産地にこだわるべき食材はどれ?その理由や仕入れ方法を紹介!

飲食店

野菜盛を持つ女性

今後の飲食シーンで繁盛する、あるいは生き残る飲食店になるためには、何かにこだわる必要があります。何でもありの総合居酒屋が衰退し、大急ぎで業態変更に取り組んでいる居酒屋が増加している今日の状況が、そのよい例ではないでしょうか。当然のことながら、そのこだわりは店ごとに違っています。料理の仕方にこだわる、食材の品質にこだわる、安心・安全性にこだわる、どれか食材を1つに限定するなど方向性はさまざまですが、その中には「食材の産地にこだわる」という方法もあります。

そこで今回は、「食材の産地にこだわる」にスポットをあててみます。どの産地のどの食材にこだわったらよいのか、そしてそれはどのようなメリットをお店にもたらし、繁盛につなげることができるのかをご説明していきます。

産地を気にする消費者が増えている?

青々としたキャベツ畑

なぜ産地にこだわるとよいのでしょうか。それはスバリ、「消費者が求めている」からです。

産地にこだわる人はどれだけいる?

日本政策金融公庫が行った「食材別に何にこだわって選択するか」という調査によると、以下のような結果が出ています。

野菜:鮮度70.9% 価格67.5% 国産47.0% 国内産地34.7% 安全性28.6%

米:価格55.4% 国内産地50.1% 銘柄49.1% 味38.8% 安全性31.3%

牛肉:価格71.6% 鮮度48.2% 国産42.6% 安全性33.3% 味31.8%

総菜:価格73.4% 味56.8% 鮮度38.2% 見た目34.2% 安全性29.0%

少なくとも野菜と米に関しては、国内のどの産地で生産されたものなのかにこだわって食材を選んでいる消費者が、上位を占めていることがわかります。つまり、少なくとも農作物については10人のうち3人から5人は産地にこだわっており、かなり高い水準であるということが言えます。

また、2008年に内閣府が行った調査によると、消費者が加工食品を選択する際の基準について、「価格(54.0%)」よりも「安全性(76.8%)」を上位に挙げています。具体的な数字は以下の通りです。

安全性 76.8%

価格 54.0%

生産期 50.9%

おいしさ 33.4%

生産者 23.2%

新鮮さ 20.0%

身体によい 14.7%

販売店等のイメージ 12.3%

形・見栄え 4.4%

質問項目に「産地」がないため、回答結果に「産地」が上がってくることはありません。しかし、強いて「産地と密接な関係にある」項目を回答結果から挙げるとすると、安全性76.8%、生産者23.2%、新鮮さ20.0%など上位9個の中で3個も占めています。ここでも、消費者の産地に対する意識が高いということがわかります。

産地にこだわるメリット・デメリットはある?

野菜を見つめる女性

産地にこだわって食品を選び始めているという消費者の傾向は分かりましたが、飲食店がそれをそのまますぐ取り入れるメリットはあるのでしょうか。また、デメリットはどうなのでしょうか。

メリット

  • 安全性を重視する消費者にアピールできる
    産地が分かっているということと生産者が分かっていることはニアリーイコールですから、どこのだれが作ったかわからない食材ではなく、「生産者の顔が見える」食材という点は非常に安心感が高いでしょう。
  • 料理の特別感が訴求できる
    「生牡蠣入荷」よりも「的場湾産生牡蠣入荷」の方が、圧倒的に食材の特別感を訴求できます。
  • ブランドイメージを利用できる
    「魚沼産コシヒカリ使用」ということをメニューに書くだけで、お米のおいしさをこんこんと説明しなくても、一目で「美味しいお米を使っているんだな」とわかります。
  • 美味しさが追求できる
    食材には、その収穫・捕獲時期によって美味しいエリアがあります。たとえば、マグロは回遊魚のためある時期は北海道産が美味しくても、旬がずれると高知産の方が美味しくなります。この時期だからこの産地のこの食材という選び方をすれば、確実に美味しい料理を作れるでしょう。
  • 固定客の獲得
    毎年同じ時期に同じ産地の同じ食材を必ず仕入れて作る料理が抜群においしければ、それを知っている人は食材が旬になる季節がやって来ると来店するでしょう。つまり、産地にこだわれば固定客をつなぎとめられ、定期的な来店を促すことができるのです。
  • 店舗イメージのアップができる
    食材の産地にこだわっているお店は、味と鮮度にこだわっているということと同義です。よって、そのお店の料理は当然美味しいはずというように、消費者は類推します。つまり、店のイメージアップができるのです。

デメリット

産地にこだわるとたくさんのメリットがありますが、実はデメリットもあるのです。

  • 原価が高い
    食材が美味しいということは、それだけ生産者が人手とコストをかけています。手間暇かけると当然仕入れ値に跳ね返りますから、原価がアップするのです。
  • 食材選択の幅が狭まる
    特定の産地の食材にこだわってしまうと、その他の産地の食材を選択することができなくなります。たとえば、「うちは秋田産の米だけを使っています」と標榜してしまえば、原価が高かろうと絶対に仕入れる必要があります。お米には、エリアによって作柄の良しあしがあります。よって、ある年は福島がよく秋田が悪いとすれば、仕入れ値が安くなる福島産の米を仕入れ、逆に翌年は秋田がよくなれば秋田から仕入れることも、産地にこだわらなければできるのです。しかし、産地にこだわってしまうと選択の幅を狭めてしまいます。
  • 調達が困難になる
    日頃から仕入れている食材を生産している産地のエリアに災害や何かしらの問題が起こった場合、いくらお金を用意しても仕入れは困難になります。被災した産地を店舗のコンセプトと一致させていればいるほど他の産地から食材を調達するのは難しく、窮地に追い込まれます。たとえば、宮崎で鳥インフルエンザが流行ってしまったら、宮崎料理をコンセプトにしている飲食店は全く鶏料理が出せなくなってしまいます。

