
火や水を日常的に使い、生の食材を調理する飲食店にはさまざまなリスクがつきまといます。そのため、もしものときに備えて保険に加入することは必要不可欠ですが、保険といっても多種多様です。
そこで今回は、飲食店に必要なのはどのような保険か、どのような場合に補償されるのか、失敗しない保険の選び方などについて詳しく解説していきます。リスク管理の基本として参考にしてみてください。
飲食店で起こる可能性がある問題とは
飲食店を運営していくうえで最も警戒しなければならないのは、食中毒です。保健所による検査の結果、食中毒の発生施設と断定されれば、被害者に対して高額の賠償をしなければなりません。そのほかにも、厨房からの失火や水漏れ事故なども起こりがちな問題です。どの場合も多額の損失を伴いますから、万一の事態に備えておくようにしましょう。飲食店で想定される具体的なリスクは、以下のようなことがあげられます。
食中毒
食中毒の発生源であると保健所から断定されると、被害者に治療費、入院費、交通費、休業損害金、慰謝料などを支払わなければなりません。食中毒の怖いところは、一度に多くの被害者が出てしまうことです。被害規模によっては、数百万円から数千万円に及ぶともいわれます。保健所から営業停止処分が下されて休業せざるを得なくなると、ダメージの大きさは計り知れません。
従業員によるお客様の負傷
飲食店で起こりがちなトラブルの1つに、お客様の「やけど被害」があります。ステーキの乗った鉄板を落とした、熱いうどんの入ったどんぶりをひっくり返したなど、スタッフの配膳時のミスでやけどを負わせてしまうケースです。
衣服を汚してしまった程度なら、クリーニング代で納得してもらうことも可能ですが、明らかにやけどを負わせてしまったと分かる場合は、流水で応急手当てをするとともに、一刻も早く病院に搬送しなければなりません。その後、完治するまでの治療費や交通費は全額負担し、慰謝料も支払うのがお店としての責任です。
火災や水漏れによる損害
天ぷら油に引火したり、ダクトに堆積していた油に引火したりして厨房設備や什器備品が焼失してしまうと、営業再開までに多大な費用と時間を要することになります。自分の店からの失火ではなく、隣家からの延焼ということもありますから、あらゆる事態に備えておくことが必要です。厨房のシンクやトイレの詰まりによって階下に水漏れの被害を与えた場合も、補償しなければなりません。
そのほか、場所によっては店の看板が落下して通行人を負傷させたり、車が店内に飛び込んできたりして損害を被ることも考えられます。
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飲食店が入っておくべき保険とは
個人で加入する保険の場合は、自分や家族を守ることが目的となります。一方、事業用の保険は、自分よりもお客様のための備えと言えます。以上の視点を持って、自分のお店にはどんな保険が必要かを判断するようにしましょう。次に、飲食店に多いリスクに対応できる保険をあげておきますので、検討してみてください。
PL保険
PLとは、Product Liabilityの略で、製造物責任という意味です。製造または販売した商品、及び、行った業務の結果が原因で、消費者が身体または財物に損壊を被った場合、被害者に対して損害賠償責任を負うものです。治療費や交通費、慰謝料はもちろん、原因調査費、事故発生時の応急措置にかかった費用、弁護士費用、和解に要する費用なども含まれます。
飲食店においては、次のようなケースが対象となります。
- お店が提供した料理で食中毒が発生した
- 作り置きしていた料理が腐敗していたことによって、食中毒が発生した
- 従業員に感染症の保菌者がいて、料理を介して感染させてしまった
- 料理に異物が混入してお客様にケガを負わせた
次のようなケースでは対象外となります。
- 店側に重大な過失や法令違反があったと認められる場合
- 店側の故意によって発生した場合
- 料理に使用した原材料に腐敗などの問題があった場合
店側の重大な過失や法令違反とは、焼き肉店を例に説明すると、牛の生レバーや豚の生肉を禁止されているにもかかわらず提供したような場合です。この場合は法令違反となり、補償を受けることができません。
施設賠償責任保険(施設賠)
事業用の賃貸借物件の所有者、または管理者が加入できる保険である施設賠償責任保険では、次のようなケースが対象となります。
- 配膳中のミスでお客様にやけどを負わせた
- 店内のインテリアが落下してお客様にケガを負わせた
- お客様から預かった高級なコートを誤ってほかのお客様に渡してしまい、戻ってこなかったため時価額を弁償した
- お客様にワインをかけてしまい、クリーニング代を支払った
- トイレの詰まりで水漏れ事故を起こし、階下に損害を与えてしまった
- 外壁に設置していた看板が腐食で落下し、通行人にケガを負わせてしまった
- 調理中の不注意で火事になり、近隣にも損害を与えてしまった
このように、施設賠償保険はお客様や通行人、近隣住民など第三者に対する損害賠償が生じたときに役立つ保険です。
借家人賠償責任保険(借家陪)
この保険は、補償の対象が賃貸借物件のオーナー(大家さん)に限定されているものです。火災で店舗が焼失した場合に、大家さんの財産を補償することを目的とした保険です。ただし、この保険は単独で加入することができず、ほかの火災保険のオプション(特約)としてつけることで加入できる仕組みになっています。
店舗休業保険
近隣火災や台風被害などで、一定期間休業を余儀なくされることがあります。無収入状態が続いても、家賃や人件費などの費用はかかってしまいます。そのため、徐々に資金繰りに困り、そのまま廃業に追い込まれてしまうケースも少なくありません。そのような事態を避けるために加入しておきたいのが、店舗休業保険です。これは、通常の営業で得られる利益を補償してもらえる保険となります。
休業理由として認められるのは、火災、浸水被害、電気・ガス・水道などインフラ関係の事故で営業できない場合です。お店側の重大な過失によって休業に至った場合は、補償の対象になりません。
店舗の保険はどうやって契約すればいいのか
保険に加入する方法には、保険会社との直接契約、代理店契約、インターネット契約の3通りがあり、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあげられます。
直接契約の場合
- メリット……保険会社の社員が対応するので、保険内容について詳しく説明してもらえます。
- デメリット……自社の商品しか取り扱っていないため、他社の保険と比較検討できないのが難点です。
代理店契約の場合
- メリット……複数の保険会社の商品を扱っているため、比較検討しながら、公平な立場で提案してもらえます。
- デメリット……保険会社へ問い合わせするための時間を要するので、手続きに多少の手間がかかります。代理店自体の歴史がまだ浅いこともあり、閉店する可能性があります。ただ、代理店が閉店しても契約は保険会社と締結しているものなので、問題はないとされています。
インターネット契約の場合
- メリット……自宅からいつでも相談できますから、手軽さがいちばんのメリットでしょう。営業担当者もいないので人件費がかからず、割安で加入できます。
- デメリット……営業担当者がいないため、保険に対する知識がない人にはおすすめできません。問い合わせるのも電話のみとされています。
以上の点から考えてみると、初めて保険加入をする場合は、代理店を利用する方法が適しているといえます。近くの代理店を訪れて、相談に乗ってもらうといいでしょう。たいていの保険代理店は、無料で相談に応じています。
まとめ
いかがでしょうか?
保険を選ぶときは、必ず複数の保険会社の商品を比較検討することをおすすめします。同じ飲食店経営といっても事業規模や業態、立地条件などによって入っておくべき保険も異なってきます。月々の保険料はけっして安いものではありませんから、加入したものの役に立たなかったということのないよう、保険の専門知識をもつ人に相談して決めるようにしましょう。
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