飲食店を開業するときは経営戦略が必要不可欠で、そのなかでも「どのような客層をターゲットにするか」を決めることが重要ポイントです。
客層の選定を間違えてしまうと、お店が提供したいサービスとお客さまのニーズにズレが生じてしまい、収益アップどころかお店の存続さえ危うくなってしまいます。
では、客層を正しく把握するためにはどのようなことが必要なのか、その手順と方法について見ていきましょう。
客層とは具体的にどんなこと?
客層というのは、お店を利用してくれる主要なお客さまを、年齢、男女、職業、居住地域、生活状況などによって類別した一群のことで、学生層、ビジネス層、シングル層、ファミリー層、シニア層、富裕層などと分類するのが一般的です。
飲食店は、出店する場所(立地)によって繁盛店になるための条件は違ってきます。
人口が多く、競合する飲食店も多い都心のオフィス街であれば、ビジネス層に絞り、それ以外の層は切り捨てるくらいの明快なコンセプトを確立して他店との差別化を図る必要があります。郊外の住宅街で競合店も少ないところでは、ファミリ―層もシニア層もターゲットにすることができます。
このように、まず客層を把握して、それにもっとも適したメニュー、価格、サービス内容などを決定します。客層を明らかにすることでお店が繁盛する確率は格段にアップします。
反対に、こうした努力を怠り、自分の好きな料理を適当な価格で販売しようとすると、それはビジネスではなく、「道楽」や「殿様商売」などと揶揄されて、とても発展は望めないでしょう。
客層を把握するにはどうすればいい?
出店候補地が見つかったら、その地域の人口構成を調べてみるといいでしょう。それには市区町村のホームページで「男女別・年齢別住人基本台帳」を閲覧する方法もあります。どの年齢層がいちばん多いか、男性と女性のどちらが多いか、子どもはどのくらいいるのかなどを知ることができますし、ひとり暮らしの世帯数などもわかります。
たとえば、35~40歳が最も多く、子どもは5~10歳までが多いというA町の場合、ファミリー層が多く、外食をする頻度や金額もだいたい予想することができます。
シニア層が多い地域であれば、子どもと孫の3世代での消費行動も見込まれます。定年退職後の世代は、個人消費全体の約45%を占めるといわれ、旅行やスポーツなどの分野で新しい市場を生み、コンビニなどの小売業や外食業界でもシニア層を取り込むことを大きな課題としています。これから飲食店を開業する人にとってシニア層は有望なターゲットの1つといえるでしょう。
以上のように統計を参考にして客層を選定したら、現地に足を運び、同業店に実際に入ってみて、客数、客層、スタッフ数、人気メニュー、客単価などを調査します。 この商圏調査(マーケティングリサーチ)は1回限りではなく、複数店を対象に、曜日や時間帯を変えて何度も行う必要があります。
客層データをとることのメリット、効果
では客層データをとることのメリットや効果にはどんなものがあるのでしょうか?
これらを知ることは経営者にとって、どのような意味があるのでしょうか?
