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飲食店で働く仲間と集まった時に、「最近外国人観光客のお客様が増えていないか?」と聞いてみてください。地域にもよりますが、おそらく10人いたら3~4人は「Yes」と答えるはずです。それだけ外国人観光客は、「うちのような店にまで?」と思うようなところにも訪れるようになってきています。
その時に必要となるのが英語力ですが、英語は一朝一夕に身につきません。そこで頼りになるのが、少なくとも注文だけは間違いなく取れる ための「英語メニュー」です。最近はインターネット上に誰でも簡単に使える翻訳サイトが充実していますから、それらを利用すれば専門業者に頼まなくても、自分で英語メニューを作ることが可能です。ただし、「変な英語」「意味が間違っている英語」で作ってしまうと逆効果になります。
そこで今回は、英語メニューを作るときの英語のポイントをお伝えします。
メニューの英語対応が必要なワケ
現在のところ、外国人観光客がほとんど来ないお店でも安心はできません。なぜなら、彼らはいつ押し寄せるようになるかわからないからです。ひとたび押し寄せるようになれば、繁盛店になれる可能性があるでしょう。では、外国人のお客様が今後も押し寄せる可能性がある理由について、ご説明いたします。
外国人観光客は今後も増加の一途
まず初めに、外国人観光客の来日状況をご紹介します。
日本政府観光局によれば、2017年1月~4月に来日した外国人観光客は911万人で、過去最高の前年よりもさらに116%の伸びでした。このままでいくと、2020年には2000万人以上になると言われています。
しかし、今までの来日ブームを引っ張ったのは中国人旅行客であり、彼らの「爆買い」によって多くの物販店が潤いました。現在の日本では、その動きもすでに終わっています。それにもかかわらず、来日する外国人観光客が増えているのは、彼らの目的が「買い物」というモノ消費から、日本の「食や文化」を体験するコト消費に変わってきているからです。つまり、物販の時代から、飲食店や文化的な観光資源こそが外国人観光客に満足を与える時代に変化したのです。このような波にうまく乗ることができれば、まさに繁盛店への道をたどることも可能と言えるでしょう。
本当は英語が話せたほうがいい
その時に問題になるのが、「言葉の問題」です。「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」によれば、外国人観光客の来日時における不満点は、以下の通りでした。
1位 無料無線LANがない 46.6%
2位 店舗などのスタッフと英語が通じない 35.7%
3位 多言語表示観光案内板等が整備されていない 20.2%
4位 多言語地図、パンフレットの入手場所が少ない 18.8%
5位 割引チケット、企画乗車券等の情報に関する入手方法の案内がない 14.9%
6位 公共交通機関の利用方法を教える標識が少ない 14.8%
以上の調査結果から、飲食店ではWiFiを整えることと同時に、英語でコミュニケーションが取れるようにしておくことが何より重要であると分かります。
ただ、現在の外国人観光客の大部分は東アジアからの旅行者であるので、英語よりもむしろ中国語、韓国語の方が重要にも思えます。その一方で、欧米諸国からの観光客は当然としても、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国からの観光客に至っても、英語を話すことができる旅行者が多いのも事実です。中国人でも、来日できる程度の裕福層はある程度英語が話せます。したがって、まずは英語での対応可能な環境を作るのが先決と言えるでしょう。
とは言え、明日からすぐに英語を話せるようにはなりません。そこで、最低限、彼らがメニューを見てどのような料理か想像がつき、食べ方がわかり、間違いなくその料理を注文できるようにする、ということを目指しましょう。そのためには、英語メニューの用意が必要なのです。
外国人観光客の口コミが繁盛店を作る
外国人観光客の口コミが繁盛店を作る一例をご紹介します。日本でいう食べログのような台湾のグルメサイトにおいて、大阪で1番人気の飲食店は、新世界にある小さなお好み焼き屋さんとなっています。そのお好み焼き屋さんは台湾の観光客に凄まじい人気で、いつ行っても台湾人観光客が行列を作っています。そこまで繁盛した理由には、ある台湾人観光客がそのお店に来店した際に感じた、一つの思いから始まりました。台湾に帰国したその観光客は、お好み焼き屋さんで感じた自身の思いをSNSで拡散しました。その内容は、多くの台湾人から評判を呼びました。あまりの評判から、ついには投稿内容がグルメサイトに転載され、一挙にフィーバーしたのです。
こうした例は台湾人だけではなく、欧米人の場合でも容易に起こり得ます。来日する外国人観光客は美味しい料理を食べたいと考えているので、旅行前にSNSやグルメサイトを使って人気の店を調べたうえで来店します。調べたお店に満足すると、SNSで満足したという内容を拡散させます。すると、その口コミを見た外国人がどんどん来店するかもしれません。口コミにはこのような好循環を生むため、外国人観光客の間で評判になった店は、日本人が知らないところでいきなり繁盛店になることもあります。
このような例を参考に、外国人観光客が安心して来店し、満足して帰れるような英語環境を作ることが、非常に重要なのです。
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メニューを英語で書くときのポイント
メニューを英語で書く場合のポイントをご紹介します。
写真を載せれば一目瞭然
外国人観光客にとって1番気になることは、どのような料理なのかということです。外国人観光客へ正確に伝えるためにも、料理には写真を一緒に載せましょう。いくら英語で丁寧に説明文を書いても、最終的にはわからないこともあります。その点、写真を載せておけば一目瞭然です。
料理に番号がついていればオーダーミスが防げる
