

飲食業界にとって人手不足は慢性的な問題であり、頭を悩ませている経営者の方は多いのではないでしょうか。今回は、飲食業界における「人手不足」を解消する方法について詳しく解説するので、人手不足に悩んでいる経営者の方はぜひ参考にしてください。
飲食店が人手不足に陥る原因
飲食店が慢性的な人手不足に悩まされてしまう原因はいくつかあります。ここでは、その中で重要な4つの原因について解説をします。
シフトが不規則で働きづらい
第1の原因は、「不規則な勤務だと従業員が働きづらい」ということです。飲食店の場合、営業時間が長いことや定休日が少ないことから、従業員はシフト制の勤務になることも多いでしょう。
しかし、働く人にとっては、勤務する日や時間が不規則になることは、働きづらさを感じる要因にもなりえます。たとえば不規則勤務だとゆっくり体を休められず体調を崩すことになりかねないという不安をもつ人もいるでしょう。
また、従業員にも自身の生活スタイルがあるため、希望するシフトで勤務できない状況が続くと離職につながる可能性が高まります。
人手不足に陥るとシフトの融通が利きづらくなり、従業員の希望に沿ったシフトを組むことが難しくなります。それが従業員の離職につながり、より人手不足が深刻になるという悪循環になってしまうのです。したがって、シフトが不規則である場合、離職率が高まるといえます。
農林水産省が公表している「外食・中食産業における働き方の現状」によると、特に非正社員の女性では「残業が多く労働時間が不規則」との回答が33.8%になり、正社員と比べて比率が高くなっています。
【参考】第4回働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会 外食・中食産業における
働き方の現状と課題について(農林水産省 食料産業局)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/kikaku/hatarakikata_shokusan/attach/pdf/04_haifu-11.pdf
長期的に働く人が少ない
第2の原因は「長期間にわたって働く人が少ない」ということです。一般的に飲食店では働き手の入れ替わりが激しいという傾向がみられます。
厚生労働省が公表した「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、宿泊業・飲食サービス業の入職率は26.3%、離職率は26.9%となっています。この数値は宿泊業も含まれてはおりますが、一般的に飲食業界は、入ってくる人より辞める人の方がやや多い状況であると考えられます。
全産業の中でも宿泊業・飲食業は入職率と離職率が一番高く、複数あるサービス業の中でも最も多い割合です。
また、飲食店の働き手はアルバイトやパートなど、非正規で雇用される形態の人が多いようです。安定的に働きたい人向けの雇用形態ではないため、働き手が離職しやすい環境といえます。
【参考】令和2年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf
労働環境に問題がある
第3の原因は、「労働環境に問題がある」という点です。労働環境が思わしくないと、当然従業員は職場に定着しにくくなるでしょう。
飲食店の労働災害は増加傾向にあり、労働環境は必ずしも良好とは限りません。第三次産業のうち飲食店の労働災害は9%を占め、死傷者数も増加しています。
平成28年の飲食店の労働災害では、「転倒災害」が28%を占めており、最も多い割合です。次いで多いのが「切れ・こすれ」23%、「火傷等」などが17%となっています。
たとえば、オーダーのドリンクを取りに行くときに、通路とカウンター前の段差で足を踏み外し転倒しまった場合は「転倒災害」となります。「切れ・こすれ」の例では、右手でピーラーをもち、左手でもった人参の皮をむきながら、話しかけられた方を振り返り、指先を切ってしまうなどのケースが考えられるでしょう。
飲食店は、他の業種に比べてケガをする機会が多いようです。危険や注意すべき事項を「⾒える化」することで、従業員の安全を守ることができます。
【参考】第三次産業の労働災害の特徴(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000211862.pdf
感染症拡大の影響で従業員の離職者が増えた
第4の原因は、新型コロナの感染拡大が広がったことで、従業員の離職が増えたということです。新型コロナウイルス感染症の拡大は飲食店経営にも大きなダメージを与えました。コロナ禍による経営状態の悪化から廃業の決断を迫られた飲食店も少なくありません。飲食店の売上高は、緊急事態宣言や時短要請により大幅に減少しました。特に店内飲食を中心とするファミリーレストランやディナーレストラン、アルコール類を提供するパブ・居酒屋業態は影響を大きく受けています。このような状況の中、経営状態が悪化する飲食店も増加し従業員の雇用にも大きな影響を与えています。
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人手不足に悩む飲食店が見直したいポイント
飲食店の売上を伸ばすには、必要な働き手をしっかり確保していかなければなりません。ここでは、人手不足に悩む飲食店が見直したいポイントについて解説をします。
従業員の労働条件
1つ目のポイントは、「従業員の労働条件」を見直すことです。従業員が無理のない条件で勤務できているかを確かめます。
見直すポイントは、以下の4点です。
