POSレジ導入に使える補助金や助成金の例|検討時の注意点

開業・経営

POSレジとはPOS(Points of Sales)機能を備えたレジのことです。つまり、リアルタイムで売上データや顧客情報を集計・管理・分析できるレジシステムといえるでしょう。従来型のレジ(レジスター)では、売上データがその端末本体にしか保存されませんが、POSレジはネットを介して瞬時に情報共有が可能です。

また、曜日・時間帯別の売上、客層別の売上なども把握できるため、飲食店などの店舗運営や業務効率化に活用でき、売上アップにつなげられるなど大きなメリットを得ることもできるでしょう。本記事ではPOSレジ導入で使える補助金・助成金制度や、導入する際の注意点を解説します。

POSレジ導入に補助金や助成金を活用しよう

先述した通り、POSレジは多機能で業務効率化に貢献します。一方で、初期費用が高額なのがデメリットとされています。ここでは国の導入支援制度である補助金・助成金の概要と両者の違いについて紹介します。

店舗経営における補助金・助成金とは

店舗経営における補助金・助成金とは、販路開拓や生産性向上などの取り組みに一定額を交付する支援制度です。つまり補助金・助成金は、企業・個人事業主などのビジネスのサポートを目的とします。ちなみに、補助金・助成金ともに原則返済は不要です。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金はどちらも国や地方公共団体などから支給される公的資金です。また受給には申請書の提出が必要で、審査を通過しなければならないのも同様です。このように似た制度ではありますが、もらえる人、目的、公募期間は異なります。

もらえる人の違い

補助金と助成金はもらえる人が違います。両者は受給までの難しさが異なるからです。
まず補助金はもらえる人数・予算が決まっているため、申請しても採択されないことがあります。企業同士のコンペになるので、申請数が多いほど受給しづらくなるのです。一方、助成金は給付条件を満たしていれば基本的にもらえます。

公募期間の違い

補助金は公募期間が決まっていることが多いです。一般的には、約1ヶ月の公募期間が設定されており、募集回数は年に1〜3回程度しかありません。この期間に必要書類を準備することになります。一方、助成金は通年で募集を行っています。

POSレジ導入に活用できる補助金や助成金

レストランでレジを操作する女性店員

補助金と助成金の概要を説明しましたが、POSレジ導入には何を活用すれば良いのでしょうか。また、補助率や助成率、下限額なども種類によって異なります。ここではPOSレジの導入費用に関して、活用が期待できる補助金・助成金の種類をご紹介します。導入費用の削減と業務効率化を両立できるため、自社で受給できる支援金があれば申請を検討してみてください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業の生産性向上を目的とした取り組みを支援する補助金です。機器、設備、タブレット端末などのハードウェアからソフトウェアのどちらの導入も対象で、革新的なサービス開発や生産プロセス改善のための設備投資に利用できます。具体的な活用方法について、経済産業省・中小企業庁が運営するミラサポplusというサイトで、いくつかの事例が紹介されています。

例えば、カフェを営む夫婦がものづくり補助金を活用し、可食容器製造機械というものを導入した事例があります。この機械はクッキー生地でできた食べられるコーヒーカップを製造するもので、SNSなどで話題になりました。結果的に生産能力が10倍にアップし、生産コストも90%ほど削減できたそうです。

他にも飲食店がセルフオーダーシステムを導入する際に活用できる可能性があります。人手不足が解消され、スタッフ一人当たりの負担や人件費の削減にもつながるでしょう。

なお、ものづくり補助金には一般型とグローバル展開型という2つの分類があります。このうちPOSレジの導入に活用できるのは一般型で、補助金額は100万円~1,000万円です。

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)

小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金という)とは、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上などの取り組みを支援するもので、上限は100万円です。文字通り、持続的な経営ができるようにサポートする制度です。POSレジ購入に関しては、売上管理業務の効率化が目的なので、補助の対象になります。

持続化補助金は一般型と低感染リスク型ビジネス枠の2種類があり、POSレジ購入に使えるのは低感染リスク型ビジネス枠です。新型コロナウイルス蔓延の影響で、対人接触機会減少への取り組みを支援する動きがあり、POSレジはそれに対応し得るシステムだからです。例えばPOSレジの機能を使ったピークタイムの可視化は密状態を避けるのに効果的だといわれます。POSレジで収集した売上データを活用して、店舗の混み具合をSNSで周知するのです。

このように新型コロナウイルス対策という観点で申請することも可能なので、POSレジ導入の際はこちらの補助金を選択肢に入れてみてください。

業務改善助成金とは、生産性向上と事業場内の最低賃金の引き上げの2点に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する制度です。生産性向上に向けた設備投資などにかかるコストの一部を助成します。助成額は以下のように決まります。

