都市部を中心に頻繁に見かけるようになったキッチンカーによる移動販売。気軽に始められそうだし、面白そうと興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
以前はオフィス街やイベント会場などに多く出店していましたが、近年の新型コロナウイルス感染症拡大でリモートワークが増えたり、イベントが中止になった影響により、「巣篭もり需要」を見込める団地やベッドタウンなど住宅地を中心にした出店も増えています。
自治体や企業などと協力して出店を進めているケースもあるようです。
▼参考記事
今回は、キッチンカー開業のメリット・デメリット、さらには開業資金相場から、はじめるにあたって必要な手続きなど、知っておきたいことをまとめました。キッチンカーでの移動販売をはじめる際の流れを理解して、計画的な開業を目指しましょう。
キッチンカー(移動販売)とは
キッチンカーとは、車に調理設備を備えた特別な車両のことを指します。ケータリングカーやフードトラックなどとも呼ばれ、フェスや祭りなどの屋外イベントに出店をしたり、オフィス街で持ち帰りのお弁当を販売したりすることが多いです。
キッチンカーで扱う商品は様々で、丼物、カレー、ケバブ、クレープ、お好み焼きなど、設備が整っていればなんでもできます。その場でコーヒーを淹れたり、かき氷やソフトクリームを楽しめたりする移動販売も多いですよね。
路上には様々な飲食店が乱立していることで、キッチンカーによる移動販売の分野はかなり拡大しています。これからも市場は拡大し続け、人気や需要もアップしていくと予想されます。
キッチンカー(移動販売)開業のメリット
キッチンカーで移動販売をすることは、店舗型の飲食店にはないメリットがいくつかあります。
移動販売なら、飲食店にとって大きな出費になる家賃がかかりません。その代わり、ガソリン代や駐車場代などが必要ですが、都内で好立地の物件を借りたときの家賃を上回ることはないでしょう。
また、移動販売はお客様がいるところへこちらから出向いていけるという、大きな特徴があります。お店を構えてしまうとお客様を待つしかなく、立地に失敗したと思っても場所を変えることはできません。一方キッチンカーであれば、日によってお客様が多い場所へ移動することもできます。
さらに、設備を整えたり内装や外装を整えたりするための初期費用が格段に抑えられます。車というかなり限られたスペースなので、費用を抑えながら自分の世界観を演出できるのです。飲食店の競争は年々激しくなっているので、このようなメリットのある移動販売に移行する人も増えています。
キッチンカー(移動販売)のデメリット
出店側からすると、初期費用が大きくかからないことや、移動してお客様の集まるところへ移動できることは大きなメリットです。その反面、デメリットもあります。キッチンカーでの移動販売は、お客様の信頼を得にくいのがデメリットです。
なにかを販売するお店というものは、通常であれば販売する場所は変わらないため、いつでも同じ場所に行けば好きな商品が手に入るという安心感があります。しかし、キッチンカーには「固定」という安定性がないため、お客様から覚えてもらいにくいのです。
いつもはいないのに、週に数回だけ食べ物を売りに現れるため、「ここで買って大丈夫かな?」と不安に思うお客様は多いでしょう。宣伝や広告などで信頼を獲得する方法はありますが、時間がかかる上に特別な戦略が必要となります。
また、基本的には営業許可が降りた自治体内でしか営業できません。許可された自治体以外で営業したい場合は、新たに許可を取得する必要があります。詳しくは管轄の保健所に確認をしましょう。
キッチンカーで販売するメニューの種類(朝食、ランチ)
まず、キッチンカーで販売するメニューを考える際は、「朝食系」と「ランチ系」に分けて考えます。それぞれのメニューの特色を捉えることが重要です。
朝食系
平日に利用するビジネスマンやOLは朝の時間がないため、時間をかけずに食べられるメニューがポイントです。また、朝からがっつり食べられない人もいるので軽食が好まれる傾向にあります。
メニューの候補としては、ハムエッグやオムレツ、サンドイッチ、チョップドサラダなどが考えられます。サンドイッチは手軽に食べられることから、朝コンビニなどで購入される方もいます。こだわりの食材や栄養バランスを考えたサンドイッチを作ることで人気メニューになる可能性もあるでしょう。ドリンクはコーヒーやカフェラテであれば、朝眠気覚ましに飲まれる方も多くいます。また、スムージーを販売する場合は季節の果物を使うことで、朝からビタミンを摂取したい健康志向なお客様に好まれます。
ランチ系
ランチは朝食と違い、午後の仕事の体力をつけられるようにしっかりした食事を選ぶ方が多いです。
男性向けのガッツリメニューはカレーや焼きそば、丼物などが人気でしょう。
また、女性向けのメニューは野菜も摂れるバランスの良いタコライスやロコモコ、野菜ごろごろスープ、などが好まれる傾向にあります。
キッチンカーで人気の単品メニュー
キッチンカーは実店舗と違って出せるメニューが限られます。そのため、看板となるこだわりの単品メニューがあると強みになります。
キッチンカーで人気の単品メニューにはどんなものがあるのか見てみましょう。
お好み焼き
粉ものは目の前で焼くパフォーマンスがお客様の食欲をそそります。外国人観光客が動画を撮影してSNSで拡散してもらえるメリットもあります。粉ものの中でも人気が高いのはお好み焼きです。「本場大阪」「広島焼き」などの売り文句がセットになっていると目を引きやすいでしょう。
たこ焼き
