契約社員と正社員はなにが違う?飲食店で契約社員を雇うメリットとは

開業・経営

契約社員との面接

契約社員とは、雇用期間が決められている従業員のことを指します。しかし、契約社員が正社員やパート・アルバイトと労働条件にどのような違いがあるのかをきちんと把握している人は意外と少ないとされます。

契約社員を雇用して不適正な取り扱いをしてしまうと、労働契約法違反で処罰の対象となり、場合によっては裁判までもつれ込んでしまうことがあります。

そこで今回は、飲食店で契約社員を採用する際に知っておきたい基本的な労働条件についてご紹介いたします。

契約社員とは

契約社員へのオファー

雇用主と従業員の間で締結される労働契約には、正社員、パートタイム・アルバイト労働者、契約社員、嘱託社員などの雇用形態があります。正社員以外の雇用形態を非正規社員といいます。日本ではバブル崩壊やリーマンショック以降、人員調整がしやすい非正規社員の雇用が拡大し、その中でもとくに契約社員を雇用する企業が増えています。

契約社員がほかの社員と大きく異なるのは、雇用期間が限定される「有期雇用契約」であることです。契約社員の雇用期間は最長3年間とされ、例外として高度な専門職の人、および60歳以上の人は最長5年間とされています。契約が自動更新されることはなく、更新するには雇用主と契約社員の双方の合意が必要です。

ただし、2013年に労働契約法が改正され、契約社員として通算5年を経過すると、雇用期限の定めがない「無期雇用契約」に転換する権利が与えられるようになりました。つまり、契約社員でも本人が希望すれば、正社員と同様に定年まで働くことができるようになりました。これを、世間一般では「5年ルール」と呼んでいます。

5年ルールによって、雇用する側は契約社員の5回目の契約満了時に、無期雇用とするか、契約終了(雇い止め)とするかを決める必要があります。いずれにしても、契約社員にとって不利益な処遇をすると労働契約法に反することになりますから、契約社員として雇用する前によく検討することが大切です。

契約社員と正社員、パート・アルバイトの違い

笑顔の女性

契約社員はこれまで、「専門的な職種に従事する有期契約労働者」と定義づけられていました。しかし、時代とともに専門的なスキルを修得していない若年層も契約社員になるケースが増えていることから、契約社員の定義そのものが変化してきています。そのため、契約社員の労働条件も、企業によってまちまちというのが現状です。

契約社員の基本的な労働条件について、正社員やパート・アルバイトとの違いとともにご紹介いたします。

勤務時間

  • 正社員
    労働基準法では原則として1週間に40時間、休憩時間を除いて1日8時間までとされています。
  • パート・アルバイト
    パートもアルバイトも、労働基準法では「パートタイム労働者(短時間労働者)」と定義されています。勤務時間は、ランチタイムやディナータイムなどの忙しい時間帯を挟んで4~6時間というのが一般的です。勤務時間が6時間以内の場合、休憩時間はありません。
  • 契約社員
    契約社員の多くは正社員と同じ8時間のフルタイム労働ですが、勤務時間も日数も雇用契約ごとに決めるのが原則です。

休日・有給休暇

  • 正社員
    毎週1日、あるいは4週間を通じて4日間の休日が付与されます。入社後6か月を経過し、その間80%以上の出勤率であれば、所定の日数の有給休暇が支給されます。なお、雇用主には「時季変更権」が与えられています。これは、社員より有休休暇の請求をされた日が、繁忙期等により業務に支障をきたすことが予想される場合は、有給休暇の日にちを変えてもらう権利のことです。雇用主の持つ時季変更権は、正社員だけでなく、パート・アルバイトや契約社員に対しても適用される権利です。
  • パート・アルバイト
    休日は正社員と同じです。有給休暇も、勤務時間が一定の条件を満たしていれば付与されます。
  • 契約社員
    フルタイムの場合は、休日も有給休暇も正社員と同様に付与されます。