助成額の決まり方

助成額 = (設備投資にかかったコスト) × 助成率

助成額は賃金の引き上げ額や引き上げる労働者数によって変わるので、注意してください。厚生労働省のリーフレットでは上限額が30万円から600万円に設定されています(2022年6月時点)。

また、業務改善助成金を受給するには主に以下の条件を満たす必要があります。

・事業場内最低賃金を引き上げる
賃金の引き上げを計画し、その通りに実行することが必要です。具体的には、就業規則などに賃金を引き上げる旨を記載し、実際に引き上げた賃金額を労働者に支払います。

・生産性向上に向けた設備投資などをする
生産性向上のために行った取り組みに関して、費用を支払うことが必要です。機器・設備の導入、研修(人材育成・教育)、コンサルティングなどが該当します。

・事業場の規模と最低賃金が助成対象範囲内である
業務改善助成金は賃金の引き上げ額によって複数のコースがありますが、いずれも労働者が100人以下、なおかつ地域別最低賃金と事業場内最低賃金との差額が30円以内でなければいけません。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際に費用の一部を補助する制度です。通常枠とデジタル化基盤導入類型の2種類があり、POSレジはデジタル化基盤導入類型の補助対象です。また、POSレジの場合はデジタル化基盤導入類型のハードウェア購入費という部分に該当し、最大20万円、購入費の1/2が補助されます。

主な利用条件は以下の通りです。

・補助対象のソフトウェアと併せて購入
ハードウェア(POSレジなどの本体機器)の購入費用を補助対象にするには、補助対象のソフトウェアを併せて購入することが必要です。補助対象のソフトウェアとは、会計・受発注・決済・ECのいずれかの機能を有するものです。つまり、POSレジ本体(ハードウェア)と決済機能を持つPOSシステム(ソフトウェア)両方の購入が必要です。

・IT導入支援事業者が補助対象と認定している
補助申請の際にはIT導入支援事業者がパートナーになります。そしてITツールが補助対象になるにはIT導入事業者の認定が必要です。そのため購入予定のITツールがPOSレジ、あるいはモバイルPOSレジとして事前登録されているか確認しましょう。

補助金や助成金を利用してPOSレジを導入する際の注意点

補助金や助成金を利用することでPOSレジ導入費の一部をサポートしてもらえる可能性があります。ただし、申請には綿密な準備と計画が必要です。これらがないと補助金・助成金がもらえない場合もあるので、注意してください。

申請の前に必要な情報を前もって確認する

補助金や助成金は年度ごとに募集要項が変更になる場合があります。例えばIT導入補助金は2021年までハードウェアの購入費用が補助対象ではありませんでしたし、ソフトウェアの補助率は引き上げになりました。経済産業省・中小企業庁の資料では、インボイス制度導入に向けた対応と説明されています。

今後も順次変更される可能性があるので、最新の情報をチェックすることが大切です。各補助金や助成金のホームページを見て確認しましょう。ホームページには、制度を利用してPOSレジを導入した例も掲載されているので参考にするのをおすすめします。

申込期間の締め切りから逆算して計画を立てる

応募の締め切りまで余裕を持って準備を始めることが大切です。必要な資料の用意や支援機関とのやり取りに時間がかかることもあるからです。

例えば、「gBizIDプライム」の登録には2週間程度を要します。gBizIDプライムは1つのアカウントから複数の行政サービスを利用できる便利なシステムですが、未取得の場合は時間がかかるので注意しましょう。

また助成金や補助金によっては、POSレジを購入した後に給付されるものもありますので、資金繰りについて計画を立てておきましょう。

補助金・助成金を活用してPOSレジを導入しよう

今回はPOSレジ導入で活用できる補助金・助成金の概要と注意点について解説しました。POSレジは導入コストが高いイメージがあるかもしれませんが、国や地方公共団体のサポートが受けられます。業務効率化やコスト削減にもつながります。さらにより良い労働環境を整備できれば、従業員の賃金アップによって労働者数を確保しやすくなるといった長期的な経営改善も期待できます。

ただし、補助金・助成金がすぐには受けられない可能性もあるので、計画的な申し込みが大切です。また、新型コロナウイルス感染症によって経営に大きなダメージを受けた飲食店向けの助成金のように、都度、DXなどのソリューションを現場に導入できる制度もあります。

また、導入費用などもケースバイケースですし、各制度のコースによっても異なるので気軽に専門家に頼れる商工会議所の無料相談などを活用することもおすすめです。資金繰りや最新の公募要領、補助対象、申請要件、申請方法、上限額などにも注意しながら、POSレジ導入の準備を進めてみてください。