不良在庫とは?在庫を抱えるデメリットと減らすための3つの方法

開業・経営

適切な在庫管理ができていないと発生しやすい不良在庫ですが、管理コストの増加や他の在庫への悪影響を招くなど経済的損失になり得ます。セールで販売すべきか、このまま保管しておくべきか、製造業や小売業の事業経営者のなかには不良在庫の扱いをめぐって悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は不良在庫について、削減するメリットや削減するための具体的な方法、おすすめの在庫管理システムなどを紹介します。

不良在庫とは?

売れる見込みがなく経済的損失になる可能性がある在庫

不良在庫とは、企業や店舗が抱えている在庫のなかで、流行遅れや型落ち、賞味期限切れといった要因から、売れる見込みがなくなった製品や商品のことです。それ以外にも、不良品や欠陥品も不良在庫に該当します。

不良在庫が増えると何が起こるのか?

不良在庫の増加は、倉庫の保管スペースを圧迫させ、管理コストを増大させる原因になります。利益になる見込みがないにもかかわらず倉庫のスペースを占領し、管理のための人件費や保管状態を維持するための光熱費がかかるためです。

不良在庫の種類によっては他の在庫に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。例えば、食品の場合、劣化して色落ちした在庫の成分が他の在庫に色移りする、腐敗した在庫に付着した菌が近くの在庫も腐らせるなどが挙げられます。在庫管理が必要な事業者は、定期的に倉庫内を点検して不良在庫がないかを確認することが必要です。

不良在庫を解消するメリット

中小企業では不良在庫の対応が後回しになりがちです。しかし、不良在庫を解消することで、保管費用を削減できるだけでなく、以下で挙げるように税制上のメリットも得られます。

在庫管理コストの削減

不良在庫を抱えていることで、保管に必要な倉庫代や管理するための人件費、光熱費が発生しています。一般的な在庫管理コストは、在庫金額の10〜15%が目安とされています。

不良在庫を減らせれば、商品の保管スペースが空き、人件費や光熱費の削減にもつながるでしょう。

節税対策になる

会計上、倉庫や棚に保管されている在庫は、「棚卸資産」として企業の資産とみなされます。つまり不良在庫であっても、保管している限りは課税の対象となってしまうのです。

不良在庫を廃棄することで、「廃棄損」という損金に計上できます。税金は企業が生み出した利益に対して発生するため、在庫削減によって間接的に利益が減り、税金の負担を抑えられるのです。

企業の売上総利益と売上原価は以下の計算式で表せます。

  • 売上総利益=売上ー売上原価
  • 売上原価=期首棚卸高+当期仕入高ー期末棚卸高

不良在庫を解消することで期末棚卸高が減り、売上原価が増えて税金が減ることも珍しくはありません。例えば、仕入原価100万円の不良在庫を40万円で販売した場合、法人税率25%で節税効果は15万円になります。販売価格と合わせて、55万円のキャッシュフロー改善効果が見込めるでしょう。

なお、在庫の廃棄が難しく在庫として残し続ける場合は、評価損を計上するようにします。

金融機関からの融資が受けやすくなる

金融機関の融資審査では、企業の在庫回転率を判断のポイントにすることがあります。

在庫回転率は、仕入れた商品がきちんと売れているかを判断する指標で、経営が問題なく行われているかの判断材料の1つとして使われるためです。

在庫回転率は具体的に、倉庫内に保管している在庫が一定期間にどのくらい入出庫されるかを表した数値です。例えば、1カ月で3回在庫が入れ替わっている場合、在庫回転率は「3回/月」となります。セールなどの在庫処分によって在庫回転率が上がれば、金融機関からの評価は改善し、融資審査に通りやすくなるといったメリットも得られるでしょう。

不良在庫を減らすための方法

それでは、不良在庫を減らすために何をすべきでしょうか。まずは適正在庫の意識を常に持ち、在庫管理システムを導入することがおすすめです。以下で適正在庫や在庫管理システムの詳細を紹介します。

適正在庫を保つようにする

まずは、現在企業にある在庫が適正か確認しましょう。不良在庫は現在の在庫量を正しく把握していないことが原因で発生しやすいといわれます。在庫の状況がわかっておらず、不必要な発注や製造が行われる、という流れで余剰在庫は増えていきます。そのため、倉庫内の在庫量を把握し適正な数に維持できれば、不良在庫は発生しにくくなるでしょう。

さらに適正在庫を保つことは欠品を防ぎ、機会損失を防止する効果もあります。過剰在庫とは逆に、欠品が続くと顧客からの信頼が低下するリスクがあるためです。

セールや在庫の廃棄、買取サービスを適度に活用し、適正在庫を維持できるよう現場の意識管理を徹底しましょう。

在庫回転率を高める

「在庫がなかなか解消しない」という悩みを持っている方は、在庫回転率の指標を意識しましょう。

在庫回転率が高いということは、商品が倉庫から出荷され新しい在庫へと入れ替わるペースが速いことを意味しています。回転率が低い商品はセールを行うなどして販売量を増やし、在庫回転率を高めましょう。

在庫回転率が高い商品は不良在庫化しにくい商品といえますが、逆に高すぎると欠品につながる恐れもあり注意が必要です。定期的に在庫回転率を見直し、必要な商品を必要な分だけ発注するように心がけましょう。

在庫管理システムを導入する

在庫管理システムとは、商品の在庫情報や入荷・出荷情報を入力することで、過不足なく在庫管理ができるようにしたシステムです。なかには入荷・出荷の情報入力を自動化できるサービスや、請求書や見積書の作成などの販売管理機能を合わせたサービスも存在します。

上記の適正在庫を維持するために、在庫管理システムを導入することで管理業務の効率化も図れます。在庫管理システムを導入するメリットは、入出庫時の検品や棚卸時の在庫確認を素早く行えるだけではありません。在庫のズレの発生がわかりやすくなる、発注ミスを事前に防げるといった、リスク軽減のメリットもあるのです。

在庫管理システムには複数の種類があります。倉庫管理システムとして幅広い業務に対応したタイプは、製造業や物流企業におすすめです。ECサイトや通販向けのタイプは、在庫状況が自動で反映される機能など、在庫回転率の高い商品を扱う事業者に向いています。最低限の機能だけを搭載した小規模向けの在庫管理システムは、中小規模の事業者にもおすすめです。

不良在庫を解消できるおすすめの在庫管理システム

企業や店舗で適切な在庫管理ができていないと不良在庫が生じやすくなります。不良在庫を可能な限り削減することは、管理コストの抑制だけでなく節税対策や融資審査を通過しやすくなるといったメリットにつながるでしょう。

適正在庫や在庫回転率を意識し、セールや買取、廃棄といった方法で不良在庫を削減するのがおすすめです。また、在庫管理システムの導入も効果的といえます。

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例えば、ユビレジでの販売数は自動で在庫の入荷・出荷データに反映可能です。データは自動集計されるため、原価や廃棄数などのコスト管理も可能になるでしょう。その他、在庫変動傾向から在庫切れのタイミングを自動で計算し、事前にお知らせする機能もあります。

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