キッチンカーの開業に必要な準備や重要なポイントとは?

開業・経営

キッチンカーとは、オフィス街やイベント会場などで頻繁に見かける移動販売車のことです。フードトラックとも呼ばれ、主にコーヒーやお弁当のテイクアウト、クレープやドリンクを販売しています。

キッチンカーは家賃や多人数分の人件費などの支払いがないため、簡単に飲食店営業ができます。そのため脱サラして独立したい方や、副業を始めたい方に人気のカービジネスです。今回はキッチンカーの開業を検討する際に知っておくべき開業までのステップと取るべき営業許可証の種類などについて解説します。

キッチンカーの開業に必要な準備

キッチンカーを開業するには、販売場所や売る料理メニューのアイデア、収支計画などをあらかじめ立てる必要があります。できるだけ具体的に計画を立てておけば、開業までの準備がスムーズに進むでしょう。

計画を立てる

まず、どのようなキッチンカーの運営について全体的な計画を固めましょう。コンセプトや顧客のターゲット層、提供したい看板メニューの内容をイメージします。

イメージをできるだけ具体的に固めておくと、出店する場所や用意するキッチンカー、必要な設備機器などを明確にしやすくなります。そして、必ず収支の計画も同時に立てます。

イメージしたキッチンカーを開業するまでに、必要な資金の目安を知る必要があります。購入する調理器具や車内の内装などにかかる初期費用、ガソリン代や駐車場代などの運転資金、資金の調達方法などを検討します。

さらに料理メニューの価格や売上目標数を決めて、利益を具体的にシミュレーションします。自己資金で賄えない場合は、ローンを組む必要も出てくるでしょう。お金に関する計画を立てれば、コストと収益のバランスの調整など事前に軌道修正ができます。

出店場所を決める

キッチンカーは固定店舗型ではないため、自分で出店場所を定期的に確保する必要があります。もちろん無許可で好きな場所に出店することはできません。希望する場所の管轄企業や団体からの許可が必要です。

キッチンカーのコンセプトや顧客のターゲット層、提供する商品によって、売上が期待できる場所は異なります。例えば軽食やランチメニューを提供するならビジネス街のランチ需要を狙うのがオススメです。またカフェメニューを提供するなら、おしゃれな看板を設置し、若者が集まるイベントやマルシェなどを狙いましょう。

もし出店場所に迷ったら、キッチンカーの出店場所を提案してくれる専門業者に相談するのも手です。利用料がかかりますが、プロのアドバイスを聞きスムーズに出店場所が決められるうえ、出店場所選びに失敗する確率を下げられます。またキッチンカーの営業には出店料がかかる場合がほとんどです。費用対効果を考えて適切な場所をリサーチしましょう。

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キッチンカーを準備する

キッチンカーの入手方法は大きく分けて3つあります。準備にかけられる予算やキッチンカーの見た目や内装への希望によって入手方法が異なります。

オーダーメイドのキッチンカーを購入する

自分が理想とするキッチンカーを製作業者に注文し、新車で購入する方法です。オーダーメイドのため、キッチンカーの仕様やデザインなどを自分好みに作れます。ただしその分費用は割高になる傾向にあります。

中古のキッチンカーを購入する

中古のため、すでにキッチンカーの仕様になっている軽トラックや自動車が購入できます。オーダーメイドのキッチンカーよりは費用が抑えられますが、必要な設備を追加で設置するなどの改造や工夫が必要です。

キッチンカーを借りる

キッチンカーを貸し出している業者から、レンタルまたはリースします。フランチャイズに加入するなら、無料または格安で借りられる場合もあります。初期費用が抑えやすいため、はじめはキッチンカーをレンタルしてある程度のノウハウを得るのも有効な手段です。

保健所で営業許可を取る

キッチンカーの多くは食品営業のため、開業の際には保健所からの営業許可取得が必要です。複数の地域に出店する場合は、出店するそれぞれの地域を管轄する保健所で営業許可を取る必要があります。

食品衛生責任者の資格を取る

キッチンカー1台につき、食品衛生責任者を1名以上設置することが義務付けられています。食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講して取得します。講習は1日のみで、最後に行われる修了試験に合格し手続きすれば完了です。

PL保険(生産物賠償責任保険)に加入する

PL保険(生産物賠償責任保険)とは、商品や運営に問題が生じた際に損害をカバーしてくれる保険です。他人にケガをさせたり、モノを壊したりするといった理由で賠償責任が発生した場合に保険が適用されます。

キッチンカーの営業で起こり得る例として、食中毒の発生が挙げられます。万が一に備えてPL保険への加入は必須といえるでしょう。自治体によってはPL保険への加入を義務付けている所もあります。

