
薬膳と聞くと、漢方薬を使った苦そうな料理をイメージしがちですが、実は漢方薬そのものを使うわけではありません。薬膳とは、季節の野菜や魚肉などからその人の体質・体調に合ったものを選び、味もその人に合わせて作られる食事のことを指します。最近では、薬膳を提供するレストランが増え、気軽に利用されるようにもなっています。
そこで今回は、薬膳をメニューに取り入れる際に押さえておきたい基本的な考え方と、食材の組み合わせ方のポイントについて見ていきましょう。
薬膳とは
薬膳という言葉が日本で一般に広まったのは、つい最近のことであるとされています。しかし、中国での起源は古く、紀元前10世紀頃の周の時代にはすでに存在していたといわれています。当時の王朝には「食医」という官職が置かれ、食事を通して皇帝の健康管理を担っていました。
中国では医師を「工(こう)」と呼び、上工、中工、下工の3ランクに分けていました。上工は「未病のうちに対処して大きな病気になるのを防ぐ医師」、中工は「病気になってから治療を施す医師」、下工は「間違った診断で病気を悪化させ、重症になってから処置を施す医師」のことを意味します。
いうまでもなく未病のうちに対処する上工が最も優れていることから、最高位の医師として皇帝の健康管理にあたり、敬意と信頼を集めていました。この上工が考案した食事こそが、薬膳のベースになっています。
薬膳にはどんな効果・作用がある?
薬膳は、五味五性(ごみごしょう)」という考えに基づいています。
「五味」とは、味には酸、甘、苦、辛、鹹(かん)の5つの性質があり、それぞれに五臓(心、肺、腎、肝、脾)の機能を高める作用があるとされ、下記のように分類されます。
五味 | 作用 | 主な食材 |
---|---|---|
酸(すっぱさ) | 筋肉や内臓を引き締める作用。肝臓の機能を高める | いちご、キウイ、レモン、梅、酢 |
甘(あまみ) | 筋肉の緊張をゆるめる作用。胃腸の機能を高める | ブロッコリー、卵、しいたけ、豚肉 |
苦(にがみ) | 血液循環をよくする作用。心臓の機能を高める | 緑茶、あんず、ごぼう、らっきょう |
辛(からみ) | 発汗作用。肺の機能を高める | しょうが、にんにく、大根、わさび |
鹹(塩からさ) | 排泄作用。腎臓の機能を高める | わかめ、あさり、いか、味噌、醤油 |
「五性」とは、食べ物には体を温めたり冷やしたりする作用があると考え、熱、温、涼、寒、平の5つの性質に分類したものです。熱と温は体を温め、涼と寒は冷やす作用のある食材で、平はそのどちらにも属さない食材を指します。
五性 | 作用 | 主な食材 |
---|---|---|
熱 | 内臓を活性化し、エネルギー代謝を高める作用 | かぼちゃ、玉ねぎ、ねぎ、牛肉、にんにく、にら |
温 | 体をゆるやかに活性化する作用 | 小松菜、ライチ、もち米、あじ、さば、鶏肉 |
涼 | 活性化しすぎた体を鎮める作用 | ほうれん草、かぶ、みかん、豆腐、カニ、エビ |
寒 | 水分を補い、炎症やほてりを鎮める作用 | すいか、りんご、なし、海藻、貝類 |
平 | 活性化する作用も鎮静化する作用もない | いも類、豆類、白米、卵、きのこ類、さんま |
五味五性の作用は、その人の体質に合わせることでさらに効率よく取り入れることができます。体質は「熱性」と「寒性」に分けられ、顔色や舌、症状を観察することで判別することができます。
性 | 現れやすい症状 |
---|---|
熱性 | 顔が紅潮している、ほてり、口渇、、多汗、寝汗、不眠、舌先が赤い、イライラしやすいなど |
寒性 | 顔色が青白い、手足の冷え、体温が低い、食欲不振、下痢、むくみ、舌が白い、倦怠感など |
熱性の人は、相対する「涼・寒」の食材を、寒性の人は「熱・温」の食材を中心に、味も考慮してメニューを作るようにします。
