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飲食店を開店させる際の設備投資といえば、キッチン整備といった内装や外装など、大きなものばかりをイメージしがちですが、椅子や机、食器、料理道具などの備品ももちろん設備投資に含まれます。揃えなければいけないものは思っている以上に数多くあるため、何を揃えたらいいのかわからないといった声をよくききます。
そこで今回は、飲食店でよく使われる備品一覧と、その中から業態別で選定基準が異なると思われるものをピックアップして紹介します。
飲食店開業時に必要な備品リスト
さっそく、リストを見てみましょう。
カテゴリ | 備品 |
---|---|
厨房 | 調理台、シンク、冷蔵庫、冷凍庫、食材保管用の棚などの設備 |
調理機器や用品 | |
食器 | |
清掃用具(客席用は別途準備) | |
ゴミ箱 | |
設備 | 冷暖房設備 ・防犯設備 ・音響設備 |
照明設備 ・テーブルや椅子などの設備 | |
看板などの店頭設備 | |
電話やFAX、コンピュータなどの通信設備 | |
ナプキン入れなどの備品 | |
消耗品 | 用途別の洗剤や除菌用品 |
箸、箸袋、客席用調味料入れなど ・虫よけ用品 | |
使い捨て手袋、ペーパーナプキン、ふきん、エプロン、ユニフォームなどの消耗品 | |
店頭のぼりなどのサイネージ用品 | |
会計用伝票 | |
会計機器 | レジとロールペーパー |
クレジットカードリーダー | |
オーダーエントリーシステムとその設備 | |
釣り銭トレーや伝票挟み | |
小型金庫やコインケース、電卓 |
ここからは、器具と道具に注目して業態ごとに選ぶ基準が違うと思われるものをピックアップしていきます。
リストを手元においてチェックしよう!「飲食店開業時に必要な備品リスト」
業態別の備品選びで「もうひとつのメニュー作り」を
厨房設備は、業態別に専門的な機器と、業態に関係なく共通で流用できる機器があるため、思ったほど選択に悩みません。
しかし、客席や店頭などお客様の目に触れるところは「店の顔」であり、「ひと目で店の内容を語ってくれるもの」なのです。業態別の発想をベースにして店舗イメージを形にしていくことは「もうひとつのメニュー作り」だと意識しておきましょう。
店舗設計時に最も重要になるのは、店舗の「コンセプト」と「統一感」です。「コンセプト」は、お店を貫く基本的な考え方やイメージであると考えればよく、料理の種類や想定される来客層を元に、先行店舗を参考にしながら決めていきましょう。
開業時のコンセプト設計については「飲食店・店舗のコンセプトの考え方。成功するコンセプトの条件とは?」をご覧ください。
「コンセプト」が決まったら、店舗装飾・備品・ユニフォームなどに至るまで「統一感」を出しましょう。たとえば、イタリアンだったらイタリアや地中海の雰囲気を醸し出すようにする、とか、海産品が中心ならば浜辺の漁師町の雰囲気を出すのもよいでしょう。店舗の雰囲気で料理も一段と美味しく、楽しいものとなることをお忘れなく。
ちなみに屋台村のように「統一していないように見える」ことが「コンセプト」というやり方もあるので、柔軟な発想でイメージしてください。
業態ごとに選定基準が異なる備品
飲食店といっても、接待向けの高級店、バー、庶民的な居酒屋、限られた時間で食事を済ませるラーメン屋、カフェ、ファストフードなど、業態別に固定化されたイメージがあります。商品の価格帯、営業時間、滞在時間、個客向けかグループ向けかなどによっても店舗イメージが変わってくるものです。
そんな、店舗の方向性を見極めたコンセプト作りに欠かせない要素をカテゴリ別に見ていきましょう。
テーブルと椅子
お客様がもっとも思いつきやすいものがテーブルと椅子ではないでしょうか。高級感が必要な場合と庶民的な印象の店舗では選びかたが変わってきます。多くの業態で共通なのは、2人掛けテーブルを多めに配置すること。個客でもグループでも対応できるように、来店人数に応じてテーブルを繋ぎ調整できるようにしておくことが大切です。
照明
