居酒屋がランチ営業を行うメリット・デメリットや判断方法

飲食店

居酒屋ランチイメージ

居酒屋が提供するランチは、魚や肉など高級食材を使った料理をリーズナブルな価格で食べることができます。お昼休みの限られた時間に「早い、安い、おいしい」の居酒屋ランチは好評で、ビジネス層だけでなく、ショッピングがてら昼食をという主婦やシニア層にも利用客が増えています。

その一方で、ランチ営業に参入したものの1年もたたないうちに撤退する居酒屋も少なくありません。そこで今回は、同じランチ営業で明暗が分かれてしまう理由と、着実に利益を上げるためのポイントを説明します。

居酒屋がランチ営業を行うメリット

居酒屋ランチのイメージ

夜の飲食がメインの居酒屋が昼のわずかな時間にランチ営業も行うようになったのは、主に次のようなメリットがあるからです。

1.店舗の稼働時間が長くなる

店舗を眠らせている時間帯を営業に当てることで、家賃や光熱費程度の利益を出すことが可能です。売上が少なくても、本来は1円も稼ぎ出さない時間帯なので赤字にならなければメリットのほうが多くなります。

2.食材ロスを大幅に減らせる

夜の営業時間帯で使い切れなかった食材をランチメニューに回すことで食材ロスを軽減することができます。たとえば、刺身が残った場合は、照り焼きや味噌焼きにするなど、別の新しいメニューにアレンジすれば目先が変わってお客さまにも喜ばれます。

3.大量仕入れで原価を低く抑えられる

夜と昼の食材を同じものにすることで大量発注することができるため、仕入原価を安く抑えることができます。

4.スタッフを有効に活用できる

夜の仕込みのために早く出勤するスタッフにランチ営業も担当してもらうことで、人件費を節約することができます。ランチタイムは接客より「早さ」が大事ですから、夜のスタッフに賃金を加算することにすれば、ランチタイム専門の人材をあえて雇う必要はありません。

5.販売促進効果が得られる

ランチタイムのお客さまに夜の居酒屋営業について宣伝することができます。夜の営業のみでは店の存在を知ってもらいにくいものですが、昼も開店していることで宣伝になり、夜の集客率を高めることにつながります。

このように、居酒屋がランチ営業をするメリットは食材や場所、人材を有効活用できるところにあります。しかし、ランチ営業はやり方を間違えると利益を圧迫する要因になる場合があります。次にそのデメリットについて見てみましょう。

居酒屋がランチ営業を行うデメリット

ランチの盛り付けをするシェフ

ランチ営業でよく取り上げられるデメリットとしては次の5点があげられます。

1.客単価が低い

飲み物の注文が少ないことなどもあって、客単価は夜に比べるとだいぶ低くなります。また、1人当たりの滞在時間は20~30分です。12~13時までの1時間をコアタイム(稼ぎ時)とすると、よくて2回転です。店内が狭くて一度にたくさんのお客さまが入れない店では利益を出すのは容易なことではありません。

2.人件費や光熱費がかさむ

利益を出せないと、ランチタイムにかかる光熱費や人件費などの経費がそっくり赤字になってしまいます。

3.ランチは価格競争がとくに激しい

ランチ営業は短時間の価格勝負のビジネスといわれます。価格を下げなくてもコーヒー付きにしたり、ほかの一品をサービスするなど、激しい価格競争が繰り広げられている地域もあります。しかし、何事にも相場というものがあります。相場より安すぎると逆に店の評判を下げてしまい、夜の営業にも影響しかねませんから、同じエリア内にある競合店の価格を調査して適切な価格設定をする必要があります。

4.ランチのお客さまが夜も来店する確率は低い

場所によりますが、廉価なランチを食べに来るお客さまは、夜の居酒屋にも足を運ぶ確率はあまり高くはありません。安く飲食できる店があればそちらへ流れて行くことが多いからです。メリットの5であげたように、ランチは夜の営業の販売促進の効果があるといわれていますが、時代とともにその効果が薄れてきていることも事実です。

