飲食店開業に必要な営業許可証とは?申請の流れと提出書類について

開業・経営

飲食店を開業する際には「営業許可証」の取得が必要です。しかし、飲食店を開こうと考えていても、営業許可証取得の流れがわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

飲食店の営業許可を取得するには、保健所必要書類を提出したり、施設の基準について検査を受けたりする必要があります。

この記事では、営業許可証をスムーズに取得するための届け出の方法や必要書類などについて解説します。飲食店開業の予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

営業許可証の概要

飲食店を営業するには、食品衛生法に基づく許可が必要です。ここでは、営業許可によって交付される営業許可証の概要について解説をします。

飲食店における営業許可証とは

飲食店を開業する際には、まず、飲食店の「営業許可証」を取得しなければなりません。「営業許可証」とは食品衛生法に基づいて、食品に関する営業を始める際に必要な証明証となります。許可を得るには営業許可申請書などを提出が必要です。

営業許可の手続きは飲食店を開業する場所を管轄する保健所または保健所福祉センターに申請します。申請書の受理から許可書の交付までには最低7日程度(土日・祝日を除く)は必要です。

なお、営業許可証には有効期限があり、都道府県知事は定めた施設基準をもとに、判断基準を参考として有効期間を設定します。判断項目別に査定を行い、達成している該当項目の数に応じて許可年数を決定しているようです。有効期間は5~8年に設定している自治体が多くみられます。

つまり、自治体の判断により有効期間には違いがあり、飲食店を設置しているエリアによって許可年数が決まります。

営業許可申請書とは

飲食店における「営業許可申請書」とは、営業したい店舗の情報などを記入する書類です。申請書には代表者の住所や氏名、店舗の住所、営業時間、扱う食品の種類などの事項を書き記します。

なお、令和3年6月1日から食品衛生法が施行されたため、申請様式等が変更になっています。令和3年6月1日以降に営業許可申請の継続届出をする方は、新しい様式を使用することになるので注意してください。

申請書は各都道府県の自治体ホームページからダウンロードできる場合が多いので、印刷して必要事項を記入し、保健所または保健福祉センターに提出します。なお、窓口でも申請書類がもらえます。

保健所窓口での申請を希望する場合、施設完成予定日の10日ほど前に、下記のものを用意して来庁してください。

・営業許可申請書・営業届(新規・継続)

・施設の構造及び設備を示す図面

・水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)

許可証の受け取り方法は自治体によって異なり、保健所の窓口または郵送によって交付されます。

飲食店営業許可申請の注意点

飲食店の営業許可を申請する際には、いくつかの注意点があります。

1.食品衛生責任者を選定する(申請書に記載必要)

飲食物を提供するお店は食品衛生責任者を常に設置しなければなりません。したがって、飲食店の営業許可を申請する際は、店舗から食品衛生責任者を選出することになります。食品衛生責任者とは、HACCP(国連の国連食糧農業機関が認めたガイドライン)に沿った衛生管理などを行う食品衛生上の管理運営にあたる人のことです。申請書には食品衛生責任者の氏名を記載する必要があります。

次のいずれかの条件を満たしている人を食品衛生責任者に選びます。

・栄養士、調理師、製菓衛生師など、食品衛生に関する資格を所有している人(下記の講習会を受講しなくても食品衛生責任者になることができます)

・食品衛生責任者養成講習会を受講している人(食品衛生責任者は、都道府県知事等が行う講習会等を定期的に受講し、食品衛生に関する新たな知見の習得に努め、業務に活かすことが求められます)

2.申請は余裕をもって行う

審査のため施設を確認した結果、営業内容によっては許可が下りないケースもないとはいえません。その場合、施設基準をクリアするには時間がかかることもあるため、保健福祉センターなどに事前に相談をしておいた方がよいでしょう。特に新規に開店する場合は、設計の段階から相談することをおすすめします。  

3.有効期間に注意

申請が認められ晴れて飲食店の営業ができるようになったとしても、営業許可証には期限が設定されているため、期限後も続けて飲食店を営業する場合は期間満了までに継続手続きをすることが必要です。

【関連記事】

飲食店の営業許可申請に必要な書類の例

飲食店の営業許可を申請する際には、さまざまな書類が必要となります。ここでは、申請に必要な書類の例についてご紹介します。

資格証明書(申請時に提出)

営業許可の申請書類に食品衛生責任者の氏名を記載する必要があることは前項で説明しましたが、記載された人が食品衛生責任者の資格を持っていることを証明する書類が必要となります。

資格証明書として認められるのは、調理師や栄養士であれば「免許証」、食品衛生協会で講習を受けた場合は「食品衛生責任者手帳」です。自治体により営業許可を申請する際はコピーでも可能な場合もありますが、原本で提示しなくてはならないところもあります。念のため原本も持参しておくとよいでしょう。

助営業設備の大要・配置図(申請書とともに提出)

営業許可を申請する店舗の概要や構造や設備を示す配置図を提出します。店舗の建築様式や面積、調理場の環境などを明確に記載してください。なお、自治体によっては、「黒のボールペンを使用して記載する」「調理場内の設備をすべて記載し、名称を併記する」など、明記しているところもあります。

以下の図面のように、調理場と客席の両方をわかりやすく平面図に表すことが必要です。

図1 引用)大阪府「新たに食品営業を始める方へ」P3
https://www.pref.osaka.lg.jp/annai/attach/k_0000-0153_1.pdf

以下に、申請前にチェックしておきたいポイントを表にしているので参考にしてください。

設備別チェックポイント

図1 参考)大阪府「新たに食品営業を始める方へ」P3
https://www.pref.osaka.lg.jp/annai/attach/k_0000-0153_1.pdf

