
ランチはいつも職場近くのレストラン、夕食は行きつけの居酒屋というように、外食が中心の人は多いものです。最近は女性にも増えています。そんな外食派にとってうれしいのが日替わりメニューです。お店にとっても日替わりメニューを取り入れることで得られるメリットが少なくありません。
そこで今回は、お客様を飽きさせず、長く通っていただくためのメニュー作りについて見ていきましょう。
日替わりメニューとは
いくら美味しい料理でも、続けて何度も食べていると飽きてきます。それは、もともと人間の脳には、同じ刺激が繰り返されると「飽きる」という機能が備わっているからです。
食べ物の場合は、「肉ばかり食べていると飽きて野菜が食べたくなる」とか、「辛いものを食べ続けると甘いものが欲しくなる」ということがありますが、同じものを食べ続けて栄養が偏るのを防ぐためにこの機能が働くものと考えられています。
そのようなことから、メニューは折ごとに見直して、目新しさを取り入れる必要があるのです。 日替わりメニューは、料理のバリエーションを増やしてお客様に飽きられずに通ってもらうことを目的としたもので、とくに固定客の多いビジネス街や学生街ではたいていの飲食店が取り入れています。
日替わりメニューを取り入れるメリット・デメリット
日替わりメニューのメリット・デメリットについて、ここではランチ営業とディナー営業の両方を行う飲食店を例に説明します。
日替わりメニューのメリット
- ディナー営業で使い切れなった食材をランチに回すことで、食材ロスを減らすことができます。
- 鮮度が気になる刺身用の魚が残ったときは、ランチでフライなどにして提供すれば、その売上を次の仕入れに回すことができ、つねによい食材を確保することができます。
- 日替わりメニューをお客様が気に入ると、翌日のメニューにも期待して、再来店につながります。
- 夜用に仕込んだ料理を小鉢としてランチに添えたりすることで、お客様の満足度が高まり、ディナー営業の宣伝にもなります。これとは逆に、夜に食べに行くと高いので昼の日替わりメニューを狙って行くというお客様も少なくありません。
日替わりメニューのデメリット
- ランチの場合は、コンビニや牛丼店など競合店が多いため、チラシを配ったりして日替わりメニューの告知に力を入れる必要があります。
- 価格もランチの場合は600~1000円が一般的です。夜用の高い食材を使ってランチ価格となると、想定した利益を得られないことがあります。
- 日替わりにしても週替わりにしても、いつまでも同じローテーションではやはり飽きられてしまうので、ときどきメニュー内容を変えなければなりません。
- 日替わりメニューのために食材を追加仕入れすると、結局、食材ロスが出て原価率(売価に対する食材費の割合)が上がってしまうリスクがあります。
日替わりメニューは、うまくいけば集客率を高める効果があります。それには明確な戦略を立てて、原価率の低い食材を使っておいしさを引き出すなどの工夫が求められます。
日替わりにしやすいメニューとは?
固定メニューのほかに日替わりメニューを取り入れる場合は、週5日営業ならあらかじめ6~7種類の日替わりメニューを考えておきます。営業日プラス1~2種類にしてローテーションを組むことで、同じ曜日に同じメニューが重なるのを防ぐことができます。料理も和風、洋風、中華風とスタイルを変えると食材を無駄なく使うことができますし、仮に毎日通ってくれるお客様でも飽きさせることがありません。
日替わりランチを提供する場合は、ビジネスマンやOLが主な客層であればスピードがもっとも重要になります。ふつうお昼休みは1時間しかありませんので、オーダーを受けてから配膳までの時間をできるだけ短くする工夫が必要です。 それには、営業時間前に仕込みをすませておき、オーダーが入ったらすぐ盛り付けられるようなメニューを考えるのがポイントです。
たとえば、カレーやシチュー、煮魚、煮物などは加熱するだけですむように、魚のフライやコロッケなどは揚げるだけですむように下ごしらえをしておきます。これにサラダやおひたしなど野菜を添えて栄養バランスを整えるようにします。時間的には5分以内にテーブルに出せるようにしたいものです。
同じビジネス街でも、商談やミーティングを兼ねてランチをするお客様が多いというエリアでは、もっとグレードの高いメニューでも集客が見込めます。 また、時間的余裕のあるお客さまの多い繁華街などでは、スピードより味と盛り付けに重点を置き、ゆっくり楽しんでもらうようにするといいでしょう。
このように、日替わりメニューを取り入れるときは、客層や立地に合わせてメニューを組み合わせることが大切です。
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日替わりメニュー表を用意しよう!
日替わりメニューは固定メニューと並べるのではなく、ひときわ目立たせるようにしなければなりません。それには、そのメニューが「おすすめの逸品」であることがわかるフレーズを用いるのが効果的です。
たとえば、ディナーのメニューである白身魚を使ったフランス料理の場合、「10食限定! ディナーで好評の白身魚のブランザード。自家製パンとコーヒーのセットで〇〇〇円」のように写真かイラスト入りでメニューに表記すれば、お得感と物珍しさも手伝って「食べてみたい」という気になるものです。このとき、メニュー表全体の3分の1を占めるくらいの大きさが効果的とされています。
コスパのよさだけでなく、「産地直送」「ヘルシーメニュー」「お肌にうれしいオレイン酸使用」など、健康・安心志向に訴えるフレーズも有効です。サラダでも、ただ「野菜サラダ〇〇円」と書くだけでなく、「地元〇〇から直送!朝採りの野菜サラダ〇〇円」のように、より新鮮さが伝えられるよう工夫してみましょう。料理ごとのカロリー表示まですればより丁寧となり、女性客に喜ばれること間違いなしです。
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まとめ
日替わりメニューを取り入れる場合は、ほかの店もやっているからという横並び意識だけで始めるのはよくありません。ランチタイムの売上を伸ばすのが狙いなのか、ディナー営業につなげるのが狙いなのか、全体の集客率アップのためなのか、まず目的を明確にする必要があります。
そして、周辺に日替わりメニューで繁盛している店があればリサーチして、これから取り組んでも需要が見込めるかをよく検討することが大切です。