昨今、ITやSNSの普及により、ネットショップを始めとした様々な仕事を手間をかけずにできるようになりました。自営業の収入(会社員が副業で得た副収入含む)は、雑所得として扱われる額を超えた場合、個人事業主として確定申告をしなければなりません。
本記事では、個人事業主として自営業をスタートするにあたり必要な手続きをご紹介します。必要書類から自営業をする上での注意点についても詳しく解説しますので、最後までぜひチェックしてください。
自営業を始めるための基礎知識
自営業を始める前に、まずは自営業の定義から押さえましょう。基礎知識を説明します。
自営業とは?
自営業とは、会社員として毎月給与をもらう働き方ではなく、個人で事業をすることを指します。企業や組織に雇用されない働き方で、個人事業主の他、会社を自ら立ち上げて事業を行う経営者も自営業者に含まれます。
自営業は会社員と比べると安定さに欠け、リスクがある点がデメリットとして挙げられます。しかし、時間が自由に使える点や、自分自身のスキルとアイデアを存分に発揮できる点は、自営業ならではのメリットと言えます。昨今では、デザイナーやインターネットで様々な自営業を始めることができるようになってきたことから、副業としてリスクを押さえながら副収入を得る方が増えています。
個人事業主とは?
個人事業主とは、法人格を取得せず、個人の人格のまま独立して事業を行う人のことを指します。「フリーランス」とも呼ばれます。
法人とは、人間ではないけれど法律によって人と同じ権利や義務を認められたもののことを指します。株式会社や一般社団法人がその例として挙げられます。起業で法人格を取得すると法人として事業を行い、自らは役員として収入を得る形となります。個人事業主として事業を行った後、事業拡大や節税効果を狙って法人化するという流れもあります。
サラリーマンが自営業を始めるには?
サラリーマンが自営業を始めるには、主に退職して自ら事業を立ち上げる方法(いわゆる脱サラ)と、退職せずに副業として事業を立ち上げる方法の2種類あります。
退職する場合、勤め先で加入していた健康保険や厚生年金がなくなるので注意が必要です。自分で国民健康保険や国民年金への加入手続きをする必要があります。
退職せずに副業として事業を立ち上げる場合は、会社に副業禁止の就業規則がないか確認することが重要です。詳細まで確認しておきましょう。
自営業の始め方と必要書類
では、ここからは個人事業主として自営業を始めるまでに必要となる開業手続きを見ていきましょう。ステップ毎に説明します。
自営業を始める(開業する)場所を決める
まずは、自営業を始める職種や業種によって適した開業場所を検討しましょう。事業を行う場所は職種や業種によって異なります。飲食店やフードデリバリーならば店舗を借りる、Webデザイン事業ならば事務所で開業するなど、集客に適した環境を整えましょう。場所選びの際には、なるべく初期投資やランニングコストが抑えられる場所を選ぶようにしましょう。規模が小さいうちは無理して店舗型にこだわるのではなく、自宅を活用するのもおすすめです。
屋号を決める
屋号とは、個人事業主が使用する事業の名前のことを指します。「居酒屋山田」や「山田会計事務所」など、店舗や事務所で開業する場合はその名称を屋号にするのが一般的です。屋号は後述する開業届においても記載する欄があります。屋号を決めるのは必須ではありませんが、名刺や契約書、看板などに使えるので決めておくと便利です。
事業計画を立てる
事業計画とは、事前に必要な資金や経営の見通しなどを事業用に計画したものです。事業内容を具体的に計画するために事業計画は必須です。開業する理由や事業の内容、競合や想定する顧客、目標など、事業に関する全ての計画を書き出します。事業に関連する内容を網羅して書き出しておくことで、行き当たりばったりで失敗してしまうということが少なくなります。また、開業資金の融資を受ける際にも、金融機関に事業計画はみせなければなりません。自らのビジネスモデルを正しく理解しておくために、作成しておきましょう。
事業計画書の詳しい書き方は、以下のコラムで詳しく説明しています。
開業資金を用意する
