
飲食店を経営する個人事業主は、例外なくどなたでも確定申告を行わなければなりません。しかし、確定申告は決して簡単にできるものではありません。なぜなら、確定申告をするために膨大な書類を見ながら細かい計算をし、そうして算出された数字を、記載漏れがないよう注意しながら申告書に書き入れる必要があるからです。こうした作業は、数字が苦手な人にとっては大きなストレスとなるでしょう。
このような悩みを解決する最適な確定申告の方法が、「確定申告の電子申告」です。電子申告を利用すれば、数字を入力するだけでシステムが自動で計算を行ってくれます。そのため、算出される納税額は絶対に正確なだけでなく、自動で計算してくれるため細かい計算をする必要もありません。電子申告は、まさに個人事業主にとって確定申告を行うための最適なシステムなのです。
そこで今回は、確定申告を電子申告で行う方法とそのメリットなどについてご紹介いたします。
確定申告の電子申告とは?
確定申告の電子申告は、「e-Tax(イータックス)」と呼ばれるシステムを使用します。e-Taxとは、インターネットを用いて国税に関する申告や納税、申請・届出などの手続ができるシステムのことです。これまでは、記載した確定申告書を持参したり送付することによって国税庁に提出をしていましたが、電子申告であるe-Taxを利用すれば、インターネットを通じて電子データで提出することができます。
インターネットを用いて確定申告を行うことから、インターネット環境があれば自宅やオフィスをはじめ、出先のカフェなどでも確定申告が行なえます。電子申告は自分のパソコンとインターネット環境があればできてしまうので、時間や場所を選ばないのは魅力と言えるでしょう。
ただし、e-Taxの利用にあたっては、あらかじめ国税庁が運営しているHPから開始届出書を提出し、利用者識別番号を取得する必要があります。また、本人確認のために、マイナンバーカードや住民基本台帳カードなどから「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書を取得する必要もありますので、覚えておきましょう。
電子申告のメリット、デメリットとは
e-Taxによる電子申告のメリット、デメリットには何があるでしょうか。
電子申告のメリット
- 面倒な計算が不要
入力さえ間違えなければ、正しい申告書が作成できます。 - 自宅で全ての手続きができる
確定申告の時期には、税務署の窓口は確定申告をする人たちで長蛇の列を作っている光景が風物詩となっています。その点電子申告ならば、自宅のパソコンで国税庁のホームページである「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、指示に従って入力していくだけで自動で申告書が作成され、そのままネットで提出することができます。電子申告なら、確定申告のために税務署に行くことなく、申告書類を提出することができるのです。 - 添付書類の提出ができる
医療費控除を受けるための領収書などは、必要な内容だけを電子申告の際に申告すれば、これらの書類を提出する必要がありません。マイナンバーに関する本人確認書類も、電子申告なら不要です。 - 還付がスピーディー
消費税の還付などは、資金繰りにおいてうれしい臨時収入となります。しかし、手書きで申告書を提出した場合は、還付金が振り込まれるまでに長ければ数か月かかります。しかし、電子申告であれば3週間程度で処理され、スピーディに還付金が振り込まれます。 - 青色申告特別控除の優遇
平成30年度の税制改正によって、2020年以降は、書類で申告すると青色申告特別控除の控除額が10万円減ることが決まりました。これはつまり、現在のところ青色申告特別控除を65万円受けている方は、2020年以降、書類で確定申告をした場合55万円に引き下げられます。しかし、電子申告で確定申告をした場合は、今まで通り65万円が控除されることになります。
電子申告のデメリット
電子申告は非常に便利な申告方法ですが、その一方でデメリットもいくつかあります。
- 税務署へ相談できない
不明点があれば、税務署に電話などをして質問をすることは可能です。しかし、税務署に行って申告する場合のように、不明点を空欄にしておくことで、直接税務署の担当者に教えてもらいながら記入することは出来ません。 - ICカードリーダライタの準備
電子申告をするためには、マイナンバーカード、または住民基本台帳カードから電子証明書を読み取る必要があります。そのため、マイナンバーカードか住民基本台帳カードに対応したICカードリーダライタを用意しなければなりません。持っていない場合は、ICカードリーダライタを家電量販店などに購入しに行かなければならず、それだけ手間と費用がかかります。 - 事前に登録が必要
パソコン上でできることとは言え、電子申告でなければ必要のない作業となりますので、手間であることに変わりはありません。
以上のようなメリットとデメリットが電子申告にはあります。しかし、電子申告のメリットとデメリットを天秤にかけた場合、電子申告をするメリットがデメリットを上回ることは間違いないでしょう。なぜなら、確定申告に慣れて、たとえば仕訳の内容について正確にできるようになれば、圧倒的に電子申告の方が便利であるに違いないからです。
ちなみに、電子申告後に入力内容の誤りに気づくこともあるでしょう。その場合、申告期限を過ぎているかいないかで修正の方法が変わります。申告期限内であれば、自宅のパソコンを使って申告内容の訂正が可能です。一方、申告期限を過ぎてしまった場合には、「修正申告」と呼ばれる手続きを書面か電子申告にて踏む必要があります。いずれにしても、申告内容に誤りがあると気がついたら、できるだけ早く修正申告をしましょう。なぜなら、自主的に修正申告をした場合と、税務調査などで誤りが指摘された場合とでは、修正後の扱いが異なる恐れもあるからです。
確定申告の期限を過ぎたり間違ったりした場合はどうする?
