新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、飲食店に対し時短営業要請を行う自治体が増えています。
特に夕食や飲み会などの夜の営業時間がメインである焼肉店や居酒屋、ラーメン店などにとってはただでさえコロナの影響で売り上げが減っている中で大打撃となる政策であり、対策が急務となっています。
その中で新たなビジネスとして「朝外食」が注目を浴びています。今回の記事では、朝外食のメリットと事例をご紹介します。
コロナ禍で朝外食に注目が集まっている
新型コロナウイルス感染拡大による時短営業要請により、飲食店は苦境に直面しています。その中でテイクアウトやデリバリーなど、新しいビジネスにより活路を切り開こうという動きも出ています。
「朝外食」もその一つで、時短営業要請に対応し、三密を避けるための新しいビジネスとして注目されています。「朝外食」には、店舗側にとっても、また顧客側にとっても、コロナ対策だけに留まらないメリットがあります。
店舗側のメリット
まずは店舗側のメリットをご紹介します。
時短営業要請に対応できる
時短営業の対象となる時間は、主に19~20時以降の夜間です。これは飲酒や接客を伴う飲食店において集団感染が発生する傾向が高いことが理由となっています。朝の営業に関しては制限がないことがほとんどです。
朝の時間から営業を行うことで、時短営業要請に対応しつつ、要請前と変わらない営業時間をキープできることから、店舗の有効活用、従業員の雇用維持につながります。
三密を避けられる
朝早くから営業を行いランチタイムを長めに設けることで、ランチ目的の来客を分散し三密を回避することができます。
新しい需要を開拓できる
新型コロナウイルスの感染拡大により、外出や外食自体を控えている人が増えています。たとえ時短要請が解除されたとしても、一度離れた顧客が再度来店してくれるとは限りません。
朝外食を行うことによる新しい需要の開拓は、ウィズコロナだけではなくアフターコロナにも非常に有効です。
顧客側のメリット
つづいて顧客側のメリットをご紹介します。顧客が朝外食のどのような点に魅力を感じているかをつかみ、より効果的な対策を行いましょう。
三密を避けられる
顧客側も長い自粛生活の中で思うように外食ができないことにストレスを抱えています。外食はしたいけれど、三密になる飲食店に行くのが怖いという人にとっては、朝外食は魅力的です。
ランチタイムやディナータイムと比較すると、人が少ないだけでなく一人で食べている「個食」が多いため、三密を避けやすくなります。
手間がかからない
「ホットペッパーグルメ外食総研」の調査報告によると、20~50代男女の約4割は「朝外食」をすでに行っています。その理由として、半数以上の人が「手間がかからない」ことを挙げています。
たとえトーストとコーヒーだけの朝食だったとしても、パンを焼いたりコーヒーを入れたり、使い終わった食器を洗ったりするのは手間がかかります。それに対し、朝外食は来店して注文すれば、温かくおいしい食事をすぐに食べることができます。
参考:HOT PEPPER グルメ外食総研調査「20~50歳代男女は朝、外食してる?平日に「朝外食をする」が約4割 理由は「手間がかからない」「非日常、気分転換」(2019.12.20)
「非日常」を味わえる
先ほどご紹介した通り、朝外食をする理由は「手間がかからない」という利便性にあります。しかしそれだけではなく、朝食を飲食店で食べるという「特別感」にも魅力を見出している人は数多くいます。
前述の調査によると、朝外食を行う理由の第2位は「非日常的な気分になれる、気分転換」であり、約半数の人が朝外食の非日常的な雰囲気に魅力を感じていることが分かります。このようなちょっとした贅沢感も、朝外食には必要な要素であることを押さえておきましょう。
参考:HOT PEPPER グルメ外食総研調査「20~50歳代男女は朝、外食してる?平日に「朝外食をする」が約4割 理由は「手間がかからない」「非日常、気分転換」(2019.12.20)
「朝外食」需要アップの背景にあるライフスタイルや社会の変化
新型コロナウイルスの感染拡大や「働き方改革」を始めとしたライフスタイルや社会の変化により、朝外食の需要は今後さらに増していくと考えられます。朝外食需要に影響を与える要因をいくつかご紹介します。
働き方改革や新しい生活様式によるワークスタイルの変化
働き方改革やウィズコロナによる新しい生活様式の推進により、テレワークやフレックスタイム制など、新しいワークスタイルが浸透しつつあります。
ラッシュを避けた時差出勤により、朝余裕を持って出勤できる、テレワークのためカフェなどの飲食店で仕事をする機会が増えたというように、出勤時間の縛りが少なくなったワークスタイルにより、朝外食のニーズが高まっています。
個食の日常化
1999年ごろから聞かれるようになった「おひとりさま」という言葉が示す通り、「一人焼肉」や「一人カラオケ」など、一人で食事や娯楽を楽しむ人が増えています。
さらに現在では新型コロナウイルス感染拡大を受け、外食は「大勢で会話を楽しみながら行うもの」ではなく、「一人で静かにするもの」という考えが浸透しつつあります。その中で個食のニーズは今後高まり、朝外食という形で日常化すると考えられます。
