閉店したらどんな手続が必要?忘れずにおこなう届け出や手続とは

開業・経営
閉店の看板

飲食店を開業したものの経営が上手くいかず、閉店を余儀なくされるお店は少なくありません。順調に経営してる間は閉店について考えることもないので、差し迫った状況になってから慌ててしまうオーナーもたくさんいます。

もしも飲食店を閉店することになった場合、どのような手続きが必要になるのか事前に学んでおきましょう。そうすることでスムーズに対応でき、従業員を必要以上に不安にさせることもなくなります。

今回は、閉店にともなう手続きを物件(テナント)、行政機関別にそれぞれ解説していきます。

閉店の手続きをしっかりと行う理由

閉店の標識

経営しているお店が閉店する場合、オーナーは「廃業届」を提出する義務があります。

飲食店を開業する際にも色々な届出を提出したかと思いますが、廃業する際もしっかりと報告を行わなければなりません。これは法律で定められていることなので、届出を出さずに廃業したり、提出期限を過ぎてしまうと数十万円の罰金を課せられる場合もあります。

また、物件やスペースを借りていた場合は、管理する不動産会社へ契約解除手続きを行う必要もあります。不動産会社は、その物件でどのような業態の店が営業されているのかしっかり把握する必要があるのです。また、飲食店ならば保健所の指導対象にもなりますし、廃業届を出さないままでいると、保険指導に漏れがないかどうか把握できなくなってしまいます。

このような理由から、廃業後は然るべきところで手続きを踏む必要があります。多方面に迷惑をかけないためにも、しっかりと準備を進めましょう。

閉店の手続き〜物件、テナント〜

テナント閉店

物件やテナントに関する手続きは、マンションやアパートの契約解除手順とそう変わりません。いつまでに解約の申し出をするべきなのかは契約内容によっても異なるので、一度契約書を確認してみましょう。

解約予告は貸主または不動産会社に行います。この時、ほとんどの物件では退去日までにスペースを「元の状態」まで戻す必要があります。

飲食店はとりわけ物件を汚してしまいやすいので、原状回復にどれくらいの費用がかかるのかしっかり見積もることが肝心です。また、食器や残った食材等は当然ながらすべて撤去する必要があるので、退去日から逆算して営業終了日を決定するのが無難です。

さらに厨房機器の取り付けや水道ガス等の工事が行われている場合、原状回復工事をする必要があります。この時追加工事等が重なると費用がかさむため、負担を感じるオーナーも少なくありません。原状回復にかかる費用はしっかりと把握し、計画的に進めることが大切です。

閉店の手続き〜行政機関などへの届け出〜

廃業届の提出

行政期間への届け出は業態によっても異なりますが、以下の3つの機関には必ず届け出る必要があります。 

保健所

開業時に受け取った「食品営業許可証」を返還し、「廃業届」を提出する必要があります。

廃業届は保健所で直接受け取ってもかまいませんし、各自治体のサイトからダウンロードすることもできます。廃業届の様式は自治体によって異なるので、必ず店舗所在地を管轄している自治体から入手しましょう。

廃業届の提出期限は自治体によって異なりますが、廃業日から10日以内と定められているところがほとんどです。基本的には郵送でも提出できますが、自治体によっては持参が義務付けられている場合もあります。

税務署

税務署には主に「個人事業の廃業届出書」を提出する必要がある他、従業員を雇っている場合は「給与支払事務所等の廃止届出書」、消費税の課税事業者の場合は「消費税の事業廃止届出書」を提出しなければなりません。また、青色申告で確定申告を行っている場合は、そちらの取りやめも申請する必要があります。

「個人事業の廃業届出書」と給与支払事務所等の廃止届出書」は廃業日から1カ月以内、青色申告の取りやめは翌年3月以内、消費税の事業廃止届出書はなるべく早くに提出するようにと定められています。それぞれ提出期限が異なりますが、できるだけ後回しにせず一度に処理してしまうのがおすすめです。各書類は税務署で受け取れる他、国税局のサイトからもダウンロードすることができます。

都道府県税事務所

廃業する際は税務署だけでなく、管轄にあたる都道府県税事務所にも届出を行う必要があります。届出の様式や名称、提出期限は都道府県によって異なりますので、よく分からない場合は管轄の都道府県税事務所に問い合せるのがおすすめです。

この他に、労働保険に加入している場合は廃業日の翌日から50日以内に労働基準監督署に届け出を行う必要があります。また、雇用保険に加入している場合は公共職業安定所に「お雇用保険適用事業所廃止届」「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」の3つを提出しなければなりません。

さらに地域によっては各自治体の役場にも届け出なければいけない場合もあるので、問い合わせてみましょう。

閉店の手続き〜その他〜

閉店のための書類

お酒を取り扱っているお店は要注意。上記の行政手続き以外に、管轄の警察署へ「酒類提供飲食店営業開始届出認定書」を返還し、廃止届出書を提出しなければなりません。

提出期限は廃業日から10日以内と定められており、持参での提出が原則となっていますので注意が必要です。期限を過ぎてしまうと30万円以下の罰金となる場合もあります。どうしても持参できない場合は郵送にすることもできますので、まずは管轄の警察署に問い合せてみましょう。

書類は各県警に直接取りに行ける他、サイトからダウンロードすることもできます。

まとめ

閉店の札

いかがでしょうか?

廃業が決まってしまった場合、今回ご紹介したように、実に様々な手続きを踏む必要があります。その際、開業時に届け出た書類の控えや、受け取った認定書が必要になる場合も多いので日頃からしっかりと書類整理を行うことも大切です。

基本的に「開業時、営業中に届け出たもの」に関しては返還や届出を行う必要がありますので、漏れのないように必要書類をしっかり把握しておきましょう。