以上のようにデメリットはありますが、それを上回るだけのメリットが産地にこだわることにあるのも事実です。非常に大雑把に言えば、原価が多少上がっても、集客力がそれ以上に格段に上がれば、粗利率は下がっても粗利額は増え、店舗の利益は増えるのです。

産地にこだわるべき食材はどう選ぶ?

山積みにされた牡蠣

産地にこだわるメリット・デメリットについて分かれば、いよいよ「どの産地から仕入れるか」について考えたくなるなるかもしれませんが、それはまだ早計です。なぜなら、どの産地でもこだわればいいというわけではないからです。ある食材のある産地にこだわっていることを消費者にアピールできなければ、結局経営者や店長の自己満足になるだけです。つまり、先に考えるべきは「どの食材を産地にこだわって仕入れるか」ということなのです。それについては、以下のような判断基準で考えましょう。

ブランドが確立している食材と産地

誰が聞いても食材が持つ品質の高さや味の良さがわかるほど、その食材と産地がブランドとして成り立っているものです。たとえば、「大間のマグロ」が良い例でしょう。

店舗のコンセプトと合っている

店舗のコンセプトに合っている食材を仕入れる方向もあります。宮崎県出身の店長が経営する焼鳥屋だから、宮崎産地鶏だけを仕入れるというようなことです。

平均単価を上げない原価設定が可能

産地にこだわった料理として提供できても、原価から逆算して非常に高い価格設定になってしまうような食材は避ける必要があります。

たとえば、客単価3,000円の店で、1品だけ原価500円、価格1,500円の料理を入れた場合、それを頼んだ日の客単価は3,000円を大きく超えてしまうでしょう。あるいは、3,000円を超えないために普段は注文数を減らしてしまうかもしれません。それは結果的に、お客様の満足度を下げることにつながる可能性があり、それが遠因になって客離れを招いてしまう危険性があります。

超有名ブランドの近隣ブランド

意図しない平均単価の上昇を避けるためには、「本質的な価値は同じだが、価格は安い」というものをうまく仕入れることです。具体的には、ある産地とセットで有名になっているブランドの食材を、近隣のエリアから仕入れるのです。

たとえば、豊予海峡で大分県側に水揚げされたサバとアジは関サバ、関アジといって大変高価な食材です。しかし、全く同じ豊予海峡で育ちながら四国側の佐田岬に水揚げされたサバとアジは、岬サバ、岬アジと呼ばれ、それでいて価格は関サバ、関アジの半額以下です。当然、味の美味しさも品質も同じです。ですから、関サバを仕入れる代わりに、岬サバを仕入れるのです。ただし、お客様にメリットがあるよう、メニューには「関サバの味が半額で味わえる!」という説明を入れることが大切です。

同じようなものに、「大間のマグロ」と同じ津軽海峡で育った、北海道側の戸井で水揚げされた「戸井マグロ」や、新潟県の魚沼市の隣の飯山市で収穫された「飯山産コシヒカリ」などがあります。ほかにも調べれば見つかるでしょう。

こだわり産地の食材を仕入れるには?

稲刈りをする老夫婦

こだわりの産地の食材は、どのように仕入れたらよいのでしょうか。このような食材は一般的に流通量も少なく、地元だけで消費されているケースも多いため、いつも利用している食品卸問屋からは仕入れられないことがほとんどです。その場合は、以下のような方法を探りましょう。

現地に行って生産者から仕入れる

現地に行って、生産者と直接交渉することです。ネットなどで当たりをつけ、仕入れたい旨の意思を電話などで示し、アポをとったうえで訪問しましょう。電話口では渋っていても、実際に会って頼むと意外に取引を了解してくれたり、栽培などの細かい話を聞いてメニューやPOPの材料が見つかったりすることも多いので、効率は悪いですがこの方法が最善でしょう。

専門商社を介す

世の中には希少産品を中心に扱う専門商社や食品卸もあります。そのようなところに打診する方法もあるでしょう。

業務用通販サイトを利用する

業務用の通販サイトで探す、あるいは一般消費者が購入するサイトから直接仕入れるという方法があります。この場合、原価はかなり高くなりますので、それをどう吸収するかを考える必要があります。

まとめ

新鮮な小松菜

いかがでしょうか?

競合店と違うという差別優位性を獲得して競争の中で勝っていくためには、産地にこだわるという方法はかなり効果的です。それが消費者の琴線に触れれば、確実に集客を増やすことができます。しかし、食材探しや仕入れルートの開発から安定供給のための対処、さらには原価率へのダメージを極力減らすなど課題も多く、簡単な話ではありません。しかし、それらが解決してしまえばこれほど強みになることはありませんので、繁盛店を目指すならぜひ挑戦してみましょう。

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