上場企業ならば、作成した損益計算書の提示が求められる場合もあるでしょう。重要な指標の一つに売上総利益(粗利)があり、店舗や会社の経営成績または体力そのものを表しています。

売上総利益(粗利)の概要と計算方法

売上総利益とは、売上から売上原価を差し引いた金額です。粗利や粗利益と同義で使われ、会社や店舗で管理している損益計算書に記載する利益のひとつです。計算方法は以下のとおりです。

売上総利益(粗利)= 売上高 - 売上原価

売上原価の定義は業種によって異なります。製造業の場合は、売上原価の代わりに製造原価を差し引きます。例えば、とある飲食店における1年間の売上総利益が1,000万円だとします。また仕入れた食材やドリンク、人件費などの売上原価が1年で600万円かかったとします。

1,000万円 ー 600万円 = 400万円

という計算結果になり、飲食店のその年における売上総利益(粗利)は400万円ということになります。ちなみに売上原価を売上総利益で割ると、原価率がわかります。

600万円 ÷ 1,000万円 = 0.6(60%)

売上において原価が占める比率は60%ということがわかります。また原価率が高いと利益が減少します。原価率が高くても製品がすべて売れれば問題ありませんが、在庫を多く抱えてしまうと原価率が上昇し利益が減ります。

廃棄の発生や在庫を抱えても経営が圧迫しないよう、原価率の割合はできるだけ低く設定しましょう。

売上総利益率(粗利率)の概要と計算方法

売上総利益率とは、自社製品やサービスがもたらす利益率のことです。粗利率や粗利益率と呼ばれることもあり、社会の経済状況に影響されやすい指標でもあります。というのも景気が良いときは売上総利益率が高く、悪いときは低く出やすい特徴があるためです。
計算方法は、以下のとおりです。

売上総利益率(粗利率) = 売上総利益 ÷ 売上高

例えば、先ほどの飲食店における売上総利益が400万円だと明らかになりました。かつ売上高は1,000万円なので、売上総利益率(粗利率)は以下の計算式で表せられます。

400 ÷ 1,000 = 0.4(40%)

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売上総利益(粗利)からわかること

売上総利益(粗利)は、ただ記録して確認するだけではもったいないです。今後の経営方針の立案や目標を定める際に役立てられます。

設定すべき売上原価の妥当性

原価が抑えられると、売上総利益(粗利)は高くなります。反対に売上総利益が伸びない場合は原価が高すぎる可能性があります。原価を下げるには、仕入先の見直しや外注費の削減などの方法を試しましょう。

付加価値の有無

原価にどれほどの利益を上乗せして商品を販売できるかは、会社や店舗が提供できる付加価値に応じて決まります。上乗せする利益の量は自由ですが、利益の量に見合った付加価値を提供しなければ売れません。

例えば、原価100円の食材を調理して雰囲気の良い店内で提供すれば、何倍も高い価格で売れるでしょう。また独自性のある商品やサービスには付加価値が付けやすいため、多くの利益が上乗せできます。

また先に上乗せしたい利益量を決め、利益量に見合ったサービスや付加価値を考えるという手段もあります。

例えば、原価100円の飲み物を利益率が50%になるように販売したいとします。すると、顧客には200円で提供する必要があります。原価との差である100円分の付加価値をどのように提供するかを考えます。このように、付加価値の大きさの指標または目安としても利用できます。

企業や店舗が抱える

過去の売上総利益(粗利)と比較することで、企業が抱える課題が見えてきます。減少傾向にある利益に着目し、原因について仮説を立てましょう。仮説を立てて打開策を打ち出し、効果を検証して再び打開策を打ち出します。このようにPDCAサイクルを回して検証と実施を繰り返すことが理想です。

損益計算書に記載されている利益の種類

損益計算書には、売上総利益(粗利)以外にも複数の当期利益が記載されています。それぞれ表しているものや計算方法が異なるため、売上総利益は黒字でも、別の種類の利益では赤字になるケースもあります。

営業利益

売上から、売上原価や経費、事務費用(販管費)などのコストを差し引いた金額です。営業によって得た利益や、会社のビジネスにおける競争力がわかります。
計算方法は以下のとおりです。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費・一般管理費

売上総利益が高くても営業利益が低い場合は、販売を行うために使っている費用の見直しが必要といえるでしょう。

また営業利益がちょうど0になるときがあります。これを損益分岐点といい、収入と支出がほぼ同じであることを表しています。損益分岐点は以下の計算方法で割り出せます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷( (売上高 ー 変動費) ÷ 売上高 )

固定費は、人件費など売上に左右されない支出のことです。ちなみに製品を作るための材料費など、仕入れる量によって変動する支出を変動費といいます。変動費は、会社や店舗によっては売上総利益(粗利)を当てはめて算出する場合もあります。

計算式で出した損益分岐点売上高よりも売上をあげれば、売上高は黒字になります。そのため、売上高の目標を設定する際にも役立つでしょう。

経常利益

営業利益から、本業以外で発生した収益を差し引き、かつ営業以外で得た収益を加えることで算出する利益です。会社が本業または通常の業務で得た利益の額を表しています。
計算方法は以下のとおりです。

経常利益 = 営業利益 - 営業外費用 + 営業外収益

営業外利益とは、例えば会社や店舗が不動産を所持していた場合は家賃収入が入ることもあるでしょう。このように本業以外の収入を営業外利益といいます。

●税引前当期純利益
経常利益から、臨時で発生した損失を引き、臨時で発生した利益を加えることで算出する利益です。1年を通じて店舗や会社が得たほぼ純粋な利益で、法人税などの税金を支払う前の利益の額です。計算方法は以下のとおりです。

税引前当期純利益 = 経常利益 - 特別損失 + 特別収益

臨時で発生した損失とは、例えば災害による施設の損害などがあり、臨時で発生した収益とは、不動産や大きな固定資産を売却したときに得た収益などがあります。

当期純利益

税引前当期純利益から、法人税などの税金を差し引いた額です。1年を通じて、最終的に会社や店舗が得た利益の額です。
計算方法は以下のとおりです。

当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税など支払った税金の額

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損益計算書を正しく理解し経営方針の立案に役立てる

損益計算書に記載されている利益にはいくつか種類があります。なかでも重要な利益の一つである売上総利益(粗利)は、総売上額から売上原価を差し引いた額です。

売上総利益(粗利)を算出し過去の額と比較することで、本年度の経営成績がわかり、今後の経営目標も立てられます。また売上原価の設定や、付加価値の程度や内容を決める目安にもなります。

また損益計算書には、売上総利益(粗利)から事務費用や営業利益など、製品やサービスを売るためにかかった費用を差し引いた利益額を掲載します。これらの利益に注目することで、会社や店舗が見直すべき課題の詳細が見えてきます。

損益計算書における利益の違いを正しく理解し、課題や目標の立案に役立てましょう。

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