バイトの時給はいくらがベスト?時給の決め方と最低時給について

開業・経営

時給を決めるイメージ

アルバイトの時給は何を基準に決めればいいのだろうと考える方も多いと思います。

楽な仕事だから低めでもいいとか、応募者が多いから高くする必要はないなどと安易に設定してしまうと、ある日突然、労働基準監督官に抜き打ち検査に入られたりすることがありますから慎重に判断しなければなりません。今回は、「最低賃金法」の解説とともに時給の決め方について紹介しますので参考にしてください。

最低時給について把握していますか?

時給イメージ

最低時給とは、「雇用主が従業員に支払わなければならない賃金の最低限度額」のことです。従業員の生活の安定と労働力の質的向上を目的としており、職種に関係なく、パートやアルバイト、派遣社員、外国人労働者も含めたすべての労働者に適用されます。

最低時給額は、都道府県ごとに定められるもので地域差があります。また、世の中の物価の動向などに応じて見直され、ほぼ毎年10月に改定されています。

2016年10月に改訂された現在の最低時給を、東京、大阪、福岡の3地域を例に見てみると以下の金額になっています。

  • 東京=932円

  • 大阪=883円

  • 福岡=765円

先般、厚生労働省が公表した2017年10月に改定される最低時給の予測によると、次のように引き上げられる見通しとなっています。

  • 東京=+26円で958円

  • 大阪=+26円で909円

  • 福岡=+24円で789円

このように、最低時給は一定ではありませんので、厚生労働省のwebサイトなどで毎年チェックして、それより低くならないようにしなければなりません。

試用期間中は最低時給より安くていいの?

最低時給

アルバイトを採用した場合でも、勤務態度や仕事の適性などを判断するために、試用期間を設けることがあります。短いところでは1か月間ほどですが、3~6か月間が一般的です。

試用期間とは本来、正式採用することを前提としているもので、賃金は労働契約書や就業規則に定めたとおりに支払う義務があります。試用期間中の時給は、会社によって50~100円程度減額しているところもありますが、その場合でも地域別最低時給を上回る額でなければなりません。

もし、勤務態度が著しく悪いなどの理由で採用を取り消すことになったとしても、最低2週間前に解雇予告をするか、即日解雇であれば平均賃金の30日分以上を支払う必要があります。

試用期間と混同しやすいことばに「研修期間」があります。研修期間とは、通常の業務につく前に基本的なスキルやマナーを身につけてもらうことが目的です。しかし、雇用主の業務命令で受けさせるわけですから労働時間に変わりはなく、試用期間と同様に最低時給を上回る賃金を支払う必要があります。

最低時給違反の罰則とは?

裁判イメージ

最低時給は、労働基準法から派生した「最低賃金法」に定められているもので、違反すれば罰金が科せられます。また、最低時給との差額も支払わなければなりません。

違反が発覚するケースとしては、最低時給より安いことに気づいた従業員が、退職した後に労働基準監督署に通報(申告)し、事業所に労働基準監督官が行政指導(臨検)に立ち入るというパターンが多いようです。臨検は事前予告がなされることもありますが、たいていは抜き打ちで行われます。この労働基準監督官というのは、適切な労働環境づくりを指導することを任務とする厚生労働省の職員で、司法警察の権限ももっていて「労働Gメン」とも呼ばれています。

臨検時に違反が明らかになれば是正勧告がなされます。勧告を受けたとき、何らかの事情ですぐに対応できないときは、弁明書や対応計画を提出することが必要です。それも行わず、勧告を無視したり、虚偽報告をしたりすると、違反が悪質だとして検察庁へ書類が送られます(送検)。場合によっては逮捕→起訴→裁判と進み、有罪が確定すれば罰金50万円以下の刑事罰が科せられることもあり得ます。

逮捕まで行かなくても、最低賃金法に違反している店として知られると、労働者を安くこき使うブラック企業のレッテルを貼られることは必至です。そうした状況をつくらないためにもアルバイトの時給を見直し、最低時給より低くならないように調整することが重要です。

バイトの時給はこうやって決めよう!

時給を決めるイメージ

ではどのようにバイトの時給を設定すればいいのでしょうか?