キッチンカーの開業で失敗しないための対策

キッチンカーは、店舗運営型と比べて手軽に出店できる点が魅力ですが、その分ライバルも多いです。そのため計画も立てず、やみくもに営業すると失敗するリスクが高まります。一方「出店場所や販売する商品を柔軟に変更できる」というキッチンカーの強みや特徴を活かせば、ある程度の失敗が回避できるでしょう。

営業許可が下りるキッチンカーを入手する

平成30年に食品衛生法が改正され、内容が大きく変わりました。中古のキッチンカーを購入する際は注意が必要です。というのも改正前に営業許可が認められたキッチンカーでも、改正後の基準を満たしていない場合があるためです。キッチンカーを購入する際は、新しい基準を満たしているか確認しましょう。

またキッチンカー内への設置を定めている設備の基準は、全国で統一されています。しかし、各地域の保健所によって解釈が異なる場合があります。例えば必要な冷蔵設備において、とある場所では冷蔵庫の設置を必須としている場合もあれば、クーラーボックスの設置だけで良い場合もあります。キッチンカーを出店する地域を管轄している保健所で、設備基準について確認しておきましょう。

売上目標を決める

1日の目標販売数をもとに、1カ月の売上目標・目標利益を明確にしましょう。明確にしておけば、達成するための方法が模索しやすくなります。キッチンカーは出店場所や扱う商品によって日々の売上が変動しやすい傾向にあるため、これらを柔軟に変えるのがコツです。

提供時間が短いものを販売する

キッチンカーの営業では、商品の提供時間をできるだけ短くすることが大切です。理由は提供時間を短縮することで、多くのお客様をさばけるためです。また商品の提供に時間がかかりすぎると、ほかのキッチンカーへお客様が流れてしまう恐れもあります。そのため、作り置きや提供時間の短縮ができない商品はキッチンカーには不向きです。

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キッチンカーを開業する際のポイント

キッチンカーのスタートに成功する秘訣は、積極的な情報収集と情報発信にあります。というのも、国や地域が提供している助成金制度や、出店場所の周辺に関する情報を知っているだけでも、開業までの負担減や競合との差別化が図れるためです。またSNSを活用した情報発信は、大きな集客につなげられる可能性があります。

補助金や助成金、融資の制度を確認する

出店する地域ごとに、キッチンカーの開業に関連した補助金や融資の制度がないかチェックしましょう。地域活性化に力を入れている場所なら、役立つサポートを積極的に展開している場合があります。

国から支給される補助金制度

※キッチンカーの車両代は補助の対象外など、細かい規定があるので注意が必要
【出典】ものづくり補助金総合サイト(全国中小企業団体中央会)| https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

地域ごとに設けられた創業補助金や助成金制度

  • 創業助成金(東京都中小企業振興公社)
  • 大阪起業家グローイングアップ補助金
  • 福岡よかとこ起業支援金

これらはあくまで一例です。出店地域によって申請できる補助金や助成金制度が異なるので調べてみましょう。

新型コロナウイルス感染症関連の補助金制度

事業再構築補助金制度です。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上が規程の割合以上に減少しているなどの条件に当てはまっている必要があります。

【出典】事業再構築補助金(中小企業庁)| https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

SNSを活用する

SNSを上手に活用すると大きな集客につなげられます。キッチンカーの公式アカウントを作成し、いつ・どこで・なにを販売しているかなどを発信しましょう。車の写真を載せると、SNSを見た顧客から見つけてもらいやすくなります。投稿を通して、コンセプトやこだわりを無料でアピールできるのもSNSのメリットです。

情報収集を行う

キッチンカーの運営には、積極的に情報収集を行うことも重要です。特に以下の点においては常にアンテナをはっておきましょう。

  • 提供する商品は出店場所や季節のニーズに合っているか
  • 出店予定の場所に競合となる飲食店やキッチンカーはないか
  • 競合と差別化できているか
  • 将来的に出店できそうなイベントはないか
  • より良い出店場所はないか

出店先の活気具合や交通状況もキッチンカーの売上に大きく影響します。出店場所においては、常にリサーチしましょう。

キッチンカーを開業するならコンセプト決めから

キッチンカーは、出店場所や提供するメニューの変更が自由なうえ、人件費もあまりかからないことから、気軽に始められます。

開業するなら、コンセプトの決定から始まり、出店場所や資金の計算など、ある程度計画を立てておきます。またキッチンカーは主に食品を扱うため、いくつか必要な許可があります。

より良い出店場所や顧客のニーズにアンテナをはりつつ、リピーターに愛されるキッチンカーを目指しましょう。