5.長時間労働で体の負担が大きい

昼の営業と夜の営業の間に休憩時間が入るとしても、長時間労働になってしまいます。メインの居酒屋営業中にスタッフがパワーダウンしてしまうことがあり、これが最大のデメリットといえるでしょう。「ランチ営業は利益を望むのではなく、夜の売上拡大につなぐという発想が大事」といわれますが、現実には、ランチ営業に予測以上の経費がかかったりして、全体の原価率を押し上げている店も少なくありません。ランチ営業が足を引っ張るかっこうになっては本末転倒で、それなら夜だけで利益を上げられる店にするほうが賢明といえます。

あなたの店舗はランチ営業をやるべき?判断材料はこれ

ビジネスマンのランチタイム

ランチ営業を始めたいと考えている方は、現在の立地でランチの需要があるかどうかを調査したり、売上のシミュレーションをしてみることが大切です。

ランチ需要があるかどうかをチェックする

同じエリア内に、次のような店があるかどうかチェックしてみます。

  1. ランチ営業で繁盛している飲食店の有無
  2. 牛丼やハンバーガーなどのファストフード店の有無
  3. コンビニエンスストアの有無
  4. 弁当専門店の有無
  5. 車で移動販売する弁当店の有無

このような競合店があるということは需要があるということですから、立地としてはまず問題ありません。競合店がない地域はランチ需要がないこととを意味しますから、かえって危険と考えたほうがいいでしょう。

シミュレーションをしてみる

頭で考えるだけでなく、実数値を当てはめて、果たして収益を上げられるかどうかシミュレーションしてみましょう。ランチ営業時間を11時30分~14時30分までの3時間とし、仕込み時間に1時間30分かかるとすると、労働時間は4.5時間になります。

キッチンは1人で切り盛りし、ホールも1人で担当するとします。スタッフの人件費は、1日当たりの平均労働時間が10時間。

1か月の給料が30万円と仮定すると、1日の労働で10,000円ずつコストがかかっていることになります。これを基にランチタイムにおける2人の人件費を計算すると下記のようになります。

1日の労働コスト×人数×ランチ稼働時間 = 人件費

10,000円 × 2 人×(4.5÷10) = 9,000円

ランチの平均単価が仮に700円とします。平均原価率が30%として試算してみると、700円×30%=210円で、1人のお客さまから得られる利益は700-210=490円になります。

ランチタイムに20人来店したとすると490円×20人=9,800円となり、かろうじて人件費とプラスマイナスゼロ(ペイライン)になります。20人でペイラインを超えるとして、10,000円の利益を出すには、10,000円÷490円≒20人ですから、計40人のお客さまが必要ということになります。

20人のお客さまをスタッフ2人でさばくことは可能ですが、40人となると物理的に無理がああります。 その場合はスタッフをもっと増やせるか、あるいは平均原価率を低くできるかなどを検討して、黒字にできるという答えが出た場合はランチ営業に踏み切るべきです。

ランチの営業時間を決めよう

ランチ営業時間イメージ

居酒屋などの飲食店がランチ営業を行う場合、まず考える必要があるのが営業時間の設定です。

営業開始時間や営業時間の長さがお店の利益にも大きく影響してくるからです。

またオフィス街、学生街、郊外、商店街や駅前にある居酒屋がランチ営業を行う場合別に営業時間が異なります。

以下で、それぞれの条件に応じた営業時間設定のポイントについて考えていきましょう。

●オフィス街近くにある居酒屋の場合

オフィス街にある居酒屋の場合、ターゲット層は仕事帰りのサラリーマン達でしたが、ランチを始める場合もまずはそれらの客層を対象に行うことで集客が見込めます。

場所によっては「昼食難民、ランチ難民」という言葉があるようにオフィス街では好みのお店がない、また昼食の時間が限られている上にどのお店も混雑し昼食を食べられなかったという人たちが増えています。そうした人たちを対象にランチ時間を設定することで集客数を確保できます。