人件費率から考える

人手不足が慢性化している飲食業界では、求人倍率が年々アップしています。時給をほかより高く設定すればいい人材が集まり、定着しやすくなりますが、人件費が高くなっては経営を圧迫してしまいます。

利益を獲得するには、人件費率が売上の25~30%が目安とされています。

人件費率は

「人件費÷売上×100」

で求めることができ、たとえば売上が250万円で人件費が100万円の場合は、

「100万円÷250万円×100=40%」となります。

しかしこれでは利益があまり出ないことがわかります。この例では、人件費の適正値は62.5~75万円となります。

だからといって雇用した後で時給を下げることはできませんので、初めにきちんと設定することが大切です。それには、最低時給を下回らないことを第一として、自店と同じエリアにある同業店の賃金よりも低くならないようにすることがポイントです。

求人情報誌や求人サイトで他店がどのくらいの賃金を提示しているかチェックしてみるといいでしょう。

時間帯で工夫する

人件費率を下げるために、時給1000円で11時~3時までとして募集するところ、同じ1000円で11時半~2時半までにするなど、本当に必要な時間だけ働いてもらうという考え方もあります。

また、不必要な残業をさせないようにしましょう。

残業手当は通常時給1.25倍になることはご存知でしょうか?残業代は一週間に40時間、一日8時間を越えると発生します。

例えば一日6時間勤務のバイトはさらに1時間残業しても残業手当は発生しませんが、一日8時間バイト勤務の場合は1時間残業すると残業手当が必要になります。

経営者側は残業させないように時間を守りましょう。

さらにサービス残業があるとバイトはすぐにやめてしまいます。

きっちり時間を管理して働きやすいようにすることもバイトを失わずに済む方法といえるでしょう。

労働基準法には深夜業という概念があり、22:00から翌日5:00までを深夜時間帯といい、この間の勤務を深夜業といいます。深夜業に対しては通常の時間給に対し、25%で計算した深夜割増手当を別途支払わねばなりません。

そのため夜まで営業している飲食店の場合、バイトの勤務は22:00までにするなど工夫できるでしょう。

競争店との兼ね合い

バイトをしようと考えている人は決まったエリア内で探す傾向がありますので、まずは同エリア内や同じジャンルのお店がどんなバイトの時給設定をしているかを把握しましょう。

バイトの立場としては同じ働くにしても少しでも時給がいいほうを選ぶのは自然なことです。といっても同じエリア内で一番高い時給設定にする必要はありません。周辺の時給よりも50円~100円くらい高い金額にすればトップになります。

求人情報誌や求人サイトを検索するなどして調べるのが一番簡単な方法といえるでしょう。

バイトの時給アップ制度をつくってモチベーションを上げよう

時給アップ制度イメージ

店舗によってバイトの昇給の有無は異なりますが、飲食店などでは勤務一年目以降で時給がアップしている店舗は多いようです。

また時給アップのポイントとして以下の方法があります。

勤続年数で自動昇給制度

勤務年数に応じて時給を数円から数十円〜数百円上げる制度です。

新しい仕事を任せる

バイト勤務一年目から新人バイトの教育係を任せる
新しい仕事の責任者を任せる

このように、仕事に応じて時給を上げるのもポイントです。

勤務態度を評価する

接客態度がいい、熱心に働く、言われた仕事以上の働きができるなどの勤務態度を評価して時給アップの対象にするのも良いでしょう。

さらに、スタッフと普段からコミュニケーションを取り、成長している点や頑張っている点などを褒めて言葉で評価することも、モチベーションアップに繋がります。

臨時ボーナスがある

お店によって売り上げが良かった月にはボーナスを支給したり、一日の来客数が一定のラインを超えるとその日に金一封がもらえたりするシステムを取り入れていることもあります。

こうした方法を取り入れることでバイトの働く意欲を高めることもできます。

まとめ

アルバイトイメージ

飲食店の三大経費は、材料費(原価)・人件費・家賃です。

とくに接客に重きを置いてスタッフを多く雇用する店では、人件費の占める割合は当然大きくなります。人件費率を下げるためにスタッフの数を減らすという考えではなく、売上目標に対して人件費にかけられる金額を割り出し、それに合わせて効率よくシフトを組むというように工夫をすることが大切です。

これをコスト・コントロールといい、飲食店の管理業務の中核ともいえるものです。

また、一番の理想は経営側とバイト側が気持ちよく長く働けるということではないでしょうか。

能力や経験に応じて時給をアップすることで、大切な人材を失わずに済むことも知ることができたと思います。バイトの時給に対する満足度が高ければ転職して一から人間関係を築くといったことを避け、いい人材を紹介してくれるきっかけにもなるので結果的にお店にとってメリットになるかもしれませんよ。

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