個人事業主は自営業とも言います。会社員のように毎月給与をもらうことはなく、自ら事業を行って利益を得て、それを生活の糧とします。
日本には自営業者が540万人以上いると言われています。徐々に数が減少しているようですが、それでもかなりの数になります。会社(法人)の形をとっていなくても、多くの従業員を雇っている個人事業主もいます。
今回は、そんな個人事業主だからこそできる税金対策についてご紹介していきます。
個人事業主が関わる税金について理解しよう
個人事業は所轄の税務署に開業届(個人事業の開廃業等届け出書)を提出するだけで、誰でも簡単にはじめることができます。なぜ税務署に開業届をだすかというと、個人事業主であっても、一定の所得があれば税金を納めなければならないからです。
個人事業主が支払わなければならない税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4種類です。、所得税と消費税は国税(税務署)、住民税と個人事業税が地方税(市町村)となります。
所得税
所得税とは、個人事業主が1年間、事業を行って得た利益(所得)に対してかかる税金です。収入という売上高から支出という経費及び控除額を引いて課税所得を算出します。所得によって税率が決まっており、その年度の確定申告の期限3月15日(振替期限4月20日)までに納付する必要があります。
消費税
消費税は、消費者が支払った税金を一旦預かって、消費者の代わりに事業者が納税する預り金です。利益が出ていなくても払わなければならない税金です。 ただし、個人事業主には特例があり、開業から2年間は、納税が免除され、売上が年間1,000万円以下の場合も免除されます。納付期限は3月31日(振替期限4月25日)となります。
住民税
住民税は事業主個人にかかる税金です。確定申告をおこなっていれば申告の必要はなく、都道府県、市町村から前年度分の所得から計算して納付書が送られてきます。住民税はおおよそ課税所得の10%くらいとなっています。
個人事業税
先程記載したとおり、個人事業税は地方に納める地方税で、事業所得(売上−経費)のおおよそ3~5%くらいとなっています。 ただし個人事業税は、事業所得が290万円までは免税となります。
これらの税金の実態を踏まえて、個人事業主の税金対策を見ていきましょう。
税金対策とは
税金対策とは、上記4つの税金のうち、所得税をいかに合理的に法に従った方法で安くするかという、いわゆる節税対策のことです。
所得税は次の計算式で計算されます。
所得税 = (収入 − 経費 − 所得控除) × 税率 − 税額控除
この式の構成要素となっている、収入、経費、所得控除、税額控除についての具体的対策が、税金対策のポイントとなります。
収入は、事業によって得られる売り上げがメインですが、他にも雑所得や給与所得があります。雑所得は個人事業税がかかりません。 経費に対する対策は、節税対策として後述します。
所得控除は大変多くの制度があります。国民健康保険、生命保険、小規模企業共済、医療費控除など。該当するものがないかどうか、よく確認しましょう。
税額控除は、納税額から直接一定の金額を差し引く制度で、住宅ローン減税がこの制度に当てはまります。節税対策の効果が高い制度ですので、これもよく確認しておくことをおすすめします。
個人事業主ができる税金対策:経費の節税
税金対策でまず最初に行わなければならない対策は経費です。一般的な経費以外に経費計上できるものがないかどうかを確認しましょう。個人事業主の方は、事業に関係した経費と個人的な生活などで支払った費用などが一緒になっている場合が多く、こうした費用を所得税の計算をする時に対象としていない方が多く見受けられます。
ガソリン代、有料道路通行料、車検費用、修理代金、保険料など車に関係した費用は事業に供した部分と個人で使った部分を按分して、事業で使った分は経費に計上しましょう。車の減価償却費も按分計算で経費化が可能です。
他にも家賃など意外と見落としている場合が多くみられます。自宅で事業を行っている場合は、付近の家賃相場から、事業用に使用している面積を算出して按分し経費に算入します。
他にもまだまだあります。水道光熱費、電話代金、インターネット料金、旅費、制服代、印紙代、回収不能債権、会費、固定資産税など、小さな費用でも業務用に供されている費用があれば、よく調査して計上するようにしましょう。
なお、按分計算の方法には決まったルールがありませんがネット上にも参考になる計算方法が載っています。要は、税務署が分かったと言ってもらえるような資料が必要です。
個人事業主ができる税金対策:青色申告税額控除
所得税法第144条に従って青色申告の承認を受けて控除を受ける方法で、所得税の青色申告承認申請書を税務署に出すだけとなります。申告書類を複式簿記で書くことで、65万円の控除を受けることができるのです。ちなみに単式簿記の場合は、10万円の控除が受けられます。
また、実は青色申告には全部で約50の特例があります。その中で特筆すべきものとして青色専従者の特例という制度があり、これも節税効果の高い制度です。
