【勘定科目の基礎知識】租税公課の対象や計上できるものは?

開業・経営

租税公課は、簿記の科目である勘定科目のひとつです。租税公課として認められるものは、経費計上できます。ただし、租税公課に該当するものであっても、場合によっては経費として認められないことがあります。必要経費になると思っていたものが実際は計上できず、納税額が多くなってしまうといったパターンもあり得るでしょう。租税公課の対象を的確に把握しておくことが重要です。今回は、租税公課の定義や対象となるもの、経費計上できるもの・できないものの例などをご紹介します。

【勘定科目の基礎知識】租税公課の定義や特徴

租税公課には、どういった意味があるのでしょうか。こちらでは、租税公課の定義や勘定科目との関係、経費計上について解説します。

租税公課とは

租税公課は、国や地方公共団体に納める税金などの総称です。勘定科目のひとつであり、公租公課とも呼ばれます。租税は国税や地方税のことです。公課は地方公共団体に納める手数料、罰金、公共団体への会費などを指します。

勘定科目は簿記の科目の種類です。科目の設定は任意ですが、誰が見てもわかりやすいよう、広く知られているものを使うことが一般的です。

租税公課の計上について

経費として計上できる租税公課は、損益計算書においては「販売費及び一般管理費」に該当します。ただし、すべて経費計上できるわけではなく、経費として認められないものもあります。税務上経費と認められる金額のみ、損金算入が可能です。集計期間は、その年の1月1日から12月31日となり、期間中に確定した分を計上します。租税公課に該当するものの経費計上できない分は、損金不算入となります。

【勘定科目の基礎知識】租税公課の対象となるものの例

租税公課には対象になるものとならないものが存在するため、仕訳の際は注意が必要です。確定申告の時期に慌てないよう、事前に確認しておきましょう。こちらでは、租税と公課それぞれの対象の一例をご紹介します。

租税の対象となる税の一例

  • 印紙税

印紙税とは、契約書や領収書、手形などの課税文書を作成したときにかかる国税の一種です。課税の対象になる文書は、印紙税法によって決められた金額の収入印紙を貼る必要があります。収入印紙を買うことで印紙税を納付できます。

ただし、収入印紙をまとめ買いした場合の勘定科目は「貯蔵品」となります。購入時に貯蔵品として計上した場合は、収入印紙を使用する都度、租税公課に振り替えていきます。もしくは、購入時に印紙の購入代金を租税公課に計上した後、決算時に残高分を貯蔵品に振り替えることも可能です。

  • 事業税

事業によって得た所得に課される税金を、事業税と呼びます。事業を行う場合、事業税を納付する義務が生じます。ただし、公共事業の所得については非課税となる点が特徴です。

事業税には、法人事業税と個人事業税があります。申告した所得に応じ、税額が生じます。納付先は、事業を行う事務所や事業所のある都道府県です。自治体によって税率が異なるほか、対象となる事業の種類が異なるため注意しましょう。

  • 事業所税

事業所税は、東京都23区や政令指定都市、人口30万人以上の市区町村にて事業を行う法人や個人へ課せられる税金です。事業所の床面積や従業者の給与総額に応じて課税されます。徴収された税は、道路や公園、学校、病院などの都市の環境整備などに使われます。

  • 登録免許税

登録免許税は、登記の手続きで国へ納付する税金です。例えば、建物や土地を購入した際、所有権を移すときに支払います。会社設立時の登記では、税率に応じた登録免許税の納付が必要です。合併や組織変更、支店の設置、取締役などの変更なども、税金を支払って登記します。また、特許の登録や業務用船舶の登録などでも、登録免許税がかかることがあります。

  • 消費税

消費税は、商品、サービスなどの取引に対してかかる税です。消費税の計算方法によっては経費計上できないことがあります。消費税を財務上経費として計上するには、「税込経理」で計算することが必要です。「税抜処理」をした場合は、租税公課として認められない点に注意しましょう。

  • 不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した際にかかる税金です。固定資産税評価額に応じて税額が決定します。納付先は都道府県です。税率は原則として4%ですが、2024年3月31日までは税率の軽減措置があり、3%となっています。

  • 固定資産税

固定資産税は、土地や建物など、固定資産の所有者にかかる税金です。固定資産税の一種に、償却資産税があります。機械や器具、備品、設備など、事業用の償却資産にかかる税金のことです。

  • 都市計画税

都市計画税は、土地や建物が市街化区域内にある場合に課せられる税金です。税金は市区町村へ納付します。道路施設や公園、下水道などの施設整備や、地方債の償還に使われます。

