年末調整のやり方とは?基本知識を身に着けよう!

開業・経営

年末調整

年の瀬が近づくとあちこちで「年末調整」という言葉が飛び交うようになります。経営者の方や、総務や経理業務の経験がある方には身近な言葉かも知れませんが、一方で正しい意味や仕組みを理解している層はあまり多くありません。

年末調整は、飲食店経営者としては必ず理解しておきたい仕組みの1つでしょう。今回は年末調整について、言葉の意味から計算方法まで、詳しくご紹介していきたいと思います。

年末調整とは

年末調整を説明する女性

まずは年末調整の意味から解説していきます。

年末調整とは従業員の給与に関わる仕組みです。企業は4月を年度始まりとしているところが多く見られますが、所得税は1月~12月の1年間の所得を元に算出されます。そのため、年度終わりの3月ではなく、年末の12月に給与所得者の所得税を確定させる必要があるのです。

通常、給与所得者は毎月決まった給与を支給される場合が大半です。その際、月の給与から所得税を天引きしたものを渡されます。この所得税を天引きされる前の給与が所謂「額面収入」、天引き後のものが「手取り収入」です

ここで問題なのが、給与所得者の正確な所得が決定される前に天引きを行わなければならないということです。どういうことかというと、たとえば4月に雇ったばかりの従業員は1年間の給与が確定されていませんよね。この時、雇用側は給与所得者の所得税を概算し、「大体このくらいだろう」という金額を目安に源泉徴収額を算出します。

毎月決まった額を支給していれば、この時の概算と実際の給与はそう変わることはありません。しかし、たとえば臨時ボーナスがあったりした場合は、年間の給与にその分を上乗せして考える必要があります。このように様々な理由から、概算の時点での計算と実際の給与に差が生じる場合もあるので、年末には必ず給与所得者の給与を確定させ、過不足がないようにしなければならないのです。

このように、給1年間の源泉徴収を計算しなおし、所得税を確定させることを年末調整といいます。

年末調整の対象者について

年末調整の対象者イメージ

年末調整は正社員を対象としているイメージがありますが、アルバイトやパートを含めすべての給与所得者が対象となります。給与を支給されて労働している人はすべて対象になるので、飲食店の場合ですとオーナー以外は全員対象になることも多いと思います。

ただし、給与所得者であっても以下の条件にあてはまる場合はこの限りではありません。税金に過不足が生じる原因になってしまうので、従業員1人1人にしっかりと目を配らせる必要があります。

  • 1年間の給与収入が2,000万円以上
  • 2か所以上から収入がある(アルバイトを掛け持ちしている、副業をしている等)
  • 所得税の徴収猶予や還付を受けている場合(災害減免法等)
  • 日雇いの場

上記に当てはまる給与所得者は、原則として自分で確定申告を行うことになっており、年末調整の必要がなくなります。一方、以下に条件に当てはまる場合は年の途中であっても雇用側が所得税を確定させる必要があります。

  • 死亡によって退職した場合
  • 海外移住等によって日本に居住しなくなる場合
  • 心身の障害等によって就労が厳しくなり、再就職の見込みもない場合
  • 退職者であっても、年末(12月)に給与の支払いがあった場合
  • 退職したパートやアルバイトのその年の給与総額が103万円に満たない場合

これらはいずれも給与所得者が退職した際に精査する必要があります。稀に、退職時に従業員と揉めてしまうといった事例がありますが、そういった場合も双方損得のないよう税法上の決まりごとはきちんと確認の上、手続きを進めていきましょう。これは従業員本人やその家族を守ることにも繋がりますので、雇用の際に経営側がしっかりと説明しておくことも大切です。

年末調整のスケジュール感を知ろう

卓上カレンダー

年末年始は飲食店にとってただでさえ繁忙期なので、余裕を持って年末調整を進めることが大切です。直前になって焦ることのないよう、年末調整のスケジュール感をおさらいしていきましょう。

11月

年末調整は概ね11月~1月の間に行われます。11月にはまず、従業員から必要書類を回収していく作業がはじまります。必要となる書類は主に以下の2つです。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は世帯内の扶養家族の異動を申告するための書類です。たとえば出産育児に一段落のついた女性が働きに出たことで夫の扶養を外れたり、その逆に退職後家族の扶養内で働くことにした人などが対象になります。配偶者控除や扶養控除など、様々な控除の確定に使用される大切な書類です。2016年からはマイナンバーの記載が必須になっていますので、その点もあわせて従業員に周知するようにしましょう。

給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書は保険料の控除と配偶者特別控除の申告書です。配偶者のいる従業員には特に大切な書類になりますので、雇用側からもしっかりと指示を出しましょう。

また、転職者は前の職場の源泉徴収票を提出してもらう必要があります。企業によっては源泉徴収票の発行に時間がかかる場合も多いので、当該従業員にできるだけ早めにアクションを取るようお願いしましょう。

12月

従業員から書類が出そろったら、所得税の計算をし、確定させる作業に入ります。主な計算方法は下記でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

1月

所得税の計算が終わったら、税務署に提出する書類を作成していきます。必要書類は以下の3つです。

  • 源泉徴収票
  • 法定調書会計表
  • 給与支払報告書

また、年末調整の作業を税理士等に外注した場合は「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出します。

年末調整の計算方法の基本

年末調整の計算イメージ

年末調整は従業員それぞれの所得を確定し、正しく納税を行う作業です。まずは以下の式にのっとって所得を確定させます。

所得 = 1年間の給与収入 - 給与所得控除

給与所得控除は収入によって異なり、以下の通りとなります。

年間の給与収入 給与所得控除
180万以下 収入金額×40% ※65万に満たない場合は65万
180〜360万 収入金額×30%+18万
360〜660万 収入金額×20%+54万
660〜1,000万 収入金額×10%+120万
1,000万以上 220万(上限)

たとえば年間の給与収入が330万の従業員の場合、上記の表に当てはめると給与所得控除は330万×30%+18万=117万。つまり給与所得は330万-117万=213万ということになります。

ここからさらに、提出された書類を元に各種所得控除額を差し引きします。配偶者控除や扶養控除の他に、基礎控除や住宅ローン控除なども加わります。

そして確定した所得税額を元に、年間の源泉徴収税額と比較し過不足がないか確認します。多い時は従業員に還付し、少ない時は新たに徴収する必要があり、12月分の給与に上乗せまたは差し引かれるパターンが大半です。

まとめ

年末調整を行う女性社員

いかがでしょうか?

年末調整の計算は大変なイメージがありますが、必要書類を集めたら式に当てはめていくだけで簡単に算出することができます。お店にとっても従業員にとっても非常に重要な制度になりますので、慌ててミスを生まないよう早め早めに準備を行いましょう。

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