「15歳以上の方で、事業主と生計を共にしている配偶者とその親族の給与は、経費として全額認める」というものです。青色事業専従者給与に関する届書を税務署に提出しておく必要がありますが、6ヶ月以上事業主の仕事を専従で手伝えば、その給与額全額が経費になります。
これらは節税効果の高い制度ですから、ぜひとも税金対策の一貫として採用していきましょう。
他にもある!税金対策
個人事業主ができる税金対策をいくつかご紹介しましたが、この他にも多くの節税対策があります。 その一部をご紹介します。
- 青色申告の純損失繰越制度
- 事業で出た赤字を将来3年間にわたって黒字で相殺できる制度です。
- 30万円未満の資産の一括経費算入の制度
- 青色申告していると30万円まで、年間300万円までの事務用、業務用資産が経費で落とせる制度です。(白色申告の場合10万円まで)
- 所得分散の制度
- 事業で得た利益を事業主だけに集中させないで、例えば配偶者と分散させることで大幅に税額を減額する制度のことです。
- 小規模企業共済
- 事業者の退職金制度と言われており、毎月の掛け金が経費化できます。
- 法人化
- 事業が拡大してくると、皆さんが行う法人化。つまり株式会社への変換です。法人化すると、さらに大きな節税対策があります。ただしデメリットもあるので慎重に選択しましょう。
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専従者給与を使う
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個人事業主は、家族に給与を支払うことができます。もちろん、これは経費としてカウントできますが「専従者給与」とされており、家族が他に仕事をしている場合は認められません。
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赤字繰越制度
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青色申告をしている個人事業主は赤字を繰り越すことができます。例えば去年は100万円の赤字がでており、今年100万円の黒字だった時は、昨年度の赤字を今年の黒字に充てて相殺することが可能となっています。
尚、繰り越せる期間は3年間となっています。
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光熱費を経費にする
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個人事業主の場合は、事業として部屋の一部を使っていれば、その割合に応じて家賃を経費にすることができます。その他、光熱費やインターネット利用料も経費にすることが可能です。
ただ、これも家賃同様に全てを経費にできるのではなく、あくまで「一部」となっています。その他、事業で自分の車を使っていればガソリン代も経費にすることができます。
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ふるさと納税で節税できる!
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何かと話題のふるさと納税ですが、個人事業主であれば、ふるさと納税で節税することができます。しかし、これは「経費」として申告しての節税ではなく、ふるさと納税を行うことで「実質的は、こっちがお得だった」という結果での節税となるので、その点だけは勘違いしないようにしましょう。
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経営セーフティー共済
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この共済は、取引先企業の倒産などによる連鎖倒産を防ぐために作られているもので、月に5000円~最大20万円の積み立てで、全額損金にできるために、節税には向いていると言えるでしょう。
このように、個人事業主は世の中にある制度やサービスを利用することで、かなりの金額を節税することができます。税金は毎年かかってくるものであり、何も対策を施さずにいると、生涯で驚くほどの金額を収めなければなりません。
しかし、用意されている制度を上手に使っていくことができれば、毎年の税金も少なくなりますし、何より自身の手元に残るお金が多くなります。中には手続きが面倒な精度もありますが、そういった制度こそリターンが大きいので、自分で頑張って働いたお金を残すためにも、節税に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしょうか。
基本的に税金対策は、自ら行動を起こさないと何も変わりません。従って、これらの税金対策の知識を知っているかどうかが大きなあい路となります。個人事業主の方は事業を行うと同時に、税制に対して常に注意深く関心をもっておくことをおすすめします。
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