料理には通し番号を振りましょう。これだけで注文する側もされる側もコミュニケーションがとれ、コミュニケーションの行き違いによって生じるトラブルの防止にもなります。ただし、注文数と勘違いしないように、数字ではなくアルファベットの方がよい場合もあります。
英語は直訳にしない
英語メニューを、Googleの翻訳サービスなどで日本語から英語に訳す時には注意が必要です。なぜなら、無料の翻訳サイトは得てして、「直訳」をするからです。
たとえば「きつねうどん」のことを、そういうサイトの場合の多くは「Fox noodles」と訳します。これでは、「キツネの肉を入れた麺」ということになってしまいます。英語に訳すときには直訳にしないで、「Noodles with fried tofu」というように、「豆腐を揚げたものが載っている麺」というようにかみ砕いて翻訳しましょう。1度翻訳サイトで日本語から英語にしたら、今度はそのままコピペをして、その英語を日本語に翻訳し返してみましょう。その時に違和感がないようならば、ほぼ大丈夫と言えるでしょう。
食べ方説明も必須
外国人観光客に「日本での料理の味」を聞くと、意外に「美味しくなかった」という答えが返ってきます。それは本当に味がまずいのではなく、間違った食べ方をしてしまっているケースが多いのです。たとえば、寿司でも醤油をつけて食べるということが分からずに、ただ生魚と米を食べたというようなケースが挙げられます。そのような食べ方では美味しいわけがありません。
特に日本独特の料理の場合は、その食べ方や使い方も丁寧に記載しておきましょう。
具体的には
- 醤油や酢などの調味料の使い方
- 薬味をどのように、どの程度かけるのか
- 食べる順番は決まっているのか
などです。
食材もわかるように
日本は食に関するタブーが少ないのでピンと気にくいのですが、外国人の場合は宗教的な戒律や、文化的な価値観、あるいは本人の信条などによって食べられない食材があります。納豆など匂いのきつい発酵食品やワサビなどの辛い食品を苦手なとする場合もあるでしょう。外国人観光客に配慮して、使っている食材や匂い、味などについては明記するようにしましょう。
当然、日本人と同様にアレルギーの問題もあります。彼らは飲食店で料理を注文する時には、料理に使用する食材について細心の注意を払い、店側に自らのタブーに触れないか確認してくるはずです。そこで、最初からメニューの説明と一緒に、使っている食材も記載しておくことがストレスなくメニュー選定をしてもらえるポイントとなるでしょう。
また、そういう問題は相手が英語圏の人かどうか関係なく発生しますので、食材は「イラスト」を使って表記することがベストです。その時に便利なのが、「食材ピクトグラム」と言う、イラストが載っている東京都提供の「多言語メニュー作成支援サイト」です。それぞれの食材のイラストをダウンロードしてそのままメニューに貼り付ければ良いので、ぜひ活用しましょう。URLは以下の通りです。
英語メニューの実例
ここまでにご紹介した内容をベースに、実際に使える英語のメニューの書き方を実例でいくつかご紹介します。
載せる項目
重複しますが、メニューに記載する項目は以下の通りです。
- 番号
- 日本語料理名
- 日本語料理名のローマ字書き
- 英語訳または説明
- 写真
- 食べ方
- 使用食材
- 料金
項目をメニューに当てはめる
上記項目を代表的なメニューに当てはめると以下のようになります。
焼肉定食の場合
3(日本語料理名のローマ字書き):Yakiniku-teishoku
4(英語訳または説明):Grilled meat set menu, Combo grilled meat with rice , miso-soup , pickles
7(使用食材):beef , vegetables , rice , garlic
刺身定食の場合
3(日本語料理名のローマ字書き):sasimi-teishoku
4(英語訳または説明):Sashimi set menu , Combo raw fish with rice , miso-soup , pickles
6(食べ方):Please dip sashimi into the soy sauce.「刺身はしょうゆにつけて食べてください。」
ざるそばの場合
3(日本語料理名のローマ字書き):zaru-soba
4(英語訳または説明):Cold buckwheat noodles with soup
6(食べ方):Please don’t pour the soup over noodles.Put(またはdip) noodles on the soup and eat.「麺の上からつゆをかけないでください。麺をつゆにつけてから食べてください。」
7(使用食材):buckwheat , fish , soy-sauce , sugar
かつ丼の場合
3(日本語料理名のローマ字書き):katu-don
4(英語訳または説明):Bowl of rice with deep-fried pork cutlet
7(使用食材):pork , egg , soy-soup , wheat , rice , Japanese leek
料理だけではなく支払方法も
メニューには、欄外に支払方法も載せておきましょう。いくら料理がおいしくても、支払いでトラブルになっては台無しです。
We accept Master/VISA card
マスター、VISAカードが使えます
Pay in cash Yen only
現金払いです。円のみです
Tax8% included
消費税8%が含まれます
Tax8% excluded
消費税8%は含まれません
まとめ
いかがでしょうか?
以上のポイントに沿った英語メニューを用意しておくだけで、外国人観光客は安心して料理が注文でき、美味しいと感じて帰国してもらえまるでしょう。「安心」と「美味」は、外国人観光客にとって大変なプラスポイントとなり、知らない間にその国の旅行者の中で人気店になっている可能性は十分にあります。海外で話題となれば、競合店との争いや日本の不景気などと関係なく、継続して集客が見込めます。
ぜひ英語メニューを用意して、繁盛店を目指しましょう。
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