電子申告の方法
インターネット環境とパソコンさえあればできる電子申告ですが、では、どのように利用すればよいのでしょうか。電子申告の方法について、以下のステップで行いましょう。
1: 利用環境の確認
最初に、自宅のパソコンが以下の環境を満たしているかを確認します。
- 対応OSがWindowsなら 「Windows 7」、「Windows 8.1」、「Windows 10」。Macなら「Mac OS 10.7」、「Mac OS 10.8」、「Mac OS 10.9」であること
- インターネットの閲覧ブラウザが、 「Internet Explorer 11以上」、「Safari 6.1以上」であること
- PDF閲覧アプリである「AdobeReader XI」、「AdobeReader DC」が入っていること
2:マイナンバーカードの取得
電子申告をするためには、マイナンバーカードは必須です。もしもマイナンバーカードを発行してもらっていなければ、電子申告をするより前に取得しましょう。
3:ICカードリーダライタの準備
マイナンバーカードを認証するために、パソコンにつなげる周辺機器として「ICカードリーダライタ」が必要です。ICカードリーダライタを持っていなければ、家電量販店やネット通販で購入しましょう。注意してほしいのは、ICカードリーダライタが、マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードに対応しているかどうかということです。対応していなければ意味がありませんので、購入時にはその確認を忘れないようにしましょう。同じように、すでにICカードリーダライタを持っていても、それがパソコンの環境やマイナンバーカードに対応しているかの確認をしておきましょう。
4:パソコンのセットアップ
電子申告用のセットアップを行います。これは、国税庁のホームページから行えます。年度ごとに内容が変わりますので、毎年セットアップを行う必要があります。
5:国税庁ホームページにアクセス
インターネットで国税庁のホームページにアクセスし、確定申告書等作成コーナーで、画面の案内に従って金額などを入力します。
6:作成した確定申告書の送信
申告書ができあがったら、e-Taxへ送信します。送信をせずに、紙に印刷をして、税務署へ郵送などの方法で提出することも可能です。
電子申告を行う場合のポイントと注意点
確定申告の際に電子申告を試してみると、思いのほか簡単なため、今まで苦労していたのは何だったんだろうと思う人も多いはずです。ただし、電子申告を行う場合は以下の注意が必要です。
パソコンに慣れていないと1人では困難
普段からあまりパソコンに触れていない人が初めて電子申告をする場合、パソコンの使い方がよく分からずに挫折する可能性があります。そういう人の場合は、税務署に備え付けのパソコンで、電子申告を行いましょう。分からないことがあった場合は、すぐに係官に質問できます。税務署のパソコンを使いながら電子申告の方法に慣れておけば、2回目からは自宅でできるようになります。
税務署には必要書類をすべて持って行くこと
ただし、税務署のパソコンを使って電子申告をする場合は、係官から申告内容の確認があるかもしれません。そこで、税務署で申告書を作成する場合は、以下の必要書類も持参しましょう。
- 公的年金等の源泉徴収票
- 社会保険料の控除証明書
- 医療機関の受診の控えと医療費の明細書
- 住宅ローン控除
- 白色申告の場合は収支内訳書
- 青色申告の場合は青色申告決算書
まとめ
いかがでしょうか?
パソコンが苦手な人も、数字が苦手な人も、確定申告に電子申告を一度でも利用すれば、その便利さに驚くはずです。最初は取っ付きにくいかもしれません。しかし、翌年度以降、大変な確定申告作業の手間が半減しますから、電子申告にぜひ挑戦してみましょう。
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