メンタルトレーニングは、もともとはアスリートの精神力を鍛えるためのトレーニングで、スポーツ心理学に基づいています。
大きい試合でもプレッシャーやストレスに負けない強い心を手に入れるためのトレーニングですが、最近ではスポーツ界だけでなく、パフォーミングアーツ(演劇や演奏など)、教育界、ビジネス界など幅広い分野で活用されるようになりました。飲食業界もサービス業ですがら、メンタルを鍛えるにこしたことはありません。
プロの選手は専門のトレーナーの指導のもとで行いますが、ここでは一般の人が簡単にできる方法についてご紹介します。
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メンタルが弱いとはどういうこと?
社会生活を送っていればだれでも人間関係で悩んだり、仕事で行き詰ったりすることがあります。そのようなストレスに直面したとき、すぐに立ち直れる人と、いつまでも落ち込んだままの人がいます。
このようにストレスに対する反応が異なるのは、その人の性格や思考パターンと深くかかわっているからです。
楽観的で、多少のミスをしてもクヨクヨせずに気持ちを切り替えられる人は、ストレスに押しつぶされるようなことはありません。反対に生真面目で責任感が強く、完璧主義者タイプの人は、「100点でなければ0点と同じ」という極端な思考パターンになりやすく、無理を重ねてストレス過剰になってしまいます。
完璧主義者は、一見、活動的でメンタルが強そうに見えますが、根底には強い不安感があり、その不安から逃れるための防衛心が「そうしなければならない」「気がすむまでやる」という行動に駆り立てるものと考えられています。その結果、ストレス過剰になって、朝起きるのがつらい、仕事のミスが多くなるなど、日常生活にも支障をきたすようになることがあります。
つまり、メンタルが強いか弱いかは、ストレスを受けたときのレジリエンス(はね返す力、しなやかさ)が性格的に高いか低いかによるといえるのです。
メンタルを病むシェフたちの現状とは
飲食店の顔となる料理を作ってくれるシェフ。今、このシェフたちの現状が危惧されていることをご存じでしょうか。実は、シェフの多くがメンタル的に病んでおり、最悪、自殺に至ることも少なくないようです。
日本では、それほどニュースにはなっていませんが、海外に目を向けてみると、大物シェフが自殺してしまったりと、シェフの自殺率が高くなっているのです。日本でも、シェフにその危険性があるのは言うまでもありません。
その理由は労働環境の過酷さにあります。基本、飲食店は労働時間が長く、さらには、他従業員との人間関係もあります。さらには、季節ごとに新しいメニューを開発する必要に迫られたりと、シェフには息をつく暇もないわけです。
その結果、ある日、突然シェフが職場にこなくなったりまったり、命を断つと言った取り返しのつかない現状がやってくるのです。でも、これはシェフの責任ではなく、対策を施せなかったオーナーの責任が強いでしょう。
飲食店のオーナーは、シェフの負担を軽くするような取り組みが求められています。
メンタルは鍛えられる
性格は、遺伝的にもっている素質と、生育状況、生活環境、教育などに影響されて形成されるものですから、簡単に修正できるものではありません。しかし、自分の思考パターンや行動パターンを振り返ってみて、これまでの自分とは違う自分を意識することで「演じる」ことができます。
たとえば、その日のうちに仕事が片付かないときは、「完全に終わらせないと不安だ」と思っても、「明日でも間に合うから今日は帰ってゆっくり休もう」と、仕事を切り上げます。自分のこだわりの強い性格に封をして、もっとドライな人間を演じてみるのです。
また、不安が強くて何事にも自信がもてないという場合は、外見を整えることも効果的です。 この外見には服装や化粧だけでなく、にこやかな表情やきびきびした態度、すっと伸ばした姿勢なども含みます。 外見を整えれば、周囲の人の見る目も違ってきます。とくに他人の評価を気にする人にとって、外見をよくすることは自信を深めることにつながります。
このようにいつも演じていれば、それはやがて習慣になります。習慣がしっかり身につけば、それは性格と同等の力を発揮するようになります。つまり、メンタルを強くすることができるということです。