開業に必要な資金を事業計画に基づいて算出します。事業を始めるに当たって必要となる初期投資に加え、毎月の運転資金にいくら必要か、もれなく書き出しましょう。資金の使い道は、商品の仕入代金や人件費、家賃、水光熱費、通信費、会計ソフトの利用料、火災保険料、フランチャイズする場合はその手数料などが挙げられます。実際に同じような事業を運営している方に聞き、ぬけ漏れのないようにしましょう。
また、資金を調達する方法も考えておきましょう。自己資金以外にも、銀行からの融資、補助金、助成金などが挙げられます。
開業準備に必要な金額や調達するノウハウは以下のコラムで詳しく説明しています。
開業に必要な書類を提出する
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
開業届とは、個人事業主が新しく事業を始めることを国税庁(税務署)に申告するものです。個人事業主は1月1日~12月31日の間に得た所得を計算し、確定申告により所得税を納税します。事業規模が大きい場合は、個人事業税や消費税も納税しなければなりません。
開業届の提出は義務ではありませんが、提出することで青色申告を行えるようになるというメリットがあります(後述)。
開業届は個人事業主として事業を開始した日から原則1カ月以内に納税地を所轄する税務署に提出します。
開業届の手続きについては、以下のコラムで詳しく説明しています。
青色申告承認申請書
開業届とともに出しておきたいのが、所得税の青色申告承認申請書です。個人事業主が確定申告をする際、通常の白色申告以外に、青色申告という方法が選択できます。青色申告には、収支に関する取引状況を複式簿記の帳簿で記録し確定申告することで、最大65万円の所得控除を行えるというメリットがあります(青色申告特別控除)。また、事業が赤字の場合、その赤字を次年度以降へ繰り越すことができる損失申告ができるようになります。これらの節税効果により、本来であれば納付していた税金を削減できるのは、青色申告の魅力です。
青色申告承認申請書は、新規開業の場合は開業日から2カ月以内、既に前年以前に開業済みの場合は青色申告を開始する年の3月15日までに、納税地の税務署に提出しなければなりません。
個人事業開始申告書
ここまで説明した開業届と青色申告承認申請書は、開業したことを国税庁に対して知らせるものでした。一方、個人事業主には個人事業税も発生します。個人事業税は住民税と同じ地方税のため、別途「個人事業開始申告書」を住所のある都道府県税事務所に提出しなければなりません。個人事業開始申告書の提出期限は自治体により違い、東京都で開業から15日以内、大阪府で開業から2カ月以内と定められています。
自営業を始めるなら知っておきたい注意点
自営業は経理を含めた全ての業務を自らで行う必要がある、安定した収入が見込みづらいなどの特徴があります。自営業を始めるなら知っておきたいこれらの注意点を説明します。
確定申告を自分でする必要がある
源泉徴収や年末調整のある会社員と違い、自営業は自分で確定申告をしなければなりません。そのため、経理の知識はある程度必要です。自分で年間の収入と経費を帳簿に残し、確定申告で事業所得と納税額を算出します。確定申告が遅れた場合は延滞税を課されることもあることから、未経験と言う方は税理士に依頼するのも良いでしょう。また、Web上には、個人事業主向けにクラウド型の経理サービスが提供されています。これらを活用すれば、簡単に決算書を作成し電子申告することが可能です。
クレジットカードやローンの審査が通りにくくなる
個人事業主は年収が不安定になりやすいため、会社員よりもクレジットカードやローンの審査が通りにくい傾向にあります。資金調達でローンを利用する可能性がある場合は、自営業を始める前のタイミングで行っておくと良いでしょう。また、個人で信用度が低いと言う場合は、会社設立を行いクレジットカード会社の提供するビジネスカードを導入するのも良いでしょう。
自営業の始め方を押さえて、新たな働き方を開拓しよう
今回は、自営業の始め方について説明しました。自営業は働く場所や時間、共に働く人を選ぶことができ、収入にも上限がない点が魅力です。まずは副業でスモールスタートすると言うのも手です。一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
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