給与計算は結構複雑?給与計算の基本や計算方法について理解しよう

開業・経営

給与計算が不安な女性

小さな飲食店であろうと商店であろうと、1人でも従業員を雇えば、当然毎月の給料は払わなければなりません。労働基準法の定めに従った方法で計算し、遅滞なく支払う必要があります。

給与という人件費は、商売の上ではコストです。事業主にとってコストは安ければ儲けが多くなりますから、どうしても抑えようとする傾向がありますが、それでは従業員の生活が守られません。そのため給与計算については労働基準法で厳しく細目が決められているわけです。

飲食店を経営する上で給与計算は重要な仕事です。正確に知っていないと思わぬトラブルを招きかねませんので、しっかり学習しておきましょう。

給与の仕組みとは

ガッツする女性

給与とは、労働基準法で決められた賃金のことを指します。商店や会社、事業所などで働く全ての従業員(社員)に労働の見返りとして、事業主から支払われる全てのもの(各種手当、賞与を含む)のことです。

一般的な給与の仕組は、給与の大部分を占める生活給(本給とも言う)と、職務の内容に応じて支払われる職務給(職種給)及び、担当する仕事の難易度や等級によって決められる職能給などから成っています。

従業員(社員)に支払われる給与は、事業主が所得税、住民税などの税金と、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料を事業主が天引きして支払うことに法律で決まっています。

この他にも、事業主と従業員代表とが話し合って決めた労働協約が結んであれば、社宅・寮費、組合費、財形貯蓄、生命保険、社員旅行の積立費などが天引きされます。

給与は、給与総額―控除額=差し引き支給額の式で計算され、差し引き支給額が現金又は振込で支払われます。

給与総額は、基準内給与の部分と基準外給与の部分に分けられます。

基準内給与とは、就業規則で定められた所定労働時間分に相当する給与です。基本給+諸手当のことです。基本給は、本人の年齢や勤続年数、経験、能力によって決められ、生活給(本給)、職務給、職能給などと言われている部分です。諸手当(各種手当)とは、事業所によって異なりますが、役職手当、職務手当、家族手当、住宅手当、資格手当、特殊勤務手当、皆勤手当など様々な種類があります。

基準外給与とは、残業代と言われる時間外手当、休日出勤手当、深夜手当などが該当します。

なお、基本給、諸手当の基準内給与は固定的給与と言い、勤務時間や営業成績によって変動することはありません。

給与計算の基本を覚えよう

電卓と数字

では給与計算はどのようにすればいいのか。その仕組みや約束ごと(ルール)が分かれば計算できます。

大雑把な給与の仕組みは上記のように記述しましたが、給与計算は、その科目ごとに約束ごと(ルール)があります。それを詳しく見ていきましょう。

総支給額は、上記に記述とおり。差し引き支給額は総支給額から控除額を引いたものです。この控除額に数々の約束ごと(ルール)があります。

税金や社会保険料は給与から天引きしますが、これは事業主が従業員に代わって徴収して税務署や社会保険事務所(現、年金事務所)に納付します。これ以外に控除される社宅・寮費、組合費、財形貯蓄などは各事業所で天引きして管理します。徴収しない事業所もあります。

控除科目の約束ごと(ルール)と納付先

  • 所得税と住民税は各事業所がまとめて、税務署、市区町村に納付する。
  • 社会保険料の内、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の3つは、事業主と従業員の折半で負担する。納付先は年金事務所。計算方法は標準報酬月額に各保険料率を掛けて計算する。
  • 雇用保険は、事業主が6割、従業員が4割負担します。納付先はハローワークです。計算方法は総支給額に雇用保険料率を掛けて計算します。
  • これ以外の控除科目は事業所ごとに決められた方法で徴収され管理されます。

給与計算ってどうやってするの?

電卓とメモ帳

給与計算を行う前に、下記の書類を揃えておかねばなりません。

給与計算を行う前に必要な書類

  • 日本年金機構から毎月届く、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
  • 市区町村から届く、住民税課税決定通知書
  • タイムカード など

また、給与計算は各事業所の給与体系によって、計算方法が異なります。

月給制の場合は、遅刻、早退、欠勤があってもその分の控除はありません。日給月給制は、遅刻、早退、欠勤があればその分控除されます。給与計算は1日ごとに計算され、1ヶ月ごとに支払われます。契約社員もこの制度を使っているところが多いようです。

日給制は、文字通り勤務した日数に日給額を掛けて算出されます。年俸制は、あらかじめ年間で決められ、それを12ヶ月で割って、毎月支払われます。時間制は働いた時間に時給を掛けて計算されます。

ここでは、もっとも多い日給月給制で説明します。

  1. 勤務時間の計算:タイムカードから総労働時間と時間外労働時間を算出する。
  2. 時間外手当の計算:時間単価×割増率(125%)×時間外労働時間
  3. 通勤手当:就業規則で決められた金額を記載する。但し非課税限度額(100,000円/月)に要注意です。
  4. 総支給額の計算:総支給額=基本給+時間外手当+通勤手当+諸手当
  5. 社会保険料の計算:保険料額表を使用して、標準報酬額を基に保険料を算出します。標準報酬額とは、従業員の4,5,6月の給与総額の平均です。雇用保険も表から算出します。
  6. 課税対象額の計算:課税対象額=総支給額―通勤手当―社会保険料
  7. 源泉所得税の計算:源泉所得税額表から算出
  8. 住民税の計算:住民税課税額決定通知書で算出
  9. 控除額の計算:控除額=社会保険料+所得税+住民税+生命保険料など
  10. 差引支給額:差引支給額=総支給額―控除額

給与ソフトも各種販売されていますから、これらを使えば簡単に計算することができます。

給与明細書を作成しよう

給与明細

給与明細書の発行は法律で義務付けられています。(所得税法第231条)

給与総額の内訳や、控除される項目をそれぞれ記載し、差引支給額が分かるようになっているのが給与明細書です。

また、給与明細書に記載する項目は法律で定められています。

労働基準法第24条「基本給、手当、その他の賃金の種類ごと、又、その金額、源泉所得税、労働者に負担すべき社会保険料額など、賃金から控除した金額がある場合には、その項目ごとにその金額、口座振込を行った金額を給与明細書に明記しなければならない」とあります。

決まったフォーマットはありませんが、事業所ごとに独自に作られています。ネットにもたくさんダウンロードできるフォーマットがあります。ほとんど法律で定めらえた項目で構成され、ここに記入するようになっています。

まとめ

手を腰にあてる男性

給料明細書は、従業員にとってはとても大事な書類です。従業員の生活を守る上で必要なお金に関する情報がすべて記載されています。

昇給、減給、昇進、手当、降格、欠勤、病気、登用、退職、倒産、などなど事業所の趨勢に合わせて、従業員の生活の変化によって、それらが給与明細書の中身に反映されていきます。

給与明細書は、従業員の仕事の対価が正確に計算されて記載されているかを確認する書類であるとともに、従業員の生活を守る各種の証拠書類として重要な書類です。

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