起業セミナーに参加するメリットやセミナーの選び方とは?

開業・経営

セミナーに参加する人々

世の中には、起業を考えている人が非常に多くいるとされています。したがって、そういう人を対象にした研修会、いわゆる「起業セミナー」があらゆるところで開催されています。起業セミナーは、あらゆる団体が有料であったり無料で開催しています。起業セミナーに飲食店の開業を考えている方、あるいはすでに飲食店を経営している人が参加した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

そこで今回は、起業セミナーの実態と、飲食店の開業・経営について考えた時に、起業セミナーに参加するメリットがあるかどうか、いざ参加する際の有益な起業セミナーの選び方を解明していきます。

起業セミナーとは?

熱心に解説する講師

まず最初に、起業セミナーとはどういうものなのかについてご紹介します。

起業セミナーとは、その名の通り「起業を目指している人」を対象にしたセミナー、つまり研修会です。起業セミナーでは、起業をするうえで重要なヒト、モノ、カネという内容それぞれをテーマにしたものを扱います。そのため、すでに事業を経営している人でも、改めて理論を学んだり、もっと良い方法を知ったりということは十部あり得ます。したがって、参加するメリットはあるでしょう。

ただし、「飲食店向け」という明確なセミナーは非常に少ないのも事実です。開催されるセミナーのほとんどは、物販ビジネスやIT関連のビジネスを対象にしたものから、事業経営一般をテーマにしたセミナーがほとんどです。ですので、その他の業種の内容、一般的な内容を飲食店経営に置き替えて学ぶ理解力や応用力、吸収力がなければ、参加したとしても身にはならないかもしれません。

また、無料で開催される起業セミナーは、他に狙いがある場合があります。たとえば、公認会計士や弁護士などのいわゆる「士業」の人が講師の場合、その狙いは自分の事務所と顧問契約を結んでもらうように仕向ける意図があります。また、商工会議所などが主催するセミナーの場合は、商工会議所に加盟してもらうことが狙いとなっています。

ですから、起業セミナーで話される内容は、主催者のフィルターが通った情報なのだということを理解して参加したほうがよいでしょう。

起業セミナーの一例

プレゼンする男性

前項をベースに、主催者別にどのようなセミナーが催されるのかについて、一例をご紹介します。

地方公共団体が主催するセミナー

県や市が地域住民を対象にセミナーを主催することは多くあります。しかし、そのほとんどは県や市と提携した士業の人や経営者がそれぞれ自分の専門分野の話をするものです。また、内容的には初歩の話の場合が多いという傾向があります。そのため、自分が全く知らない分野の知識を得るためであればいいですが、すでに経験を積んでいる内容を深く知りたいという場合は向かないでしょう。

研修企業が主催するセミナー

世の中には、研修をビジネスにしている企業がたくさんあります。内容は、ある分野の知識やスキルを身につけるものから、企業が独自に設けている何らかの民間資格を習得できるというものなど様々あります。起業セミナーで扱われる主なテーマは下記となります。

  • 飲食店開業の準備
  • 物件の選び方
  • 営業
  • 販売促進(特に最近多いのはFacebokを活用した集客などのWebを使ったマーケティング、販促)
  • 部下育成(面接、OJTなど)
  • 接客(この中に、飲食店での接客が独立テーマで設けられている場合もある)
  • 自分のモチベーションアップ
  • 事業戦略、経営戦略
  • 生き方全般

研修費用も、数千円のものから数百万円というものまで、幅広く用意されています。ただし、高額であれば有益なセミナーかというと、必ずしもそうとは言い切れません。なぜなら、参加した起業セミナーが自分のニーズに合っているかどうかという問題もありますし、中にはアメリカから日本に移植した研修のため、アメリカの企業に版権を払うためだけに費用が高くなっているという場合もあるからです。価格は高額でも、内容は薄いという場合は往々にしてあるのです。

士業が主催するセミナー

以下のような職業の人が、自分の専門分野に関して講義する研修です。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 弁護士
  • 中小企業診断士

以上の方々だけでなく、経営コンサルタントやマーケティングコンサルタント、さらには「助成金申請コンサルタント」というような、ピンポイントのテーマを持った人たちが主催するものもあります。セミナーの内容は、起業するにあたって知っておくべきこと、知っておいたら得になることなどがほとんどです。しかし、こうしたセミナーの狙いは、起業をしたあとに自分の事務所と顧問契約を結んでもらうことにあります。

セミナーの内容が役に立ったと思い、さらに詳しく知りたいとアプローチすると、それであれば顧問契約をという流れです。そうした流れは100%悪いことではありません。むしろ、安い顧問料で有益なアドバイスをしてくれる人なら、払っても惜しくはないコストとなります。しかし、こうした仕組みがあるということは理解しておきましょう。

金融機関が主催するセミナー

地方銀行や信用金庫などの金融機関もセミナーを主催します。多くの内容は事業戦略の立て方から必要となる事業資金の算出方法、その資金の調達方法、つまり借入方法などです。もうお分かりのように、金融機関主催のセミナーは、自分のところから事業資金を借りてほしいということです。

怪しいものも多いので要注意

地方自治体、金融機関、国家資格を持つ士業の人が主催するセミナーではほとんどありませんが、コンサルタント系の人が主催する起業セミナーの場合は、要注意です。なぜなら、セミナー参加者の中にサクラがいる場合があるからです。サクラは、起業セミナー内の「カモを見つける役」を担当しています。サクラは、意思の弱そうな人や困っていそうな人に目をつけると名刺交換をし、セミナー後に連絡を取って会おうとしてきます。そして、待ち合わせのオフィスなどに行くと、数人の男性たちに「軟禁」され、自分とコンサルタント契約を結ぶことを強要されたり、高額なセミナー教材を売りつけられたりする場合があります。

もちろん、全てが悪質なセミナーではありません。しかし、そういう危険性もあると理解しておきましょう。

起業セミナーへ参加するメリットとは?

