低温調理のメリットとデメリットとは?食材の魅力を引き出すメニューのご紹介も!

最近注目を浴びている低温調理は、湯煎でじっくり熱を通すことで食材の柔らかさや旨味を保った調理が可能です。

今回の記事では、低温調理のメリットとデメリット、調理の際の注意点を解説し、低温調理で特におすすめのメニューについてご紹介します。

低温調理とは

低温調理は、煮る・焼くといった調理と比較して低温(40~60℃)で長時間加熱する調理法です。一般的には食材をジッパー付きの耐熱袋に入れ湯煎します。専用の「低温調理器」を使用することで、食材の温度を適切に保つことができます。

低温調理器の形状を大きく分けると、鍋にクリップなどで固定する手軽なタイプと、バスと一体化した業務用のものの2タイプあります。

低温調理のメリット

低温調理にすると、味が良くなるだけではなく人件費や食材の重量ロスの削減にもつながります。飲食店において低温調理を導入することのメリットをいくつかご紹介しましょう。

柔らかくおいしい仕上がりになる

たとえばステーキをフライパンで焼くとなると、肉の内側まで加熱するためには、外側はそれ以上に熱にさらす必要があります。その結果、外側は過熱により硬くなり旨みや肉汁が流れ出てしまいます。

低温調理は肉や魚のたんぱく質変性を抑えられるため、食材本来の水分や旨みをそのままキープすることができます。そのため、柔らかくおいしい仕上がりになります。

手間がかからない

低温調理は、真空パックに食材を入れ湯煎にかけておくだけでできます。専用の調理器を利用すれば、機械に調理を任せることができるため調理技術も必要なくガス台の前につきっきりになることもありません。

その分人件費を削減したり、空いた時間をほかの調理に回したりすることで、コストの削減や提供スピードの向上・メニューの充実につなげることができます。

重量ロスを減らせる

焼く・茹でる・蒸すといった方法で調理すると、水分が抜け味はもちろんのこと重量も減ってしまいます。

しかし、先ほどご紹介した通り、低温調理では食材の水分が逃げ出さないため、調理による重量ロスを減らすことができます。特にパテやひき肉料理など食材が細かく水分の流出が激しい料理に有効です。

低温調理のデメリット

手軽で便利な低温調理ですが、もちろんデメリットも存在します。店舗運営に大きなダメージを与える要因になるものもありますので、デメリットを把握し対策をきちんと行うようにしましょう。

時間がかかる

低温調理は低温でじっくり熱を加える調理法であるため、食材によっては一般的な調理より時間がかかる場合もあります。特に寄生虫リスクのある豚肉や鶏肉は数時間かけて調理することが必要です。

臭みが残る

食材の旨みや水分が逃げにくいということは、同時に臭みも逃げにくいということです。そのため、低温調理の料理は独特の臭みがある場合があります。

食中毒や腐敗のリスクがある

低温でじっくり加熱するということは、その過程で菌が繁殖するリスクが大きいということでもあります。厚生労働省では食材の安全性を保つため、中心温度75℃で1分以上の加熱、食肉においては中心温度63℃で30分の加熱を基準としています。ただし、その基準を満たしたからといってリスクが0になるとは限りませんので注意が必要です。

低温調理器を使う際の注意点

低温調理器は手間をかけずに料理ができるというメリットがありますが、食材や調理器の扱い方を誤ると、臭みが残ったり食中毒や腐敗のリスクが高まったりしてしまいます。それらを防ぐため、低温調理器を使う際に特に注意したい点をいくつかご紹介しましょう。

食材の鮮度と保管方法に注意する

どのような調理でも共通することですが、鮮度の良い食材を使用することは、おいしさの面でも食中毒や腐敗のリスクを減らすためにもとても重要です。

また、調理前に冷蔵庫もしくは冷凍庫で食材を保管する場合は、適切な温度を保てているかきちんとチェックするようにしましょう。

食材の下処理を徹底し、スパイスなどで臭みを抑える

低温調理の際の臭みを抑えるためには、下処理を徹底することが大切です。たとえば鶏肉の場合は、調理前に50℃のお湯で表面を洗うと臭みの原因となる酸化物を取り除くことができます。

