飲食店経営を失敗する原因と対策は?閉店を避けるためのポイント

最終更新日: 2023/08/01
開業・経営
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晴れてお店をオープンして店舗オーナーとなられた方も、これから副業としてカフェやバーなどの飲食店経営を考えている方も、失敗や倒産は避けたいものです。

店舗経営レシピブックではこれまで、2店舗目の展開で失敗した事例として「店舗展開の失敗事例から学ぼう ベッドタウンの飲食店が3ヶ月で閉店した理由とは?」を紹介しましたが、今回は、1店舗目で整えておくべき失敗と教訓を紹介します。

飲食店開業後の経営状況が良くない・想定した事業計画通りに進んでいない場合、何らかの原因があるはずです。経営者自身にある場合は、すぐに改めることで経営状況を好転させることもできるでしょう。
「どのお店でも成功する法則」はなかなかありませんが「どのお店でも失敗する法則」は数多くあります。 多くの人々の「失敗」から学ばない手はありません。その原因と対策を知って、踏み出すきっかけをつくりましょう。

飲食店経営に失敗しやすい人の特徴

飲食店経営の仕事のなかでも、資金管理や周囲とのコミュニケーションは重要な要素です。以下のような特徴がある人は、失敗の可能性が高まるため注意しましょう。

1: 資金の計画や管理があいまいな人

まず、飲食店の経営に失敗しないためには、細かい資金の計画や適切な管理が必須といえます。 飲食店の開業には開業資金のほかに運転資金がかかり、運転資金とは経営を続けるにあたって定期的にかかる資金のことです。 飲食店の場合は、店舗の家賃や水道光熱費、材料費、人件費などが当てはまります。さらに、開業時に金融機関から融資を受けている場合は元本や利息の返済費用も必要になるでしょう。 飲食店経営者は、売上高と運転資金のバランスを調整し、赤字にならないように事前に資金計画を立てて管理することが必要です。

2: 周囲の意見やアドバイスを聞かない人

経営に行き詰まったときには、課題やお客さんのニーズを的確に特定することが必要です。ただし、経営者自身のこだわりや意見が強すぎると、飲食店の課題や改善点に気がつかないことがあります。 来店する客層や飲食店のニーズは、出店している場所によって異なることがあります。それらを特定するには、お客さんの意見を取り入れたり、スタッフのアドバイスを聞いたりするのが望ましいでしょう。また飲食店の経営に成功している人の話を聞くのも効果的です。

3: コミュニケーションが苦手な人

飲食店を経営する場合、店舗の経営に関わる人とのコミュニケーションも大切です。 例えば、スタッフに対しては、店の方針に対する経営者の考えや仕事内容などを伝える必要があります。 お客さんはスタッフの接客に対しても評価することが多く、適切な教育は満足度に大きく影響するでしょう。 また、スタッフとの良好な関係性を築くことは、離職の防止にもつながり、人材不足のリスクを下げられるといったメリットもあります。 スタッフ以外に、仕入れ先や取引先などと良好な関係性を築くことも重要であり、これらの円滑なコミュニケーションが苦手な場合、行き詰まる可能性があるでしょう。

飲食店経営が失敗する原因と対策

飲食店経営はいきなり成功を目指すよりも、まずは経営基盤を整えて「失敗しないこと」を重視する方が望ましいです。 飲食店経営に失敗しやすい人の特徴がわかったところで、より具体的に飲食店経営が失敗する原因とその対策について、失敗または見落としやすい5つのポイントを紹介します。

1: キャッシュフローがつきてしまった

手元の現金が尽きてしまい、新たな借入れなどをしなければ、食材の仕入れ代金、人件費、家賃が支払えない状態です。

考えられる原因

  • どんぶり勘定であった、計算書・決算書の紙上での損益ばかり注視していた
  • 売上高ばかり気にしていて経費コントロールをしていなかった
  • 費用の支払日に支払用の現金を準備する認識が甘かった
  • 店舗(会社)と自分の生活費の財布を分けていなかった

