美容室の利益率の目安とは?計算方法や必要経費、営業利益率を上げる方法

開業・経営

美容室の経営に携わる中で、売上とともに気になるのが利益率です。いくら売上が上がっても、利益率が低いと経営がひっ迫してしまいます。そこで本記事では、美容室の利益率について解説していきます。営業利益率の計算方法や利益に直結する必要経費、営業利益率を上げる方法についてポイントを紹介します。

本記事の内容を理解し、利益率の高い美容室経営を目指しましょう。特にこれから独立・開業を考える方は、事前にこれらのシミュレーションをしておくことが重要です。

利益率とは?

利益率とは、売上高に対する利益の割合です。利益の中でも売上高総利益率、営業利益率、経常利益率があります。それぞれの違いを正しく把握しておきましょう。

売上高に対する利益の割合

利益率とは、売上高に対して、利益がどのくらい出ているかの比率のことを指します。利益額を売上高で割ることで求められます。ここでいう売上高とは、美容室経営に関わる売上の総額のことです。

美容室を経営する場合「店舗の利益率」の理解が必須と言えます。どこでどの程度の利益が出ているのかを把握できるためです。

利益率の具体例

把握したい内容に応じて売上高総利益率、営業利益率、経常利益率があります。

売上高総利益率(粗利益率)

売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100
売上総利益=売上高-売上原価(材料費)

売上総利益は「粗利益」「粗利」とも呼ばれ、最もおおまかな利益指標です。売上高総利益率は、売上高から原価(材料費)を引いたものを売上高で割ったものですので、変動する要素は、「売上高」と「売上原価(材料費)」の2つです。

美容室の場合、売上高は主に施術料や店頭販売する商品の売上が該当します。一方売上原価(材料費)には、シャンプー剤やカラー剤などの主に髪を手入れする薬剤や道具の材料の仕入れ価格が該当します。

例えば、売上高が100万円でシャンプーやカラー材など営業に必要な売上原価が10万円の場合、

◆売上総利益=100万円(売上高)-10万円(売上原価)=90万円

◆売上高総利益率=90万円÷100万円×100=90%

となります。

営業利益率

営業利益率=営業利益÷売上高×100
営業利益=売上総利益-(販売費+一般管理費)

営業利益率は、本業のもうけのことです。売上高から、営業をしていく上でかかった費用を全て差し引いた後に残った利益の割合と捉えましょう。営業利益率は、経営状態の良しあしを判断するための重要な目安となります。売上総利益から、販売管理費(販売費+一般管理費)を引いて算出します。

販売費および一般管理費とは、営業に必要な全ての経費のことです。美容室の場合、人件費や水道光熱費、家賃、広告宣伝費などにあたります。

例えば、売上高が100万円で売上総利益が90万円、人件費や水道光熱費、家賃など販売管理費が70万円の場合、

◆営業利益=90万円(売上総利益)-70万円(販売管理費)=20万円

◆売上高総利益率=20万円÷100万円×100=20%

となります。

経常利益率

経常利益率=経常利益÷売上×100
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

経常利益とは、営業利益に本業以外から得た利益(営業外収益-営業外費用)を加えたものです。営業外収益とは、本業以外のもうけのことです。美容室経営においては、外部で行ったセミナーの収入や、講師をした美容学校からの収入などが該当するでしょう。

例えば、売上高が100万円で営業利益が20万円、営業外利益が10万円の場合、

◆経常利益=20万円(売上総利益)+10万円(営業外利益)=30万円

◆経常利益率=30万円÷100万円×100=30%

となります。

美容室の営業利益率の目安

前述のように利益率には主に売上高総利益率、営業利益率、経常利益率がありましたが、美容室経営で最も大事な本業のもうけを把握するには、営業利益率を管理しておくことが重要です。美容室が最終的に得られる利益に近い金額になるのが営業利益だからです。

美容室の場合、どの程度の営業利益率を目指すべきなのでしょうか。美容室の営業利益率の目安と、営業利益率に関わる経費の例を紹介します。

美容室の営業利益率の平均

一般的な美容室の営業利益の平均は、16/9%程度(※)が目安となります。店舗の規模などによっても安定した経営に必要な営業利益率が変わるため、あくまで目安として参考程度にすると良いでしょう。

※参照資料:理容業の平均経営モデルについて(1) | 厚生労働省

美容室の営業利益率に関わる経費の例

人件費

美容室は、美容師が髪の手入れに関する施術を行うために経営するものです。美容師の存在が欠かせないため、人件費が経費の多くを占める傾向にあります。一方で人件費の支出を抑えるだけでなく、美容師の定着率をたかめるためには競合他社美容師の年収をリサーチし、適正な給与とすることも必要でしょう。

