定着率を上げると経営が安定する!?定着率をあげる方法を考えよう

開業・経営

カフェスタッフの男女

飲食業界は慢性的な人手不足に悩まされてきましたが、ついにスタッフを十分確保できないことが要因で経営が破綻する「人手不足倒産」が相次ぐ時代になりました。必要な人数を確保するには、賃金よりも、「この店で働きたい」と思わせる魅力的な環境づくりが先決です。

ここでは、アルバイトが長続きしない理由と、定着率を高めるための具体策について見ていきましょう。

定着率・離職率とは

アルバイトスタッフ達

定着率とは、その仕事に就いていた従業員のうち、一定期間(1年あるいは3年など)にどれくらいの人が仕事を続けていたかを比率として表したものです。離職率はその逆の概念で、仕事を辞めていった人数の比率です。

たとえば、ある年の期首に全従業員が30人で、それから3年内に退職した人が6名いたとすれば、

退職者数(6名)÷ 期首の全従業員数(30名)× 100 = 離職率(20%)

という計算になります。定着率は100から離職率を引いた数値で

100 - 20 = 80(%)

となります。

ここで目を向けるべきなのは離職率のほうです。6名辞めても3年内に7名新しく採用したという場合、数字だけ見れば「1人増えたのだから問題ない」と思いがちです。しかし、新人スタッフはゼロからのスタートになるのに対し、辞めていく6名は戦力だったわけですから、離職率が2ケタ台というのは会社にとって多大な損失と受け止めなければなりません。

辞めていくならその分を補充すればいいと考えているうちは、スタッフの接客スキルが高まることはありません。それではお店の繁栄も望めませんので、辞めたくなる理由はどこにあるのかを把握して離職を食い止め、スタッフを育てる工夫をすることが大切です。

アルバイトの定着率が低い理由

定着率が低くて悩む経営者

アルバイトを辞める理由は、お店の業態や規模、本人の属性(学生か主婦かなど)によってさまざまですが、共通するのは次の3点です。

1. 職場の人間関係

離職理由でもっとも多いのが職場の人間関係です。だれでも初日は緊張し、不安な気持ちで指導を仰ぎます。そんなとき、店長やスタッフが「教えるより自分でやったほうが早い」という態度で動き回っていたのでは新人はやる気をそがれてしまいます。 そうした先輩たちのよそよそしい態度に「自分は歓迎されていない」と思い、次の日から行かなくなったという人もいます。 そのほか、先輩のいじめやセクハラ・パワハラに耐えられずに辞めたというケースもあります。

2. 仕事量と給料が見合わない

人手不足のため正社員並みの責任を負わされ、休日は1か月に1、2日しか取れないというお店も少なくないようです。過重労働にもかかわらず時給は低いため、身も心もすり減ってしまい、それ以上続けることができなくなってしまいます。なかにはストレスが蓄積してうつ病になり、離職を余儀なくされる人もいます。

3. 生活が不安定

いつかは自分で開業するという夢をもっている人は別として、学費や生活費を補うために働いているスタッフは、もともと接客業を長く続けるつもりはありません。アルバイトでは社会的な保障が何もなく、キャリアアップして高いポストに就くという目標も持ちにくいため、バイトを続けるとしてもほかの会社に就職するまでのつなぎと考える人がほとんどです。

これ以外の離職理由に、「求人募集広告に記載されている内容と現場での仕事内容が異なっていた」「やりがいが感じられない」「時間の融通がきかない」などがあげられています。

定着率を上げるために会社・店舗ができること

定着率をあげるために指導する先輩スタッフ

辞める理由1位の「職場の人間関係」ですが、それは雇用する側が戦力ばかり求めて新人教育を怠っていたことを露呈しています。初日に先輩が指導してくれなかったのは、その先輩もきちんと教育を受けていなかったために、新人とうまくコミュニケ―ションをとることができなかったからです。2位の賃金への不満も、3位の生活が不安定というのも、雇用する側で対処できることばかりです。

アルバイトの定着率を上げるためには、こうした問題を回避し、スタッフが「この店で働きたい」「自分たちでもっといい店にしていきたい」と思うような環境を作ることが重要です。では、そのための具体策について考えてみましょう。

1. 新人教育にかける手間ひまを惜しまない

新人スタッフを迎えたときは、出勤初日から現場に立たせるのではなく、事務所や近くのカフェなどでオリエンテーションを行って、仕事内容を説明することから始めるようにします。こうした時間をとってもらうことで歓迎されていることがわかり、不安も取り除かれていきます。 オリエンテーションでは、まず経営理念の説明をします。お店の存在意義(ミッション)や経営姿勢(ビジョン)など、スタッフ全員が目標とすべきことを理解してもらいます。次に就業規則またはハウスルール(お店独自の規則)について説明します。

それから実際にホールへ出てOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=実務訓練)を行います。このときは、たとえば、「いらっしゃいませと言うときは大きな声で」と教えるだけでなく、「お客さまがお見えになったことをほかのスタッフに知らせるためにも大きな声で」というように理由も伝えることがポイントです。

このように新人教育は手間ひまのかかることではありますが、しっかり指導してもらうことで自分の仕事の意味や重要性を把握することができ、「頑張ろう」という意欲が高まってくるものです。そして自信がついてくると、とくに指導をしなくてもひとりで成長していきます。

2. 仕事の成果を正当に評価する

人手が足りないと、やむにやまれずアルバイトに時間外労働や休日出勤を強要してしまいがちですが、この場合は割増賃金を支払わなければなりません。ちなみに、労働基準法では「1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない。休日は少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上与えなければならない」と定められています。

人手不足と嘆きながら、スタッフを使い捨てにするブラック企業のようなことをしていたのでは定着するわけがありません。スタッフにとって給料というのは、ただ労働の対価というだけでなく、自分の努力や頑張りに対する成績表のような意味合いもあります。満足のいく金額であれば仕事にやりがいを感じ、さらにスキルアップしようとモチベーションを高めることにつながります。そのためには一人ひとりの仕事ぶりを正当に評価し、それに見合った賃金を支払うことが何よりも大切です。

3. アルバイトでも社会保障の充実を

最近は、アルバイトやパートなど非正規社員でも社会保険に加入し、有給休暇やボーナスなども正社員同様に保障する企業が増加しています。

社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の総称です。とくに失業手当がもらえる雇用保険と、仕事上の事由でケガや病気、死亡したときに受けられる労災保険への加入を希望する人が多く、求人広告に「社保完備」と記載すると応募者数がぐんと増えるといいます。社会保険の保険料は雇用主の負担が大きくなりますが、加入することでお店の社会的信用が高まり、優秀な人材を確保するために有利な条件となることは間違いありません。

(社会保険の詳細は「飲食店経営者なら知っておこう!パート・アルバイトの社会保険について」を参照してください。)

まとめ

新人研修でメモをとるスタッフ

スタッフを定着させるための対策について見てきましたが、定着率を上げることで得られるメリットを要約すると、

  • 新人を採用するためのコスト(求人情報誌への掲載料など)が削減できる
  • 新人教育のための時間と労力も必要なくなる
  • スタッフが定着することで接客スキルが全体的に向上し、顧客満足度が高まる

の3点です。その結果、売上が伸びて経営の安定につながることになります。

スタッフの定着率を上げるには、時給アップだけでなく、満足感やモチベーションを上げるような取り組みが不可欠ということを認識することが大切です。

 

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