取るべき対策

  • 経理の体制を整える。売上集計や入金・出金サイクルを明確にする
    飲食店での経理業務効率化はどうすればいい? 〜外注の上手な活用方法〜」参照
  • 1ヶ月毎の予算を立て、人件費・仕入れ代金等の経費の上限(売上高比、金額)を明確にして、その経費が使える「枠」を厳守する。もし、その上限を上回ったら他の経費を抑制して調整する
  • 店舗と自分の生活費の通帳・財布を明確に分け、絶対に店舗の現金を自分の生活費等に使わない

2: 商品に自信を持ちすぎ、売る努力をしなかった

「美味しい商品を提供すれば、お客様は来てくれる」と経営者は思いがちです。たしかに「クチコミ」が効果的に広まれば、広告費を抑えて売上アップを実現できるでしょう。 しかしそれだけに頼った場合、損益分岐点を超えて十分な利益が出るまでに時間がかかるケースが多く、それまでに耐えられるだけの資金が足りずに倒産することもあります。 飲食店は商品をつくるだけではなく、宣伝にも費用をかけるなど売る努力をしなければいけません。

考えられる原因

  • 商品さえ良ければお客様は来ると考えていた
  • 開発した商品が、本当は多くの消費者に受入れられる商品でなかった

取るべき対策

3: 借入金の返済に追われてしまった

1と似ていますが、こちらはより具体的な失敗理由です。キャッシュフローを圧迫させないよう、経営状況を分析し必要な資金調達を行うことで倒産を未然に防ぎましょう。

考えられる原因

  • 最初から黒字になると想定した資金計画
  • 「売上高がすべて」という発想

取るべき対策

4: 思ったように集客できなかった

集客できない=売上高が上がらない。開業する前に、これくらいの集客はできるだろうと予想しているにもかかわらず集客ができず、苦しむケースが非常に多いです。2のように売る努力をしていないケースもありますが、売上予測が甘いケースも多く見られます。

売上予測をする際に必須の項目は以下の二つです。

  1. 商圏人口(ターゲットとする属性=性別・年齢・年収等の人口)
    店舗から半径何Kmという大雑把な掴み方ではなく、店舗前の人の流れ(動線)に注目しなければなりません。 駅近の繁華街型店舗の場合、道一本違うだけで大きく人の流れが変わる事があるので、店舗前に加え、付近の人の流れも、朝昼晩・平日と土日休日、現場でチェックする必要があります。 郊外店に関しては、交通量・交差点の有無・渋滞度・幹線道路か生活道路かなどの確認が必要です。
  2. 競合店の有無(競合店の売上高も参考にする)
    詳細は「飲食店の繁盛店・競合店を調査する方法。マーケティング・差別化のための競合調査」で解説しています。

考えられる原因

  • さまざまなデータを参考にしないで、自分の感覚だけて立地を決める
  • 望む立地が見つからないので、妥協して決定
  • 立地条件に合った商品(価格・材質・量等)でない
  • 消費者に認知されていない(広告・販促活動不足)
  • リピーター率が低い

5: スタッフが定着しない、採用や教育が上手くいかない

お店の経営はオーナー1人では限界があるため、一緒に働く従業員が必要となります。近年は飲食業界でも人手不足は深刻化しているため、定着率を高める対策も行いましょう。 せっかく採用・教育したのに短期間で辞めてしまうスタッフが多い場合、お店の体制にも問題があるかもしれません。労働環境の改善や適切なサポートなど、経営者としての誠実な姿勢がここで求められます。

考えられる原因

  • 他のスタッフの間に入り込めない
  • 労働環境の悪さ(サービス残業、キツい・きたない・危険のなど)
  • 募集内容と実際が違う
  • 作業が複雑すぎ、習得が困難

