カフェ経営の開業に必要な資格や成功させるためのポイント

開業・経営

喫茶店やカフェで働きながら、将来的には独立して個人経営のカフェ開業を目指す人も少なくありません。自身が描く理想のカフェを実現するために、開業資金を貯めたり、起業・独立開業して人気店を作るまでに必要な知識を勉強したりしている人もいるでしょう。本記事では、カフェ経営の開業に必要な5つの資格や届出を紹介します。また、カフェ経営を成功させるためのポイントを解説します。

カフェ経営の魅力とは

カフェで働くのではなく、自ら経営することの最大の魅力は何でしょうか。カフェ経営の魅力を知り、自分自身にとって独立開業が適切な手段か検討しましょう。

カフェ経営の魅力は、自分で考えたコンセプトのカフェが作れることです。自身がオーナーとなり開業することで自分の「こだわり」や「好き」を形にして経営することができます。
店舗のコンセプトはもちろん、そのコンセプトを実現するための空間づくりやメニューにいたるまで、自らの理想を反映することができます。店舗の立地や外装・内装、テーブルやソファなどの家具、接客スタイル、メニューもドリンクや料理の種類、コーヒー豆などの原料や、カップ・ソーサーなどの食器まで、ありとあらゆるものを自ら選ぶことができます。既に作り上げられた店舗で働くこととの大きな違いは、店舗自体を自らの理想のコンセプトに合わせて作り込めることだと言えるでしょう。

こだわり抜いたカフェ経営のみならず、さまざまなサービスと組み合わせた新たなコンセプトのカフェ経営も実現できます。これまでにない新たなコンセプトを打ち出すことで、大手コーヒーチェーン店との差別化も図りやすくなります。例えば、コワーキングスペースを併設し、月額料金の支払いでコーヒーが飲み放題になるサブスク制のサービスを導入すれば、ビジネス需要に特化して顧客を獲得することができるでしょう。

店内に蔵書を持ち、店内の本を読みながらコーヒーや軽食が楽しめるブックカフェや、非日常を味わえる内装に凝ったコンセプトカフェなどさまざまなトレンドがあるため、繁盛店の情報を日頃からチェックし、ヒントを得るのが重要です。

カフェ経営に資格・手続は必要?

飲食店であるカフェを経営するためには、必要な資格と手続きがあります。ここでは、飲食店の開業・経営に必要な5つの資格や届出を紹介します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、営業者の指示に従って食品衛生上の管理運営を行います。カフェを含めて飲食店を開業するために必要です。食品衛生法に定められた営業施設ごとに、食品衛生責任者を設置することが義務付けられています。

食品衛生責任者の資格取得には各都道府県の食品衛生協会が開催する講習を受講する必要があります。全国共通の資格のため、どの都道府県で取得しても好きな場所で開業することができます。

栄養士や調理師免許などの資格を持っている場合は、講習が免除されます。

【参考】一般社団法人東京都食品衛生協会
https://www.toshoku.or.jp/training/

飲食店営業許可証

飲食店営業許可証は、飲食店を経営するために必要となる許可証です。管轄の保健所に申請書を提出して、審査をクリアすることで取得できます。

菓子製造業許可申請

カフェでお菓子やパンを製造し、テイクアウト販売を行う場合に必要となります。都道府県ごとに定めた施設基準を満たす必要があります。施設基準には、『共通基準』と『特定基準』があります。施設基準の具体的な例として、「水道水または飲用適と認められる水を豊富に供給できる」「窓、出入口、排水口等の開口部は、ねずみ、昆虫などの侵入を防ぐ設備が必要になる」といったようなものがあります。

防火管理者

収容人数が30人以上のカフェを開業する場合には必要となります。日本防火・防災協会開催の講習を受講することで取得できます。講習は、管轄の消防署が開催している場合もあります。

【参考】

防火・防災管理講習(一般財団法人日本防火・防災協会)
https://www.bouka-bousai.jp/hp/lec_info/index.html
防火・防災管理講習(東京消防庁)
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/sk/kousyu.html

開業届

個人事業主としてカフェを開業するには税務署に開業届を提出する必要があります。開業から1カ月以内に管轄の税務署に必要書類の提出を行います。

【参考】[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

カフェ経営を始める方法

これまで、カフェ経営に必要な資格・手続きをみてきましたが、実際にカフェ経営を始めるには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、ゼロからカフェを開業する、雇われ店長として働く、フランチャイズに加盟して開業するという3つの方法を紹介します。