ワークショップと書かれた黒板

きちんとした企業セミナーを受講すれば、しっかりと得られるメリットがあります。具体的には以下のようなことです。

足りない知識やスキルが身につく

たとえば、自分に不足している経理知識や部下を育成する対人関係力が不足している場合、前者であれば座学で、後者であればロープレやワークなどを交えて学ぶことができます。それは、既に事業を経営している人にとっても、自分に不足している部分であれば大変有益となります。

モチベーションが上がる

モチベーションアップそのものを目的にしているセミナーであれば、店舗経営に対するモチベーションが上がるかもしれません。モチーベーションアップのような直接的な内容ではなくても、人間は学習によって自分がワンランク上がったと自覚すると、俄然そのスキルや知識を活用してみたいとモチベーションが上がります。あるいは、経営の中で抱えていた問題点の解決の糸口が見つかって、モチベーションが上がる場合もあるでしょう。起業セミナーに参加することは、総合的にみるとモチベーションが上がるのです。

人脈が作れる

同じセミナー参加者の中で、異業種の人、もしくは同じ飲食関係の人と知り合いになることもあり得ます。小さい話で、その繋がりによって宴会予約が取れるかもしれません。大きな話で言えば、業界は違っても経営の苦労や問題点は共通していますから、それを共有しアドバイスしあえる貴重な友人ができるかもしれません。

起業セミナーの探し方、選び方

三社で悩む男性

研修テーマと主催者を選び、自分なりの理解力を持って参加すれば、起業セミナーは大変有益なものとなります。では、どのような方法で起業セミナーを探し、どのような基準で選べばよいのでしょうか。

目的意識を持って講師を選ぶ

たとえば、公認会計士が主催するセミナーの内容が税金関係の話であれば、深い内容が聞ける可能性は高いでしょう。しかし、一般的な経営や、人材育成、ましてや営業のことをしっかり教えられる公認会計士はほとんどいません。

ですから、起業や経営をする上で、自分に足りないものは何かを考える必要がります。たとえば

  • 何を身につけたら開業するのに役立つのか
  • さらによい経営ができるのか
  • どうすれば今より儲けることができるのか

など、自分の目的意識に沿った内容をしっかり教えてくれそうな講師のセミナーを選ぶことが鉄則です。

そのためには、タイトルだけを見て受講を決めないで、できれば当日の研修項目や講師の過去の経歴、実績などを知ったうえで選ぶようにしましょう。

人脈を築いて地元で開業したい場合や、今よりももっと商売を繁盛させたいと考えるのであれば、商工会議所のセミナーに参加しましょう。商工会議所主催のセミナーに参加している参加者たちと、できるだけ多く名刺を交換しましょう。そこで生まれた人脈が、今後の店舗経営に役立つ可能性は大いにあるでしょう。

学びたい内容と講師の組み合わせ例

目的意識とは言っても、あまりにも漠然としすぎてイメージが湧かない部分もあるでしょう。そうした場合に備えて、学びたい内容とその時に選んだほうがいい講師の組み合わせの例を挙げておきます。

  • 経営全般:飲食店経営者、飲食店経営経験者で今はコンサルタントをしている人。あるいは、担当企業に飲食店が入っていれば中小企業診断士
  • 税金問題、店舗の利益アップ:税理士、公認会計士
  • 部下育成:人材開発コンサルタント。ただし、これも過去の経歴と研修実績を見ること
  • 接客:よくあるケースは航空会社の元キャビンアテンダントですが、飲食業に向いていないことの方が多いので要注意。接客に関しても、飲食店経営者、飲食チェーンでの人材開発担当出身者がよい。
  • 販売促進:マーケティングコンサルタント。Webマーケティングを知りたいのか、飲食販促全般を知りたいのかによって選ぶこと。

セミナーの探し方

店舗の従業員を対象に講演会をするのであれば、講師紹介のサイトはネット上にたくさんあります。しかし、主催団体をまたいでセミナーすべてを網羅しているようなポータルサイトはありません。ですから、商工会議所、自治体、飲食系のコンサルティング会社や情報メディアを小まめにチェックしておきましょう。

また、同業の業界団体に所属している場合は、その協会が起業セミナーを主催する場合もありますから、その情報もチェックしましょう。

まとめ

タメになるセミナー

いかがでしょうか?

起業セミナーはまさに、良いものもあれば悪いものも溢れているといった状態です。なぜなら、選ぶセミナーや講師によって、当たりはずれが激しいのが現実だからです。無料のセミナーであれば、たとえ質の悪いセミナーであっても時間を無駄にしてしまっただけ済みますが、有料の場合は、投資がすべて無駄になってしまいます。

しっかりと目的意識を持って、テーマと講師を選別し、有意義なセミナーを受講しましょう。

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