ひと昔前まで、コース料理と言えばフレンチや日本料理屋など、いわゆる専門店でのみ提供されているイメージがありました。
しかし近年、居酒屋でもコース料理を提供するお店が増えてきました。 ではなぜ、居酒屋でコース料理を提供するお店が増えているのでしょうか? 今回は、コース料理の魅力とメリット、その組み立て方をご紹介します。
コース料理とは
コース料理とは、主に西洋料理の晩餐会などで供される一連の料理の事を指します。決められた品が、決められた順番で提供されるのが特徴です。
現代のフランス料理などでは、料理が一品ごとに順序立てて提供されます。これは、元々フランスで行われていたものでありましたが一時期絶え、後に帝政ロシアの政治家・外交官のアレクサンドル・クラーキンが温かい料理を徐々に出して行くロシア式サービス(時間差フルコース)を紹介したことで、改められて行われるようになりました。
また、「フルコース」という語は西洋料理以外にも使われたりもしています。
コース料理を用意するメリット・デメリットとは
居酒屋での料理の注文にも、飲み物の注文と同様に経営者を悩ます問題があります。
それは、食べたいものを1品ずつ注文する「普通注文」にするか、決められた種類の料理が提供される「コース料理」にするか、という問題です。
普通の注文であれば、お客様が好きなものを食べられるというメリットがある一方、お店のスタッフからすると、お客様ごとに違うオーダーを受けることで発生する、複数の料理を調理する煩わしさや、個人やグループによって会計額に差が出てしまうというデメリットがあります。
コース料理の場合、お客様は好きなものだけを注文することができないデメリットがありますが、前述したお客様ごとに違う料理を調理する煩わしさはありませんし、会計額に個人差も発生しません。そのため、コストも一定で単価計算もしやすいメリットがあります。
普通注文とコース料理にはそれぞれ甲乙ありますので、居酒屋においてコース料理を提供する上では、普通注文とコース料理の2つを用意することで、コース料理のメリットを引き出すことができるでしょう。
まず、気の置けない仲間や職場の同僚など、少人数で居酒屋に出かけるケースでは、多くの場合コース料理ではなく、単品のメニューが好まれるでしょう。 また、女性と同伴する場合なども、レストランは別にして、居酒屋では好きなものを食べられるよう配慮するでしょうから、コース料理を注文しない傾向にあります。
では、コース料理はどういったシュチュエーションに向いているのでしょうか?
それは、「予算が決まっている場合」や「人数が多く注文の取りまとめが困難な場合」です。つまり、大人数の宴会やパーティーといったシーンに向いていると言えるでしょう。
大人数の宴会やパーティーでコース料理を用意するメリットとしては、コース料理の方が効率良くサービスを提供できるということです。
なぜなら、決められた料理を効率よく大量に調理し、出来上がった料理から順序よく出すので、大量の料理をスムーズに提供できるからです。 また、お客様側からしても、初めからコース料理と分かっていればいちいちメニューを見て注文をする必要がありませんし、予算もはっきりしているので、お金の心配をしなくて済む安心感もあると言えるでしょう。
居酒屋のコース料理の定番メニューとは
ここで重要になってくるのが、どういったメニューをコース料理にもりこむかでしょう。自分の好きなものを注文できないデメリットをカバーするためには、お客様が満足のいく内容でなければいけません。
そこでまずは、居酒屋のコース料理の定番メニューを知る必要があります。 具体例を以下に3つ、挙げてみました。
具体例1
コース内容(全8品)
- 茶碗蒸し(温又は冷)
- ローストビーフサラダ
- 刺身4品盛り
- 選べるメイン料理(牛鍋、イベリコ豚のしゃぶしゃぶ、海鮮鉄板)
- 生ハムと花畑牧場モッツァレラのカナッペ
- 串焼盛合せ
- 釜揚げしらすの明太Pizza
- 釜揚げしらすごはん
具体例2
コース内容(全8品)
- 『黒大豆』枝豆
- 生ハムのシーザーサラダ
- 刺身3品盛り
- 選べるメイン料理(牛鍋、イベリコ豚のしゃぶしゃぶ、海鮮鉄板)
- オードブル
- 名物!若どりザンギ&ポテト
- 釜揚げしらすの明太Pizza
- あい鴨のいなりごはん
具体例3
コース内容(全9品)
- 海鮮碗蒸し(温 又は冷)
- 生ハムとトマトのサラダ・刺身6品盛り
- 選べるメイン料理 (牛鍋、イベリコ豚のしゃぶしゃぶ、海鮮鉄板)
- バックリブの炙り焼
- 海鮮焼盛合せ
- 天ぷら盛合せ
- にぎり寿し
- バニラアイス黒蜜きな粉がけ
といった具合です。 コース料理の例を3つ挙げたのは、例が一つだけだとメニューに偏りが出てしまい、お客様がコースを選ぶ際に選択肢がなくなってしまうからです。
平均して3つのコースを用意しておいた方が、お客様側も選べる楽しさが生まれますし、コースによって料金設定を変えることで、客単価アップにも繋がります。
また、上記3つのコースは、
- 「前菜」
- 「サラダ」
- 「メイン」
- 「締めもの」
- 「デザート」
という構成で、コース料理の基本を踏まえて料金単価ごとに品数を増やすなどのアレンジをしています。居酒屋では、このようなコースメニューを基本とし、あとはお店のスタイルに合った料理を提供するのが定番とされています。