飲食店の客席には、印象が柔らかくなる電球光の照明機器が業態共通でおすすめです。初期費用が高くてもその後のランニングコストのことを考えるとLEDのものがいいでしょう。間接照明だけにするか、間接照明とスポットライトを組み合わせるか、ドラマチックな演出になるスポットライトだけを使うかは、業態とコンセプトによって変わってきます。
なお、厨房は、食材がハッキリと見えるように昼光色の照明機材を選びましょう。
壁面
コンセプトにあった色やデザインにすることは当然ですが、経費を掛けようと思えばいくらでも掛けられる部分です。開業当初は凝りすぎず、ストレートにコンセプトが伝わるようにするといいでしょう。掃除やメンテナンスが楽なことも考慮に入れてください。ちなみに、厨房はステンレスボードで統一しておくと掃除が楽なうえに、衛生面でも効果的です。
床
店内の床材は、雨の日対策をはじめ、掃除やメンテナンスまで意識した選びかたが大切です。なお、厨房の床は滑らないことと油に強いことが何より大切です。モルタル打ちっぱなしのほか、床用の硬質ウレタン塗装を施してもいいでしょう。
音響
一般的には有線放送業者と契約しますが、コンセプトにあった音源が確保できそうでない場合は途切れることなく流れ続ける長尺の音源を自作します。曲の選定・構成は、あくまでも来ていただきたいお客様の思考を意識することが大切です。
BGMについては、「店内BGMサービスはどれがおすすめ?USEN、モンスターラボなど6つの店舗向けBGMサービスを比較」を参考にしてください。
備品はいくつ必要?どこで買えばいい?
用意すべき調理機器や食器の数は収容人数やメニューによって変わりますが、いつも使う食器の目安は、ピーク時の回転数をアルファとすると席数×アルファになります。 業態別にピーク時の予測客数がどの程度になるかを基準にして判断しましょう。
購入の際は、備品を扱っている会社を店舗装飾業者に紹介してもらうか、通販サイトから購入するのがよいでしょう。東京なら、台東区の合羽橋道具街がオススメです。 資金的な制約がある場合は、中古品を検討するのも一案です。
こだわりたい備品は?
お店のコンセプトによっても変わってきます。「これはよく考えて備品選びをしてほしい」といった代表的なものを紹介します。
スイングドア
お客様へ提供する商品を持ったままドアに触れると、危ないだけでなく衛生面でも問題を引き起こす可能性があります。 原則、厨房と客席との間に「手で開閉」する扉は設置せず、スイングドアや暖簾を使用しましょう。
厨房内の備品
厨房内には、できるだけカビや雑菌の温床になる可能性がある木製の備品は置かないように心がけましょう。
レジ
飲食店はただ商品を売るだけでは繁盛しません。どの商品が売れているのか、在庫の状況はどうかといった売上データの分析を行なって効率のいい運営を探求することで、やっと繁盛店の仲間入りができるのです。
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ユニフォーム
コンセプトに合わせることは当然ですが、どんな場合もできるだけ半袖や七分袖が望ましいのがユニフォームの鉄則です。このタイプなら、袖に料理がつくなどの事故が起こりにくくなります。 また、髪の毛が料理に混入する事故を防ぐため、必ず帽子やバンダナなどで髪の毛を隠すようにしましょう。
最初はコンパクトにそろえていこう!
備品リストを紹介しましたが、もちろんすべてを購入する必要はありません。 まずは最低限必要な備品だけを購入して、新たなものが必要になった時に買い足していく方法がおすすめです。実際に必要になった場合に備えて、どのくらいの期間で確実に追加できるか、あらかじめ確認しておくことも必要です。
また、大事な財産を守っていくためのメンテナンスもこまめに行うことが大切です。
必要なものはお店の業態によって違うでしょう。是非この記事やリストを参考にして、あなたのお店にはどんなものが必要か、じっくり考えてみてください。
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