ゼロからカフェを開業する

まずは、ゼロからカフェを開業するという方法です。この場合、事業計画の立案から市場調査、メニュー開発、経営を全て自分で行うことが求められます。
メリットは、全てを自分で決められるので自由度が高いことです。店舗のコンセプト、接客スタイル、外装・内装、テーブルなどの家具、料理やドリンクのメニュー、食器に至るまで、自身で選定・決定することができます。
コンサルティングなどを依頼して助言をもらいながら進めるパターンもあります。

雇われ店長として働く

いきなり独立せずに、雇われ店長として経験を積む方法もあります。雇われ店長は、店舗を運営している会社の社員の1人です。会社の指示に従いながら店舗運営や経営者としての経験を積めるというメリットがあります。

フランチャイズに加盟して開業する

フランチャイズとはフランチャイズ本部と契約をして加盟店のオーナーとなるシステムのことです。フランチャイズ本部に毎月ロイヤリティーを支払う必要がありますが、フランチャイズパッケージを利用することができるというメリットがあります。
一般的なフランチャイズパッケージには、ブランド名や商標の事業での利用、商品の生産や加工・販売のノウハウ、経営サポートや資金の支援メニューや経営ノウハウなどの要素が含まれています。これらを活用することで加盟店は安定した経営を実現しやすく、未経験でも始めやすい方法だと言えるでしょう。

【参考記事】

カフェ経営を成功させるコツ

カフェ経営を成功させるためには、いくつか明確化しておくべきポイントや、実現すべき点があります。ここでは、カフェ経営を成功させるコツを見ていきましょう。

コンセプトを明確にする

コンセプトは、経営するカフェの基盤となります。カフェのコンセプトを決めることで経営の方向性がブレにくくなります。
コンセプトはなるべく具体的に考えることが重要です。「どのような顧客層に(ターゲット)」「どのようなメニューを」「どのような価格帯で(顧客単価)」提供するかなどを、事前に明確化しておきましょう。これらのコンセプトに合わせて、店舗の立地や物件、居抜き物件の選定も行います。

実際に開業した後には、設定したコンセプトを反映したSNSを運用するなど、集客にも活用しましょう。カフェのコンセプトに共感しやすい顧客層にアプローチすることができるでしょう。

【参考記事】

Wi-Fiなどの設備を整える

カフェには飲み物や食べ物の味だけでなく、店内の雰囲気や居心地の良さも求められます。
滞在時間の過ごしやすさでリピーターを獲得することもできるでしょう。
働き方改革の影響もあり、リモートワーカーも増えてきています。Wi-Fiや電源コンセントなどが用意されているカフェは、仕事の場としてビジネスパーソンの集客に有効でしょう。

収支計画を立てる

収支計画は数年後までの収入と支出を見通して立てます。現実的な収支計画を立てて売上と経費のバランスの取れた経営を心がけましょう。
特に、開業後経営が軌道にのるまでの期間の収支計画は、よくシミュレーションして立案することが必要です。売り上げが一定規模になるまで、時間がかかるケースがあるからです。

キャッシュレス決済に対応する

経済産業省の調査で、キャッシュレス決済が日常生活に広く浸透していることが明らかになっています。
顧客の来店機会を逃がさないためにも、キャッシュレス決済を導入すると良いでしょう。
キャッシュレス決済に対応するにあたり、決済端末とあわせてPOSレジの導入を検討することもおすすめです。

【出典】消費者実態調査の分析結果(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/cashless_future/pdf/004_06_00.pdf

理想のカフェ経営を実現するために

本記事では、カフェ経営の開業に必要な資格や成功させるためのポイントを見てきましたが、カフェは開業して終わりではありません。
飲食業は新規開業も多く人気の業種である一方、廃業率も高く厳しさのある業界でもあります。
開業後すぐに黒字化することは難しく、売り上げ・利益が軌道にのり安定するまで一定の時間がかかることもあります。このため、開業当初の初期費用を抑える工夫も必要です。中古品の厨房機器や備品の活用、内装のDIYなどで初期費用を抑え、開業後の運転資金に回すことも考慮しましょう。開業後一定期間の家賃・人件費などの固定費や、原材料費などの変動費の目安を把握しておくことが必要です。

この期間を乗り切るために、開業時に十分な資金を準備しておくことも重要です。開業資金には自己資金のみならず、融資の検討や補助金や助成金の活用も検討しましょう。日本政策金融公庫で無料の融資相談を受けることも可能です。
理想のカフェを開業し、継続して経営できるように準備をすすめましょう。


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