おやつ感覚で食べれるため昼のピークが過ぎても売れるのが魅力です。もちろんお昼時の人気も抜群です。爆発力はないですが淡々と売れます。お好み焼きのように、目の前で焼くパフォーマンスが外国人も人気です。
焼そば
お好み焼きやたこ焼きと同率で人気があるのが焼きそばです。ほかの2つとの大きな違いは提供時間が短いことです。ちゃちゃっと昼食を済ませたいビジネスマンに人気があり、腹持ちが良いのも魅力でしょう。
ケバブ
若者が集まるエリアや学生街で高い人気を誇ります。片手で食べ歩きできるのが人気の秘訣です。目の前でお肉を豪快にカットするパフォーマンスも目を引きます。
クレープ
おやつや食後のデザートとして高い人気があり、日夜問わず売れる傾向があります。フードフェスでは肉類やしょっぱい味付けの商品が売られることが多いため、甘いもの欲しさに行列ができることも珍しくありません。食べ歩きできる手軽さも魅力です。
串モノ
串モノは焼き鳥をイメージする人が多いかもしれませんが、牛串や豚串など豪快なお肉のラインナップがあるとよく売れます。食べ歩きメニューやおかずにもう1品欲しいときに1本から手軽に購入できるのが魅力です。
こだわりの単品をつくるには
こだわりの単品に仕上げるためには試行錯誤が必要です。
「世の中で人気となっているメニューをそのまま販売すれば自店舗の看板メニューになる」とは限りません。他店にはない自店舗のオリジナリティがお客様を引き寄せます。
多くの人に試食してもらおう
こだわりの単品として生み出したメニューは販売する前に友人や家族などに食べてもらい感想を求めましょう。試作品としてキッチンカーで無料提供しても良いかもしれません。そのうえでアンケートを取り、たくさんの意見を集めることでお客様に愛される看板メニューをつくることができるでしょう。
ここでしか食べられない
「ここでしか食べられない」魅力があると強みになるでしょう。
例えばハンバーガーを看板メニューにしたいと思ったら、ライバル店のハンバーガーを研究しましょう。そのうえで自分なりのテイストを加えないとこだわりの単品メニューは完成しません。
ここで注意しなければならないのは「個性的すぎてはいけない」ということです。奇をてらったメニューは悪目立ちするだけで敬遠される傾向にあります。そのため、王道と個性派の中間を上手に狙う必要があります。
季節限定メニュー
通年で販売するメニューにプラスして、限定メニューを作るのもひとつの手です。そのなかでもオススメなのが期間限定メニューです。春夏秋冬に分けてそれぞれ旬の食材を使って限定メニューを開発できれば「今ここでしか食べられない」というスペシャル感を与えることができます。
キッチンカー(移動販売)でのレジ会計はキャッシュレスがおすすめ
キッチンカーでのレジ会計は、狭い空間でいかに早く注文を捌けるかの回転率がポイントです。
レジはなるべくスペースを取らないコンパクトなタイプがいいでしょう。また会計に時間がかかっていると大きな機会損失になりかねません。最近ではキャッシュレスでの支払いを希望される方も増えてきているのでキャッシュレス決済対応は必須です。
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キッチンカー(移動販売)の開業資金相場
車両や導入する設備によっても大きく変化しますが、開業資金の相場は100万円~500万円ほどです。軽車両でコストを最大限に削った場合と、新車の外国車両を使う場合では当然のことながら費用が変化します。
冷蔵庫とガスコンロを1台入れるだけであれば100万円程度で抑えられますが、一度に何杯も淹れられるような馬力があるエスプレッソマシンは、それだけで200万円以上することもあります。
水道設備の導入や発電機など電気関連の設備も整える必要があります。そのためには車両の調理設備に加え、車を停めておく駐車場とガソリン代が必要です。これらすべてを合算すると、キッチンカーで移動販売を開業するには平均200万円ほどかかると覚えておくとよいでしょう。
キッチンカー(移動販売)開業に必要な手続き
キッチンカーで開業するには、飲食店でお店を構えるときと同じように、保健所での申請が必要です。車両設備の基準があるので、それを満たしていないと営業許可がおりません。車の中で調理と販売を行うには、「食品営業自動車」の営業許可を取得します。
似たものに「食品移動自動車」の許可がありますが、こちらは車の中では調理できません。あらかじめ調理したお弁当などを販売する場合にのみ認められる資格なので、間違えないよう注意しましょう。
また、基本的には営業許可が降りた自治体でしか営業できません。県境など、場所によってはお客様を逃してしまうリスクなどもあるので、事前に考えてから開業しましょう。
販売する場所を借りるためにも、希望する販売場所の持ち主から許可を得る必要があります。勝手に駐車して販売することはできないので、気をつけましょう。
まとめ
キッチンカーによる移動販売は、店舗型の飲食店にはないメリットがあります。物件とは違ってスケルトンに戻す必要がないので廃業も簡単です。店舗型の飲食店を経営している会社や個人がサイドビジネスとしてキッチンカーで移動販売をはじめるケースも増えています。
キッチンカーでの移動販売は、ある程度の知名度やリピーターのいる飲食店をすでに持っているのなら、まったくのゼロから始める場合よりもお客様の信頼が得やすいです。ファンが来店してくれれば宣伝効果にもなります。資金の問題で飲食店を出せない人にもニーズが今後さらに広がる可能性があるキッチンカーでの移動販売はチャンスがある分野です。飲食店開業以外にキッチンカーでの移動販売を考えてみましょう。
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