食品ロスを出さない方法とは?ロスを減らして利益をあげよう!

飲食店

料理をもつウェイター

皆さんは「食品ロス」という言葉を耳にしたことはありますか?

これは食べ残し、売れ残りや期限が近い、または賞味期限が切れてしまったなどの様々な理由で、食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指します。

食べ物を扱うお店にとって食品ロスは経費の無駄になり、利益を減らす大きな要因となってしまいます。そこで今回は、食品ロスをなくすためにはどのような工夫をすればいいのか、経費削減の面から考えていきましょう。

食品ロスを出さない方法とは?ロスを減らして利益をあげよう!

食品ロスとは?日本が抱える問題について

「食品ロス」はいま世界的にも、日本でも大きな問題になっています。

世界の年間食料破棄量は、なんと年間約13億トンにも上るということです。世界中にはまだまだ食糧問題があり、世界人口の9人に一人は慢性的な栄養不足である中、こんなにもたくさんの食べ物が無駄になっていることは、確かに矛盾を感じますね。

日本の食品ロスはどのくらいなのでしょうか?

政治広報オンラインによると、日本の食品廃棄物等は年間2,759万トン、そのうち「食品ロス」の量は年間643万トンと推計されています。これは日本の人口1人当たりの食品ロス量は年間約51キログラムになり、約成人女性一人分の重さになります。

この事実を知って少し驚かれたかもしれませんね。

また食品ロス量のうち食品関連事業から生じる食品ロス量として年間352万トンあることが農林水産省及び環境省「平成28年度推計」の推計から明らかになっています。

この莫大な数字の原因として考えられるのは、規格外品や返品、売れ残り、食べ残しなどが挙げられています。中央環境審議会の専門部会は、2030年度までに2割超削減の273万トンに抑える基本方針をまとめています。

日本の食料自給率は約38%で、それ以外の食品や食材のほとんどが海外からの輸入に頼っている一方で、これだけたくさんの食品ロスがある現状はただちに改善が必要であることは一目瞭然といえるでしょう。

この問題は飲食店を経営している人だけでなく、消費者であるわたしたち一人一人が食品ロスをなくすために何ができるかを日々考えて行動することがとても大事になってきます。

またこれは飲食店で食品ロスを減らすことによって収益をあげる効果もあります。

では飲食店でロスの出やすい食材にはどんなものがあるのでしょうか?その理由として考えられるものはなんでしょうか?実際に見ていきましょう。

飲食店でロスが出やすい食材とその理由

オードブル

食品ロスは、外食産業や食品メーカー、スーパー、小売店、家庭など、食べ物を扱うあらゆる場所で発生しています。

農林水産省のデータによると、食堂・レストランにおける食品ロスでもっとも多いのが「お客さまの食べ残し」で全体の58%、次が「製造・調理過程での仕込みすぎ」で39%、残り3%が流通過程や仕入れ過程で廃棄される分となっています。

飲食店の場合は、材料を仕入れすぎたり、作りすぎたりして廃棄する分が多いのですが、そのほかにも次のようなロスがあります。

●完成品ロス

オーダーミスで料理を無駄にしたり、テーブルに運ぶ途中で落としてしまうなど、スタッフのミスによって生じるものです。

●過剰サービスロス

常連客に対して一品つけ足したり、ドリンクを無料提供するなど、過剰にサービスすることで生じるロスです。

●オーバーポーションロス

それぞれの料理にはレシピがあり、材料や調味料の分量(ポーション)が決まっていますが、目分量で使ったり、失敗して作り直したりして分量を超えて(オーバー)しまうために生じるロスです。

●理由不明のロス

スタッフがつまみ食いをするとか、家に持ち帰っているなど、理由がはっきりしないロスが生じることもあります。

このように、ロスが発生するシーンは数多くあります。個々のロスは金額的には小さくても、たび重なれば経費が大きくなって利益を圧迫することになりますから、それぞれについて対策を講じる必要があります。

●特にロスが出やすい食材

一番多くロスになる食材は「パセリ」です。

「パセリ」はおかずの横に添えるだけで彩りがよく、おかずと一緒に食べることによって消化を助ける効果もあります。しかし「パセリ」だけが食べられずに残されることが多いのも事実です。

