2014年4月1日、消費税が17年ぶりに5%から8%に引き上げられました。消費税引き上げの背景には、日本における高齢者人口の増加によって増大し続ける、年金や医療費などの社会保障費を補填することが目的にあります。
税率の内訳は消費税が6.3%、地方消費税が1.7%です。消費税とは、これら2つを合わせて8%となります。平成31年10月1日より、消費税はさらに10%まで引き上げられる予定となっています。消費税は、商品や製品、サービス等が販売される度に、それらの販売価格に上乗せされて徴収される仕組みになっています。
すなわち、消費税とは特定の物品やサービスに課税される個別間接税(タバコ、石油ガス、印紙税他)とは異なり、消費者に広く公平に課せられる間接税なのです。店舗経営には切っても切り離せない消費税のしくみについて、しっかりと理解しておきましょう!
消費税の納税について
消費税は、消費者が直接税務署に支払うものではありません。消費税の納税とは、まず消費者が商品や製品、サービスを商店で購入する時に、それらの価額に追加して8%分の消費税を商店に支払います。その後、商店はお客さん(消費者)から受け取った消費税を一定期間預かり、集計して税務署に全額納付します。こうした納税方法を取る税を、間接税と呼びます。
この時、事業主も仕入などで消費税を支払っていますから、仕入等による支払った消費税額も集計しておきます。(一定期間)以上2つの消費税を勘案し、以下の計算方法によって税務署に納める消費税の納税額が決定します。
計算式:預かった消費税総額 − 支払った消費税額総額 = 税務署の納付する税額
ただし、預かった消費税額より支払った消費税額の方が多い場合は差引マイナスとなりますので、多く納税した額が戻ってきます。しかし、その額を戻すためには還付の手続きをする必要があります。還付を受けたい人は後述する課税事業者であって、課税の計算方式が本則課税で計算されたものでなければならないとされています。
本則課税とは消費税を納める時の計算方式のことで、課税売上5,000万円以下の場合、簡易課税か本則課税のどちらかを選択することができます。本則課税の計算方式は、上述した「預かった消費税額 − 支払った消費税額 = 納付額」という方法を取ります。
簡易課税:預かった消費税総額 − (仕入などで支払った消費税額+設備投資などで設備を購入した時の支払った消費税額) = 納付する消費税額
という計算式で消費税額を納付する方法のことで、差引マイナスになればその分還付されます。簡易課税では、お店の設備を購入した際に支払った消費税も支払消費税となることに注意しましょう。
消費税の納税が免除!? 免税事業者とは
消費税が課せられる取引は、個人や法人などの事業者が行う国内での取引と輸入取引の2つあります。 ここで言う事業者とは、消費税を免除される免税事業者と、消費税を納める必要のある課税事業者の2種類です。以下で両者の事業者の特徴について解説いたします。
免税事業者について
- 基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下で、特定期間の課税売上高もしくは従業員などに支払った給与等が1,000万円以下の事業者。課税売上高とは課税される前の売上高のことで、商品や製品、サービスの売上高や事業上で発生する全ての収入(事業性収入)の税抜き金額のことです。ただし、非課税取引は含みません。事業所得だけでなく、不動産取引や減価償却資産の売却時の譲渡所得にもかかります。特定期間とは、法人は前年事業年度開始の日から6ヶ月間、個人事業者は前年の1月1日から6月30日までの期間を言います。例えば今年を平成29年度とし、一昨年の平成27年度の課税売上高が1,000万円以下とします。この条件において法人の場合、決算月を5月として平成28年6月から11月まで、個人事業者の場合は前年平成28年1月1日から6月30日までという条件も付け加えます。以上2つの条件下における課税売上高または、従業員の支払い給与等の総額が1,000万円以下の事業者は、免税事業者であるということになります。
- 資本金1,000万円未満で設立した法人の第1期目は免税事業者となります。法人で事業を起こした初年度(第1期目)は消費税を納めなくてもよいことになっています。
- 開業初年度の個人事業主も消費税免税事業者となります。
- 特定期間の課税売上高、または仕入などで支払った消費税の金額が1,000万円以下の事業者は、第2期目の消費税も免除となります。
課税事業者について
課税事業者とは、消費税の納税義務のある事業者のことです。
- 基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える事業者。
- 特定期間の課税売上高、従業員の給与などの金額がともに1,000万円を超える事業者。
- 資本金1,000万円以上で設立した法人の第1期目、第2期目。
- 課税事業者選択届け出書を提出した事業者。消費税の還付は課税事業者であることが条件であり、2期間は免税事業者には戻ることはできません。
簡易課税の制度とは
消費税の計算の方法には、本則課税と簡易課税の2種類があり、都合に合わせてどちらの方法も選択可能となっています。
あらかじめシミュレーションしてみて、どちらが得になるのかを確認してみましょう。簡易課税制度とは、課税期間の課税標準額に対する消費税額に「みなし仕入れ率」を乗じて仕入控除税額を計算する方式のことです。 実際に仕入れた時に支払った消費税の額で計算するのではなく、みなし仕入れ率を乗じて計算する方法となります。
課税標準額とは課税資産の譲渡等の対価の額であり、国内売上や固定資産の譲渡金額も含まれますので気をつけましょう。みなし仕入れ率(平成27年4月1日改正)
- 卸売業 90%
- 小売業 80%
- 農林水産、建設、製造業、ガス電気水道業 70%
- 飲食業 60%
- 情報、通信、運輸、宿泊、医療福祉、金融業 50%
- 不動産業 40%
ただし、簡易課税の制度を受けるためには条件があります。
- 基準期間(前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下であること。
- 消費税簡易課税制度選択届出書が税務署に提出されていること。
簡易課税の計算方法・届け出について
簡易課税の計算方法
簡易課税では実際の仕入れ額に相当する消費税額は一切関係なく、課税売上高のみで納付する消費税を算出する方法となります。
1つの事業のみの場合は計算が簡単ですが、2種類以上の事業を行っている事業者の場合、計算方法は複雑でとなります。詳しい計算方法については、国税庁HPをご覧ください。
計算方法:受け取った消費税額 − (受け取った消費税額×みなし仕入れ率) =納付税額
簡易課税の届出について
簡易課税の適用を受けるためには、お店のある場所を管轄する税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」という届出書を、原則として課税期間の開始の前日までに提出する必要があります。簡易課税制度が適用されれば消費税の計算が簡単になり、仕入額控除のための帳簿が必要なくなるので便利です。
ただし、この届出書を提出した場合、2年間は実額計算による仕入税額の控除に変更することができなくなること、届出書を提出したとしても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えてしまう場合には、その課税期間については簡易課税制度は適用されませんので留意しておきましょう。
また、簡易課税制度の適用をやめ、実額による仕入税額の控除を行うこともあるかと思います。その場合は、適用をやめる課税期間初日の前の日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要がありますので、こちらも併せて覚えておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
免税事業者ではなく、課税事業者を選択した方が有利な場合もあります。なぜなら、課税事業者でないと還付が受けられないといったことがあるからです。次の条件に当てはまるのであれば還付を受けられる可能性があるので、課税事業者の方が有利となるでしょう。
- 次期に設備投資や規模の大きな改築、改造、修理などの計画がある。
- 次期に多額な仕入れや経費の増大が見込まれる。
このような場合、支払い消費税額の方が課税売上高による消費税より金額が大きくなる可能性があるため、消費税の還付の可能性が考えられます。先の事業計画をよく考え、適切な消費税の計算方式を選択するようにしましょう。
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