賃金

  • 正社員
    月給制で、基本給に交通手当や住宅手当などの諸手当を加算した額が給与として支払われます。
  • パート・アルバイト
    時給制が一般的です。パート・アルバイトに限らずどの雇用形態にも共通することですが、最低賃金法によって「地域別最低賃金額(時給)」が定められています。たとえば、東京の場合は958円、大阪は909円、福岡は789円というように地域差があります(2017年度)。最低賃金を下回ると法令違反に問われますので、店舗のある地域の最低賃金額をチェックし、それを少しでも上回る額に設定することが必要です。
  • 契約社員
    月給制や年俸制など、会社によって給与形態は異なります。働く時間や日数によって金額は変わり、諸手当も受けられるものとそうでないものがあります。収入を増やすためにほかの仕事と掛け持ちをすることも可能ですが、会社の就業規則で副業が禁じられている場合は、契約社員であってもそれに従わなければなりません。

賞与

  • 正社員
    冬と夏の年2回が一般的です。業績によって、決算賞与が1回で計3回支給されるところもあります。
  • パート・アルバイト
    会社によっては正社員並みの賞与を支給するところもありますが、一般的には支給されないことが多いでしょう。その代わり、売上が目標額を超えたときなどは、臨時ボーナスとして1人当たり3万~5万円を渡すところがあります。
  • 契約社員
    賞与の支給については、契約を結ぶ際に双方で話し合って決めます。支給されるとしても、正社員より低額になるのが一般的です。

社会保険・労働保険

  • 正社員
    法人の場合は、社会保険(健康保険、厚生年金保険)と労働保険(雇用保険、労災保険)の強制適用事業所となり、加入が義務付けられます。個人飲食店の場合は任意適用事業所となり、労災保険は強制加入ですが、そのほかの保険は一定の要件を満たす場合に加入が義務付けられます。
  • パート・アルバイト
    社会保険は、週の労働時間が正社員の4分の3以上であり、2か月以上の雇用見込みがある場合に加入します。雇用保険は、週の労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがある場合に加入します。労災保険は、無条件で加入が義務付けられます。たとえ1週間に1日しか勤務しないパート従業員でも、労災保険には加入しなければなりません。
  • 契約社員
    上記のパート・アルバイトと同様です。裏を返せば、ある一定の用件を満たしていない場合は、各種保険への加入が免除されるということです。ただし、労災保険だけはいかなる場合も免除されることはありません。

解雇予告

  • 正社員
    会社に重大な損害を与えたり、刑法に触れる行為や職場の秩序を乱す行為、あるいは無断欠勤が続いたような場合は解雇することが認められています。その場合でも、30日前に解雇予告をしなければなりません。予告をしない場合は、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払う義務が生じます。
  • パート・アルバイト
    正社員と同様、正当な事由がある場合は解雇予告をするか、30日分以上の解雇予告手当を支払うことになります。
  • 契約社員
    雇用契約に期間の定めがある以上、その期間中は「やむを得ない事由がある場合」でなければ解雇することはできません。期待した働きをしてくれないや協調性がないといった雇用主の主観的な理由は、「やむを得ない事由がある場合」に入らず、期間満了まで雇用を継続しなければなりません。

以上のことからもわかるように、「非正規社員だから有給休暇はいらない。いつでも首にできる」といった考えは、今の時代に通用しません。正規も非正規も、同じ「労働者」として対応する必要があります。

飲食店が契約社員を雇用するメリットや注意点

固い握手

契約社員として5年以上勤務すれば無期雇用契約に転換できる「5年ルール」は、雇用期間が満了になるたびに、雇い止めになるのではないかと不安になる契約社員に対する救済措置ともいえます。5年ルールは、人材不足の飲食店にとってもメリットがあります。

しかし、契約社員を正社員や他のスタッフとどのように区別するか、責任はどの程度負わせればいいかといった問題も少なくありません。契約社員を雇用することを考える場合は、長期的なことまで検討して判断する必要があります。どのように対応すればいいのかわからないときは、日本弁護士連合会の法律相談センターに問い合わせてみるといいでしょう。

まとめ

笑顔の契約社員たち

いかがでしょうか?

同じ直接雇用でも、契約社員と正社員、パート・アルバイトでは、労働条件にいくつかの違いが細かく決められていることがあります。契約社員だからといってただの労働力としてしか見ず、ぞんざいに扱って良いわけではありませんので、しっかり理解して雇用するようにしましょう。いざ契約社員を雇うとなれば、雇う側も雇われる側も相互に満足できる雇用形態とすることで、お店全体の雰囲気や従業員同士の関係性もよくなっていくでしょう。

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