味が好きではない、お腹がいっぱいで食べられなかったなど理由は様々ですが食品ロスの代表になっています。このロスを減らすために「パセリ」を使用しないお店もあります。

次に食べ残しが多い食材は「刺身のつま」です。

刺身の横や下にある「つま」は見栄えを良くし、魚の生臭さを消す作用があると言われて口直しに「つま」を食べるように提供されています。

しかし実際には「つま」を食べずに残すことが多いです。飲食店として食品ロスを減らすため「つま」の量を少なく提供してるお店もあります。

その次に「パクチー」です。

香りが強く食欲を高めてくれますね。最近ではパクチー専門店やエスニック料理店も増え、パクチー好きな人も多くいます。しかしまだまだその強い香りに抵抗を感じる人も多く、パクチーだけを残すお客様も多いです。

またお店では彩りや香り付けにパクチーの葉を使用しても茎や根の部分は捨ててしまっているお店もあるようです。

パクチー入りの料理を注文する方全てにパクチーが必要かどうかを再確認したり、パクチーの茎や根の部分を使用する料理も考えて提供できるように工夫しましょう。これにはブロッコリーの茎や大根の葉も適応できます。

なかなかお客様に提供できないようならまかない料理で消費することができるでしょう。

ロスを減らすと利益が上がる!?

利益があがって喜ぶ女性

ここで、経費と利益について基礎的なことをおさらいしてみましょう。

飲食店で必要な経費は、売上原価、人件費、固定費(家賃など)、変動費(光熱費や宣伝費など)の4つに大別されます。

この経費の合計額を売上高から差し引いた分が利益となります。

利益 =売上高(客数×客単価)− 経費(売上高、人件費、固定費、変動費など)

利益が出ないときは、売上高か経費のどちらか、あるいは両方に問題があるからです。

売上高をアップするためには、サービスをよくして集客率を上げる方法もありますが、料理を多く盛りつけたり、一品つけ加えたりする過剰サービスでは、食品ロスを出しやすく、売上が伸びたとしても経費も大きくなって赤字になってしまうことがあります。

一方の経費については、食品ロスが生じやすい食材を見直して仕入れを減らしたり、大量仕入れをして売上原価を低く抑えたりすることで削減できるため、その分利益を増やすことができます。

その際は、何をどれくらい仕入れたらよいか、何を減らせばよいかを判断する基準が必要になります。それが「原価率」です。原価率とは、売上高に対する売上原価の比率のことで、次の式で求められます。

原価率 = 売上原価 ÷ 売上高 × 100

たとえば、その月の食材や酒類などの売上原価が100万円で、売上高が300万円だった場合、「100万円 ÷ 300万円 × 100 = 33.3%」となります。

翌月は売上原価が120万円になったとすると、「120万円 ÷ 300万円 × 100 = 40%」となります。

このように、売上原価が大きくなるほど原価率は高くなり、利益は当然少なくなります。原価率の適正値は業態によって異なりますが、一般的には30%が目安とされています。原価率が上がる大きな原因が食品ロスで、この食品ロスが売上高に対してどれくらいの割合を占めるかを把握しておくことも重要です。

この割合を不明ロス率といい、期末に棚卸しをして、次のような式で求めることができます。

不明ロス = 帳簿上の売価在庫高(理論在庫)− 棚卸し売価在庫高(実在庫)

不明ロス率 = 不明ロス ÷ 売上高 × 100

たとえば、不明ロスが15万円、売上高が300万円の場合、「15万円 ÷ 300万円 × 100 = 5%」となります。不明ロス率の目安は飲食店の場合は3~5%とされています。ロスの原因を突き止めて、食材は必要な分だけ発注するように心がければ、着実に利益を上げていくことができるでしょう。

ロスを減らすために在庫管理で押えておくべきことは?