メンタルトレーニングのおすすめ方法
メンタルを強化するためには、演じることともう一つ、「ストレスを上手に回避する」ことも大切です。その具体的な方法をあげてみましょう。
1、70~80点でよしとする
100点は0点と同じとか、オールオアナッシングという考えを二分割思考といいますが、何でもパーフェクトにこなせる人などいませんから、永久に手に入らないものを追い求めることになります。それでは力尽きてしまうことは目に見えています。 物事に取り組むときは、「70点か80点取れれば十分」と気持ちに余裕を持たせることが大切です。
2、別の角度から考えてみる
仕事で失敗してしまった場合、その瞬間は「くやしい」「情けない」「つらい」といったマイナス感情が噴出します。しかし、「別の考えはないだろうか」と角度を変えてみると、「いい経験になった。これ以上大きい失敗をしなくてすむ」とプラス思考に転じることができます。 そうした考え方ができるようになると気持ちがずっと楽になり、ストレスに負けるようなこともなくなります。
3、一人で抱え込まない
責任感が強い人は、「人に頼ってはいけない」「人に弱みを見せられない」という思いから、何でも自分一人で抱え込んでしまう傾向があります。人間のエネルギーには限界があり、単独ではできないことのほうが多いのです。職場はみんなの連係プレイで成り立つものですから、ほかの人に頼める仕事は任せるようにしましょう。
4、ていねいな行動を心がける
不快なことがあってイライラしているときは、つい乱暴な口をきいたり、投げやりな態度を取ったりしがちです。そんなときは、「どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」と自己嫌悪に陥ってしまうものです。この自己嫌悪も落ち込みのもとになってしまいますから、イライラしているときこそ悠然と、ていねいに振る舞うようにしましょう。
5、自己暗示をかける
気持ちが落ち込んでいるときは、「自分は負けない!」「きっと成功する」と自己暗示をかけるのもストレスを回避するために有効な手段です。自己暗示には、自分の気持ちを高揚させるだけでなく、周囲の人たちも楽しい気分にさせる効果があるといいます。 また、頑張った自分を「よくやった」とほめてやるのもメンタル強化に役立ちます。
イメージを使ったトレーニング
メンタルを救う為に効果的なのがイメージトレーニングをさせることです。言葉としては誰でも聞いたことがあると思いますが、その方法を問われると、説明できなかったりしますよね。
イメージトレーニングの目的は「良い状態を作ること」となります。良いイメージを頭の中に作って、その想像を自分に定着させていきます。すると、イメージが実体験として認識できるようになり、精神的に強くなっていきます。
もちろん、最初からうまくいくわけではありません。
最初は、良いイメージを定着させるのは難しいでしょう。しかし、地道に繰り返すことによって、目を閉じれば、直ぐに良い状態の自分を作り上げられるようになってきます。
イメージトレーニングの方法としては…
- 理想の自分をイメージする
- 集中できる場所で行う
- 目を閉じてイメージだけに専念する
といった3STEPとなっています。
静かな場所でするのが理想ですが、大切なのは「集中できる場所」で行うこととなっています。仕事の合間に、イメージトレーニングをすることで、精神的負担を軽くすることが出来るでしょう。
セルフイメージを高める/書き換えるトレーニング
イメージトレーニングと併用して行っていきたいのが、セルフイメージを高めることです。というのは、この部分が出来ていないと、イメージトレーニングが効果的に行われないからです。
セルフイメージを高める方法をお話するまえに「なぜ、シェフは病んでしまうのか?」という根本的な部分をお話します。理由は色々とありますが、その一つが「失敗」が大きく関係しています。
要は「マイナス」の出来事です。
これが足を引っ張ってしまい、気持ちが沈み、職場に嫌なイメージを持つようになり、さらには自信すらなくしていく…。
このような環境になると病まない人の方が少ないでしょう。
だから、セルフイメージを高めて、過去のマイナス経験を0にしていくのです。