〇客層ターゲットを再確認できる
開店当初は、お店の雰囲気やメニューがどんな客層に適しているかを考慮してスタートさせたかもしれません。しかし、より多くのお客さまに来ていただきたいという思いから、店舗経営にブレが生じることがあります。
たとえば、比較的お金を自由に使える独身のビジネスマンとOLをターゲットに、洗練された個性的なパブを開店したとします。ところが、お客さまが思うように入らないと、メニューを増やしたり値下げをしたり、チラシやホームページなどで集客に努めようとします。
すると宣伝につられて学生や家族連れが押し寄せ、今度はスタッフの人手不足で接客がおろそかになってしまいます。その結果洗練された空間でゆったりとしたひとときを過ごしたかったシングル層は離れていきます。その一方で新規客にとっても、ざわざわした店内でサービスは行き届いていないと「また来たい」という気持ちにはならないでしょう。
こうした本末転倒の事態を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。焦りや不安を感じたときこそ店のコンセプトに立ち返ってターゲットを絞り、その層の人たちに訴えるサービスを重点的に考えるようにします。
〇人気メニュー、削除メニューを決定できる
どんな客層がどんなメニューを好み、避けたりしているかを把握することができます。客観的に状況を把握することにより、どのメニューが人気があるのか、その原因を分析し、人気のないメニューは削除して負担を減らすことができます。
〇お店のファンを知る
店の雰囲気やサービスを気に入って通ってくれる人(お店のファン)が増えれば、そのファンが知り合いを紹介してくれ、SNS などで口コミを拡散して潜在顧客を呼び起こしてくれる可能性が高くなります。
このように、お客さまがお客さまを呼んでくれる状態になれば、無駄に高い宣伝費をかけることなく、売上と利益を大きく伸ばしていくことができるのです。
〇売れている時間帯、客層を把握する
客層とともに、どの時間帯がお客さまに人気があるのかを把握することにより固定客を増やすことができます。このようにして、リピーターを増やすことに心がけることができるでしょう。
〇今の客層に加え新しい客層をプラスする
現状を把握した上でさらに新しい客層を増やすことも冷静に判断できます。客層を変えるのは大変ですが、今よりも幅を少し広げる感覚で客層を広げることで、今までのお客さまを手放すことなく新しい客層のお客さまを取り込むことができます。
客層データの取得方法
リピーターが増えて売上も伸びているときは、この状態がずっと続くと思い込んでしまう経営者が少なくありません。そう考えてしまうのも無理はないですが、その期待はあまり現実的ではありません。なぜなら、人間のライフスタイルや志向、ニーズといったものは絶えず変化するからです。また、店舗周辺の環境が変わり、競合店が増えてしまうということも大いにあり得ます。
常連客だった人が転勤になったり、退職したりして来店の機会がなくなるというケースもよくあることです。そのような変化が生じても対応できるようにするには、やはり客層の変化に敏感になることが大切です。
〇アンケート用紙を使用する
自店の今現在の客層を正確に把握するには、アンケートを取るのがいちばん簡単な方法です。そうはいっても、どのお客さまも快く応じてくれるとは限りません。またアンケートに答えれば、割引やクーポンが使える、プレゼントがあるなどといろいろやってみても、実際は本当の解答を得ることはなかなか難しいでしょう。そのためアンケートではあまり正確な情報を得られないでしょう。
〇POSレジを活用する
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ハンディ
ハンディと呼ばれる端末機器と連動しているPOSレジを使用すれば、お客さまがオーダーした時点で月日、曜日、時間帯、メイン料理、セットで注文したもの、会計などあらゆるデータが保存されるのでいつでも顧客分析をすることができます。
それによって、ファミリー層が多いのかビジネス層が多いのかといったことも容易に把握することができます。
分析の結果、当初ターゲットとしていた客層とズレが生じている場合は、新しい客層に合わせて店内の雰囲気を変え、新メニューを加えるなど、経営戦略そのものを見直すことが必要です。
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ユビレジ
これはiPadで利用できる、POSレジシステムです。
顧客の属性分析や購入履歴、性別や年齢などの属性の把握し顧客情報を分析、管理でき、主にカフェなどの飲食店で多く利用されている有名な顧客管理アプリです。
このようにPOSレジは初心者でも簡単に使いこなせるようになっています。リースシステムもあり、導入する個人経営者が年々増えています。目まぐるしく変化する飲食業界で勝ち抜いていくためにはデータに基づいて正確に分析・判断することが大切です。
手書きの注文票で不便を感じているという人は、POSレジの導入を検討するのはいかがですか。POSレジシステムで、正確な情報を得て今後の経営戦略に役立てることができるでしょう。
まとめ
客層を分析することにより、店舗経営のどこに問題点があるのか、改善する方法は何かを具体的に知ることはできます。しかし、流行や客層の好みは常に変化するため、売り上げを伸ばすにはその動きに敏感でなければなりません。
一度の客層分析だけで満足せず、常に先手を打ってできるだけ多くの客層の心をつかむことができるお店作りをしていきたいですね。
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