開業日は大安がいいの? 六曜を理解して縁起を担ごう!

開業・経営
店舗のオープン

日本には、結婚式や開店、開業、新築などの祝い事は大安吉日に行うというしきたりがあります。時代が変わってもそれは変わらず、日ごろは占いやジンクスなど気にしないような人でも、独立開業という人生の一大イベントでは、慣習を重んじて吉日を選んでいます。

そこで今回は、飲食店開業を計画している方のために、吉日とは何を意味するのか、大安以外の吉日の見方などについてわかりやすくご紹介します。

店舗の開業日ってどうやって決める?

カレンダーで予定の確認

内装工事が順調に進行し、スタッフの採用・研修も始まったころに宣伝活動を開始します。何月何日にどのようなお店をオープンするのかを告知して、多くの人に認知してもらう必要がありますから、この作業は早いに越したことがありません。

飲食店の場合は、正式に開店する前に「プレオープン」を催すのが一般的です。プレオープンとは、取引業者や友人知人、身内など内輪の人を招いて、シミュレーション的に営業を行うものです。そこで空調設備の具合やオペレーションの適否などをチェックして、問題点があれば改善することができるため、万全の態勢で本番に臨むことができます。プレオープンは、手直しが必要な場合のことなどを考慮して、グランドオープンの2、3日前に行います。

日取りの決め方は、自分の誕生日、結婚記念日、月の始まりの1日、語呂合わせで3月9日(サンキュー)、9月29日(くる、ふく=福が来る)にするなど各人各様ですが、やはり「大安」などの吉日を選ぶ経営者が大多数を占めています。では、そもそも大安吉日とは何を意味するのかについて見てみましょう。

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六曜について知ろう

六曜の確認

一般的なカレンダーには、日付、曜日の次に「大安」「仏滅」といった文字が記載されています。カレンダーによっては、さらに細かく十二支(じゅうにし)や二十四節気(にじゅうしせっき)、新月と満月なども記載されています。これらを「暦注(れきちゅう)」といい、その日の吉凶や禁忌(タブー)、方位の吉凶などを表わしています。

「大安」や「仏滅」は、暦注のうちの「六曜(ろくよう)」という暦にて使われており、6つの曜日にはそれぞれ下記のような意味があります。旧暦では先勝から赤口までの順で規則正しく巡るのですが、新暦のカレンダーではどこかで六曜の順番が1日か2日ずれ、再び規則正しい循環に戻るようになっています。(例:2018年5月のカレンダーでは、14日が先勝で15日は仏滅となっていて、友引と先負が抜けている。)

先勝(せんしょう・せんかち・せんがち・さきがち)

「先んずればすなわち勝つ」という意味で、物事を行うときは午前中が吉とされています。午後2時~6時までは凶とされていますが、開店のように午前10時ごろから夜までかかるイベントの場合は、午前中から始めるので吉となります。

友引(ともびき)

友引の日に葬儀を行うと「友を引く」とされるため、弔事は避けられています。また、本来は「共引」と書いていたこともあり、「勝負をしても引き分けになる」という意味があります。商売をする人にとっては、ライバルとの勝敗がつかず、いったん閉店して再度開店を目指すことを暗示するという説もあります。

先負(せんぷ・せんぶ・せんまけ・さきまけ)

「先んずればすなわち負ける」の意味で、先勝とは反対に午前中は凶、午後から吉となる日です。何事もあわてず騒がず、平静を保つこと。急用があっても午後から行うべきとされています。

仏滅(ぶつめつ)

六曜の中で最も縁起の悪い日で、終日凶とされています。結婚式などの祝い事は避けたほうがいいとされています。しかし、仏滅を「物滅」と書いて、それまでの物が滅びて新しい物が生まれると解釈し、物事を始めるには吉日という説もあります。

大安(たいあん・だいあん)

六曜の中で最も縁起のいい日。「大いに安し」の意味があり、何事も成功する日とされています。結婚式、開業、開店、登記、建築の着工日、移転、納車、面接、旅行、さらには新しいかばんや靴をおろすのもこの日が吉といわれます。

赤口(しゃっこう・しゃっく・せきぐち・あかくち)

午前11時ごろ~午後1時ごろまでの午(うま)の刻のみ吉で、それ以外は凶とされています。「赤」という字が火や血を連想させるため、火事やけが、刃物には注意すべき日といわれています。新規事業の開始には凶とされています。

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開業日は大安がいいのか?縁起を担ぐ理由

開運アイテム

六曜などの暦注は、科学的な根拠に基づいて作られたものではありません。浄土真宗では、親鸞聖人が「日の吉凶を選ぶのはよくないこと」と説いたため、六曜の考えは迷信としてタブー視されています。明治時代になって新暦が採用されると、暦注を記載することが禁止された時期もありました。

それにもかかわらず、今なお六曜が多くの人から支持されているのはなぜなのでしょうか。支持される理由には諸説ありますが、暦注に記載されていることは自然を畏敬する先人の生活の知恵であり、科学では説明しきれないことだからという説が有力だとされています。

経営者や政治家が占い師と顧問契約を結ぶケースが多いとされるのは、上に立つ人は日々選択と決断の連続だからであるとされます。不安になったり迷ったりしたときは決断を後押ししてくれるものが必要だからこそ、その1要素として占いを活用しているようです。

非科学的なことはいっさい信じないという人は別として、独立開業という人生の一大事では、先人に倣(なら)ってできるだけ大安の日を選ぶといいでしょう。お客様や取引業者のなかにも日取りの吉凶を気にかける人たちがいますから、そうした点にも配慮する必要があります。

大安以外でも縁起のいい日はあるの?

オープン日の相談

本格的な暦を記載したカレンダーには、六曜以外にも吉凶を示す暦が記載されています。暦注下段に書かれていることから単に「下段」とも呼ばれているもので、市販のカレンダーでは「行事」の欄に記載されているものもあります。その中にある「天赦日」と「一粒万倍日」と呼ばれる日は、事を始めるには最強の開運日とされています。

天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)

「百神が天に昇り、天が万物の罪を赦(ゆる)す日」の意で、結婚、開業、開店、転居、口座開設、財布の新調、先送りしていたことの開始などに吉日とされています。おみくじに「よろずよし」と書かれているのは、この天赦日のことです。

天赦日と仏滅が重なる日がありますが、天赦日の吉意が仏滅の凶意を封じ込めるため、暦の中で一番縁起のいい日といわれています。天赦日は、「立春から立夏の前日までの戊寅の日」という、季節と干支の組み合わせで決められているもののため、年に5,6回しかありません。具体的な日にちは、インターネットで調べることができます。

一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)

一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂となるという意味で、種まき、開業、開店、出資にもいい日とされています。反対に、人からものを借りたり借金をすると、苦労が万倍にも増してしまうことを暗示しています。

一粒万倍日と大安などの吉日が重なる日は吉意が倍加し、仏滅などと重なると凶意が半減するといわれるほど縁起のいい日です。一粒万倍日もインターネットで調べることができます。

まとめ

雲で表されたオープン

いかがでしょうか?

開店に縁起のいい日を見てきましたが、プレオープンを行うときは、グランドオープンとどちらを吉日にすればよいか迷うことでしょう。都合よくどちらも吉日にできればいいのですが、それが難しい場合は、プレオープンを大安などの吉日に行うのが一般的です。

日取りにこだわるあまり開店が延びて、その分の売上を犠牲にしてしまったというのでは本末転倒です。「大凶でなければよし」と考え、必要以上にこだわらないことも大切です。

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