ラーメン店の海外出店を成功させるには

開業・経営

昨今、日本の大手ラーメン店の海外進出がメディアでも報道されるようになっていますが、その影響を受けて、様々なラーメン店も「うちも海外に…」と考えることも少なくないようです。

ラーメンは世界的に見ても知名度の高い食べ物ですし、全国に「ラーメン通」がいるのも事実。海外進出して一山あてれば、一獲千金も夢ではありません。ただ、世界で成功するのはそう簡単な話ではなく、日本で人気のラーメン店でも海外にでると思わぬ苦戦を強いられることも多いです。

そこでこの記事ではラーメン店の海外出店を成功させるためのポイントについてお話していきます。

ラーメン店の海外での出店方法と手続き

海外で出店するに際して、絶対に必要になってくるのが「開業手続き」となります。区内で出店する時も、この開業手続きは必要となっており、食品営業許可申請などが必要になるのですが、海外でも同じような手続きは必須となっています。

ただ、この手続き方法に関しては国によって違いがありますので、出店を考えている国が決まった後はしっかりと調べておきましょう。また、これとは別に絶対に調べておかなければならない項目があります。それが「外国人参集禁止業種」に規定されていないかということです。

ラーメン店の場合、該当しないケースがほとんどですが、一部の国では規定の対象になっているケースもあります。もし、外国人参集禁止業種に規定されている場合は、どれだけ頑張っても海外でラーメン店を開くことができないので気を付けて下さい。

海外での原材料調達、店舗内装、厨房機器の揃え方について

次に、海外での原材料調達などについて説明していきます。まずラーメンを作る原材料に関してですが、これは選び方が非常に難しいと言えるでしょう。なぜなら、使う原料によってラーメンの味が大きく変わってしまうからです。

例えば、国内でヒットしているラーメンであっても、その原材料が変わることによって味が大きく変わることが考えられます。つまり日本では「美味しい」と評判だったとしても原材料が変わることによって不評になるケースがあるわけです。

そうなってくると、海外でヒットすることは難しくなってしまいます。原材料に関しては多少コストがかかっても従来のルートで仕入れることをお勧めします。ただ、これは「絶対」でもないというのが難しいところです。

食べ物には国民性があるので、日本で使っている原材料で作ったラーメンはヒットしなくても、現地の材料を使うからヒットするケースも珍しくはありません。ラーメン店を海外で出す時は、現地の方がどういった味を好んでいるのか。そして、その味に現在の味がマッチしているかのリサーチは必要不可欠です。

次に店舗の内装に関してですが、これは、現地の業者に委託するのが一番早いです。基本的な委託方法に関しては国内での出店と大差ありませんので、なるべく一つでも多くの企業に見積もりをとって一番安い業者を選ぶのが理想です。

ただ、ここで気を付けたいのが、業者の「実績」となります。国内では考えられないことですが、海外になると手抜き工事や予定とは違った内装になったりすることも十分に考えられます。必ず業者の実績をみて、希望通りの内装にしてもらえるかどうかは確認する必要があるでしょう。

最後に調理器具の揃え方ですが、これは国内で購入して、それらすべてを海外に送ってしまうのが一番手っ取り早いと思います。料理職人にとって、使用する機材が変わってしまうのが一番避けたいところでしょうから、同じクオリティでラーメンを作るという意味でも、国内購入が賢い選択と言えるでしょう。

海外で効果的な集客方法とは

ラーメン店の出店目途がたったら次は集客のことを考えていかなくてはなりません。基本的には広告に頼った集客になると思いますが、ここもベースは国内と同じで、費用対効果の良い広告媒体を選び、出稿する流れとなります。

また、WEBとは別の集客も考えていく必要があります。その為に、出店を考えている地域において「効果的な媒体」があるかは調べておきましょう。国内で言えばホットペッパー的な位置づけにある媒体ですね。

もし、そういった媒体があれば、最初の内は広告を出して一人でも多くの方の目に触れるようにしておくのが理想です。そうすることによって、様々な経路からの集客が可能となってきます。

また、最近ではインスタグラマーからのインフルエンサーを狙う手法も効果的となっています。該当する地域で宣伝力の持つインスタグラマーがいれば、個人的にオファーを投げて宣伝してもらえれば、少ないコストで大きな集客効果を得るのも不可能ではないでしょう。

ただ、正直なところ、効果的な宣伝方法に関しては国や地域によって大きく異なってきますので、色々試してみるというのが正解にも思えます。「急がば回れ」という諺がありますが、最初から正解を見つけて近道するのではなく、最初は敢えて遠回りすることによって、今後を考えた時に最良の選択ができるようになることもあります。

ショッピングモールは出さない方が良い?メリット・デメリット

ラーメン店を海外で出店する場合、ショッピングモールという選択肢が出てくると思います。ただ、ショッピングモールに出すことは果たして正解なのでしょうか。ここにはメリットとデメリットがあるので、それぞれ説明していきたいと思います。

メリット

宣伝が楽ということがあります。ショッピングモール内に店舗を構えることによって、元々、ショッピングモールの持っている集客力を利用することができるために、上手くいけば広告を打たずに人を集めることが可能となります。

また、オープンしたばかりであれば、話題にもなりやすく行列ができれば、さらに注目を集めることができるので、お店の味さえ問題なければ、一気にリピーターを獲得することも夢ではないでしょう。

デメリット

ショッピングモールには、他の飲食店も出店しているので自然と競争が激しくなるということです。ラーメン店が1店舗だけであれば、ライバルはいませんが、他のラーメン店が出店しているような時は狭い範囲で競合が起きてしまうので、確実にお客を獲得できるとは言い難いです。

あと、ショッピングモールへの出店となってしまうと、店舗の家賃が高くなってしまいます。それを賄えるだけの集客ができれば問題はありませんが、人が集まらなかった場合は、開業時から赤字経営に陥るリスクすらあります。

また、ショッピングモールが人で溢れ返っていれば、集客にメリットとなりますが、さびれたショッピングモールの場合だとテナント料だけが高く、人が集まらないという最悪の事態になることも想定されます。

ショッピングモールに出店する時は、人でにぎわっているかどうか、さらには、他にライバルとなるラーメン店が出店していないか、もっと言えば、圧倒的な人気を誇る飲食店が存在していないかのリサーチは必ず行っていきましょう。

それで問題がなければ、ショッピングモールに出店することで、大きなメリットを得ることが可能となるでしょう。