
2017年から政府主導で実施されたプレミアムフライデーについて、飲食店ではどのような取り組みが行われたのでしょうか。実際はいろいろな問題があり、活用しきれていないのも事実でしょう。
今回はプレミアムフライデーにおける飲食店の売上の実態と、プレミアムフライデーを活用するならどうしたらいいのか解説していきます。
プレミアムフライデーとは
プレミアムフライデーは、2017年に政府と経済界が提唱した個人消費喚起キャンペーンです。「プレ金」と呼ぼうということが言われましたが、「花金」などのようにはなかなか定着していません。具体的には毎月末金曜日で、その日には企業は午後3時に仕事を終えるようにし、時間的に余裕のできた夕方に買い物や旅行や、そして外食をしてもらい、消費を増やそうというものです。月末の金曜日というのは、給与支給日の直後の金曜日ということで制定されました。
プレミアムフライデーで飲食店の売上はあがったの?
ところで、プレミアムフライデーで飲食店の売上は上がったのでしょうか。
公式発表では経済効果あり
新日本有限監査法人の公式調査によれば、プレミアムフライデーにセールやキャンペーンを実施している企業のうち約7割で来店者が増加し、売上も5割以上増加したとされています。それは飲食店でも同じで、全体の経済効果が5000億円あったうち562億円が外食消費でした。その結果、イベントとして当初の目的である消費の拡大には貢献していると結論付けられています。
実際の実施率は超低調
しかし現場の飲食店の経営者や店長の皆さんは、その消費の拡大を肌で感じているでしょうか。インターネット調査会社が首都圏の20~59歳の男女を対象にプレミアムフライデーの実施率を調査した結果、以下のようなデータが上がってきました。
職場で15時に帰宅する制度が導入されたのはたったの2.8%でした。そこに「15時帰宅を奨励された」を合わせても10.5%に過ぎません。そして実際に早く帰った人は3.7%でした。さらに従業員500人未満の中小企業では、9割以上が実施も奨励もされていません。つまり、一部の大企業の中のごく一部の社員しか、プレミアムフライデーは実行しなかったということです。
これで経済効果5,000億円は甚だ怪しい数字だとしか言えません。その3.7%のうち何%が飲食店で外食したかというデータはありません。しかしたった3.7%の中の話ですから、プレミアムフライデーによって飲食店の売上が上がったとは中々言い切ることは難しいでしょう。
プレミアムフライデーで飲食店が売上を伸ばすには
他店がプレミアムフライデーを活かせていない場合、自分の店舗だけが上手く活用できれば明確にアドバンテージになり、売上に貢献させることができるはずです。その方法を考えてみましょう。
実際にプレミアムフライデーを利用した人は3.7%という結果でしたが、実施前のサントリー酒類株式会社が行った需要予測では、なんと54%の人が「外食を楽しむ」と回答していました。つまり本当は「プレミアムフライデーで外食を楽しみたい」という潜在需要が存在しているのです。仕事の関係などでそれが実行できないだけと言えます。
その潜在需要を何とかつかまえる方策を以下に挙げていきます。
営業時間を早める
シンプルに、15時に会社を終えた人が軽く飲食するというニーズを獲得する方法です。そのためには通常の夕方のオープンが17時だとしてもこの日は15時にオープンさせましょう。
ハッピーアワーを導入する
単純にオープンするだけでは中々集客はできません。何らかのキャンペーンが必要です。1番簡単なのは、15時から17時まで生ビールなどのドリンクを半額にする「ハッピーアワー」の実施でしょう。
メーカータイアップでキャンペーン実施
プミアムフライデーは酒類の消費が増えるということを期待して、酒類メーカーもキャンペーンを企画しています。それらに乗って、店舗の経済的な負担をなくしながら、キャンペーンを実施するのも方策でしょう。
たとえばサントリーは、「プレモルキャンペーン」と称して、サントリーグルメガイド内掲載のプレモル生取扱店でプレミアムモルツを注文することで、商品と交換できるポイントを付与するキャンペーンを実施しています。これに合わせて、ハッピーアワーでプレミアムモルツを半額提供するなどのタイアップも可能でしょう。