例えば、料理の方法を間違えた経験のあるシェフがいるとしましょう。このようなシェフには、ひたすら、失敗せずに料理を作れたイメージを想像してもらいます。可能であれば、実際に再度料理を作ってもらうのが良いでしょう。
そうすることで…
「自分はできる」
ということを認識させることができます。そして、そのイメージを元に、何度も完璧に利調理できた自分を想像させていきます。これを繰り返すことで、過去の失敗が気にならなくなり、自分を認められるようになります。
ここで、マイナスイメージの払拭に成功しました。
あとは、プラスに向けていくことが重要なのですが、一番良いのは、シェフが理想とする料理人を挙げてもらい、その人物をモデリングしてもらうことです。
例えば、理想の人の仕草や言葉。
これをセルフトレーニングを通じて、頭の中で何度もリピートさせるのですが、この時大切なのが「自分がやっている姿を想像する」ということ。つまり、理想の人物になりきった自分を想像させるのです。
分かりやすく言うと、野球をしている子どもが、イチローの真似をするようなものです。イチローがバッターボックスに入った時の仕草を真似る。それだけで、何だか打てるような気持になるわけです。
おそらく、こういった経験はあるでしょう。それをシェフにも「料理」というジャンルで行ってもらえば、仮に何かに失敗しても落ち込まないメンタルを作ることができるだけでなく、自信に満ち溢れて、仕事に取り組んでくれるようになることでしょう。
ただ、イメージトレーニングをすれば、絶対に精神的に病まないのかといえばそうではありません。人間ですから休養が必要となってきます。オーナーはシフト管理を徹底して、休養を与えることを忘れないようにしましょう。
生活習慣を見直してメンタルを強化する
私たちの日常生活は「食事」「睡眠」「運動」「労働」「休息」の5つの要素で成り立っています。このうちのどれかが不足したり、過剰になったりするとストレスが生じ、メンタルを弱らせることになってしまいます。
飲食業界はつい生活習慣が乱れがちになってしまう忙しい業界です。まずは自分の生活習慣を次の4点から見直し、思い当たるところはできるだけ改善するように努めましょう。また、それを従業員へ浸透させ、会社・店舗全体で生活習慣の見直しとメンタル強化をしていきましょう。
●体が発するサインを無視していないか
空腹感や疲労感、眠気などは身体がそれを求めているというサインです。サインを無視して無理をすると、メンタルヘルス不調をきたしてしまいます。体の自然な感覚をもっと大切にしましょう。
●生活リズムが不規則になっていないか
忙しいときは睡眠時間を削ったり、休みの日は遅くまで寝ていたりしがちですが、そのような不規則な日が続くと自律神経が乱れて、どこも悪くはないのに頭痛や耳鳴りなどの身体症状が現れたり、不安や意欲低下などの精神症状が起こることがあります。仕事上、夜型の生活になるとしても、毎日決まった時刻に就寝し、朝も決まった時刻に起床し、生活リズムを整えるようにしましょう。
●喜怒哀楽の感情を上手に表現しているか
メンタルが弱い人の特性として「感情表現が苦手」ということもあげられます。喜怒哀楽は人間に与えられた自然な感情ですから、抑え込んでばかりいては行き場のない感情はストレスとなって蓄積してしまいます。感情をむき出しにするのは避けるべきですが、自分の気持ちを素直に表現することもときには必要です。
●休養を十分にとっているか
週に1日2日の「休息」だけでなく、心身のエネルギーを充電する意味の「休養」を取ることも重要です。有給休暇をとれるのであれば上手に利用するようにしましょう。
まとめ
メンタルの強い人というのは、ここ一番というときに実力以上の力を発揮できる人とのことです。事業には想定外のトラブルがつきものですが、そんなときもメンタルが強ければ冷静に処理することができます。
また、従業員を守るという意味からも経営者や店長はメンタルが強くなくてはなりません。いつ、どんな事態が起きても適切に、迅速に対応できるようメンタルトレーニングを実践して精神力を鍛えておきましょう。
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