また、スパイスやハーブ・麹などで臭みを抑えたり風味をつけたりするといった工夫も必要です。新しい調理法ならではの新しいレシピを考えてみると良いでしょう。

温度管理を徹底する

先ほどご紹介した通り、食材の安全性を保つためには中心部分まで加熱することが必要です。中心温度計を使い、食材の中心の温度を確認するようにしましょう。

また、調理器の不具合で適温が保てなかったり真空パックが浮き上がってお湯に漬かっていない部分ができたりすると、食中毒や腐敗のリスクが高まります。

低温調理器は調理の手間がかからないというメリットはありますが、調理機にすべて任せきりにせず、必ず人の目でチェックするようにしましょう。

低温調理器を使ったメニュー

最後に、低温調理器を使ったメニューとその作り方を簡単にご紹介します。

ローストビーフ

低温調理の代表といえば、やはりローストビーフでしょう。簡単に作れるうえ見栄えが良く、メインディッシュにふさわしいメニューです。

牛もも肉の塊を塩・コショウなどで下味をつけ、加熱調理用のバッグに入れます。調理器のお湯が60℃前後になったら肉をお湯に浸し、2~3時間ほどおいておきます。

その後肉を取り出し、フライパンなどで焦げ目をつけます。袋に残った肉汁と醤油などでグレービーソースを作って添えれば完成です。新鮮な野菜と一緒に盛りつければ栄養バランスも良く、ムービージェニックなため女性にも喜ばれます。

サーモンのコンフィ

コンフィとは、食材をオイルに浸し低温でじっくりと煮る調理法です。もともとは保存性を上げるために考えられましたが、現在では食材の風味やジューシーさを引き出す調理法として用いられています。

サーモンのコンフィはしっとりして柔らかく、口に入れるとホロホロと溶けてしまいそうな繊細さが特長です。

サーモンは生食用を準備し、塩と砂糖を溶かした水に漬けておきます。これを「ブライニング」といい、旨味を引き出しジューシーさを保つ効果があります。

ブライニングを終えたら、バッグにオイルとサーモンを入れて低温調理器にセットします。40~50℃をキープしながら10~30分調理すれば完成です。

使用したオイルに酢やレモン汁・醤油などを混ぜれば、コンフィに良く合う爽やかなソースができます。

玉ねぎのスープ

低温調理器は肉や魚だけではなく、野菜料理にもおすすめです。野菜の栄養やおいしさはそのままで、柔らかく調理できる点が大きなメリットです。特に今注目を集めているのが玉ねぎを丸ごと使ったスープです。

コロンとした玉ねぎがそのまま入ったスープは、見た目もかわいらしくムービージェニックなうえ、野菜の持つ滋味を心ゆくまで楽しむことができます。

玉ねぎは皮をむいて上下を落とし、上部に浅く十字の切込みをいれます。スープと玉ねぎをバッグに入れ、90℃で80分調理すれば完成です。パセリを少し添えると色味がきれいです。

まとめ

低温調理は食材のおいしさやジューシーさを保ち、食材の良さを引き出した料理を作ることができます。また、それだけではなく、調理の手間が省け人件費の削減につながる・食材の重量ロスが抑えられるなど、店舗運営においても大きなメリットをもたらします。

しかし、当然のことながらデメリットも存在します。特に食中毒や腐敗は大きな問題になりますので、食材や機械の管理を徹底し絶対に起こらないよう注意しなければなりません。

基本さえしっかり押さえれば、低温調理はさほど難しいものではありません。新しいメニュー開拓や店舗運営の効率化のために、低温調理器を導入してみてはいかがでしょうか。