飲食店にとって有効な販促ツールにSNSがあります。チラシ配りやメールマーケティングよりも少ない労力で多くの人にリーチできることが大きなメリットです。一度フォローしてもらうか友達になると、定期的にキャンペーンの情報を届けてアピールすることができるため、長期的な関係も築きやすくなります。実際、店内で「LINEの友達になったら◯%引き」といった表示をしているお店もあります。
しかしSNSはいくつも種類があってわかりづらく、すべてのSNSに同じ投稿をしている場合も多いのではないでしょうか。実は、それぞれの性質の活用がソーシャルマーケティングの成功のカギとなります。今回はそれをお伝えします。
なお、SNSの活用についてはこちらの記事も参考にしてください。
料理の写真にこだわってSNSマーケティングを最適化しよう
SNSマーケティングはなぜ重要?何をしたらいい?
SNSとは
SNSとは、Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の略称で、簡単に言うと広く他の人と情報を共有するための開かれたサービスのことです。
SNSは気軽に情報を共有できるサービスとして利用率が高まり、現在は社会インフラと言えるほど広がっています。
そのため、このSNSを活用したマーケティングは飲食店にとって見過ごせない規模になっています。
SNSマーケティングを進めるメリット
では、SNSマーケティングを進めることで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
広告費をかけずに広告宣伝できる
店舗のことを広く知ってもらうためには、通常は広告費を払って、チラシを撒いたりグルメサイトで上位表示してもらうなどの手段しかありません。
しかしSNSは基本的にユーザーが自主的に情報を広めてくれるので、特に実費はかかりません。
また、広告は信用されない時代になっているので、信用できる口コミとして扱ってもらえます。ただし、悪い情報も広がりやすい点には注意しましょう。
店舗が自分で発信できる
いずれのSNSも、店舗のアカウント(窓口)を無料で作成できます。そのため、自分から情報を発信することができます。
ホームページを持たなくても気軽にキャンペーン情報などの連絡を広く伝えられるのは、大きなメリットです。
ファンと恒常的に繋がれる
上記のように自店のアカウントで発信することで、自店のファンと気軽に交流できるようになります。意見を募ることもできますし、お得な情報を届けることでリピートする理由を作ることができます。
SNSマーケティングは何をしたらいい?
SNSマーケティングで進めるべき施策は、大きく分けて2つあります。
SNSで話題にしてもらう
1つは、「SNSで話題にしてもらう」ための施策です。お客様が発信したお店の情報が、好感をもって広がるように工夫する必要があります。
自店のSNSアカウントを運用する
もう1つは、自店でSNSアカウントを作成し、運用することで情報を発信していくことです。情報を自分でコントロールできるので、上手に活用すると安定的に集客に活用できます。
それぞれのSNSの特徴と戦略
さまざまなSNSがありますが、広く利用されているものは4つ、「Twitter」「Facebook」「Instagram」「LINE」です。
まずは、ざっと特徴を比較してみましょう。
ユーザー数※ |
主なユーザー層 |
主な特徴 |
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---|---|---|---|
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4500万人 |
・10、20代の利用率が圧倒的に高い ・30〜50代の利用率はFacebokと似ている ・男女比率は年齢問わず半々 |
・匿名なので荒れやすい ・面白い話題だと爆発的に広がる可能性がある ・より気楽に利用されている |
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2800万人 |
・20代〜50代までまんべんなく利用 ・10代の利用比率は低い ・男女ともに利用 ・20、30代は女性、40代、50代は男性の比率が高まる |
・実名登録のため、自分の属性に有益な情報が話題になる ・店舗のページを持てるため、HP代わりになる |
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2000万人 |
・10、20代の利用率が高い ・年齢が上がるごとに少なくなる ・基本的に女性が多いが、年齢が上がると男性の方が多くなる |
・写真がメインのコミュニケーション ・お店探しに利用されることも多い ・利用人口は他のSNSより少ない |
LINE |
7600万人 |
・10〜30代の利用比率は非常に高く、40代以上も利用数は多い ・男女比率は年齢問わず半々 |
・SNSというより、チャット・メールとしての利用 ・クーポンやショップカードを配布できる ・まずはつながりを持ってもらう必要がある |
もう少し詳しく特徴を見てみましょう。
特徴
最大140文字の短文投稿を、ユーザー同士で共有するサービスです。短文での投稿なうえに、匿名での登録が可能なので、気軽に発信したり共有したりできることが大きな特徴です。
