和食料理屋の開業資金の計画を作ろう

開業・経営

和食料理店を開業する時、一番ネックになってくるのが資金ではないでしょうか。スペースさえあればどこでも良いというわけではなく、和食店においては店内の雰囲気も評価の対象となるので、内装にこだわる必要もでてきます。

その他、店内のインテリアなどにも気を配る必要があるので、和食店の開業はかなりの資金がかかってくることを念頭に入れておきましょう。では、実際にどれくらいの金額がかかるのでしょうか。

そして、どのようにして経営指標などを出していけばよいのでしょうか。この記事では、和食店を開業する時の「お金」の悩みについて紹介していきます。

和食料理屋の主な経営指標とモデルケース

日本政策金融公庫研究所編による小企業の経営指標では、和食料理屋の月坪売上高は12万9000円と言われていますが、できれば15万円は売り上げるようにしたいです。また、月坪売上高が20万円になるといわゆる繁盛店になります。

例えば、月坪売上高が15万円の場合、20坪のお店の予定売上金額は300万円です。ただし、金融機関に提出する書類には控えめの数字を書いておいた方が無難でしょう。また、売上原価と人件費の合計は売上金の60%以下であることが望ましいと言われています。

実際に合計60%以下であるお店は少ないですが、シュミレーションを立てる時は原価率30%、人件費率30%になるようにしましょう。また、家賃は売上の10%以下、都市部や繁華街なら12%以下、それ以外は8%以下が目安となっています。

ただし、都心の駅周辺では月坪売上高が15万円で計算しても家賃が15%以下に収まらないことがあるので、その場合はお客さんの回転率やお客さんの平均単価などのデータを活用しながら考えていきましょう。

そして利益は売上の10%以上を目標にし、個人事業の場合は人件費にオーナーの給料を入れないようにしましょう。

さらに金融機関に借入の申し込みをする場合は12ヶ月分の月次収支予定表と詳細な事業計画書を添付した方が審査に通りやすいです。和食料理店や日本料理店は設備資金にどれだけお金をかけられるのか予想しづらいですが、しっかりシュミレーションをしておかなりと融資を受けることができません。きちんと考えておきましょう。

開業資金の融資制度について

和食料理店を開業するにあたり、利用できる融資制度は日本政策金融公庫の生活衛生貸付というものがあります。この制度を利用すれば設備資金において7200万円以内で融資を受けることができます。

また、女性もしくは30歳未満、または55歳以上の人を対象に女性、若者/シニア企業家資金というメニューがあり、金利面が少し優遇されます。

さらにこれにプラスアルファとして新創業融資制度を併用することができ、適用されれば1500万円以内で無担保、無保証人の借り入れをすることができますが、保証人なしの場合は保証人ありに比べて金利が1~2%ほど高くなります。

開業資金の相場と内訳

開業資金の相場ですが、店舗の大きさによってかかる費用が異なります。ただ、新規開業白書(日本政策金融公庫総 合研究所編)の統計によると、開業資金で一番多い数値(頻出値)は1000万円と言われています。また、平均は1800万円です。

内訳 は500万円以上1000万円未満、1000万円以上2000万円未満がそれぞれ30%程度で、500万円未満、2000万円以上がそれぞれ20%程度となっています。また、開業資金にあてる自己資金は開業資金の30%が平均で、貯金はもちろん、親の支援や友人からの借り入れ、公庫からの融資となっています。

開業資金の内訳としては、以下の3つに分けられます。

①店舗取得のための費用

開業するお店の保証金、仲介手数料、契約して開業するまでの家賃などです。また、居抜き物件の場合、設備を買い取る費用も発生します。

②店舗設計・施行等の費用

店舗のデザイン、設計料、内装や外装工事の費用、キッチン、水光熱費、空調、看板、家具類などの費用です。

③その他諸費用

その他の諸費用としては食器や調理器具、掃除道具、レジ関係の備品、仕入れ、事務用品、スタッフ採用のための広告費、観葉植物、装飾品などなどを指します。

物件を取得する時に考えなければならないことは家賃と保証金をいくらかければ良いのか。家賃に関しては上記でもお話した通りですが、保証金は家賃の10カ月以内が相場と言われています。

物件によっては半年くらいでOKの場合もあるので、交渉してみると良いです。地方になると3カ月でOKという場所もあるようですよ。また、物件取得費としては前家賃1か月分、仲介手数料1カ月分、保証金が6カ月~10カ月分となっているので、入居時に8~12か月分の家賃を用意しておかなければなりません。