取るべき対策

  • 労働環境の改善(新人スタッフのサポート、人員の充実など)
  • 作業マニュアルの作成
  • スタッフを大事にする(シフトの融通を聞かせる、積極的に話しかけるなど)
  • スタッフ間の交流を促進する

飲食店経営を失敗しないためのポイント

これまで紹介した5つの対策以外にも、失敗や廃業のリスクを回避するポイントは存在します。コンセプトや事業計画の見直しなど、具体的にすべきことを以下で紹介します。

コンセプトを明確にする

コンセプトはお店のテーマや骨子を表すもので、経営する飲食店がお客さんにどのような価値を提供するのかを明確にする重要な要素です。 コンセプトによって適切な店の立地や内装、メニュー、価格などが異なるため、開業時に設定することが推奨されていますが、開業後の失敗リスクを下げる面でも効果があります。

飲食店の経営を失敗しないためには、お客さんにお店のコンセプトに魅力を感じてもらうことが大切です。実際にお客さんがお店に訪れたくなる理由は何か、ヒアリングを行うなど顧客目線で考えて店づくりに反映させましょう。

コンセプトの決め方や開業後にすべきことは以下の記事で詳しく解説しています。

飲食店・店舗のコンセプトの作り方・考え方

事業計画を見直す

飲食店の経営で失敗しないためには、適切な時期に事業計画の見直しを行うことが重要です。飲食店の経営は競合やトレンドなど不確定要素が多く、経営を始める前に作成した事業計画書の通りに進まないことも多くあります。

開業後は計画通りに進んでいるかを確認し、改善点を踏まえて事業計画を見直すようにしましょう。事業計画に問題点がある場合、早期に対応することで失敗するリスクを下げる可能性があるためです。また、事業計画の見直しは客観的な経営状況の把握にもつながるため、定期的に実施することをおすすめします。

市場調査や競合調査を行う

市場調査や競合調査は、失敗しないための戦略的な飲食店の経営に必須といえます。売上が思ったほど伸びていない場合は、出店しているエリアの市場や競合を調査して、出店エリアの特徴の把握や自店の強みや弱みを明確にする「商圏分析」を実施しましょう。 分析結果をもとに他店との差別化を図り、自店の魅力をより高める工夫をするなど、マーケットインによる飲食店経営ができれば成功の確率も上がります。

業務を効率化する

飲食店経営を失敗しないためには売上アップを目指すだけでなく、必要な運転資金を抑えることも行いましょう。必要経費の削減をするのであれば、業務の効率化が重要といえます。生産性の向上やコストの削減につながるため、経営状況の改善に効果的です。

業務効率化を実現するにはシステムの導入が効果的です。人材管理や在庫管理など手間がかかる業務を、システムによって自動化できることがあり、詳しくは以下の記事で紹介しています。

飲食店が業務効率化によって得られる効果とIT化の重要性

いきなりすべてを完璧にこなすのは難しいため、継続的に実施して自分なりのノウハウを蓄積していきましょう。

当たり前のことを、高いレベルで当たり前にこなす

今回紹介した失敗しないための対策やポイントは「当たり前のこと」と思われた経営者もいるでしょう。しかし、自身で店舗業務をやりくりしながら、経営のポイントすべてを押さえることはなかなか難しく、さらに店舗が走り出してからでは軌道修正は難しくなります。

お客さんが満足する料理を提供することは重要ですが、そのほかにも商圏分析によるターゲット層の設定や、経営状況に合わせた事業計画の見直しと業務効率化、スタッフとの適切なコミュニケーションなど見えにくい部分での努力も欠かせません。

「成功」するにはそのお店独自の特長を活かし競合と差別化をする必要がありますが、失敗または廃業してしまうお店の原因は意外と共通していることも多い状況です。

この記事で紹介した失敗をおかさないためにも、失敗してしまうお店の共通点を理解し、今いちどご自身のお店や、将来お持ちになりたいお店に当てはめて考えて経営を行うことで成功に導きましょう。


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