このキャンペーンとタイアップしたスシローは15~18時のプレミアムモルツ注文で「カマ焼き」をプレゼントする企画を実施しました。
グルメサイトキャンペーンに参加する
グルメサイトでも同じようにプレミアムフライデーに合わせて特別ページを設けるキャンペーンを展開しています。具体的にはホットペッパーとぐるなびでは、「プレミアムフライデーに即日予約できる店舗特集」という全く同一のキャンペーンを実施しています。参加するには別途販促費が必要ですが、潜在需要を獲得するコストだと思えば、意味のあるコストとなるでしょう。
イベント開催
実際、15時に仕事を終えてすぐに飲食するという人は少ないというのも事実です。一般的には映画やショッピングの後で外食をすることが多いでしょう。しかし、それに対抗してイベントを開催し、参加した流れでそのまま店舗で飲食してもらうという方法もあります。
たとえば、若者に人気のYouTuberのパネルディスカッションなどの企画もいいですし、もっと飲食に寄せて料理教室などであれば、レッスン後にそのまま飲食に流すことができます。
そのほかブライダル業界と提携してブライダル相談会、店舗の特徴を活かしてメニュー講座などもよいでしょう。
この辺りはアイデア勝負ですので、ぜひいろいろと考えてみましょう。
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飲食店におけるプレミアムフライデーの弊害
このようになんとか活用したいプレミアムフライデーですが、やはり弊害があることも事実です。プレミアムフライデーにもろ手を挙げて賛成するのではなく、その弊害も理解したうえで取り組んだほうがよいでしょう。
労働環境の悪化
1つは労働環境の悪化です。15時から17時と言えば、基本的に休憩タイムにあてている店舗も多いのではないでしょうか。それを月1日でも減らすわけですから、労働環境は悪化します。それは従業員でも同じです。
ビジネスチャンスの遺失
これは導入当初から問題視されていましたが、給料日明けの週末と言えば、放っておいても外食数が増える飲食店にとっては繁忙日です。通常であれば平常日の1.5倍以上の売上が見込める日です。これがまずハッピーアワーで売上が下がる、あるいはほかのレジャーに消費者を取られるということで、かえって売上が下がる危険性があります。
営業利益の悪化
ハッピーアワーだけではなく、イベントなどの各種キャンペーンを実施することで販促費が膨れ上がります。その分営業利益が悪化します。
他業界との競合激化
プレミアムフライデーを狙っているのは飲食業界だけではありません。プレミアムフライデーによって、今まで競合は同業だけだったのが、その業界が一気に広がってしまいました。要は他の業界との消費者の取り合いです。というのもこの15時からの数時間を使って消費者は以下のように行動することが予想されるからです。
- 早い時間から外食する
- 少し遠いリゾート地に職場の仲間や家族と出かける
- 土日に予定している映画や美容院の予定を金曜日に入れる
- 早めに自宅に帰り、ゆっくりと中食で贅沢をする
プレミアムフライデー導入前には(2)〜(4)はなく、ほぼ(1)だけだったのです。これがプレミアムフライデーによって、(1)から(2)〜(4)に消費者が流れれば、結果的に来店客が減る可能性も十分にあります。
そう見ていくと消極的かもしれませんが、プレミアムフライデーを乗り切るときに重要なのは、普段の金曜日に来店してくれているお客様がほかのレジャーに流れないよう、引き止める策を考えることかもしれません。たとえば、クーポンを配布する、特別限定割引高級メニューを提供するなどです。
まとめ
いかがでしょうか?
現時点ではプレミアムフライデーは期待されたほど盛り上がっていません。したがって、良い影響も悪い影響も限定的ではあります。しかし経営というものの中においては、少ないチャンスをできる限り活かし、迫るリスクをできる限り避けるということが鉄則です。以上を参考にプレミアムフライデー戦略をぜひ考えてみてください。
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