女性の社会進出
女性の社会進出、特に子育て世代の女性の就業率が増加しています。育児や家事で忙しく、家庭内で朝食をゆっくりとる時間がない女性にとって、朝外食はとてもありがたい存在になることでしょう。
家でも会社でもない空間で食事をすることでリフレッシュし、気持ちを切り替えることができます。
外国人人口の増加
働き方改革の一環として推奨される「ダイバーシティ経営」は、国籍や性別にとらわれない多様な人材を活かし、生産性の向上や事業改革につなげようとするものです。それにより、外国人の人口が増加し飲食店への需要は変化しつつあります。
国によっては、朝食は飲食店で食べるのが当たり前というところもあります。朝外食はそうした外国人のニーズに応え、新たな顧客を得る手段にもなります。
「朝外食」の事例
最後に、すでに朝外食を始めている飲食店の事例をご紹介します。
ご紹介するのはラーメン、焼肉、寿司と、従来の考え方では朝食として扱われないものばかりです。しかし固定観念にとらわれずに挑戦したことで、朝外食という新しいビジネスチャンスを掴むことができました。
これらの事例をぜひ参考になさってください。
※販売時間やメニューは変更になる場合があります。詳細は各店のホームページにてご確認ください。
ラーメン店
朝からラーメンを食べる「朝ラー」はウィズコロナ以前から行われていました。特に有名なのは静岡県藤枝市を中心とした静岡の一地方で、なんと戦前から朝ラーの習慣があったというのですから驚きです。
ラーメンというと、こってりしていて重いため朝食には向かないというイメージがありますが、脂と塩分が体を温め活力を与えてくれることから、意外と朝食向きなのかもしれません。
現在ではさまざまなラーメン店が時短営業要請を受け、「朝ラー」に取り組んでいます。その中から、「幸楽苑」の事例をご紹介しましょう。
幸楽苑は昭和29年創業、関東地方を中心に451店舗(2021年2月現在)を展開する大手老舗のラーメン店です。幸楽苑の「朝ラー」は午前8時から10時45分まで、朝限定のメニューを提供しています。
ラーメンに卵かけごはんとおひたしのついた「朝定食C(税込600円)」をはじめ、卵かけご飯の代わりにおかゆがついた「お粥セットC(税込600円)」や、ラーメンの代わりに野菜スープがついた「朝定食A(税込400円)」など、ヘルシーメニューも豊富に取り揃えています。
また、糖質が気になる人のために低糖質の「ロカボ麺」を用意。価格据え置きで普通麺をロカボ麺に変更できるサービスを行っています。朝からしっかりラーメンを食べたいという人だけではなく、ヘルシー志向の人の心まで捉える魅力的な「朝ラー」です。
参考:幸楽苑の「“朝ラー”」
焼肉屋
夕食や飲み会の定番である焼肉屋も、時短営業要請の影響から朝外食に活路を見出そうとしています。有名な事例として、「焼肉ライク」の朝焼肉をご紹介します。
焼肉ライクは「焼肉のファーストフード」というキャッチフレーズのもと、注文を受けてから3分以内の提供スピードと、個食に向いた1人1台のロースター設置をしていることが大きな特長です。焼肉ライクは、忙しい朝に一人で食べる「朝外食」に合致した特長をもともと備えていたといえます。
メニューは、バラカルビ100g・ごはん・スープ・味付け海苔の「朝焼肉セット」に、生玉子かキムチどちらか好きな方を選べて500円(税抜)という安さです。忙しい朝にすぐに提供され、朝から焼肉を食べられるという利便性と非日常空間を併せ持つことから人気を集めています。(販売時間は店舗によって異なります)
回転寿司
提供の早さと手軽さが魅力の回転寿司は、実は朝外食に向いた飲食店であるといえます。ラーメンや焼肉と比較するとヘルシーな印象もあり、老若男女問わず好かれるメニューであることも強みです。
大手回転寿司店である「かっぱ寿司」では、一部店舗において午前8時から11時(土日祝は10時)まで朝メニューを提供しています。おにぎりや海鮮丼といったメインから一品、うどん・味噌汁・ラーメンから一品選べるうえ、トッピングやコーヒー・デザートも充実しており、好みや体調によって自由にメニューを組み合わせることができます。
おにぎりセット+朝の海苔入りうどんで290円(税抜)と価格もリーズナブルです。現在は静岡・愛知・岐阜・奈良の一部店舗のみですが、今後全国展開も検討しているということで、回転寿司店で朝外食を楽しむ風景が日常のものになるかもしれません。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店は売り上げの低下・時短営業要請という苦しい局面にあります。しかしその中で新たなニーズを見出し、活路を切り開くために「朝外食」に取り組む店舗も数多くあります。朝外食は働き方改革や新しい生活様式に適した食シーンとして注目を浴びており、今後ますますそのニーズは高まると予想されます。
朝外食を始める際に気をつける点は、「利便性と非日常性の両立」にあります。単に早い・手軽というだけではなく、朝から豪華な食事を食べられるという点に朝外食の魅力は隠れています。その点に注意して、「朝外食」を始めてみてはいかがでしょうか。
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