水質検査成績書

飲食店に欠かせない「水」の安全・衛生面には厳重な注意が必要です。そのため、店舗で「貯水槽の水」や「井戸水」を使用する場合には、申請前過去1年以内に実施した水質検査成績書の提出が求められます。検査項目は11項目あり、一般細菌や大腸菌、亜硝酸態窒素などで基準値をクリアしていなければなりません。

なお、水道管を直接店舗へ引いている場合は問題ありませんが、高層ビル内店舗などでは、貯水槽を使用していることが多いので注意が必要です。営業許可申請前に不動産業者や物件のオーナーに水道設備について確認しましょう。場合によっては水質検査成績書を提供してもらえることもあります。

登記事項証明書

法人で飲食店を開業する場合は、登記事項証明書の提出が必要です。個人事業主の事業として行う場合は必要ありません。

登記事項証明書は法務局や出張所の窓口のほか、インターネットや郵送でも交付請求できます。請求する内容は「履歴事項全部証明書」です。

また、営業許可申請に登記事項証明書を使用する際には、「目的」欄に「飲食店の経営」と記載されているかを確認してください。記載されていなくても許可が下りる場合もありますが、念のため保健所に事前に相談することをおすすめします。

【関連記事】

飲食店の営業許可が下りるまでの流れ

飲食店の営業許可を取得するまでにはいくつかのステップを経ていくことになります。ここでは具体的に、飲食店の営業許可が下りるまでの流れについて解説をします

Step1.保健所に相談する

最初のステップは、保健所に相談することです。業種ごとに施設基準があるため、書類提出や施設検査に進む前に管轄の保健所に相談をして、不備がないように進めていきます。この「事前相談」をすることによって、貴重なアドバイスを受けられることも多いでしょう。

保健所に相談するおもな内容は以下の通りです。

・現在の店舗が営業できる基準に達しているか

・改善点はないか

・必要な書類は何か 

施設基準をクリアするためには、工事着工前に、店舗の図面を持参して相談することをおすすめします。場合によっては工事内容を見直す必要がでてくるからです。予定している設備や構造、間取りなどに不備がないかを保健所で確認してもらってから工事を行うのがよいでしょう。

Step2.保健所で営業許可申請を申し込む

第2のステップは、保健所で営業許可申請を行うことです。申請書とともに必要書類を用意して保健所に提出します。食品衛生責任者の資格証明のための各種免許証などは、原本の提示が必要になる場合もあるので申請時に忘れずに携帯しましょう。

審査には一定の時間を要するため、遅くとも営業開始予定日の約2週間前までには申請を行う必要があります。また、営業許可申請には申請料がかかります。1万5000円~2万円程度のことが多いようです。必要書類や申請料については、各自治体のホームページでチェックしてみてください。

Step3.施設検査日を調整する

第3のステップは、施設検査日を調整することです。設備関係については、図面による確認の後、現場検査も行われます。検査日程は書類の提出と同時に調整するのが一般的です。

店舗の検査は工事が完了してから行うことになるので、検査の担当者との連絡方法などもあらかじめ決めておきましょう。

Step4.施設検査を受ける

第4のステップは、施設検査です。検査には店舗の代表者が立ち会う必要があり、食品衛生監視員が施設基準に適合しているかを確認します。検査基準に満たない項目があった場合、営業は許可されません。後日改善後、再検査が実施されます。

Step5.営業許可証の交付

最後のステップは、いよいよ営業許可証の交付です。書類審査や施設検査で問題がないということが認められれば、申請した保健所等の窓口で営業許可証が交付されます。窓口での受け取りが基本ですが、希望者は「レターパックプラス」を用意すれば郵送してもらうことも可能です。

近年では新型コロナの影響で、営業許可書の郵送での受け取りは「レターパックプラス」のみとしている自治体もみられます。郵便窓口やコンビニエンスストアなどでレターパックプラスを購入し、あて先のみ記入のうえ、営業許可申請時または施設の確認検査時に提出します。

営業許可証が手元に届くまでは営業できないので注意しましょう。なお営業中は、店頭の見やすい場所に営業許可証を掲示してください。

【関連記事】

飲食店の営業許可証取得には事前の相談や準備が必要

今回は飲食店の営業許可証について、営業許可申請から許可証交付までの流れを解説しました。

営業許可証をスムーズに手に入れるには、申請方法やその内容をあらかじめ調べて、必要書類などを準備しておくことが不可欠です。また、施設基準検査で不合格になることがないように、早い段階で保健所に相談することをおすすめします。

【飲食店開業におすすめの記事】

【飲食店経営ににおすすめの記事】


【店舗経営においてはPOSレジが欠かせない】

店舗を経営するにあたって、今やなくてはならないのが「POSレジ」です。POSレジ一つで日々の業務効率化だけでなく、売上管理・分析等を行うことが出来ます。

現在はiPadなどを用いた「タブレット型POSレジ」が主流になっており価格も月々数千円~で利用出来るようになっています。機能性も十分に高く、レジ機能はもちろん、会計データの自動集計により売上分析なども出来るため店舗ビジネスをトータルで効率化させることが出来ます。

「機能を使いこなせるか不安」という方には、操作性が高い「ユビレジ」がおすすめです。業種を問わず累計3万店舗以上で導入されているタブレットPOSシステムで、月々6,900円(税別)からご利用いただけます。

実際の操作方法などが気になる方には無料のオンラインデモも対応可能!まずはお気軽にご相談ください。

▶︎無料オンラインデモで操作性を確かめてみる