「それって風営法違反じゃないの?」
あなたが居酒屋経営していて、同業者や取引先にそんなことをいわれたら「ドキッ」としますよね。でも「ドキッ」っとするということは、あなたが「風営法」を理解していないということになります。
法律を理解していないと、あなたが良かれと思ってやったことが、法律違反になってしまっている可能性があります。特にあなたが、店舗経営をする立場にあるなら「そんな法律知らなかった」では済まされません。場合によっては処罰を受ける事態になります。
「法律違反していない」と自信を持って居酒屋経営するためには、風営法を理解しなければなりません。この記事では特に「2016年6月に改正された風営法」についてのポイントをわかりやすく解説していきます。
風営法とは
そもそも風営法とはなんのためにあるのでしょうか。風営法とは正式名称で「風俗営業法」といいますが、ここでいう「風俗」とは、「酒を飲める店」「賭博をする店」「性的サービスを受けられる店」が該当します。(以後これらを含めて「風俗店」と記載します)
簡単にいってしまうと「いろんな場所に勝手に風俗店が作られないようにする」法律です。
わかりやすくいえば、この法律がないと、幼稚園や小学校の前に風俗店が出来てしまったりします。これは、教育環境的に良くないですよね。そういったことを防ぐための法律です。「大人のための店は定められた場所でのみ営業しなさい」ということです。
なぜこのような法律ができてしまったのでしょうか。それは歴史的背景があって、自由に風俗の商売ができていた時代、治安が悪化し犯罪が増え街の風紀が乱れてしまいました。そういう経験もあって江戸時代には、娼婦を一か所に集めて営業させる「集娼」という制度が一般的となりました。これは性風俗管理(取り締まり)と治安維持の面で合理的なため、この手法が広まっていきました。これが今の「風営法」のベースとなっています。
風俗営業とそれに関連するビジネスの営業時間について
風営法ができた背景がわかったところで、風営法が改正され営業時間がどのように変わったのか、どういう点を気をつけたらいいのか、そのポイントを解説していきます。その前に風営法が改正された5つの部分を見ていきましょう。
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- 1.客にダンスさせる営業に関して規制の範囲や内容の見直し
- 2.新たに分類する許可業種「特定遊興飲食店営業」の規制整備
- 3.良好な風俗環境を保全するための規制の整備
- 4.風俗営業時間の緩和
- 5.ゲームセンターへの18歳未満の立入り制限に関する見直し
あなたが居酒屋を経営しているなら、気になるところは3と4になると思いますが、1から順番に説明していきます。
1.客にダンスさせる営業に関して規制の範囲や内容の見直し
今までは酒類の提供の有無に限らず客にダンスしていれば風俗店扱いだったものが、飲食を伴わなければ規制から除外。(ダンス教室やダンスホールなど)
時代の流れなのか、当然といえば当然の改正ですね。そして今回の改正で一番大きかったのがこの部分のようです。
2.新たに分類する許可業種「特定遊興飲食店営業」の規制整備
この分類は少し複雑でわかりづらいです。ポイントとなるのは「照明の明るさ」「酒類提供」「深夜営業」の3点。
キャバレーやキャバクラは引き続き「風俗営業」になりますが、接待を伴わないナイトクラブは条件次第で以下の分類にわけられます。
- 接待を伴わないナイトクラブで店内照明が10ルクス以下なら「風俗営業」
- 接待を伴わないナイトクラブで店内照明が10ルクス以上、深夜営業・酒類提供なら「特定遊興飲食店営業」
- 接待を伴わないナイトクラブで店内照明が10ルクス以上、深夜営業・酒類提供のどちらか一方なら「飲食店営業」(風営法とは別の法律の管理下になる)
※10ルクスとは映画館における上映前の客席と同じ明るさ
※深夜営業とはAM0時~AM6時まで
3.良好な風俗環境を保全するための規制の整備
風営法が改正によって深夜に、風俗営業または特定遊興飲食店営業を営む者の義務として「店舗周辺における客の迷惑行為の防止処置」「苦情処理に関する帳簿の備付け」というものができました。
どういうことかというと、お客さんが帰った後でも店舗周りで騒いでいたらやめさせなさい、クレーム処理したら記録しておきなさいということです。「帰った後のことは知らない」では済まされません。
また風俗環境保全協議会を設置する必要があり、これらは「警察署長」「特定遊興飲食店営業の管理者」「地域住民」によって構成すること。
4.風俗営業時間の緩和
・深夜営業時間の緩和
改正前までは風俗営業の営業時間は最長AM1時まででしたが、改正後は条例による延長が可能になりました。とはいえ条例でダメな場合は深夜営業ができないので、改正前よりは若干緩和された印象です。
・24時間営業のクラブが認められる地域は限定的
クラブ営業のうち店内の照明が明るく、酒類を出さなければ「飲食店」とみなされて24時間営業が可能となります。酒類を出した場合は「特定遊興飲食店営業」の許可を出せば24時間営業ができます。
しかしここで注意点。「特定遊興飲食店営業」の場合、自治体に営業地域や営業時間の制限を受ける場合があります。つまりあなたの希望する時間帯で営業できるかどうかは、自治体の判断次第ということです。出店する地域では何時から何時まで営業時間の許可が出るか、事前に確認しておいたほうが良さそうです。
5.ゲームセンターへの18歳未満の立入り制限に関する見直し
風営法の改正によりゲームセンター在店の規制はこのように変わりました。
改正前:18歳未満の22時以降の在店や、16歳未満は保護者が同伴でも18時以降の入店は禁止
改正後:16歳未満は保護者同伴に限り、22時までの在店が可能
これにより夕食後に小さなお子さんを連れた親子で、ゲームセンターを楽しめるようになります。
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飲食店とどう関係があるのか?気をつけるポイントとは
上記で改正後の風営法を説明してきましたが、それと飲食店がどう関係あるのでしょうか。先ほどの「接待を伴わないナイトクラブ」の違いでもありましたが、ポイントは「照明の明るさ」「酒類の提供」「深夜営業」です。
例えばあなたが、イタリアンの飲食店を経営していたとします。はじめは17時~23時営業のイタリアンレストラン(酒類提供あり)をやっていましたが、来店客分析の結果、カップルが多いことに気づき「暗くしてムードを出したい」と思いました。
そこで営業時間中店内の照明を暗め(10ルクス以下)に設定。それをしてしまうだけで分類は「飲食店営業」から「風俗営業」になってしまい、さらに法律の管理下も「食品衛生法」から「風営法」に変わります。
店側としてはお客さんに「もっといいサービスをしたい」と思って「照明を暗くしただけ」ですが、法律上は「飲食店営業」から「風俗営業」に分類が変わってしまうということです。そうなると営業許可が出ていない分類で営業していることになりますので、保健所から問題視されます。
店舗経営していくうえで、お客さんに合わせて提供する商品やサービスの変更は必須。しかし法律をふまえた上で、変更する必要があることも知っておいたほうがいいでしょう。
まとめ
以上が改正後の「風営法」の説明になります。居酒屋経営をする上で「知らなかった」では済まされない法律です。店内を明るくしてお酒を提供しているだけなら「飲食店営業」になりますので、何も問題はありません。
「飲食店営業」の枠をはみ出さないためには「照明の明るさ」「営業時間」「酒類の提供」の3点の基準を覚え、それを超えないようにすれば「風営法」の対象外になります。「風営法」の対象にならないことが、風営法違反にならないための一番の予防策といえるでしょう。
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