また、季節に合わせることも薬膳では大切にします。体が熱をもちやすい夏は、「涼・寒」の性質をもつ食材を用いて体のほてりを冷まします。寒い季節は「熱・温」の性質の食材で、体の内側から活性化させます。
薬膳メニューのポイント
薬膳とは薬草や漢方薬を入れた料理のことではなく、ふつうの野菜や魚肉類を組み合わせることで薬のような効果が得られる料理のことです。自然界のあらゆる食物に効能があるという考えですから、組み合わせ方を工夫するのが薬膳です。とはいえ、あくまでも料理なので、おいしく食べられることが重視されています。
「おいしい」と感じると、人間は自律神経の副交感神経が活発になり、胃腸の働きが高まり消化吸収もよくなります。
レストランの薬膳メニューでポピュラーなものといえば、薬膳カレー、薬膳スープ、薬膳鍋です。これらには、スパイスとして生薬が使われます。生薬とは、薬効のある植物の花や葉、根、枝、昆虫、菌類、鉱物などを乾燥させることで保存しやすくしたものです。ちなみに、漢方薬はこれらの生薬をその人の体質(証)に合わせて調合した薬のことです。
次に、薬膳で用いられる代表的な生薬の効能と使い方を紹介しましょう。
- 枸杞子(くこし)
クコの実と呼ばれるナス科の植物。タンパク質を構成するアミノ酸、カルシウム、リンなどが豊富で、おかゆに入れたり、デザートやお酒に入れるといった使い方が一般的です。 - 陳皮(ちんぴ)
みかんの皮を乾燥させたもので、日本では七味唐辛子やカレー粉の原料に使われています。陳皮に含まれるヘスペリジン(ポリフェノールの1種でビタミンPと呼ばれる物質)にはコラーゲンの合成を促進する作用があり、美肌を保つ効果が期待されています。爽やかな香りでクセがなく、さまざまな料理に利用できます。 - 蓮子(れんし)
蓮(はす)の種から発芽した緑色の胚芽のことで、ハスの実とも呼ばれています。古くから婦人科系の病気や自律神経の乱れを改善するための生薬として利用されています。炎症を鎮める作用もあり、関節痛にも効果があります。おかゆ、炊き込みごはん、煮物、炒め物などに使います。 - 甘草(かんぞう)
マメ科の植物である甘草にはサポニンやイソフラボンが含まれており、ホルモンバランスを整える働きや、活性酸素を除去する働きもあります。甘さは砂糖の50~80倍もあり、甘味料として幅広く使われています。 - 銀耳(ぎんじ)
白きくらげのこと。中国では昔から美容効果が知られていて、楊貴妃も好んで食したと伝えられています。食物繊維が豊富でクセがないので、生でサラダに入れたり、スイーツに使うこともあります。 - 山査子(さんざし)
バラ科の植物で、ポリフェノール、ビタミン、ミネラルが豊富です。冷え性の改善や、肌のターンオーバー(新陳代謝)を正常にする働きがあり、若々しさを保つ効果が期待されます。肉や魚を山査子と一緒に煮ると、骨までやわらかくなります。
よく使われる生薬をいくつか紹介しましたが、食物アレルギーのある人には避けなければならないものもあります。お客様に提供する際は、事前にアレルギーの有無を確認するようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
薬膳や生薬というと、中国の古めかしい食養生と思われるかもしれません。しかし、添加物を使った加工食品があふれる現代だからこそ、健康志向をコンセプトに薬膳メニューを取り入れてみるのも一つの手ではないでしょうか。薬膳について基礎的なことをマスターしたいという方は、通信講座を利用する方法もあります。詳細はホームページで問い合わせてみてください。
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