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コース料理の最適な品数を知ろう
コース料理は内容も当然ですが、提供する品数も重要です。
予算のわりに品数が少なければ、お客様は不満に思うでしょうし、反対に多すぎると食べきれませんので、それも問題です。食べきれず残されてしまうことが多くなったら、在庫回転率や原価償却率にも響いてきます。
多すぎず、少なすぎずが適正です。上記の具体例を見れば分かると思いますが、平均して8~9品が最適な品数と言えるでしょう。
コース料理を組み立てよう!お客様が嬉しい料理の順番とは
コース料理の組み立てで重要なのは、提供する品の種類によって順番があるということです。つまり、その原則を押さえて、コース料理を組み立てていかなければなりません。
一般的な居酒屋の例では、前述したような
- 「前菜」
- 「サラダ」
- 「メイン」
- 「締めもの」
- 「デザート」
といった組み合わせのアレンジです。
他には、和食(懐石料理や酒を楽しむ料理)が売りのお店の場合でしたら
- 先付 ・・・ 前菜
- 椀物 ・・・ 吸い物
- 向付 ・・・ 刺身
- 鉢魚 ・・・ 焼き物
- 強肴 ・・・ 煮物
- 止め肴 ・・・ 原則として酢肴(酢の物)、または和え物
- 食事 ・・・ ご飯・止め椀(味噌汁)・香の物(漬物
- 水菓子 ・・・果物
といった具合です。
懐石料理の場合は、ご飯、止め椀、漬物は同時に提供され、それ以外にも油物(揚げ物)や蒸し物、鍋物が出ることがあります。油物が供される場合は、一般に強肴のあとです。
お店によっては洋風居酒屋もあるでしょうから、この場合も組み立て例があります。フランス料理におけるコース料理の組み立てを基本に例を挙げてみました。
以下の通りになります。
- 前菜1
- 前菜2
- スープ
- 魚介のメイン料理
- 口直しのシャーベット
- 肉類のメイン料理
- デザート
- コーヒー
その他、中華料理などは①前菜(オードブル)を4種類出します。これは熱いものでも冷たいものでも構いません。②6~8種類のメインディッシュ。③塩味と甘い味の2種類のデザート といった具合です。
料理によってそれぞれ違いがありますので、その違いをよく踏まえて組み立てをすると良いでしょう。
料理に不可欠なエッセンス
飲み屋のコース料理において、何がお客様の心を掴むのでしょうか。人間の三代欲求とも言われる食欲ですが、お金を払って外食をする以上、お客様は「食べられれば良い」ということは思っていません。
そこには『飲み屋で食べる』という条件下においての満足度の基準が存在しています。その要素を紹介していきます。
選び抜かれた食材
空腹を満たせば良いと言って、料理を提供するのは絶対にNGです。お客様は飲み屋に対して「家では体験できないメリット」を求めています。その内のひとつが食材の質となっています。
もし、飲み屋で提供されたサラダが美味しくなかったらどうでしょうか。「このお店、安い野菜使ってるのでは?」とお客様に不快感を与えてしまいます。でも、お店が食材を見極めて、こだわって仕入れたものだとしたらどうでしょうか。
「このお店、食材に凄くこだわっているのね」
と満足してくれることは間違いありません。そして、その満足度が常連客の獲得、さらには新規顧客の獲得に繋がっていくことでしょう。店舗が想像している以上に、お客様は味にこだわっているので、そのことを忘れず食材選びは慎重に行いましょう。
ここでしか味わえない特別感
別に家で食べられる料理であれば、外食する必要はありませんよね。よって、お店側は「特別感」を提供することが必要となっています。ここで言う「特別感」とは味だけのことを言っているわけではありません。
料理の味は当然として、盛り付け方法だったり、提供の仕方、さらには、使用するお皿などへのこだわりとなっています。このように、お客様が目で見て楽しみ、舌で楽しみ、演出で楽しめるといった3つのポイントは料理に必要なエッセンスと言えるでしょう。
特にコース料理の提供になってくると、淡々と料理が運ばれてくるので、途中で飽きてしまうお客様もいます。そこに、ちょっとしたサプライズ演出をプラスすることで、お店で過ごしてもらう時間を素敵に感じてもらうことが可能となっています。
メニューのバランス
コース料理提供において重要なのは、食のバランスとなっています。分かりやすくするために極端な例を用いますが…
・から揚げ
・ステーキ
・ミニハンバーグ
・ソーセージ盛り合わせ
といったコース料理があったらどうでしょうか。
想像するだけで、胸やけがしてきますよね。
これでは、どれだけお肉が好きなお客様でも「ちょっとこれは…」と思うことでしょう。コース料理は食のバランスが重要になっていますので、お客様が美味しく飽きずに食べられる構成で提供するようにしましょう。
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完成した料理を楽しんでもらうための一工夫
食材にこだわり、調理方法にこだわった料理であれば、きっとお客様は満足してくれるでしょう。でも、お店側でできるのは、本当にこれだけでしょうか。実は、ちょっとした努力で、料理を最高に楽しんでもらい、お店への印象を良くするテクニックがあります。
演出にこだわってみよう!