  • 自動車税、軽自動車税

自動車税や軽自動車税は、自動車の所有者にかかる税金です。自動車取得税、自動車重量税なども対象となります。

個人事業主の場合、個人で所有している車を仕事でも利用する場合があります。その場合、仕事で運転した分だけを按分して、経費計上することが可能です。自宅を事務所にしている場合は、固定資産税を按分して計上することもできます。

公課の対象となるものの一例

  • 証明書の発行手数料

自治体や公共団体などから発行される証明書の手数料は、公課として認められます。印鑑証明書、住民票、納税証明書などが一例です。こういった発行手数料に関しては消費税がかかりません。

  • 公共サービスの手数料

証明書発行のほか、国や地方公共団体などのサービスを利用する際に支払う手数料も公課となります。金融機関をはじめ、民間の機関に支払う手数料と混同しないように気をつけましょう。

  • 会費、組合費など

商工会や商店会の会費、協同組合などの組合費、公的団体に支払う賦課金なども公課の対象です。賦課金とは、割り当てられて支払うお金のことを意味します。団体の事業にかかる費用を支払いますが、得られる恩恵の度合いに応じて金額が変動するケースも見られます。

租税公課で経費計上できるものとできないものは?

租税公課の対象となっても、必要経費に算入できるケースとできないケースがあります。間違った仕訳を行わないよう、基本的な例を覚えておくことがおすすめです。最後に、租税公課で経費計上できるものとできないものの具体例をご紹介します。

経費計上できる租税公課の例

  • 申告納税方式の税金

申告納税方式とは、自分で納める額を計算して納税する方式です。事業税、事業所税、酒税、印紙税などが該当します。

原則として、申告納税方式の税金は、申告書を提出した日に税金が確定します。提出日の属する事業年度の経費として計上することが可能です。ただし、直前の事業年度の事業税や地方法人特別税は、扱いが変わることがあります。事業年度終了の日までに申告や更正、決定がされていなくても、その事業年度での損金算入が行えます。

  • 賦課課税方式の税金

賦課課税方式とは、国や地方公共団体が納めるべき費用を計算し、納税者に税額を通知する方式のことです。固定資産税、都市計画税、不動産取得税、自動車税などが該当します。

賦課課税方式の税金は、賦課決定のあった日が確定日となります。国、地方公共団体などが税額を決めた日が確定日となる仕組みです。ただし、納期の開始日の事業年度、もしくは納付した事業年度に損金経理した際は、処理をした事業年度の租税となります。

ほかにも、特別徴収方式の軽油取引税やゴルフ場利用税なども租税公課の対象です。納入申告書を出した事業年度の税となります。

経費計上できない租税公課の例

  • 所得に課される税金

法人・個人の所得にかかる税金は、経費として計上できません。法人税、法人住民税(都道府県民税、市町村民税)、地方法人税などが該当します。勘定科目は「法人税」「住民税及び事業税」となります。また、法人税額より控除された所得税にかかる源泉所得税も、経費計上できません。

  • 罰則として支払うお金

延滞税、延滞金、交通反則金、過怠税、不納付加算税など、税金の延滞や手続きの遅延に課される罰金・科料も、経費として認められません。懲罰としての意味合いが薄れるためです。延滞税や延滞金を支払った際の勘定科目は「雑損失」となります。

  • 税抜処理した消費税

消費税は申告納税方式の税金に該当します。決算時に納税する消費税額を租税公課として処理します。ただし、消費税の処理方式によっては、租税公課として計上できません。税抜処理した場合は、「仮受消費税」や「仮払消費税」として処理します。

消費税を経費計上したい場合は、税込処理が必要です。売上時や仕入れ時に、消費税を含めた額で計算し、売上高や仕入高を出します。この方法だと、仕訳の際に税込金額で処理できる点が手軽です。ただし、決算書だけで正確な納税金額を把握することが難しくなります。費用や利益にも税額が影響するため、期間損益の計算がしにくくなる点もデメリットです。

税抜処理の場合は、決算時に仮受消費税から仮払消費税の額を引いた分を納税します。仕訳の際は税抜金額と消費税額を分けて処理するため手間はかかるものの、税額を計算しやすいことがメリットです。

租税公課の基礎知識を理解して適切な勘定科目を設定しよう

租税公課は「租税」と「公課」を合わせたもので、それぞれ国税・地方税や、公共団体への手数料・会費・罰金などを意味します。租税公課の対象となる費用は多い一方で、経費計上が認められないこともある点に注意が必要です。租税公課として処理できるものとできないものを把握し、適切な勘定科目を設定することが大切です。不明点がある場合は、税理士や会計士などの専門家にも相談しながら、正しく処理していきましょう。

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