水道光熱費

美容室の施術でシャンプーやドライヤーが含まれることが多いため、水道や電気、ガスを使う機会が多いのも美容室の特徴です。また、美容室の室内を快適な温度に保つためには空調も必須なため、水道光熱費が増大する傾向にあります。

家賃

店舗を借りて美容室を経営する場合は毎月の家賃もかかります。美容室のある地域や立地によって、家賃の相場は大きく変わります。経費に占める割合の大きな固定費となるため、慎重に検討しましょう。

広告宣伝費

集客のために広告や宣伝をする場合は、広告宣伝費が必要となります。広告宣伝費には、例えば店の近隣の住人にお店の存在を知ってもらうためにチラシを配布する費用や、幅広いエリアから集客するためにWebに広告を掲載する費用などが該当します。

材料費

材料費には、シャンプー剤やカラー材、パーマ液などの仕入費用が該当します。シャンプー剤やカラー剤などは、施術の仕上がりに影響するため、製品の品質も多様で値段は幅広く存在します。

品質と費用を考慮して、美容室店舗のコンセプトや価格帯にあった製品を使用すると良いでしょう。

美容室の営業利益率(売上高)を上げる方法

そこで、助成金や補助金を利用すれば、返済義務がありません。受給には審査が必要ですが、助成金や補助金を受け取ることができれば店舗の開業はよりスムーズに進みます。

これまで美容室経営に重要な営業利益率の算出方法や目安、また営業利益率に関わる経費項目の概要を見てきました。美容室の営業利益率を上げるにはどのようにすればよいのでしょうか。昨今、経費が高騰する傾向にあるため、ここでは主に売上高を上げる方法の例を紹介します。

新規顧客を獲得するとともに、獲得コストが少なく営業利益率の高い既存顧客の来現頻度向上や顧客単価向上にも力を入れるのが重要です。

新規の顧客を獲得する

検索エンジンで上位表示される工夫をする

SEOやMEOの対策をして、検索エンジンで上位表示されるようにします。検索エンジンで検索して美容室を探している人の目に留まりやすくするためです。Webで美容室情報を見て来店する人が多いため、店のHPの内容や美容室検索サイトに載っている店の情報も充実させることが大切です。

複数の美容室の情報を扱っている予約サイトに掲載する

決まった美容室ではなく、予約サイト経由で美容室を探している人を獲得するには、予約サイトに店舗を掲載し、目に留まりやすくします。美容室の情報を掲載している予約サイトは複数あり、予約サイトごとに特徴があるため、店に合ったサイトを検討すると良いでしょう。

SNSで情報を発信する

総務省の調査によると、日本人の約8割がSNSを利用しています。SNSで情報を発信することで、SNSを使って情報の検索をする人にお店の存在を知ってもらえる可能性があります。例えばInstagramで得意なヘアデザインやヘアカラー、ヘアセットなどの店の特徴を発信するなど、施術内容がイメージできる情報を発信するのもおすすめです。

【出典】令和3年通信利用動向調査の結果(総務省)

URL: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdf

リピーターの来店頻度を上げる

新規顧客の獲得とともに重要なのが、リピーター顧客に対する戦略です。例えばリピーター顧客のリピート率を高め、来店頻度を上げる工夫などに取り組みましょう。
具体的には、

  • 来店時に次回の予約を促す
  • メールやDMを定期的に送付して店への来店を促す
  • 短期間内の再来店に特典をつける など
  • 次回2カ月以内の来店で割引やヘアケア用品をプレゼントするなど

といったような取り組みが考えられます。
上記のような来店頻度向上に加え、カットやカラー以外にもトリートメントの施術メニューを拡充するなど、顧客単価を上げる試みも効果があるでしょう。

営業利益率を管理して、安定した美容室経営へ

本記事では、美容室の利益率、特に本業のもうけである営業利益率や、その計算方法について説明しました。また、営業利益に直結する必要経費や、営業利益率を上げる方法についてもポイントを紹介しました。美容室経営には、新規・既存顧客を増やすだけではなく、適正な原価や経費管理も必要です。原価率管理や経費項目の見直しなども定期的に行い、場合によっては原価低減や経費削減などコストカットにも取り組むことが重要です。月次・四半期・半期・年間など定期的に管理し、コストアップが発生していないかなどチェックをするのも有効です。営業利益率の高い美容室経営を目指しましょう。

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