それだけに興味を惹きつける情報が爆発的に広がる可能性がありますが、悪意を持った情報も広がりやすい点には注意しましょう。
また1人でいくつもアカウントを持ち、目的別にアカウントを使い分けるユーザーも少なくありません。
10代、20代はアカウント保有率が非常に高く、年齢層が上がるごとに保有率は減少し、50代、60代でガクッと下がります。
話題にしてもらうためには
Twitterは、さまざまな情報が次々に流れていくため、インパクトのある情報が話題になりやすい傾向があります。
びっくりするようなメニューや、ユーモラスな看板やメニューなどを検討してみてもよいでしょう。
アカウント運用のヒント
飲食店がTwitterの利用をする場合、店舗のアカウントを持って運用することになります。無料で手軽に作れるので、まずは作ってみるとよいでしょう。
Twitterの投稿はどんどん過去のものになってしまうので、リアルタイム性が重要です。定休日情報など、長く見てもらいたい情報はあまり向いていません。
それよりも「今ならすぐに席にご案内できます」といった「今」の情報発信に活用しましょう。
季節のキャンペーン情報などは定期的に投稿するなどして、できるだけ多くの人に見てもらいましょう。
Twitterの特徴は配信の気軽さです。ほかのSNSは1週間に数回程度しか配信しないかもしれませんが、Twitterは1日数回ツイート(配信)することをおすすめします。
ただし、お店が伝えたい情報だけでなく、親しみを持てるような少しくだけた、身近に感じられるツイートをします。 お店のキャラがよく出ているアカウントの例は上島珈琲と豚組です。どちらもフランクな雰囲気でユーザーとの距離が近いですね。
特徴
基本的に実名で登録するという点が大きな特徴です。ビジネス上で知り合った人と交流するために利用することもあり、ハメを外した利用はしにくい傾向があります。
特徴的なのは、事業者も無料で「自分のページ」を持てることです。電話番号や住所、ホームページURLなどの基本状況を掲載しておけるので、ホームページ代わりに利用している飲食店も少なくありません。Facebook経由で店舗への直接の問い合わせがくる可能性もあります。
話題にしてもらうためには
上記の通り、本名で利用するSNSなので、「役に立つ情報」「自慢できる情報」「近況報告」などがメインです。
飲食店だと狙って話題にしてもらうことは難しいかもしれません。
そのため、どちらかというと店舗のアカウントを運用して、すでに繋がっているお客様にキャンペーン情報などをしっかり伝えて行くほうが現実的でしょう。
アカウント運用のヒント
FacebookはほかのSNSに比べて長文が読まれる傾向にあります。そのため、お店のこだわりを写真と一緒にしっかりと伝えていきましょう。
親近感を湧かせるためにスタッフの写真や、お客様のグループに写真撮影と投稿の許可を頂いて載せる方法も有効です。できるだけお店の「リアル」を丁寧に伝えます。Facebookは1週間に1~2回を目途に更新してください。
Facebook投稿のよい例はミスタードーナツでしょうか。ちょうどいい長さの文章+最初に担当者の◯◯です!ということで親近感を沸かせています。
特徴
他のSNSと違い、写真の投稿がメインになっています。主なユーザーは10代、20代の女性で、おしゃれな写真などが好まれる傾向があります。
投稿されている写真を検索して気になる飲食店を探すという人も少なくないため、うまく活用すれば直接集客できる可能性もあります。
話題にしてもらうためには
2017年に「インスタ映え」という言葉が流行語に選ばれましたが、写真映えするメニューや内装、イベントを開くと自店の写真を投稿されやすくなります。
特別話題にならないとしても、検索で見つけてもらえる可能性はあるので、どんなメニューも、できるだけ見た目にこだわって、美味しそうに盛り付けるように心がけましょう。
アカウント運用のヒント
自店舗でアカウントを作って投稿するときは、写真うつりに気をつけましょう。
また、「ハッシュタグ(#)」機能をしっかり活用しましょう。
ハッシュタグとは、投稿した写真の内容がどんなものか、簡単にキーワードを紐づけておくものです。
例えば、渋谷のカフェのパンケーキの写真であれば「#パンケーキ #カフェ #渋谷」などとハッシュタグをつけて投稿します。渋谷でパンケーキを探している人が「#パンケーキ #渋谷」と検索して、そのハッシュタグがついた写真の中で気になったものを選んでお店を決めることになります。
検索されそうなハッシュタグをつけることを忘れないようにしましょう。
気を付けたいのは写真の質。できるだけ画質がよくてシズル感がある写真を選んでください。 料理などを写す場合、お持ちの撮影機器ではきれいに撮れない場合は、接写向きのものを新たに用意する必要があります。
Instagramは1週間に2~3回の更新で大丈夫です。参考にしたいアカウントはスターバックス。雰囲気が抜群です。
Instagramの活用については、こちらの記事も参考にしてください。
インスタグラムでマーケティング!?インスタを活用した集客方法とは
LINE
特徴
SNSというより、メール・チャットと言ったほうがいいかもしれません。