分かりやすい例だと、誕生日ケーキを提供するとき、普通に持っていくのと、いきなり店内の照明が消えて、花火の付いたケーキを運ばれるのでは、どちらがインパクトあるでしょうか。
もちろん、後者になってきますよね。このように、料理の提供方法はお客様に料理を楽しんでもらうためのワンポイントとなっています。人によっては「静かに運んできてよ…」という方もいるでしょう。
でも、それは決して「嫌」なのではなく「恥ずかしい」だけであって、嬉しいことに違いはありません。また、このような特別な演出で料理を提供すると、お客様の中でも話題になりやすいですし、それをきっかけにインスタグラムなどで紹介されて新規のお客様が増えることも期待できます。
「食べるだけでなく、楽しんでもらう」
この精神を忘れないのも大切ではないでしょうか。
店内の雰囲気とマッチする食器を選ぶ
女性客の多い店舗では、必要不可欠な要素なのですが、食器にこだわること、そして、店内の雰囲気とマッチしていることはとても重要となっています。
「この食器可愛い」
というお客様同士の会話を聞いたことは一度や二度ではないはずです。お客様は店舗に料理を食べにきているのですが、その時間は「楽しむ時間」でもあるのです。だから、料理だけでなく、食器へのこだわりも欠かせません。
もっと言えば、店内のインテリアにもこだわると良いでしょう。
目の前で仕上げを行って提供する
先ほど述べた「演出」に関連することですが、料理の最後の仕上げが厨房じゃなくてもできるメニューであれば、お客様の前で仕上げるのもテクニックの一つとなっています。よくあるのが、鉄板に乗せたお肉を持っていった時です。
鉄板に乗せて、提供した後、お客様の前でタレをかける。そうすると、一気に煙が出ると同時に「ジュワ~」といった美味しそうな音が響き渡ります。特に特別な調理法ではないですが、これを目の前で見せてもらうことで、お客様は感激してくださり、楽しんでくれるのです。
このように、ちょっとした工夫でお客様満足度を高めることが出来るので味だけでなく、サービスでも一流のお店を目指してみてはどうでしょうか。
美味しいコース料理でリピーターを獲得しよう
忘年会や新年会などの各種宴会からパーティーまで、お客様が大人数で利用される際に選ばれるコース料理。宴会やパーティーで提供するコース料理には、お店にとって調理の手間がかからないなど複数のメリットがあること以上に、重要な意味を持ちます。それは、宴会やパーティーに参加されるお客様の大半が初めて来店されるお客様である可能性が高く、そういった方々に対して料理を提供することと関係があります。
初めてお店に訪れるお客様は、「美味しい料理が食べられるかどうか」という、お店の味に期待をしています。もし、そういったお客様に「このお店はとても美味しいので、プライベートでも来てみよう」と感じてもらえれば、再来店してくれる可能性があがり、そこからリピーターとなってくれるかもしれません。 つまり、宴会等で初めて来店されるお客様にとって、コース料理はその後お店を利用するかどうかの重要な判断材料となるのです。重要な「初来店のお客様」を逃す手はありませんので、このきっかけをしっかりと活用していくことがリピーターを増やすポイントとなります。
また、コース料理は一度評判になるとリピーターがリピーターを呼び、お店の集客アップに大きく貢献します。美味しいコース料理をきっかけとして、たくさんのリピーターを獲得していきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
コース料理のメリットをうまく活用すれば、効率良くサービスが行え、客単価のアップにも繋がりますし、コース料理が評判となれば、リピーターの増加という強力な集客要素にもなるでしょう。
自身のお店のコンセプトと照らし合わせながら、独自のコース料理を開発しましょう!
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