在庫管理イメージ

原価率や不明ロス率を下げるためには、無駄な在庫を抱えないように管理を徹底することが必要です。飲食店の在庫管理は、種類が多いだけに作業が大変だと思われがちですが、管理のポイントを押さえれば難しいことではありません。まず、品物を食材、半製品、製品に区分けして、それぞれの管理ノート(帳簿)を用意します。それに次のような事項を記入します。

  1. 仕入日
  2. 仕入れ量
  3. 消費期限または賞味期限
  4. 残量(新しく入荷した分もわかるように、定期的に残量を確認して記入しておく)

作業が終了したら担当者名も記入しておきます。このような管理ノートにもとづいて、先に入荷したものから先に使う「先入先出法」を守るようにします。そうすることで消費期限や賞味期限切れによるロスも防ぐことができます。残量のチェックは最低でも月1回は行いましょう。使用頻度の高いものは残量チェックの回数も多くして品切れ状態を防ぐようにします。

ロスを減らすための発注のポイント

食材の在庫

長期保存がきく乾物やお米、調味料などは、在庫がなくなるころに、あるいは消費期限をめどに発注するようにします。「安売りだから今のうちに」などと無計画に仕入れてしまうと在庫がダブついて、原価率を上げてしまうことになります。

保存がきかない肉・魚・野菜などは、翌日使う分を発注すればいいのですが、毎日同じ食材を同じ量というわけにはいきません。ひとつ間違うと原価率を跳ね上げてしまうことになりかねませんから、次のような点に留意して発注するようにしましょう。

  • 曜日や気象状況から、客数を予測して数量を決める。このとき、使い切る分の2割増しを基準とする。
  • 野菜は天候の影響で価格変動が大きいもの。高いときに多く仕入れてしまうと原価率を上げてしまうので、仕入れ業者から定期的に情報を収集して適切な量を発注する。
  • 肉や魚は冷凍のものが生ゴミも少なく、ロスを大幅に削減することができる。最近は冷凍技術の進歩によってウニなども冷凍・解凍ができるため、食中毒のリスクも少ないので安全に使用が可能。

食材は使い切る分だけを発注するのが理想ですが、現実は余ってしまうことが多いもの。そのようなときは、ほかのメニューに使ったり、スタッフのまかないに使ったり、上手に使いまわすことを考えましょう。

食品ロスを減らす対策の注意点

もちろん食品ロスを減らす対策を行うことは大切ですが、いくつか注意が必要なポイントがありますので、列挙してお伝えしていきたいと思います。

必要な食材の量を見極める

例えば、発注量の余りが出ることをおそれるあまり、食材の入荷量を減らしてしまい、その食材を使用する料理は頻繁に品切れ、売り切れという状態になりお客様を満足させる料理ができなくなることも予想されます。

そうなれば本末転倒で、お客様離れの原因にもなりかねません。

その食材を使って提供する料理と天気や祝日などの要素を考えてその日の来客数をある程度予想し、食材を入荷する必要があります。

仕込み過ぎに気を付ける

仕込み過ぎは食品ロスの原因になります。

たしかに作り置きは業務の効率化になりますが、食品ロスの大きな要素にもなるので、できるだけオーダーを受けてから調理を開始するようにし、食品ロスを減らすようにしましょう。

持ち帰りには注意

注文した物の食べ残してしまい、もったいないので待って帰りたいという場合もあるでしょう。

しかし、お店で提供された食品はあくまでその場で食べきることを前提に作られており、家に持ち帰るまでを想定して作られていません。

やはり食中毒が怖いため、持ち帰りは自己責任の範囲でお願いするのがいいでしょう。

刺身などの生ものは持ち帰りをお断りし、再加熱できるものは自宅に持ち帰ってから再加熱してから食べるようお伝えすることもできます。

まとめ

ロスイメージ

利益を上げるためには、売上を伸ばせばいいと考える人もいますが、売上が伸びても経費も同じようにかかったのでは利益はゼロということになります。利益を確実に上げるには、経費をいかに抑えるかを考えることが大事なのです。つまり、原価率をつねに把握して、適正値を30%なら30%と定めたら、それを超えないようにすることです。

忙しくて在庫管理をしている時間がないという方には、POSレジを利用することをおすすめします。POSレジには在庫管理機能もついているので、手間をかけずに原価率や不明ロス率などを分析することができます。

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