1対1やグループでテキストチャットや通話ができるサービスです。
年齢層が若いほど利用率は高くなりますが、10代〜60代までのいずれの世代でも、高い利用率を誇ります。
話題にしてもらうためには
基本的には個人同士のやりとりなので、他のSNSと違って話題になって広がることは少ないです。ただ、お店選びをしているときにはホームページやグルメサイトのURLを貼り付けて情報交換をすることになるので、ホームページやグルメサイトはしっかりとメンテナンスをして、わかりやすく魅力的に見えるように気を配りましょう。
アカウント運用のヒント
事業者のアカウント利用方法としては「LINE@」と「LINE公式アカウント」があります※。「LINE@」が無料から始められるのに対して、「LINE公式アカウント」は月額250万円〜の費用がかかるので、一般的な店舗での運用は「LINE@」になるかと思います。そのため、ここではLINE@での運用を説明します。
LINE@では、繋がっているユーザーにLINE上で一斉に情報配信したり、1対1でやりとりをしたりできます。
また、クーポンやショップカード機能など、集客を促進する機能もあります。無料版と有料版があり、無料版では月に1,000通しかメッセージを送れません。
なお、LINEのアカウントはほかのSNSと違い、申し込みをする必要があります。
※ただし、今後は「LINE@」と「LINE公式アカウント」はサービスとして統合され、フレンド数や利用したいプランで料金が異なるようになるようです。導入時期は未定(2018年10月現在)
LINE@の活用については、こちらの記事も参考にしてください。
LINE@(ラインアット)を活用して集客力を高めるコツとは?
LINEでポイント付与ができる!LINEショップカード活用しよう
LINE@(ラインアット)が飲食店の販促活動に向いている理由
SNSの運用時に気を付けたいこと
SNSアカウントを作って運用していくに当たって、いくつか気をつけておきたいことがあります。
1. SNSで投稿する内容を決める
軽率な投稿で炎上しないためにも、投稿する内容は◯◯と△△だけといった決めごと(ガイドライン)をつくっておくとよいでしょう。
2. できるだけ写真を載せる
文字だけの投稿よりも写真があったほうがユーザーのエンゲージメント(クリック、リンク先に飛ぶなど)は高まります。
3. 定期的に更新する
更新頻度が少ないとユーザーから見られなくなるので、少なくとも週に1回は更新してください。
4. プロフィールやアイコン画像を魅力的にする
一見で目を引く表現・画像にしましょう。とくにプロフィール説明で地名、ジャンル、特徴をアピールすることが重要です。
5. コメントや評価には必ずお礼を言う
しっかりとお客様に感謝の気持ちを伝えるためにも、コメントいただいたら必ず返信しましょう。ありきたりな言葉ではなく、+α(ありがとうございます。ご注文いただいた◯◯は看板メニューで自慢の1品です、など)を加えるとお客様もうれしいのではないでしょうか。
6. 人柄がわかるような内容にする
そうすることで、お店への親近感を持ってもらえます。投稿するときは「ホールスタッフの◯◯です!」といった自己紹介から始めることもおすすめです。
7. 運用体制の確立
一人で運用するのが大変な場合は、担当者のローテーション制にします。この場合、方向性が人によってぶれない様に方針は決めておきます(投稿前に店長が確認するなど)。
8. 運用するアカウントの優先度を決める
ここまで見てきたように、SNSはいくつかあります。全てを上手に運用できれば集客に効果を発揮しそうですが、そうなると担当者の負担は非常に大きくなります。
伝えられるメッセージの質を考えると、まずはFacebokとLINE@を優先的に運用するようにしましょう。どちらもお店のファンになってくれた人とつながれるからです。
TwitterやInstagramについては、どちらかというとお客様に話題にしてもらうことを考えていきましょう。
9. アカウント名を店舗内に掲示しておく
まずは、アカウントに繋がりを持ってもらう必要があります。待っていてもなかなか増えるものではないので、店内にアカウント名を掲示して、お客様に知ってもらいましょう。
「繋がったら○%引き」など、特典を設けておくと、さらに促進できます。
共感を覚えてもらいブランド認知を拡大する
ソーシャルメディアを用いたマーケティングの目的は、売り込みではなく共感をしてもらうことです。Facebookでいいねを押すときやTwitterでリツイートする理由は、その内容に共感する、そしてほかの人にも知ってもらいたいからではないでしょうか。また、ソーシャルは双方向のコミュニケーションです。これを十分に活用しない手はありません。
お店では、スタッフは多忙ですから中々お客様と会話をする時間が取れず、できたとしても限られてしまうことも多いでしょう。そこで、SNSを活用することによりお店で会話できないお客様とコミュニケーションを取ることができます。ぜひ、フル活用して多くの人の「自分の知っているお店」「知人に紹介したいお店」になりましょう。
【店舗経営においてはPOSレジが欠かせない】
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