在庫回転率を把握して無駄を省くにはどうしたらよい?

開業・経営

在庫管理をする料理人

「飲食業において、在庫回転率を検討する必要性はあるのか?」

この問に対して、いくらか疑問に持たれた飲食店オーナーの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、飲食店を経営するうえでは、在庫回転率についてしっかりと把握することも大切な経営管理指標のひとつとなります。この在庫回転率を把握するかしないかで、長期的な店舗経営の継続と成長に、少なからず影響を及ぼす恐れもあります。

今回は、そんな在庫回転率の算出方法やその重要性についてご紹介いたします。

在庫回転率とは

在庫イメージ

在庫回転率とは在庫のレベルを見る指標で、在庫が1年間に何回入れ替わっているか(回転しているか)を表します。次項で紹介する算式で計算した結果、たとえば在庫回転率が2回であったとすると、在庫が1年間で2回入れ替わっているということになります。つまり、6カ月で売上になっているということですが、この例は極端となり飲食業では長すぎますし、鮮度も何もあったものではありません。

在庫回転率は大きい数字に越したことはなく、小さい数字ということは在庫が何か月も滞留していることを意味します。つまりその在庫にかかった費用(現金)は売上にかわっていません。つまり現金が長期間、在庫という原材料・商品に形を変えて眠っているということです。これでは商売は活性化していない状態だと言えるでしょう。

さて、在庫回転率とは在庫のレベルを見る指標だと上述しましたが、「比較する」ということが大事になってきます。何と比較するかと申しますと

  • 同業他社との比較 = 競合する他社と比べて自社のレベルの優劣はどうなのか?
  • 自社における過去の数値との比較 = 自社数値の過去からの推移は良くなっているか?あるいは悪化しているのか、それとも横ばいか?

といった視点で検討してみることが大事です。

そして検討した結果が悪ければ、そのまま放置せず必ず原因を追及し改善に結びつけなければなりません。

在庫回転率の算出方法

在庫回転率算出イメージ

在庫回転率を算式で示しますと下記となります。

在庫回転率(回)= 年間売上 ÷ 平均在庫金額(棚卸資産)

※平均在庫高 =(期首在庫高 + 期末在庫高)÷ 2

その意味するところは上述していますが、たとえば在庫回転率が2回ということは、在庫が1年間で2回入れ替わっているということです。在庫が多い、あるいは少ないという場合、在庫回転期間でもみることができます。

在庫回転率は在庫回転期間の逆数であり、上記の例で言いますと、在庫回転率が2回ということは、在庫が1年間で2回入れ替わっているということから、

・在庫回転期間 = 365日 ÷ 2回 ≒ 182日

となります。

在庫回転率と在庫回転期間、どちらも在庫のレベルをみる指標ですが、在庫回転率の方がよく利用されているようです。

適正な在庫回転率とは

在庫を回転させるイメージ

業態 在庫回転率
高級イタリアンレストラン 2.3回
回転寿司店 33.8回
ファミリーレストラン 7.5回

上の表は上場企業で財務データが公開されている企業のうち、業態の異なる3つの企業の在庫回転率を示したものです。一口に飲食業と言っても、図表1のように業態を3つに分けた場合、かなり違った回転率になります。

高級イタリアンは、棚卸資産として高価なワインをたくさん保有しているため在庫回転率は小さくなり、回転寿司店は生鮮食材を扱っているため在庫回転率は大きくなります。ファミレスは業態から考えると、冷凍食材を使用するので在庫回転率はやや小さくなっています。

以上のように、業態によって在庫回転率は異なるため、業態を念頭において適正な在庫回転率を設定する必要があります。

さてここで、より在庫管理をやりやすくするための方法を提案したいと思います。在庫回転率は「年間売上 ÷ 平均在庫金額(棚卸資産)」でしたが、これを変形してみましょう。

適正(目標)在庫高 = 自店(自企業)の1年間の売上 ÷(目標とする企業の)在庫回転率

この算式により、適正な在庫高を算出し、現在の実在庫高と比較することにより、効率的な経営を行っているか否かがわかります。

在庫回転率を適正にする方法

在庫回転率を適正にする経営者

飲食業においては、「材料費」と「人件費」が売上原価に大きく影響してきます。その中でも特に食材の在庫管理が大切になってきます。というのは、在庫管理がいい加減になると、廃棄ロスにつながり原価率に悪影響がでてくるからです。

適正な在庫管理をするためには、お店にとって適切な在庫回転率を設定して、その在庫回転率を基に在庫を管理する必要があります。具体的には、適正在庫回転率より現状の在庫回転率が下まわっていれば、消費期限切れなどで廃棄ロスが生じる可能性が高くなるため、発注量を減らすなどの対応をします。

また在庫管理という業務をもう少し細かく説明すると、在庫の数量を把握する「棚卸し」ということにもなります。在庫の数量を把握する棚卸しは経理的に必要であるばかりでなく、それ以外にもいろいろな面でお店のレベルアップにつながります。棚卸しの実施は通常、月1回程度かもしれませんが、できれば毎週、可能であれば毎日でも行う方がいいでしょう。

棚卸しを頻繁に行うメリットとしては、日々在庫を把握することを習慣づけることで、お店の環境整備にもなります。また数量をキッチリ把握しておけば、過剰な発注をすることもなくなります。何より飲食業の基本は、お客様に新鮮な食材を提供することであり、在庫回転率をチェックしていけば何がはけてないかは一目瞭然です。不人気なメニューを改善することで、お客様に喜んでもらうメニュー開発へとつながっていくわけです。

まとめ

在庫を確認する料理人

いかがでしょうか。

飲食業に限らず、どの業種・業態においても少し油断すると在庫はどんどん膨らんでいきます。片や、経営者からの指示・統制が行き届いていると、現場サイドはシビアに対応するものであり、良好な数値が維持されるものです。

自分の業態・店舗にあった在庫回転率を設定し、しっかりチェックをおこない、店舗の繁栄へつなげていきましょう。

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