飲食店を経営している人にとって、閑散期は悩みの1つではないでしょうか。閑散期と呼ばれる時期にはどうしても客数が減ってしまい、売り上げが落ちてしまいます。そんな時、期間限定商品などで閑散期を乗り切ろうとするお店も多いと思います。しかし、そこに大きな落とし穴があることに気が付いていないお店も多く見受けられます。
今回は、閑散期を乗り切るために気をつけること、乗り切るコツについてご紹介していきます。
閑散期はなぜやってくる?
一般的に飲食店の閑散期と呼ばれる時期は、年に何回か訪れます。
- お正月が終わってからの、1月中旬から2月
- お盆の帰省影響を受ける8月
ではなぜ閑散期はやってくるのでしょうか。年末年始後の1月中旬から2月は出費の多いイベント後となり、8月はお盆で企業が休業し、帰省をすることでオフィス街の店舗が影響を受けるためだと考えられます。また、寒い、暑い等で気候が悪い時期も実は来店数が減少しているかもしれません。
「期間限定」で閑散期を乗り切る落とし穴
閑散期を乗り切る手として、「期間限定」の手法を用いることが多々あるのではないでしょうか。
期間限定というのは日本人にとってはとても魅力的な言葉で、「日本人は期間限定に弱い」とよく言われています。買うつもりはなかったのに、限定という言葉に負けてついつい購入してしまったり、コンビニエンスストアなどで常々期間限定商品をチェックしてしまう人は多いです。また、日本は四季が豊かな国で、その季節にしか楽しむことのできないものがいくつもあります。そのため、その時期だけの限定という言葉に非常に魅力を感じる民族なのです。
こう聞くと、やはり人の少ない閑散期には、期間限定のメニューでお客様を呼びこみたいと思ってしまいますよね。しかし、閑散期は一年に一度だけくるわけではなく、一年のうち何割かを占めています。閑散期が訪れるたびに期間限定を多用してしまうと、魅力が半減してしまうのも事実です。限定商品と名前を付けて、安くてお得なメニューや割引などを毎回展開したとしても、目新しさはどんどん失われていきます。
実際、季節限定クーポンと書いてあるはずなのに、毎月同じクーポンが配布されている店舗は多く見受けられます。クーポンと聞くとお得なので当然使いますが、そのためだけにお店に行く理由にはならないでしょう。期間限定が、「限定」ではなくなり、価値がなくなってしまっている状態となります。これでは期間限定品を企画する意味があまりありません。
期間限定商品だけで閑散期を乗り切ろうとすることへの落とし穴は、もう1つあります。それは、宣伝効果の薄さです。
限定商品で乗り切るという行動は、その場凌ぎのためだけではないはずです。お得な限定品で興味を持ってもらい、お店の魅力を知ってもらうためのきっかけの1つですよね。お店を気に入ってもらって、一度だけではなく、二回、三回……と足を運んでもらえるようになることが目的です。しかし、忘れてはいけないのは、閑散期の集客の難しさです。時間や費用をかけて良いものを用意しても、見てもらえなければ意味がありません。逆に、多忙である繁忙期であればどうでしょうか。イベント効果などで自然と人が多く集まる時期なので、集客への苦労は少ないです。そう考えると、何もせずともお店が満席になる時期にこそ、宣伝効果も高まるのは分かりますよね。
更に、宣伝にはどうしても時間がかかります。閑散期、繁忙期、と時期を分けてはいますが、お店の運営は、年を通した長い目で見る必要があります。わざわざ集客の難しい時期に、時間を必要とする宣伝をしているのです。商品を用意する時間や費用に対して、見合ったメリットを出せる可能性はぐんと低くなってしまいます。
閑散期をどう乗り切るべきなのか
では、閑散期には一体どうすればいいでしょうか。繁忙期にこそ宣伝や売り込みをすることで、お店の魅力が伝わりやすいとはいっても、閑散期に何もしないわけにはいきません。
閑散期といってもお客様が一人も来ないわけではありませんよね。閑散期にも来店してくれる方は、お店にとって大事なお客様です。お店が空いている時ほど、お客様はお店のことをよく見ています。忙しくないからこそ、丁寧な接客をすることもできますし、時にはお客様との会話も大切です。お客様にも喜んでもらえますし、お店側としても、お店への要望や、どんなメニューが望まれているかなど、お客様の生の声を聞くことができます。
逆に、注文が届くのが遅かったり、清掃が行き届いていなかったりすると、お店の評価が下がってしまいます。閑散期にも来てくれるリピーターのお客様の評価を下げてしまうことは、絶対にしてはいけません。
また、閑散期は繁忙期に比べて時間の余裕ができるでしょう。その時期にこそ、スタッフの教育に力を入れましょう。そうすることでお店の質も上がりますし、忙しい繁忙期の強い戦力になることは間違いありません。他にも、普段忙しくてなかなか手が回らない細かな場所の清掃をしたり、古くなってしまったポスターなどを新しくするのもいいでしょう。
繁忙期に増えたお客様の分母を、閑散期に減らさないようにすることが最も大切となります。そうして常連さんが増えていくことで、結果として閑散期の悩みも少しずつ改善されていきます。
でもやっぱり、閑散期の対策はほしい!
常連さんを大切にしたり、お店作りの根本を見直すのに良い機会になるのが閑散期だというのは分かって頂けたと思います。とはいえ、売り上げ自体をなんとかしたいという気持ちもやはりあるでしょう。
ここまで、閑散期に期間限定で乗り切ることは難しいという話をしてきましたが、絶対にやらない方がいいというわけではありません。 例えば、お酒の試飲会や、普段は置いていないメニューを頼めるような、他店にはない人が集まりたくなるようなイベントを開いてみるのも面白いでしょう。集客の難しさを逆手に取って、季節メニューを個数限定で売り出すのもいいと思います。
繰り返しますが、同じ期間限定メニューを使い回したり、集客のハードルが上がっているということを忘れなければ良いのです。毎回同じ企画では、「いつでも行けるから」と興味を持ってもらえません。逆に力を入れ過ぎて経費を使っても、採算が取れなくなって、繁忙期の売り上げにしわ寄せがいってしまうかもしれません。それをきちんと踏まえた上で対策を取るのは、お店のためにもなるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?
繁忙期には繁忙期にしかできないこと、閑散期には閑散期にしかできないことが必ずあります。売上が大事なのはもちろんですが、時間を有効に使うのが閑散期のポイントになります。
焦って時期に見合わないことをするより、しっかりと腰を据えたお店作りをしていきましょう。
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