1.十分な休みを確保できているか
2.深夜や早朝にシフトが集中していないか
3.特定の従業員に負荷がかかっていないか、
4.適切な額の給与を支払っているか
厚生労働省が規定している労働時間をオーバーしないように、従業員の休日を確保しなければいけません。深夜や早朝の時間帯に集中して勤務するようなシフトになっていないかも確認しましょう。
そして、仕事ができるからといって特定の従業員に仕事が集中することがないように注意を払ってください。
また、仕事に対するモチベーションを向上させるためには、働きに見合った額の給与が必要です。給与の不満は離職につながるため適切な額の給与を支払うようにします。
従業員とのコミュニケーション
2つ目のポイントは、「従業員とのコミュニケーション」を大切にすることです。職場のコミュニケーションは労働環境に大きく影響するものであり、働く人同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境であると、職場の雰囲気が楽しくなります。
したがって、パワハラなどはもってのほかです。経営者や上司の立場である人が過剰に従業員を怒鳴ったり、執拗に叱ったりすることが多いと、当事者である従業員だけでなく、その場面をみている従業員もストレスを感じやすくなり離職願望が出てきます。
飲食店の経営者や管理職は、風通しがよく、従業員一人ひとりを大切にするホワイト企業を目指すことが必要です。そのためには、従業員や部下の意見を尊重することも心がけましょう。
採用戦略
3つ目のポイントは、「採用戦略」をきちんと立てることです。新規採用がうまくいかないときは、募集の仕方に問題があるのかもしれません。採用戦略を見直すとよいでしょう。
重要なのは求人情報をできるだけ具体的にすることです。どのような仕事内容なのかを明確かつ分かりやすく記載することで、求職者がイメージをつかみやすくなります。
「飲食店で働く=ハードな勤務」というイメージを払拭することにも配慮しましょう。勤務に対するハードルを下げると求職者の増加につながる可能性があります。
たとえば、「シフトを短くする」「未経験者でも働ける仕組みを作る」 といった取り組みを行い、長時間勤務に不安がある方や未経験の方でも応募しやすい条件を整えれば、求職者の数が増えることが期待できます。
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飲食店の人手不足を解消するアイデア
人手不足の場合は、何か手を打たなければ、いつまで経っても問題は解消しません。ここでは、飲食店の人手不足を解消するアイデアをご紹介します。
労働環境や待遇を改善する
飲食店の人手不足問題を解決する方策のひとつは、離職者を極力なくすことです。そのためには、働く人の意見を積極的にとりいれていく仕組みを作ることもポイントです。
たとえば、定期的にヒアリングをおこない、従業員の会社に対する要望や仕事の悩みなどを拾い上げるといった取り組みも効果的でしょう。これによって明確になった事項に的確に対応していくことが、従業員が継続して働きたいと望む理由になる、「やりがいのある仕事」「働きやすい職場」の実現につながります。
店舗運営を見直す
新型コロナ感染拡大の影響により、飲食店の経営は依然として厳しい状況が続いています。それに応じて、少ない従業員で運営できる体制を考えるといった店舗運営の見直しが必要になってきているのではないでしょうか。実際、総務省統計からは、外食業界は雇用を多く生むが稼ぐ力が低いという状況も見て取れます。この機会に店舗運営を見直してみましょう。
たとえば、今まで常態化していた作業で無駄なものはないか、さらに効率良くできる方法はいかなどを考えます。中小企業診断士などに企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスをもらってもよいでしょう。
社内で現在行われている作業のチェックシートを作り、従業員全員で確認するのもよい方法です。
業務を効率化するシステムを導入する
たとえば、今まで常態化していた作業で無駄なものはないか、機械の導入で人の負担を減らして自動化できる作業はあるかなどを再確認します。
近年のIT技術の進化に伴い、飲食店でもデジタルトランスフォーメーション(DX)にむけて取り組むところが増えてきました。自動化することでヒューマンエラーを減らせる効果もあり、営業の効率があがります。
飲食店は人に対するサービス業ということもあり、テクノロジーに対して苦手意識を持っている方も多いかもしれません。しかし、近年のDX化は飲食店においてもさまざまなサービスを提供できるようになり、業務を効率化するシステムを導入することは、もはや欠かせない要素といえるでしょう。
実際、サービス業務のDX化に取り組む飲食店は増えています。昨今増えてきているスマホやタブレットによるセルフオーダーシステムを用意すれば、わざわざオーダーをとるために従業員がお客様の席まで行く必要はありません。それによって少ない人数で業務が可能になるため、人件費の削減が期待でき、ひいては業績アップにも役立つと考えられます。
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飲食店の人手不足には経営戦略の見直しが必要
「人手不足を解消するための経営戦略として注目したいのが集客システムの導入です。そのひとつが「ユビレジQRオーダー&決済」です。
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