融資を申請する時、物件取得費は設備資金に含まれます。ただし、厨房機器や内装工事費はここに含まれないので注意しておきましょう。そして、店内の客席数に関しては店舗面積1坪当たり、一坪あたり1.0~1.5席程度と言われています。

高級店であれば一坪あたり1.0に近く、一般的なお店になると1.3~1.5が目安です。例えば、1.5として20坪で計算してみると30席となります。

収入計画、資金計画の立て方

①売り上げ目標

収支計画と資金計画を立てるにあたり、まず最初にしてほしいことは売り上げ目標を立てることです。上記でもお話したように店舗面積1坪あたりの月坪売上高が15万円以上が望ましく、20万円以上で繁盛店になります。最低でも10万円以上はほしいところです。

計算方法としては

客平均単価 × 席数 × 回転数 × 月の営業日数= 月売上高

になります。

たとえば、

月営業日数30日

※ 月の休日4日、土日祝日は1.5日として換算

30日−4日+(0.5×8日〔土日祝日〕)

席数20席

昼食 平均客単価 1000円

夕食 平均客単価 3000円

回転数1

とすると、

1000×20×1×30=60万円

3000×20×1×30=180万円

となり、合計240万円が売上目標となります。

②材料費と人件費

次に材料費とに人件費の目標値を決めます。飲食業界において材料費と人件費はかなり変動し、経営上重要な指標となっています。この2つを合わせてFLコストと呼んでいるのですが、できれば売上の60%以内に収めることが望ましいです。

簡単に言うと売上が300万円とすると材料費と人件費は180万円いないに収めることが目標とされています。ただ、日本政策金融公庫の『小企業の経営指標』によると日本料理店のFLコストは約71%となっており、これをそのまま使ってしまうと後々苦しくなってくるかもしれないので60%以内に収めるようにして下さい。

③家賃

家賃は、上記でもお話したように売上金の10%以下の抑えることが理想です。

④利益目標を決める

他の諸景品を計算する前に利益目標を決めてしまいましょう。ここでいう利益目標とは償却前経常利益のことです。利益目標は売上の10%以上を目標にすると良いです。たった10%?と思った人もいるかもしれませんが、FLコストで60%、広告費や水光熱費、支払利息などを払っていくと10%も残すのはかなり大変です。

また個人事業主の場合、借り入れ申し込み時に金融機関に提出する予想損益計算書や月次収支予定表(12ヶ月分の記入)は、自分の給料を人件費に入れず に作成します。しかし、『小企業の経営指標』が個人事業と法人を区別していないため、比較検証の段階では、オーナー人件費も人件費に入れてシュミレーションしておきます。

ここで決める利益目標は10%以上かつ毎月の借り入れ返済額を上回っていなければなりません。

⑤その他諸経費の目標値の設定

最後にその他の諸経費を決めていきます。売上や人件費、目標利益などを先に決めておくことでその他の諸経費にいくら使えるのかがだいたい分かってきます。『小企業の経営指標』によると諸経費が約30%となっていますが、ここには家賃も含まれているので鵜呑みにしてはいけません。一般的には15%程度と言われているので気を付けておきましょう。

いくら使えるか分かったところで、水光熱費や通信費などの計画を立てていきましょう。

⑥返済のシミュレーションをしてみよう

最後に返済のシミュレーションを行います。売上から材料費(売上原価)、人件費、家賃、支払利息、その他の経費を差し引いた最終的な利益(当期利益)が、借入予定額の毎月の返済金額をこえているかをチェックしていきます。当期利益が毎月の予定返済額を上回っていれば大丈夫です。

また、個人事業主で金融機関に借入申込書を提出する時は借入申込書に添付する予想損益計算書・月次収支予定表(12ヶ月分記入する)は、オーナー給料を④の人件費覧に入れずに計算します。そのため当期利益は以下の通りになっていなければなりません。

当期利益(A)> オーナーの給料(B)〈最低月25万円はみておく〉+毎月の予定返済額(C)

※法人の場合は、Bは経費の中に計上されるため、A>Cとなれば大丈夫です。

返済計画を立てたらきちんとこの式に当てはまるかどうかチェックしておきましょう。もし、これに当てはまらない場合は最初から作り直しになります。

まとめ

以上が和食料理屋の開業資金計画の練り方だったり、融資方法となります。自分で全ての資金を集めるのは大変でしょうから、まずは、資金計画を作って、なるべくかかる費用を抑えた上で融資制度を利用すれば和食店開業のハードルは低くなることでしょう。

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