また、そうすることで夜間営業と食材を共有でき、食品ロスも防ぐことができるでしょう。

ランチ時間はオフィスが昼休みとなる12時前から午後2時を中心に行うなら集客数を高め、売り上げを伸ばすことができます。

時間差で昼食をとる会社も少なくないため、午前11時から午後2時までランチ営業にして他のお店と差をつけるようにしているお店もあります。営業時間によっては赤字になる可能性もあるので、よく時間を選んで行うようにしましょう。

さらに、ランチの時間を活用して夜のメニューを紹介することもできます。

ランチでそのお店のファンになってもらい、夜間に来店してもらうことで、リピートする来客を増やすことができます。ランチで雰囲気を気に入り、夜も来てみようという新規のお客様を確保することもできるかもしれません。

最近の傾向として、都心にタワーマンションが立ち並ぶようになり、土日など普段はオフィスに人がいないような土日にもそれらの居住地に生活している人たちが増えまずまずの収益が見込めそうです。

しかしその一方でタワーマンションに住んでいる人はあまり出歩かず、1日家や近所で過ごす傾向が強いため、食事は出前や宅配ピザなど外出しなくても食事を楽しみたいという人も増えていいます。

それらの需要に応えるために土日のランチ配達サービスを取り入れることもできるかもしれません。

しかしこの場合は配達スタッフを増やす必要も出てくるため、人経費などをきちんと計算した上で実行するようにしましょう。

●学生街近くにある居酒屋の場合

学生街にある居酒屋がランチ営業を行う場合、ランチメニューは金額設定を低めに設定し、たくさんの学生の呼び込みに努める必要があります。

客単価があまり高くないため、できるだけ大勢の学生が来店しなければあまり収益につながるとは考えられません。特に大学の近くの立地ならどうしてもランチ時間設定を長くしなければメリットにならないでしょう。

ランチの営業時間は午前10時半から午後2時半くらいと長めに設定し、少し遅めの朝食やブランチから、遅めのランチまで対応することで収益率が上がるでしょう。

●郊外にある居酒屋の場合

都市の中心部ではなく郊外にある居酒屋がランチ営業を開始することを考えている場合は、まず通常の時間帯に居酒屋として軌道に乗っている必要があります。

居酒屋として一定の集客を認め、さらにランチ営業してもマイナスにならないと計算した上でランチ営業を開始します。

ランチ営業の対象は地元の主婦や定年退職後の高齢者が多いかもしれません。そのため、ある程度お金を出しても少しおいしいものを食べたいと考える客層向けに、客単価を高めに設定することもできるでしょう。

また、そのお店ならではのオリジナルメニューがあるなら遠出してでも来て見たいと思ってもらえるかもしれません。この場合ランチ時間を短く設定することをおすすめします。

例えば午前11時半から午後1時半と設定し、ターゲットの集客を図り、徐々に常連客が増えるように心がけることができると思います。

●商店街や駅前にある居酒屋の場合

商店街や駅前など人通りが多いところにある居酒屋がランチ営業する場合、日中の通行量や近隣のお店の来客状況を把握するようにしましょう。

そうすることで、だいたいの客単価や回転率を考えることができ、ランチ営業時間を設定できます。

ランチの時間帯に商店街や駅前にいる人は主婦や高齢者、親子連れ、仕事の行き帰りの人が多いです。そのためランチ営業時間は午前11時半から午後2時半まで時間に余裕を持たせるといいでしょう。

また、この立地で居酒屋がランチ営業を行うメリットとして宣伝広告費をかけることなく来客を増やすことができます。

例えば看板をみて来客したり、口コミを聞いて来客したくなったなどお客様自ら来店することが他の場所に比べて多い気がします。

まとめ

ランチ営業

ランチ営業を始める理由として、居酒屋の売上は頭打ちだから昼間も営業して少しでも収益を上げたいという声が多いのですが、ランチに力を入れたら収益が上がるはずと安易に決断するのはよくありません。

実際に営業している同業店をリサーチして回り、今、ランチ営業を始めることが一番の課題なのか、始めるならどのような戦略を立てればいいかを見極めてから決断を下すようにしたいものです。

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